セクシーで中性的なボーカルが魅力
Title:Blood
Musician:Rhye
セクシーなジャケット写真が目を引く本作は、ロサンゼルスを拠点とする男性2人組のデゥオ。デビューアルバムである前作「Woman」が大きな話題を呼び、一躍注目を集めました。ただ私は前作「Woman」は未聴。本作ではじめて彼らの作品を聴いてみました。
まずアルバムで耳を惹くのがハイトーンボイスで優しく聴かせるボーカルでした。包容力もあり、セクシーさも感じさせるボーカルは、正直言うと、最初聴いた時はずっと女性だと思っていたのですが、実はカナダ出身のマイク・ミロシュという男性ボーカリストというから驚き。ただ、中性的な独特のボーカルがRhyeの大きな魅力となっていました。
また楽曲はストリングスやピアノの音を取り入れつつ、比較的シンプルにまとめあげているのが印象的。サウンド的にはリズムトラックなどで打ち込みを取り入れつつも、生音がメインとなっているため丸みを帯びた優しい雰囲気のサウンドで、独特のメロウなグルーヴ感ある楽曲に仕上げています。
そんなハイトーンボイスのセクシーなボーカルと生音重視のサウンドが相成ったメロウなR&Bの楽曲は、一言で言うと官能的という表現がピッタリと来そう。特に熱量的に抑え気味なマイク・ミロシュのボーカルは、楽曲によっては耳元でささやいているような感触があり、男性ボーカルにも関わらず、男性が聴いてもゾクゾクくるような一種のエロさを感じてしまいます。特にシンプルなサウンドながらも軽快に聴かせる「Song For You」や、逆にアルバムの中では比較的分厚く、サイケさを感じるサウンドの中で静かなボーカルを聴かせる「Softly」あたりは、そんなエロさを強く感じました。
ただ一方でアルバム全体としては「Waste」のような静かでメロウ、メロディアスなメロディーラインをしっかりと聴かせるようなシンプルなポップソングが主軸という印象。ストリングスを優雅に聴かせる「Please」やサウンドにファンキーなグルーヴが入った「Count To Five」のようなバリエーションを出しつつも、アルバム全体としてはあくまでもマイクのボーカルを前に出したシンプルなポップソングがメインという印象があります。
ただ、熱量が抑えられたボーカルとサウンドでポップな楽曲を聴かせつつも、一方ではしっかりとソウルな要素も感じられるのも大きな魅力。官能的なソウルの要素も楽しみつつも、基本路線はシンプルなポップソングといういい意味で聴きやすいアルバムだったと思います。セクシーなジャケットからメロウな作品を想像していたのですが、予想通り楽しめた傑作アルバムでした。
評価:★★★★★
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