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2018年3月

2018年3月31日 (土)

全編バンドアレンジで

サニーデイ・サービス LIVE 2018

会場 名古屋CLUB QUATTRO 日時 2018年3月20日(月) 19:30~

Sunnyday_live

ここ最近、「DANCE TO YOU」「Popcorn Ballads」そして先日リリースされたばかりの「the CITY」と立て続けに傑作をリリース。第二の黄金期ともいうほど勢いを感じるサニーデイ・サービス。これはライブにも足を運ばなくては!ということで行ってきました。サニーデイ・サービス@クラブクアトロ。ただ会場は満員・・・ではなく8割程度の入り。うーん、あれだけの傑作を立て続けにリリースしているのに・・・という気持ちになりました。

この日は19時半というちょっと遅めのスタート。で、ほぼ19時半ジャストにライブはスタート。メンバーが登場すると、最初は予想通りだったのですが「the CITY」の1曲目「ラブソング2」からスタート。ただただ「ファックユー」を繰り返すだけのナンバーなのですが、メロウに歌い上げた原曲と比べて、ライブではシャウトを織り交ぜつつ、ロックな色合いが強いステージに。さらにアルバム2曲目「ジーン・セバーグ」へと続き、いきなりノイジーなギターサウンドを展開します。

この日は「the CITY」リリース直後のツアー。ただ選曲は、「DANCE TO YOU」「Popcorn Ballads」「the CITY」の3枚のアルバムの中から、バンド演奏に向いている曲を選曲した、といった感じのスタイルになっていました。「Popcorn Ballads」から「青い戦車」を披露した後は「DANCE TO YOU」から「冒険」。こちらはファンキーなベースを前に押し出したダンサナブルなアレンジとなっており、原曲とはちょっと違った雰囲気になっていたのが印象的でした。

その後も「青空ロンリー」や「苺畑でつかまえて」など3枚のアルバムからの曲を披露。さらに「the CITY」からの「卒業」を含めて、全体的にバンドサウンドを前に押し出したロックテイストの強いアレンジで披露。さらに「セツナ」では最後はバンドがジャムセッションで激しいプレイを聴かせ、さらにサニーデイの2人、曽我部恵一と田中貴が激しいセッションを繰り広げ、サニーデイの「ロックバンド」としての側面を強く感じるステージになっていました。

この激しいセッションから一転、続く曲は「海へ出た夏の旅」とアルバム「24時」からのちょっと懐かしいナンバー。前の曲から一転、静かな中で曽我部恵一がゆっくりと歌い上げ曲となり雰囲気がガラリとかわります。

その後は「熱帯低気圧」や「金星」など直近のアルバムのナンバーが続き、ライブの中で異色だったのが「音楽」。ダビーでサイケな雰囲気のアレンジに、最後はピアノのみで静かに後奏を聴かせるという幻想的なナンバー。この日はロック的なアレンジの曲が多かった中で、唯一「the CITY」の雰囲気を感じるアレンジがほどこされていました。

終盤は「抱きしめたり」から「the CITY」のラスト2曲でもある「シックボーイ組曲」「町は光でいっぱい」で締めくくり。ラストは曽我部恵一が歌い上げるスケール感あるナンバーとなっており、大団円のような締めくくりとなっていました。

その後はもちろんアンコールへ。実はこの日、本編では最初から最後まで一切MCがなく、淡々とした展開だったのですが、ここでようやくMCが。まず「DANCE TO YOU」「Popcorn Ballads」「the CITY」が同時並行的につくられたアルバムという話が出ました。これはちょっと意外でもあり、同時に3枚のアルバムに似た部分もあったため納得感もある話でした。この日のライブもこの3枚のアルバムからの選曲となっていたのも、彼らにとっては同時に作られた曲だから、という意識があったんでしょうね。

あと「the CITY」について「賛否両論」という話をしていました。・・・・ということは結構批判的な評価も多いんですね。個人的には文句なしの傑作アルバムだと思っているんですが・・・ただ、確かにポップな曲が少ないという点では拒否感を覚える人も少なくなさそうですが・・・。

アンコールでは非常に懐かしい「東京」を披露。そして「DANCE TO YOU」の中でも特にポップな「桜 super love」で締めくくり。ダンサナブルなナンバーで盛り上がり、アンコールは終了となりました。

しかし会場の電気がついてもその後もアンコールが鳴り止まず、しばらくしたらなんとメンバーが再登場。そしてダブルアンコールラストは、これまた懐かしの「白い恋人」へ!この選曲は個人的にもかなりうれしかったです。

そんな訳で豪華ダブルアンコールまでありライブは終了。曲数はそれなりに演ったのですが、MCもなく淡々と進んだこともあり、全2時間弱のステージでした。

さて今回楽しみに足を運んだサニーデイ・サービスのライブ。ここ最近のアルバム、特に「Popcorn Ballads」や「the CITY」の世界がどのように再現されているか気になったのですが、結論としては残念ながらあの世界はライブでは再現されていなかった、ということになってしまいました。

上にも書いた通り、基本的にサポート含めた5人のバンドメンバーによるロックなアレンジによるステージ。選曲もロックなアレンジに合うような曲だけであり、「the CITY」で聴かせてくれたHIP HOP的な要素は皆無。確かにゲストも呼びにくいし、ステージではやはりバンドアレンジが映えるし、仕方ないのかな、と思いつつもちょっと残念に感じました。

また本編、MC全くなしで淡々と進む展開もちょっと残念。MCなしに進むので、ステージ全体として淡々としたイメージが否めず、少々一方的なイメージも抱いてしまいました。基本的にポップな曲がメインなのでストイックに演奏を聴かせるというタイプではないと思うのですが・・・・。

そういうちょっと残念な部分も少なくなかったのですが、もちろん演奏自体は迫力もありバンドメンバーも息もぴったし。ロックバンドとしてのサニーデイ・サービスの側面を強く感じることが出来ました。もちろんサニーデイの大きな魅力であるポップな曲もたくさん聴くことが出来、もちろん満足して会場を後にすることが出来ました。

個人的にはもうちょっと「the CITY」のあの世界観も再現してほしかったな、とは思うのですが・・・2時間弱のステージがあっという間に感じた楽しいステージだったのは間違いありません。また彼らのライブに足を運びたいです。

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2018年3月30日 (金)

挑戦的なサニーデイ

Title:the CITY
Musician:サニーデイ・サービス

ここ最近、サニーデイ・サービスがすごいことになってきています。ご存じのとおり、おととしリリースした「DANCE TO YOU」は各種メディアが大絶賛する、その年を代表する傑作アルバムでしたし、昨年リリースした「Popcorn Ballads」も、ストリーミングでの配信オンリーというリリース形態も話題になりましたし、またその内容も大絶賛を浴びました。正直、サニーデイ、というよりも曽我部恵一は、サニーデイ解散後にリリースした作品も決して「傑作」とは言い難かったですし、2010年の再結成直後にリリースされたアルバムも「悪くはないけど・・・」レベルの作品。サニーデイは「終わった過去のバンド」というイメージと強く感じていたのは偽りのない事実でした。

しかし「DANCE TO YOU」以降はそれまでの停滞が嘘のように傑作アルバムを連発。そしてそんな流れの中、前作「Popcorn Ballads」からわずか9ヶ月というインターバルでリリースされたのが突如リリースされたのが今回のアルバム。今回もストリーミングとダウンロードでのリリースが先行し、その後はLP盤でリリース。CDでのリリース予定はありません。ここ最近、時々見られる「レコードと配信のみでのリリース」という形態になっています。

そしてその短いスパンでリリースされた本作ですが、これがまたここ最近のサニーデイの勢いを反映するような傑作に仕上がっていました。まずこのアルバム、1曲目がいきなりインパクト満載。「ラブソング2」というタイトルながらも歌詞は「ファック・ユー」のみが静かに幻想感が入って歌われる展開にいきなり度胆を抜かれます。

続く「ジーン・セバーグ」では曲調が一転。サイケ感あふれるダークなギターサウンドが耳に飛び込んでくる不気味なナンバー。50年代から60年代に活躍したアメリカの女優の名前をタイトルとしたナンバーでPVもリリースされているのですが、このPVもどこか前衛的なものになっており、非常に不思議な感覚のするナンバーになっています。

そんなインパクトあるはじまりをする今回のアルバムですが、アルバム全体の特徴として、まずHIP HOP色が非常に強いという点があげられます。MC松島をゲストに迎えた「23時59分」や、彼らと同じROSE RECORDS所属のHIP HOPユニットMGFが参加した「さよならプールボーイ」などラップを取り入れた曲が顕著ですが、例えば「ザッピング」「雨はやんだ」などポエトリーリーディング的な曲もありますし、そのほか、サンプリングなどの手法を取り入れたHIP HOP的なトラックも要所要所で聴くことが出来ます。現在、ドラムスの丸山晴茂が体調不良のためバンドを離れていますが、その影響もあるのでしょう、アルバム全体としてバンド色は皆無となっています。

