より大人になった彼女たち
Title:アイハベル
Musician:Kiroro
1998年に「長い間」が大ヒットを記録し、一躍その名を知られるようになった沖縄出身の女性2人組ユニットKiroro。2005年にメンバーの玉城千春、金城綾乃それぞれが結婚を発表し、さらにその後、お互い3人の子供を相次いで出産。断続的な活動はあったものの、事実上、非常に長期にわたる産休に入り、Kiroroとしての活動は休止していました。
そんな彼女たちは今年1月、メジャーデビュー20周年を迎えましたが、活動も本格的に再開。実に12年2ヶ月ぶりという久々のニューアルバムがリリースされました。Kiroroといえばシンプルな暖かいポップソングを歌うユニットというイメージがありますが、今回のアルバムに関しても基本的にそんな彼女たちのイメージに沿ったような作品となっています。
そんな復帰後の1曲目を飾る「アニバーサリー」は新たな一歩の決意を歌う前向きな歌詞が印象的な、爽快なポップソング。この曲、とてもユニークなのは歌詞の中に彼女たちのいままでの楽曲のタイトルが織り込まれている点。「長い間」「Best Friend」などのヒット曲ももちろん顔を覗かせます。
また一方、今の彼女たちだからこそ歌えたように感じるのが「ブランコ」。子供たちへの想いを歌った母親だからこそ歌詞に出来たよう歌詞が胸をうちます。
アルバムはKiroroらしいシンプルなポップソングが並びます。メロディアスできちんとインパクトも兼ね備えたポップソングが並ぶ一方で、いい意味で素人っぽさ、垢抜けなさも感じられるのが大きな特徴。デビュー当初から彼女たちの曲は、この垢抜けなさがひとつの魅力のように感じたのですが、長い産休を経た久しぶりの新作でも、そんな魅力は変わっていませんでした。
一方で楽曲的には「無敵なBig Smile」ではアコギをかきならすロッキンなスタイルを聴かせたり、「鳥かご」ではちょっとジャジーに聴かせたりと楽曲的なバリーションは増えたようにも思えます。ゴスペル風のコーラスを入れた「Let's Go Together」といいストリングスを優雅に聴かせる「ヒカリ」といい、シンプルなポップソングという軸は変わらないものの、よりバレエティーに富んだスケール感も増した楽曲を聴かせてくれました。
結果としていままでのKiroroらしさは維持しているものの、同時に大人になった彼女たちの姿も楽曲の中から垣間見れたようなアルバムになっていたように感じます。もともと落ち着いた部分も感じられた彼女たちでしたが、今回のアルバムではその傾向がより顕著になったような印象を受けます。まあ、失礼ながら、12年以上の月日が経って、メンバー2人とも40代ですからね。年齢相当の作品をきちんと聴かせてくれるアルバムと言えるのかもしれません。
産休が終わり本格的に活動を再開した彼女たち。今度はコンスタントに活動を続けてくれそう。また彼女たちが産みだす素敵なポップソングを聴くことが出来るでしょう。これからの活動も楽しみです。
評価:★★★★
回転する/Ivy to Fraudulent Game
今、もっとも注目を集めているバンドの一組、Ivy to Fraudulent Game(アイヴィー トゥー フロウジュレント ゲーム)。本作でついにメジャーデビューを果たしました。哀愁感の強いメロディーラインが印象に残る一方、シューゲイザー直系のノイジーなギターサウンドが非常に心地よく感じます。特に本作では「dulcet」などはまんまマイブラといった感じの曲。耽美的な雰囲気も醸し出しており、良くも悪くもヴィジュアル系っぽい雰囲気もあり、そういう意味で癖もあるのですが、前作よりグッとよくなった印象も。これからの活躍も楽しみです。
評価:★★★★
Ivy to Fraudulent Game 過去の作品
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