また、バンド色が薄いというのも大きな理由なのでしょうが、全体的に挑戦的な作品が目立つのも今回の特徴。bonstarが参加した「ジュース」では非常に独特なトラックを聴かせてくれますし、「すべての若き動物たち」はノイズミュージシャンのHAIRSTYLISTICSがリミックスを担当し、ノイズミュージックに仕上げています。曽我部恵一が自由にアレンジを手掛けた結果、自由度の高い、独特で挑戦的な作品が並んでいるアルバムとなりました。

その結果、「DANCE TO YOU」や「Popcorn Ballads」に比べるとポピュラリティーという面では後退したアルバムに仕上がっています。「完全な夜の作り方」をはじめ、後半は歌を中心としたポップなナンバーが並んでいますし、またそれ以外の曲に関しても、きちんとサニーデイらしい心に染みるようなメロディーセンスを感じる部分が少なくないのですが、サニーデイのメロディーラインだけに期待すると、少々物足りなく感じる部分はあるかもしれません。

ただ一方では「DANCE TO YOU」や「Popcorn Ballads」との共通項もあり、その最たる部分が「シティ・ポップ」であることを明確に意識した作品づくりをしているという点。さらにその上でそんな都会をどこか醒めた視点で気だるく描写しているという点でしょう。「Popcorn Ballads」では「東京市憂愁(トーキョーシティブルース)」や「街角ファンク」という曲がありましたが、今回も「Tokyo Sick」という明確に東京を意識したナンバーがありますし、またその一方、アルバムに流れる熱量は全体的に冷めていて、気だるさを感じさせるナンバーになっています。もっともこの「シティポップ」を明確に意識している点と、その上で全体的にどこか醒めた点というのはここ最近の作品に限らず、サニーデイの初期から感じる彼らの特徴。そういう意味ではHIP HOP的な要素を強く取り入れたといっても、サニーデイの根本の部分は全く変わっていない、と言えるのかもしれません。

そんな訳で前々作、前作に引き続き今回も年間ベスト候補の傑作アルバム。ただ、ちょっと気になるのはベクトルが明確に外向けだった「DANCE TO YOU」に比べると、ベクトルが徐々に内向きにシフトしてきている点。実験的な作品が多かったため決して「内輪受けに終始」という印象はないものの、曽我部恵一のソロ作はこの内向きな傾向が大きなマイナス要素だっただけにちょっと気になります。ただ今回のアルバムに関しては間違いなしの傑作アルバム。サニーデイの勢いは全く止まっていませんでした。

評価:★★★★★

サニーデイ・サービス 過去の作品
本日は晴天なり
サニーディ・サービス BEST 1995-2000
Sunny
DANCE TO YOU
桜 super love

Popcorn Ballads
Popcorn Ballads(完全版)


ほかに聴いたアルバム

BACK2THEFUTURETHEALBUM/m-flo

2017年の音楽ニュースの中で個人的に最もうれしかったニュースのひとつがm-floのボーカルにLISAが復活というニュース。m-floのオリジナルメンバーとして数多くのヒット曲を歌ってきたLISAでしたが2002年を最後にm-floを脱退。その後は残ったメンバー2人で様々なボーカルをゲストに迎え活動を行ってきました。もちろん、それからの活動でも数多くの名曲、名コラボを生み出してきたのですが、正直言ってLISAを超えてピッタリとくる組み合わせはなく、どこか物足りなさを感じていたのは事実でした。

そして昨年、ついにLISA復活!そして彼女の本格復活の前哨戦として昨年来、配信で様々なリミックス曲を発表してきましたが、これはそれらの曲を集めた配信限定のリミックスアルバム。彼らの過去の代表曲を様々なミュージシャンがリミックス。基本的にエレクトロ、EDM系のリミックスがメインなのですが、WONKが参加してジャズ風に仕上げたリミックスもあり、彼らの幅広い音楽的興味を感じます。

先日、ついにメジャーデビューシングルと同じタイトルを用いた「the tripod e.p.2」をリリースし、LISA加入後の本格的な活動を再開した彼ら。これから再び彼らが音楽シーンを賑わせてくれそう・・・これからの活動がかなり楽しみです。

評価:★★★★

m-flo 過去の作品
electriCOLOR -COMPLETE REMIX-
Award SuperNova-Loves Best-
m-flo inside-WORKS BEST III-
MF10 -10th ANNIVERSARY BEST-
m-flo inside-WORKS BEST IV-
SQUARE ONE
m-flo DJ MIX"BON ENKAI"
NEVEN
FUTURE IS NOW

みんなあれについて考えてる/FLYING KIDS

2007年の再結成後、ライブ活動は継続していたもののアルバムはとんとご無沙汰になっていたFLYING KIDSですが、実に6年半ぶりとなるアルバムをリリースしてきました。今回は彼らが1990年にリリースしてヒットした「我想うゆえに我あり」を「新・我想うゆえに我あり」としてリニューアル。全面的に楽しいファンクチューンが連続するアルバムになっています。その一方で「ファンキースター」のようないかにも90年代的なJ-POPのナンバーも目立ち、アルバム全体にどこか懐かしさも感じました。ある意味、彼らがもっとも活躍していた90年代に回帰したように感じるアルバムです。

評価:★★★★

FLYING KIDS 過去の作品
EVOLUTION
LIFE WORKS JOURNEY

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2018年3月29日 (木)

ジャニ系1位の一方、根強い人気のアルバムも

今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

今週の1位はまずジャニーズ系が獲得。

初登場1位はNEWS「EPCOTIA」が獲得。通算9枚目となるアルバムは「宇宙旅行」をコンセプトとしたアルバム。初動売上は11万6千枚で、前作「NEVERLAND」の12万4千枚(1位)からダウンしています。

2位初登場は俳優菅田将暉のデビューアルバム「PLAY」がランクイン。「さよならエレジー」などシングルとしてリリースした曲を含む全12曲入りのアルバムですが、彼が音楽的に影響を受けたという忘れらんねえよの柴田隆浩が楽曲提供しているほか、黒猫チェルシーの渡辺大知、amazarashiの秋田ひろむなども楽曲を提供。また米津玄師の「灰色と青[+菅田将暉]」も収録されています。初動売上は3万枚。

3位には「グレイテスト・ショーマン(サウンドトラック)」がランクインし、これで3週連続の3位となりました。売上的には1万3千枚と先週の1万6千枚からダウンしていますが、まだまだロングヒットを続けそうです。

このアルバムもロングヒットの兆しを見せていますが、今週はもう1枚のロングヒット盤も目立ちました。それが今週、7位から5位にランクアップしてきた米津玄師「BOOTLEG」。シングル「Lemon」のヒットに伴うランクアップ。売上枚数は先週の8,776枚から8,145枚と若干ダウンしているものの、根強い人気を感じます。今週は根強い人気を誇るアルバムが目立つチャートとなりました。

続きまして4位以下の初登場盤です。4位には韓国の男性アイドルグループU-KISS「LINK」がランクイン。初動売上は8千枚。直近作はメンバーのソロや別ユニットの曲を集めた企画盤「U-KISS solo&unit ALBUM」で、同作の7千枚(7位)より若干のアップ。オリジナルアルバムとしては前作「One Shot One Kill」の1万2千枚(6位)よりはダウンしています。

6位初登場はロックバンドBLUE ENCOUNT「VECTOR」がランクインしています。初動売上6千枚。前作「THE END」の1万3千枚(7位)から半減という厳しい結果。メジャーデビュー3枚目の作品で、3作連続のベスト10入りとなりましたが、とりあえず勢いは一息といった感じでしょうか。

7位はファンキー加藤「今日の詩」がランクイン。ご存じFUNKY MONKEY BABYSのボーカリストとして人気を博した彼の3枚目となるソロ作。ソロでは前々作以来2作ぶり2作目のベスト10ヒットとなりました。ただし初動売上は6千枚で前作「Decoration Tracks」の8千枚(11位)を下回る結果になっています。

9位には立山秋航「TVアニメ『ゆるキャン△』オリジナル・サウンドトラック」が入ってきました。タイトル通り、アニメ「ゆるキャン△」のサントラ盤。ちなみに同作は「キャンプ場でのリクリエーションや野外調理などといったアウトドア趣味の魅力と、それを身の丈に合った範囲で満喫する女子高校生たちのゆるやかな日常を描く」(Wikipediaより)だそうで、最近はとりあえず「女子高生」を登場させておけばなんでもアニメのネタになるんですね・・・。初動売上は5千枚を記録。

最後10位もアニメ系。「『ガールズ&パンツァー 最終章』ドラマCD2~学園祭です! ?~」がランクイン。こちらは同タイトルのアニメのドラマCDで、こちらは戦車と女子高生を組み合わせています。初動売上は5千枚。同ドラマCDシリーズの前作「『ガールズ&パンツァー最終章』ドラマCD1~テスト勉強です!~」の4千枚(21位)からは若干のアップです。

今週のアルバムチャートは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2018年3月28日 (水)

ついに1位獲得

今週のHot 100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

以前からヒットを続けていたあの曲がついに1位獲得です。

今週1位を獲得したのが米津玄師「Lemon」。2月26日付チャートで2位にランクインしてから6週目についてついに1位獲得です。特にいままでの5週間のうち4週で2位、残り1週は3位という結果だっただけに「ついに」という表現もピッタリ。CD販売・ダウンロード・ストリーミング数(以下実売数)、You Tube再生回数で1位、PCによるCD読取数、Twitterつぶやき数で2位、ラジオオンエア数で4位という堂々たる結果に。ちなみにオリコンチャートでもデジタルシングルチャートで1位を獲得するなど配信を中心とした売上ですが、CDシングルチャートでも今週2位をキープ。直近のアルバム「BOOTLEG」もアルバムチャートで上位に入ってくるなど、おそらく今、もっとも勢いのあるミュージシャンと言えるでしょう。

2位初登場は祭nine.「HARE晴れカーニバル」。名古屋を中心に活動する男性アイドルグループBOYS AND MENの弟分グループ。名前のとおり、祭りをイメージした楽曲になっています。ただ実売数で2位を獲得したほかはTwitterつぶやき数で46位、その他は圏外という典型的に固定ファン以外に波及していないチャート傾向となっています。オリコンでは初動10万2千枚で1位獲得。前作「嗚呼、夢神輿」の10万枚(2位)より若干アップしています。

3位には新しい地図「雨あがりのステップ」が先週の46位からランクアップし、ベスト10にランクインしています。ご存じ元SMAPの稲垣吾郎、草彅剛、香取慎吾による配信限定によるシングル。実売数3位、Twitterつぶやき数3位のほか、ちょっと意外なところではラジオオンエア数も2位というアイドル系としては珍しい高順位を記録しています。パラスポーツ応援チャリティーソング。作曲は菅野よう子が担当しており、爽やかでインパクトあるポップなメロながらも要所要所のメロディーがひねってあったりして、彼女らしい聴かせる内容になっています。ちなみにこの楽曲タイトルはまるでRCサクセションの「雨あがりの夜空に」と「ステップ!」を組み合わせたようなのですが、意識したのでしょうか?

ちなみに新しい地図の3人というとこの3月のテレビ改変期に地上波のレギュラー番組が相次いで打ち切りとなり、テレビ局がジャニーズ事務所に「忖度した」のではないかと話題になっています。SMAP解散劇ではあれだけジャニーズ事務所が叩かれたのに、まだこんな事務所に配慮した行動をとるんだ、と驚かされるのですが、ただ現実問題としてジャニーズ事務所が叩かれても嵐だとか関ジャニ∞だとか所属タレントの人気には全く影響が出ないんですよね。そういう意味ではジャニーズ事務所にとってもテレビ局にとってもSMAPの件でいくら叩かれようが、実質的に影響がなく、全くの馬耳東風なんでしょうね。それだけに個人的には決してSMAPのファンでもなかったんですが、新しい地図には頑張ってほしいと思うのですが・・・。

続いて4位以下の初登場曲です。まず8位にRosalia「Opera of the wasteland」が初登場でランクイン。漫画「BanG Dream!」から派生したプロジェクトにより登場したアニメキャラによるロックバンド。ただストリングスを入れてスケール感を出した楽曲はロック色もバンド色も皆無な、典型的なアニソンといった感じなのですが。実売数7位、PCよるCD読取数18位、Twitterつぶやき数10位を記録。ちなみにオリコンでは初動2万3千枚で5位にランクイン。前作「ONENESS」の1万4千枚(8位)よりアップしています。

初登場最後は10位にポルノグラフィティ「カメレオン・レンズ」がランクイン。テレビ朝日系ドラマ「ホリデイラブ」主題歌。彼らしい哀愁感たっぷりのメロにリズミカルな打ち込みのリズムが印象に残るナンバー。実売数9位、PCによるCD読取数10位を記録した一方、ラジオオンエア数は33位、Twitterつぶやき数は27位という若干低めのチャートに。オリコンでは初動売上2万枚で6位初登場。前作「キング&クイーン」の2万1千枚(6位)から若干のダウンとなっています。

今週の初登場は以上でしたが、一方、ロングヒット傾向の曲もちらほら。まず5位にランクインしている星野源「ドラえもん」は今週で通算6週目のベスト10入り。実売数は5位、Twitterつぶやき数9位、ラジオオンエア数32位、You Tube再生回数12位を記録している一方、PCによるCD読取数では1位と強さを見せています。ラジオオンエア数が若干低めなのは、やはり曲の内容的にオンエアしずらいのでしょうか。オリコンでは、CDランキングは19位までランクダウンしていますが、デジタルシングルチャートは3位と上位をキープしており、まだまだロングヒットしそうな予感がします。

また6位にランクインした菅田将暉「さよならエレジー」も今週ベスト10入り7週目となります。こちらは先週の7位からランクアップしており、実売数8位、ラジオオンエア数5位、PCによるCD読取数6位と上位をキープしているほか、You Tube再生回数では2位とチャートの引き上げ要因となっています。オリコンではCDランキングではベスト50落ちしているもののデジタルシングルチャートでは5位と上位をキープ。こちらもまだまだヒットは続きそうです。

今週のHot100は以上。アルバムチャートはまた明日に!

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2018年3月27日 (火)

3枚のEP盤をまとめて1枚に

Title:How To Solve Our Human Problems
Musician:Belle and Sebastian

「ベルセバ」の相性で日本でも親しまれているイギリス・グラスゴー出身のギターポップバンド、Belle and Sebastian。今回、約3年ぶりとなるニューアルバムがリリースされましたが、そのリリース方法がなかなかユニーク。本作はもともと「How To Solve Our Human Problems」を3部にわけて、それぞれEP盤としてリリース。そしてその3作をまとめて1枚にしたアルバムがあらためてリリースされる流れになっています。

今回は3枚のEP盤をまとめたアルバムを紹介する形になっています。ただ、私が本作を聴いたのは3枚のEP盤をバラバラに、それぞれリリース直後に聴きました。そのようにEP盤をそれぞれ聴いてみると、3枚のEP盤はそれぞれその方向性が若干違うことに気が付きます。

まず1枚目、Part1ですが、こちらは「We Were Beautiful」「The Girl Doesn't Get It」のように打ち込みのリズムを取り込んだポップチューンがまず目立ちます。「Fickle Season」のような暖かみのあるメロディーを聴かせるナンバーもあるのですが、全体的には軽快なポップチューン。メロディーラインは魅力的ではあるものの、正直言うと全体的にチープさを感じてしまいました。タイプとしては前作「Girls in Peacetime Want To Dance」からの流れを感じます。

続くPart2ですが、いきなりガレージロックナンバーの「Show Me The Sun」からスタートし雰囲気は一転。このPart2では、この「Show Me The Sun」を含めて、アコースティックでどこか暖かみあるナンバーが並びます。特に「I'll Be Your Pilot」ではアコースティックなサウンドをバックに素朴ながら暖かみのあるメロディーが非常に魅力的なポップチューンになっており、ベルセバらしさを強く感じます。

そしてPart3はPart1と2の融合のような形でしょうか。最初の「Poor Boy」はいきなりエレクトロなダンスチューンからスタートするのですが、続く「Everything is Now(Part Two)」はアコギでメロディーを聴かせるナンバー。さらに「There Is An Everlasting Song」はとにかくメロディーの美しいフォーキーなナンバー。タイトル通り、永久に歌い継がれそうな魅力を感じさせる名曲になっています。

ただ、今回、3枚のEPをまとめて聴くと、エレクトロ路線が強かった前作から一転、エレクトロな曲もあるのですが、全体的にはベルセバらしいフォーキーでアコースティックな暖かいメロディーラインを聴かせるような曲が目立つように感じます。とにかく要所要所で胸をかきむしられるような美しいメロディーラインが光るアルバム。その魅力はいまだ健在です。

評価:★★★★★

Belle and Sebastian 過去の作品
Write About Love(ライト・アバウト・ラヴ~愛の手紙~)
Girls in Peacetime Want To Dance


ほかに聴いたアルバム

You're Not Alone(邦題:ユアー・ノット・アローン~オレがついてるぜ)/ANDREW W.K.

とにかく盛り上がることだけを重視したパーティーチューンと兄貴分的なキャラクターで、本国アメリカよりもむしろ日本で人気を博したミュージシャン、ANDREW W.K.。日本オンリーで企画されたカバーアルバムなどのリリースはあったものの、オリジナルアルバムとしてはなんと12年ぶりとなる新作がリリースされました。

今回もまた彼らしい邦題がついたアルバムになっています。楽曲は相変わらずギターやシンセサウンドを盛り込んだ分厚いサウンドのパーティーチューンとなっているのですが、以前のような高揚感は薄く、比較的おとなしくなった印象が。途中に彼の信念を語るパートもあったりするのは彼らしい感じ。基本的に難しいこと抜きで楽しめるナンバーが並んでいるのですが、音楽的には押し一辺倒の大味な印象がしてしまうアルバムでした。

評価:★★★

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2018年3月26日 (月)

Pixies脱退後、初のアルバム

Title:All Nerve
Musician:The Breeders

ご存知、Pixiesのベーシストとして活躍したキム姉さんことキム・ディール。彼女が双子の姉、ケリー・ディールらと活動していたバンドがThe Breedersです。キムは再結成後のPixiesにも参加したものの、2013年には残念ながらPixiesを脱退。その後、The Breedersとしての新曲を制作中というニュースが流れたもののしばらく音沙汰なしの状況が続いていましたが、昨年、久々にThe Breedersとしての新曲がリリース。そしてこのたび、10年ぶりとなるニューアルバムがリリースされました。

そんな久々となるニューアルバムですが、また前作に引き続き、おなじみのスティーブ・アルビニがプロデューサーとして参加。またバックコーラスとしてオーストラリアの女性シンガーソングライター、コートニー・バーネットもバックコーラスとして参加しています。彼女に関しては当サイトでもアルバムを何度か紹介したことがありますが、タイプ的にThe Breedersとも非常に親和性の高いミュージシャンと思われるだけに今回の起用についてはとても納得感がありました。

さてそんな彼女たちの久々となるニューアルバムは、基本的にはThe Breedersらしさをアルバム全編に貫いた作品になっていました。1曲目「Nervous Mary」からダウナーなボーカルにシンプルにまとめたノイジーなギターが鳴り響く展開。続く「Wait In The Car」は最初のシャウト気味のボーカルがまさにPixiesを彷彿とさせるナンバー。ノイジーなギターの後ろで鳴っているセカンドギターのリフがいかにもアルビニ節といった感じでうれしくなってくるナンバーです。

前作「Mountain Battles」ではラテン風な曲があったり、メロウなワルツのナンバーがあったりといままでの彼女のスタイルにとどまらない曲調を聴かせてくれましたが、今回のアルバムに関しては全編、ダウナー気味のボーカルとノイジーなガレージギターという展開が続き、楽曲のバリエーションは乏しく感じますが、一方でThe Breedersらしい曲が並んだアルバムとも言えます。

ただそんな中でも中盤「Waiting with a Killer」ではしっかりとメロディーラインを聴かせるナンバーとなっており、彼女たちのメロディーセンスを感じる曲になっていますし、続く「Howl At The Summit」では同じくゆっくり聴かせるナンバーながらもノイジーなギターの中、ストリングを取り入れたりと聴かせる曲が続きます・・・と思ったら、続く「Archangel's Thunderbird」ではいきなり爽快なギターリフからスタートする「ポップ」な雰囲気の漂う軽快なギターロックチューンに。このダウナーで聴かせる曲から一気に爽快なギターロックへという展開はこのアルバムの中で非常に心地よさを感じた瞬間でした。

そんな訳で10年ぶりとなる新作は良くも悪くもいままでの彼女たちから大きな変化は感じませんでしたが、ただThe Breedersに対するファンの期待にしっかりと応えたアルバムになっていました。ここちよいダウナーなギターロックを終始楽しめるアルバム。オルタナ系ギターロックバンドが好きなら間違いなく楽しめる作品です。

評価:★★★★

The Breeders 過去の作品
Mountain Battles


ほかに聴いたアルバム

Everything Was Beautiful,and Nothing Hurt/Moby

前作「These Systems Are Failing」では今の世界に対する怒りを表明したパンキッシュなアルバムをリリースしたMoby。新作では一転、美しいエレクトロサウンドを聴かせるチルアウトなアルバムをリリースしてきました。女性ボーカルを全面的に取り入れたドリーミーなサウンドが非常に心地よいアルバムになっており、特に「The Tired and the Hurt」では悲しくも美しいメロディーラインが印象に残ります。ある意味、いままでのMobyらしい方向性に戻った作品とも言えるアルバムですが、その中でも特に夢見心地のサウンドが全編に流れている作品でした。

評価:★★★★

MOBY 過去の作品
Go:The Very Best Of Moby

Last Night
Wait for me
Destroyed
Innocents
These Systems Are Failing(Moby and The Void Pacific Choir)

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2018年3月25日 (日)

ベスト盤リリース後の最初の一歩

Title:Kodomo Rengou
Musician:People In The Box

毎回、独特の音楽性を聴かせる傑作アルバムをリリースし続けている3人組ポストロックバンドPeople In The Box。昨年は10周年のベストアルバムをリリースしたほか、ボーカルの波多野裕文はチャットモンチーの橋本絵莉子と組んでユニット波多野裕文橋本絵莉子として活動するなど話題に事欠きませんでしたが、純然たるオリジナルアルバムとしては約3年半ぶり。少々久しぶりとなるニューアルバムとなりました。

そんな久々となる彼らのニューアルバムですが、基本的にはPeople In The Boxらしい楽曲が並んでいました。爽やかでポップにコーティングしてあるものの、よくよく聴くとどこか歪んで感じられるメロディーラインに、ギターロック、フォーク、ジャズ、ソウル、ファンクなどの要素と加えつつ複雑に構成されたサウンドという組み合わせがユニーク。ただ柔らかさを感じる波多野裕文のボーカルとやさしさを感じる彼のギターによって、複雑な構成のアルバムながらも全体的にはポップに感じられるのも大きな特徴だと思います。

例えばポップという路線で言えば「報いの一日」は基本的にポップなメロディーが流れる明るいポップチューンになりつつも、ノイジーなギターがメロディーを終始追いかけるような構成がユニークですし、「世界陸上」なども爽快なメロディーを奏でつつも、変拍子の複雑なリズムを刻むベースと爽やかながらもどこかアバンギャルドなピアノのメロが、楽曲に複雑な味わいを与えています。

後半の「眼球都市」「あのひとのいうことは」などはピアノやアコギなどを中心としたシンプルなサウンドでメロディーを聴かせる楽曲になっています。ここらへんは彼らのメロディーセンスの良さがよりキラリと光る部分。わかりやすくインパクトあるサビはなく、メロディーラインの展開も一癖二癖ありますが、そこがまた大きな魅力になっています。

サウンド面でいえば印象に残ったのが「無限会社」でしょうか。へヴィーでファンキーなギターにヘビーなベースライン。サビではアバンギャルドでパンキッシュなサウンドを聴かせてくれ、楽曲全体に迫力ある作品になっています。また「デヴィルズ&モンキーズ」もアコースティックなギターサウンドが美しい響きを奏でる中、ノイジーなエレキやベースラインを分厚く重ねることによりドリーミーな雰囲気を作り出しており、印象に残る楽曲になっていました。

また楽曲の展開もひとつの曲の中にへヴィーなギターサウンドを聴かせたかと思えば、アコギを中心として静かな音色に早変わりしたりと複雑に展開していくのもユニーク。その展開で印象に残るのが後半の「かみさま」でしょうか。ギターサウンドを分厚く聴かせたかと思えば、一気にサウンドが引いて静かにメロディーを聴かせる展開になったりと1曲の中で変化していきます。この曲、優しいメロディーラインも心に残りますし、「かみさまはいつだって優しい嘘をつく」というリアリスティックとやさしさが同居したようなフレーズも印象的なナンバーでした。

10周年のベストアルバムをリリースして一区切りした彼らでしたが、その後の第一歩となるアルバムは、基本的にこれまでのスタイルとは大きな変化はありませんでした。ただ複雑に入り組んだサウンドとポップなメロは今回のアルバムでも大きな魅力で、マンネリさも感じません。そういう意味ではベスト盤を出して一区切りした、といってもバンドとしてはまだまだ今のスタイルでやれることはたくさんあるというスタンスなのでしょう。毎回、安定して傑作をリリースし続ける彼らなだけに、今回も文句なしの傑作。これからの活躍も楽しみです。

評価:★★★★★

People In The Box 過去の作品
Ghost Apple
Family Record
Citizen Soul
Ave Materia
Weather Report
Talky Organs
Things Discovered


ほかに聴いたアルバム

Moshi Moseamo?/SEAMO

オリジナルアルバムでは4年ぶりとなる久々のSEAMOの新作。出来としてはかなりいいです。アゲアゲなEMD風のナンバーやダイナミックでロッキンな楽曲、彼の得意技、クラシックのフレーズをサンプリングした曲など、トラックのバリエーションも様々。リリックも名古屋や地元ネタも目立つ一方、ディズニーランドへの賛歌や花粉症について綴ったナンバーなどユニーク。再び勢いが出てきたように感じます。

ただ・・・全13曲中10曲は、昨年、配信オンリーでリリースされたEP「ON&恩&音」「続・ON&恩&音」に既収録のナンバーで今回の純然たる新曲は3曲のみ・・・。配信オンリーだった「ON&恩&音」「続・ON&恩&音」をCDでもリリースという意図もあったのかもしれませんが、久々のアルバムだったのにこれはちょっと残念でした。アルバム全体としては5つの出来だったと思うのですが、ほとんどが既発表曲だったということで1つマイナス。もっとも、こちらもSpotifyなどで配信されているため、未発表曲だけどピックアップして聴くという聴き方もできますが・・・。

評価:★★★★

SEAMO 過去の作品
Round About
Stock Delivery
SCRAP&BUILD
Best of SEAMO
5WOMEN
MESSENGER
ONE LIFE
コラボ伝説

REVOLUTION
TO THE FUTURE
LOVE SONG COLLECTION

THE SAME AS YOU(SEAMO&AZU)
ON&恩&音
続・ON&恩&音

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2018年3月24日 (土)

ボーカルは日本人ティーンエイジャー

Title:Superorganism
Musicain:Superorganism

また一組、イギリスから要注目のバンドがデビューしました。その名はSuperorganism。その名前からしてなかなか刺激的なグループですが、まず日本においてその名前が注目されたのがボーカルがOrono Noguchiという日本人のティーンエイジャーの女の子という点でしょう。アメリカ在住の彼女が、インターネットを介して他のメンバーと知り合ったとか。ほかのメンバーもイギリス、韓国、オーストラリア、ニュージーランドと多種多様な出自を持つ8人組のグループだそうで、ネットを介して知り合い、ネットを介して楽曲制作をしているそうです。インターネットというとネガティブな側面も最近は目立っているのですが、普通なら知り合うことのないようなワールドワイドなメンバーが集い、あらたな音楽を生み出しているというのはインターネットのポジティブな側面だと言えるでしょう。

楽曲は様々な音をサンプリングして展開していくアバンギャルドさも感じるポップソングといった感じ。イメージとしてはGorillazに近い方向性を感じます。特にラップは入らず、バックにはバンドサウンドも流れていますが、音楽の構成的にはHIP HOP的な影響を強く感じるポップソングになっています。

そんなサウンドは全体的には軽快でポップ。決して難解な雰囲気や必要以上にアバンギャルドな方向性に走っている感じではなく、音の使い方などはどこかユーモアさを感じます。ジャンル的には一言「インディーポップ」という言い方もできそうですが、ギターロックともHIP HOPともポップとも違った、様々な音を取り入れた自由度を感じさせるポップソングになっていて、いい意味でのこだわりのなさが今風と言えるかもしれません。

そしてどうしても注目したくなるOronoのボーカルですが、正直言えば、日本人っぽさはほとんどありません。彼女の非常にダウナーで気だるい感じのボーカルもこのバンドの大きな特徴。ある意味、ティーンエイジャーらしい若々しさは感じませんが(笑)、どこか今の時代に対してつまらなさを感じているように感じている点は、逆にティーンエイジャーらしいと言えるかもしれません。

そんな彼女のボーカルによって歌われるメロディーラインは全体的に気だるさは感じるものの至ってポップでメロディアス。このポップなメロディーも本作のポピュラリティー、聴きやすさを作り出す大きな要素になっていました。ちなみに上でGorillazに近いと書いたのですが、サイケだけど非常にポップなメロディーを書いているという点でMGMTとの近似性を指摘する向きも強いようです。

ちなみにOronoのボーカルには日本人らしさを感じない、と言いましたが、サンプリングの中で明確に「日本」なものがあり、それが「Nai's March」。この曲、首都圏のJR線の電車が駅を出発する時のアナウンスと出発ベルがサンプリングされています。ただ、この出発ベルのサンプリングって、どこかほかの曲でも聴いたような記憶があり、今の海外にとってはあの通勤電車の出発の音が日本の象徴のひとつなのかな、なんて思ったりもしました。

ボーカルが日本人だから、という点で日本では注目されていますが、本国イギリスでもアルバムチャートで25位に入ってくるなどそこそこの売上を記録しており人気を確保している模様。前述のGorillazやMGMTと比べてしまうと物足りなさも感じるのですが、ただユーモラスなサウンドには彼女たちの個性も感じられ、これからが楽しみなバンドなのは間違いありません。ボーカルが日本人だからという内向きな理由ではなく、将来有望な新人バンドということで要注目だと思います。

評価:★★★★★

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2018年3月23日 (金)

20年かけて徐々に変化

Title:VESTIGE OF SCRATCHES
Musician:DIR EN GREY

1997年のインディーズデビューから昨年で20周年を迎えたDIR EN GREY。デビュー当初は「人気のヴィジュアル系バンド」という感じにすぎなかった彼らですが、活動の中で徐々にハードコア路線にシフト。それと同時に海外での活動も積極的となり、アルバム「UROBOROS」ではビルボードチャートにもランクインし、大きな話題となりました。

今回のアルバムはデビュー以来の彼らの活動を網羅的に収録したベストアルバム。2007年にもベストアルバムがリリースされていましたが、同作は事務所の意向でリリースされたアルバムでありメンバーも積極的に関わっていませんでしたが、今回はメンバーも積極的に関与。ファンからのリクエストを基にして、最終的にはメンバーにより選ばれた44曲が収録されています。

本作はインディーズのシングルでありながらベスト10入りを記録して話題となった「-I'll-」からスタートしています。いまではインディーズとメジャーの垣根が非常に低くなり、インディーズの作品でも普通にベスト10入りするようになりましたが、当時はインディーズでベスト10にランクインするようなケースは稀であり、その人気のほどが話題となりました。ちなみに同作がアルバムに収録されることはこのベスト盤が初だそうで、そういった点でもファンにとっては注目されています。

その後は基本的にリリース順にCD3枚に収録された今回のベスト盤。それによって彼らのバンドとしての歩みがよくわかる展開となっています。そしてそれによってまず気が付くのが活動が進むにつれて楽曲がどんどんへヴィーになっていくというその流れでした。

正直言えばデビュー当初の彼らについてはよくありがちなヴィジュアル系バンドというイメージ。哀愁感たっぷりのメロディーラインは耳を惹くものの、時としてナルシスティックにすら感じる耽美的な雰囲気は良くも悪くもヴィジュアル系バンドによくありがちなもので好き嫌いはわかれそうな印象を受けます。

その印象が徐々に変わるのがこのベスト盤収録曲でいえば2000年にリリースされたシングル曲「脈」あたり。耽美的なメロディーが主軸となっているもののバンドサウンドのへヴィネスさは増し、デス声も登場しています。

これ以降の初期の作品については、その後の彼らのサウンドを方向性を決定づけるハードコア路線にシフトしていくものの、「umbrella」などパンク的な嗜好も見られ、全体的には今に比べるとバンドサウンドの激しさは増していくものの、へヴィネスさでは今から振り返ると比較的軽めに感じます。もっとも、当時としてはかなり「重くなった」という印象をファンの方は受けていたのかもしれませんが。

Disc2の後半あたりでハードコアでとにかく楽曲を埋め尽くすヘヴィーなサウンドというスタイルはほぼ確立されたような感があります。その結果、比較的最近の曲を収録したDisc3に関しては終始、楽曲を埋め尽くすヘヴィーなサウンドにデス声が展開するという内容に。ある意味、バンドとして振り切れた感もあり、ひとつの完成形というイメージもあります。一方ユニークなのは所々に初期の彼らの楽曲から共通する哀愁感あふれる(時として歌謡曲的でもある)メロディーラインが入っている点。このメロディアスな部分が楽曲の中でひとつの「抜き」となり大きなインパクトとなっています。

こうやってベスト盤を聴くと、バンドは20年かけてここ最近、バンドとしてのひとつの完成形を作り上げてきたんだな、ということを感じます。このタイミングでのベスト盤というのは、デビュー20周年という意味もあるのでしょうが、バンドとして音楽的側面からしても今のタイミングが活動のひとつの区切りとしてちょうどよい、という意味もあったのかもしれません。

今後の彼らの音楽性がさらにどんな変化を見せていくのか、今の段階だとまだわからない部分は少なくありません。ただ、その活動を通じてそのスタイルを変えてきた彼らなだけにおそらく新たな方向性をこれから聴かせてくれるはず。その前のひとつの区切りとしても最適なベスト盤。あらためて彼らの魅力に触れることが出来るアルバムでした。

評価:★★★★★

DIR EN GREY 過去の作品
UROBOROS
DUM SPIRO SPERO
THE UNRAVELING
ARCHE


ほかに聴いたアルバム

AMBITIONS INTERNATIONAL VERSION/ONE OK ROCK

昨年リリースされたONE OK ROCKのアルバム「AMBITIONS」の海外盤。全編英語なのはもちろんのこと、同作のみに収録されている曲もあり、リリース時は国内盤と同時にチャートベスト10にランクインし大きな話題にもなりました。

個人的にこの「AMBITIONS」はいまひとつな凡作というイメージがあったのですが、海外盤に関してはそのイメージは一新。今の彼らの勢いを感じさせるような作品になっています。国内盤ではフックが足りないように感じたメロディーも英語がのるとなぜかインパクトも強く感じるあたり、基本的に同作が英語で歌われることを意識した作品になっていたんだなぁ、ということを感じさせます。もともと洋楽志向を強く感じたアルバムだったのですが、このアルバムを聴くと、むしろこちらの方がメインで、国内盤のほうが海外盤から派生した日本向けのアルバムだったのでは?とすら感じてしまいました。

評価:★★★★

ONE OK ROCK 過去の作品
Nicheシンドローム
残響リファレンス
人生×僕=

35xxxv
Ambitions

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2018年3月22日 (木)

キャリア25年目にして初の1位

今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

先週も芸歴20年という「ベテランシンガー」が1位を獲得しましたが今週は25年目というベテランミュージシャンがなんと初となる1位獲得です。

今週1位は斉藤和義「Toys Blood Music」。今年デビュー25年目を迎えるベテランシンガーの彼ですが、シングルアルバム通じて1位獲得は初。斉藤和義といえば1994年にシングル「歩いて帰ろう」がスマッシュヒットを記録。1997年にリリースしたアルバム「ジレンマ」で初のベスト10ヒットを記録しているもののその後は低迷してしまいます。しかし、2000年代後半からその人気が上昇。2008年の「やぁ 無情」はデビューから15年目にして初となるシングルでのベスト10ヒットを記録。そしてご存じ「やさしくなりたい」がドラマ主題歌として大ヒットを記録し、一躍人気シンガーの仲間入りをして今に至っています。

彼みたいに一度ある程度売れて注目された後に人気が低迷した場合、復活するというケースはあまりありません。「人気が低迷」といっても一定以上の固定ファン層は確保していたのですが、徐々に彼の歌の良さが浸透していった結果と言えるでしょう。得てしてデビュー直後に大々的にプロモーションを実施し、華々しくヒットというケースが多いポップスシーンの中で彼のような売れ方は純粋に歌の良さが広がって行ったという意味でうれしく感じます。

ただし、初動売上は1万9千枚で前作「風の果てまで」の2万4千枚(2位)よりダウン。アルバム初動売上は2作連続のダウンとなってしまい、右肩上がりだった人気傾向は一段落といった感じになっています。

2位もベテランバンド。BUCK-TICK「No.0」が初登場でランクインです。こちらはデビュー30周年を迎えるバンド。ベスト3入りはなんと1995年にリリースされた「Six/Nine」以来23年ぶり。こちらはどちらかというとずっと固定ファンに支えられた一定の人気を確保してきた結果といった感じでしょう。直近作はベスト盤「CATALOGUE 1987-2016」でこちらの9千枚(6位)よりアップ。オリジナルとしての前作「アトム 未来派No.9」の1万7千枚(5位)からは微増となっています。

3位は先週から変わらず「グレイテスト・ショーマン(サウンドトラック)」がキープ。売上枚数は2万1千枚から1万6千枚にダウンしていますが、まだまだ強さを感じます。

続いて4位以下の初登場曲です。まず4位にはスキマスイッチ「新空間アルゴニズム」がランクイン。カップリング曲集やコンセプトアルバム「re:Action」のリリースはあったもののオリジナルアルバムとしては3年4ヶ月ぶりと少々久々となる作品となっています。初動売上は1万6千枚。直近作の「re:Action」の1万枚(8位)よりアップ。ただし、オリジナルアルバムとしては前作の「スキマスイッチ」2万2千枚(6位)よりはダウンしています。

5位には人気動画サイトニコニコ動画で活動するゲーム実況、音楽制作ユニットM.S.S.Project「M.S.S.Phoenix」が初登場。初動売上1万4千枚は前作「M.S.S.Phantasia」の1万2千枚(4位)からアップしています。

8位には男性声優下野紘「Color of Life」がランクイン。6曲入りのミニアルバム。シングルはいままで3枚リリースしていますが、アルバムは初のリリースとなります。初動売上7千枚を記録。

9位にはソロミュージシャンとして高い人気を誇ったYUI(このバンドでの名義はyui)が結成したバンドFLOWER FLOWERの2枚目となるアルバム「スポットライト」がランクイン。yuiの出産があり、しばらく活動は停滞気味でしたが昨年からライブを中心に本格的に活動を再開。フルアルバムとしては3年半ぶり。ミニアルバム「色」以来でも約3年ぶりとなる新作となりました。初動売上7千枚は前作「色」の8千枚(10位)よりダウン。

最後10位には韓国の男性アイドルグループNCT「NCT 2018 Empathy」がランクイン。初動売上は6千枚。様々な派生ユニットがあるようですが、これがNCTとしては初のアルバムリリースとなります。

さてロングヒット組では先週10位までランクダウンしていた安室奈美恵のベスト盤「Finally」が今週12位までダウンし、ついにベスト10から陥落しました。とはいえ昨年の11月20日付チャート以来、ずっとベスト10をキープしてきたわけで、その人気のほどに驚かされます。

もう一方で驚きなのが今週、米津玄師「BOOTLEG」が先週の13位からランクアップし7位にランクイン。1月15日付チャート以来10週ぶりにベスト10返り咲きです。これは今週のHot100でも2位にランクインしたシングル「Lemon」のヒットに伴ってのベスト10返り咲き。新譜リリースにともない過去のアルバムの人気が再燃するというあたり、楽曲以上にミュージシャン自身に注目が集まる点で米津玄師の強い人気をうかがわせる結果となっています。

今週のアルバムチャートは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2018年3月21日 (水)

AKBが1位獲得

今週のHot 100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

今週はAKB本体がランクイン。1位を獲得しています。

今週1位はAKB48「ジャーバージャ」。CD売上・ダウンロード・ストリーミング数(以下「実売数」)1位、PCによるCD読取数4位、Twitterつぶやき数で5位を獲得した一方、ラジオオンエア数30位、You Tube再生回数90位と低迷しており、ファンの固定化という方向性が顕著に。オリコンでは初動売上111万5千枚で1位獲得。前作「11月のアンクレット」の109万5千枚(1位)からアップしています。

2位は米津玄師「Lemon」が先週の3位からワンランクアップ。今週はCDがリリースされたため、ランクが上昇。実売数、ラジオオンエア数及びTwitterつぶやき数で2位、PCによるCD読取数、You Tube再生回数で1位と、「CD売上」のみAKB48が突き抜けているのでこちらは2位となりましたが、オリコンでもデジタルシングルチャートで1位を獲得していますし、実質的にはこちらが1位なのでは?とも思ってしまいます。オリコンでは初動売上19万4千枚で2位獲得。前作「ピースサイン」の5万8千枚(2位)から大きくアップ。おそらく今、もっとも勢いのあるミュージシャンは彼でしょう。

3位は欅坂46「ガラスを割れ!」が先週1位から2ランクダウンながらもベスト3をキープしました。

続いて4位以下の初登場曲ですが、まずは4位にPerfume「無限未来」が先週の17位からCDリリースにあわせてベスト10入り。映画「ちはやふる -結び-」の主題歌。言うまでもなく中田ヤスタカ作詞作曲プロデュースによる作品。実売数4位、ラジオオンエア数及びPCによるCD読取数3位、Twitterつぶやき数15位、You Tube再生回数は23位を記録。最近のPerfumeの楽曲で聴かれたフューチャーベースというエレクトロの流行を大胆に取り入れた作品で、歌以上に中田ヤスタカのサウンドが前に押し出された作品になっています。オリコンでは初動売上4万4千枚で4位初登場・・・と4並びの結果に。前作「If you wanna」の4万9千枚(2位)からダウンしています。

6位初登場はスターダストプロモーション所属の男性アイドルグループM!LK「ボクラなりレボリューション」がランクイン。実売数5位、PCによるCD読取数47位、Twitterつぶやき数63位でそのほかのチャートはランク圏外と典型的な固定ファンのみが支持しているようなランク傾向に。オリコンでは初動3万8千枚で5位初登場。前作「テルネロファイター」の3万2千枚(3位)よりアップしています。

8位には女性ボーカルグループLittle Glee Monster「ギュッと」が先週の42位からCDリリースにあわせてランクアップしベスト10入り。実売数6位の一方、ラジオオンエア数14位、PCによるCD読取数25位、Twitterつぶやき数31位、You Tube再生回数97位にとどまりこの順位に。オリコンでは初動売上3万1千枚で6位初登場。前作「OVER」の1万8千枚(6位)からアップしています。

最後10位には韓国の男性アイドルグループBIGBANG「FLOWER ROAD」がランクイン。こちらは配信限定のシングル。実売数10位、Twitterつぶやき数8位、You Tube再生回数86位を記録しています。

今週のHot100は以上。アルバムチャートは明日!

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2018年3月20日 (火)

ハードロック志向がより強く

Title:DINOSAUR
Musician:B'z

今年、なんとデビュー30周年を迎えたB'z。その記念すべきアニバーサリーイヤーの最初にリリースされたのが約2年9ヶ月ぶりとなるニューアルバム。ここ最近、ソロ活動も目立ち、前々作から前作へのリリーススパンも3年8ヶ月と空いていましたが、逆に活動が断続的でも問題なく活動が続けられるという、ベテランらしい安定的な活動を続けているという見方が出来るかもしれません。

今回のアルバムはいきなり「Dinosaur」というアルバムタイトル曲が1曲目に来ているアルバム。いきなりベタベタなハードロックのサウンドからスタートし、ギターリフが楽曲全体に流れてくるナンバー。一方、ハードなギターサウンドと裏腹にポップでキャッチーなメロディーが流れてくるのがいかにもB'zらしいところ。まずはアルバムスタート直後に、いかにもB'zらしい楽曲が流れ、非常に満足感を覚えるスタートとなります。

この1曲目を含めて本作は全体的にハードロック志向が非常に強いアルバムとなっています。前作「EPIC DAY」は後半、B'zのイメージとはちょっと異なった作風に挑戦したアルバムになっていましたが、今回はB'zのルーツをあくまでも突き進んだようなアルバムに。先行シングルでもある「声明」「ルーフトップ」あたりはいかにもハードロックなギターリフが展開されるナンバーになっており、ほかの曲もハードロックな色合いの強い作品に仕上がっています。

実際、今回のタイトル「DINOSAUR」もロックという文脈で使われる場合、「Dinosaur Rock」は日本でいえば「産業ロック」にあたり、どちらかというとネガティブな文脈で使われる言葉。B'zもよく「産業ロック」という批判を受けることがあり、その批判は当たっている部分もあると思うのですが、ただ今回に関してはその批判を逆手に受けて、「産業ロック」の良さでもあるわかりやすいギターリフの典型的なハードロックサウンドをあえて前面に出してスケール感ある作風に仕上げていたと思います。

もちろん、ハードロック志向を強めたといっても基本的にポップで聴きやすいメロディーラインに仕上げているというのはいつもの彼らどおり。ただ今回の作品はポップという方向性とハードロックという方向性ではハードロックという方向性に比重を置いています。彼らは時々、ポップなアルバムの中でより本格志向のアルバムを出す傾向にあるのですが、今回のアルバムはその方向性に近いように感じました。

ただ一方で残念だったのは前作に引き続きなのですがメロディーラインに勢いがなく、キラーチューンともいえる作品がなかった点。あえて口悪く言ってしまうと、メロディーに勢いがない部分をゴリゴリのハードロックサウンドでごまかした、という見方も出来なくはないアルバムとなっており、その点は残念に感じます。悪い意味でのベテランらしい勢いのなさも感じてしまいました。

そんな訳でB'zのハードロックな路線をより強く感じられたアルバム。聴いていて、ああ、B'zを聴いているな、という満足感を強く覚える内容になっていた反面、メロディー面のインパクトの薄さに物足りなさも感じる作品になっていました。

評価:★★★★

B'z 過去の作品
ACTION
B'z The Best "ULTRA Pleasure"
B'z The Best "ULTRA Treasure"
MAGIC
C'mon
B'z-EP
B'z The Best XXV 1988-1998
B'z The Best XXV 1999-2012

EPIC DAY


ほかに聴いたアルバム

YAK/The Wisely Brothers

最近、ガールズバンドのデビューが相次いでいますが、彼女たちもそんな今、注目されているガールズバンドの一組。ミュージシャン名からカントリー色、アコースティック色が強いミュージシャンかな、と勝手に想像していたのですが、楽曲的にはポップでメロディアスながらもエレキギターを中心としてバンドサウンドがきっちりと鳴っているギターロック。Great3の片寄明人プロデュースだそうですが、暖かい雰囲気のギターポップチューンがメインとなっています。ちなみにバンド名はThe Isley Brothersに由来するそうですが、彼らのようなファンキーさは皆無なのでご注意を。

評価:★★★★

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2018年3月19日 (月)

バンドとして一区切りのベスト盤

Title:赤飯
Musician:赤い公園

最近、続々とデビューしてくるガールズバンド勢の中で、独特の音楽性が高い評価を受け、デビュー以来、着実に人気を獲得してきた女性4人組ガールズバンド赤い公園。ただ昨年、非常に残念なことにボーカルの佐藤千明が脱退を発表。いままでの4人での活動にひとまず幕を下ろした彼女たちがひとつの区切りとして発表したのがこのベストアルバムです。

赤い公園の音楽的な大きな魅力といえば、プログレ、ポストロック、ギターロック、歌謡曲、J-POPなどの要素を楽曲に取り込みつつ、楽曲全体としては聴きやすくインパクトあるポップソングにまとめあげているという点でしょう。またその雑多な音楽性のため、基本的にポップなギターロックという共通軸はあるものの、楽曲によってその雰囲気はかなり異なってきます。

今回のベストアルバムも全22曲入りで彼女たちの代表曲が収録されていますが、ベスト盤でよくありがちなリリース順という形ではなく、アルバム全体としてひとつの流れを持っているように構成されています。まず1曲目「NOW ON AIR」は音楽の楽しさを歌った爽快なギターポップチューン。続く「KOIKI」もノイジーなギターリフでロック的な要素を聴かせつつ、メロディーはあくまでもインパクトあるメロディアスというポップな楽曲が続きます。

そんな感じで前半なポップなメロディーがインパクトのある楽曲が続きます。そんな中でも「サイダー」のようなノイジーなサウンドが楽曲全体を流れるような曲だったり、「黄色い花」のようなファンキーなギターやストリングスでソウル的な要素を感じる曲もあったりと、彼女たちの音楽性の幅の広さを感じます。

中盤は一転、「風が知ってる」のようなダークな雰囲気のサイケ調のナンバーがあらわれたり、「闇夜に提灯」のようなポストパンク的な楽曲が登場したり、「のぞき穴」のようにサイケやハードコア的な要素も感じられる曲が登場してきたりと、彼女たちの「コア」な部分が顔をのぞかせるような楽曲の展開となっています。

さらにその後は歌詞もユニークな「西東京」「絶対的な関係」のようなへヴィーなサウンドに和風なメロディーラインがインパクトある楽曲が続いたかと思えば、「カメレオン」はホーンセッションでリズムを刻む軽快な楽曲も顔を覗かせます。

そして終盤は「ランドリー」「透明」のようなミディアムチューンの楽曲に。「デイドリーム」のようなタイトル通りのドリーミーな作風も耳を惹きます。ラスト前の「東京」はまたポップなメロがインパクトを持つギターポップチューンを聴かせ、最後の「journey」はダイナミックなバンドサウンドでスケール感ある楽曲。現在のメンバーでのラストシングルとなったこの曲は、メンバーそれぞれの新たな旅立ちに対するエールを感じさせる曲で締めくくりとなりました。

そんな感じで全22曲、赤い公園というバンドの持つ様々な音楽性と魅力が凝縮されたベスト盤になっていました。ともすればバラバラになりがちな幅広いタイプの音楽を奏でている彼女たちですが、楽曲を貫くポップなメロディーラインと佐藤千明の透明性あるボーカルのため、赤い公園らしさは終始一貫しています。基本的に赤い公園の音楽的キーパーソンは津野米咲のため、今後も音楽的な方向性は大きくは変わらないのでしょうが、ただ佐藤千明のボーカルも彼女たちの魅力のひとつだっただけに彼女の脱退というのは非常に残念。ただ、今後もそれぞれの活動を続ける彼女たち。赤い公園もソロとなった佐藤千明も、これからの活動に期待したいところです。

評価:★★★★★

赤い公園 過去の作品
透明なのか黒なのか
ランドリーで漂白を
公園デビュー
猛烈リトミック
純情ランドセル
熱唱サマー


ほかに聴いたアルバム

相聞/中島みゆき

中島みゆきの2年ぶり42枚目となるフルアルバム。基本的にはいつもの中島みゆき節といった感じで、哀愁感たっぷりのメロディーラインにダイナミックなアレンジで力強く歌い上げるスタイルとよくも悪くも大いなるマンネリといったスタイル。女性の心を低気圧に例えば「移動性低気圧」や可愛らしくも悲しい歌詞の「ねこちぐら」などインパクトある聴かせる歌詞をきちんと織り込んでくるあたりは、見事の一言。ファンにとっては安心して楽しめるアルバムに仕上がっています。

評価:★★★★

中島みゆき 過去の作品
DRAMA!
真夜中の動物園
荒野より
常夜灯
十二単~Singles4~
問題集
組曲(Suite)

中島みゆき・21世紀ベストセレクション『前途』
中島みゆきConcert「一会」(いちえ)2015~2016-LIVE SELECTION-

STEREO/大橋トリオ

デビュー以来、コンスタントに作品をリリースし続ける大橋トリオの約11ヶ月ぶりとなるニューアルバム。今回もソウルやジャズの要素を取り込んだポップソングがあったかと思えば、アコギやアコギでしんみりと聴かせるようなナンバーやダンサナブルなポップチューン、さらにはラップを取り入れた曲もあったりと音楽性豊か。そんな中でもあくまでもメロディーを聴かせる大人のポップに終始しているのも大きな魅力となっています。今回もいい意味で安定感のある傑作アルバムでした。

評価:★★★★★

大橋トリオ 過去の作品
A BIRD
I Got Rhythm?
NEWOLD
FACEBOOKII
L
R

FAKE BOOK III
White
plugged
MAGIC
大橋トリオ
PARODY
10(TEN)
Blue

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2018年3月18日 (日)

早くも新作!

Title:Tomorrow's Shore
Musician:RIDE

いわゆるシューゲイザーバンドの代表格として90年代初頭に活躍し、シューゲイザー系バンドの代表格として日本でも高い支持を誇るバンドRIDE。1996年にバンドとしては解散したものの2014年に再結成。昨年6月には実に21年ぶりとなるニューアルバムを発表して話題となりました。

それから約8か月。早くもRIDEの新作がリリースされました。ただリリース形態がユニークでLP盤と配信のみでのリリース。最近、時々見かけるケースではありますが要するにCDだけリリースなしというスタイルが、いかにも今の時代らしいといった印象を受けます。

さてそんな新作は全4曲入りのミニアルバム。1曲目「Pulsar」は最初、スペーシーなエレクトロサウンドでスタート。最初はRIDEのイメージとは異なる・・・と思いつつ聴きすすめていくと40秒あたりで強いドラムの音が入って、楽曲を埋め尽くすノイジーなギターの音とポップなメロディーがスタートします。まさにRIDEらしいシューゲイザーポップ。破壊的なノイジーギターの後ろでイントロからなり続けているスペーシーなエレクトロサウンドがまた美しく、楽曲に大きなインパクトを与えています。

一方、続く「Keep It Surreal」はドラムのリズムも軽快なメロディアスでポップなナンバー。ハイトーンボイスのボーカルに爽快さを感じるサウンドはどこか80年代的。ところどころにノイジーなギターが挿入されてシューゲイザーらしさを感じるのですが、1曲目とは異なったポップチューンを聴かせてくれます。

3曲目「Cold Water People」は憂を帯びたメロディーが印象に残る楽曲。シンセも大胆に導入しており、途中で聴かせるシンセのアルペジオも非常に物悲しげで印象に残ります。途中でアコギの音色も取り入れているのですが、こちらも哀愁感たっぷり。最後まで聴かせるナンバーになっています。

そしてラスト「Catch You Dreaming」はタイトル通りエレクトロサウンドを取り入れてドリーミーな雰囲気に仕上げているのが印象的なナンバー。ミディアムテンポの打ち込みの力強いビートもインパクトに。エレクトロサウンドは決して「今風」ではないものの、1曲目「Pulsar」とは明らかに異なる、今を意識したような方向性を感じました。

そんな訳で全4曲。収録曲は少ないものの4曲が4曲とも違った顔を見せる楽曲になっています。シューゲイザーという建付けでは典型的なのは1曲目のみで、ノイジーなギターを聴かせてくれるもの2曲目まで。ただ、分厚いサウンドでドリーミーな雰囲気を醸し出すというシューゲイザーの特徴を考えれば、4曲とも同じベクトルを持っているともいえるかもしれません。

復帰後初のアルバム「Weather Diaries」が、ある意味復帰前のイメージに沿った、ファンにとっては安心できるアルバムに仕上がっていましたが、そういう意味では今回の作品は次の一歩を進めようとする作品と言えるかもしれません。ともかく、復帰をしたばかりのベテランバンドですが、決して「懐メロ」にとどまることなく、今後も新たな音楽性を模索しようとする現役感を覚えることが出来るアルバムでした。これからの活躍にも期待できそうです。

評価:★★★★★

RIDE 過去の作品
OX4 -the best of RIDE
Weather Diaries

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2018年3月17日 (土)

独特の酩酊感がたまらない

Title:Drank
Musician:Thundercat

昨年リリースされるや大きな話題となり、各種メディアの年間ベストアルバムに選ばれるなど大きな評価を得たThundercatことアメリカのベーシスト、Stephen Brunerによるアルバム「Drunk」。個人的にも私的年間ベストアルバムの1位に選ぶなど、昨年はまりまくったアルバムでした。

本作はその名盤「Drunk」をチョップド&スクリュードという手法でリミックスしたアルバム。このチョップド&スクリュードという手法は90年代にアメリカ南部のHIP HOPシーンでDJ Screwにより生み出された手法。極端に曲のピッチを落とした上で、半拍ずらしてミックスするというリミックス方法だそうです。

ちなみにコデインと呼ばれる薬物が含まれる咳止めシロップとアルコール類などを同時摂取することによって生み出される強い酩酊感と抜群に相性がよいみたいで、この紫色の顔というインパクトあふれるジャケット写真もその酩酊感を表現したものだそうです。ちなみにこの手法を発明したDJ Screwはコデインの過剰摂取により亡くなったそうですので、くれぐれも真似することのなきよう。

さて、そんな手法によりアルバム全編がリミックスされた本作ですが、まずアルバムの雰囲気としてガラッと変わった作品に仕上がっています。上にも書いた通り、このチョップド&スクリュードという手法はピッチを落とし半拍ずらすというリミックスを行っていますが、そのためアルバム全体として非常にダウナーで、ある意味眩暈がするような雰囲気になっています。

例えばイントロを含めて事実上の1曲目となる「Drink Cat」のリミックス。原曲では爽やかさもあるメロディアスな曲調なのですが、ピッチを極端に落としたリミックスでは、どこか不気味な雰囲気を漂わせつつ、ダウナーなグルーヴを聴かせるアレンジになっています。

また例えば「Inferno」などはピッチを落とすことによって原曲でも流れているシンセのサウンドなどのサイケさがより増して、全く新たな雰囲気を生み出しています。この曲はバスドラムとスネアドラムの音が強調されてリズムを刻んでいるのですが、リミックスではこのドラムの音が半拍遅れることによって、よりドラムの音がインパクトを増し、また絶妙に歪んだリズム感を生み出しています。

「Uh Uh」などでも原曲ではハイテンポでメロディーを刻んでいたベースとピアノの音をピッチを落として拍をずらすことにより、フリーキーな雰囲気をより強調した作品に仕上げていました。

もっとも原曲から全く別物か、と言われると、メロウなサウンドはやはり楽曲のベースにしっかり残っていますし、「Walk On By」のようにメロウな歌を聴かせる曲についてはテンポはかなり異なるものの、メロディーラインの良さはしっかりと曲の魅力として残っています。そういう意味では原曲で感じたアルバムの良さは、きちんとこのリミックス盤でも生かされていました。

アルバムをそのままリミックスといっても曲順は大きく変えているほか、楽曲それぞれの曲間をなくし、そのままつながってアルバム全体で1曲のようなつくりに仕上げています。そういうこともあって、今回のリミックスによってまたアルバム全体の流れが変わり、酩酊感を強調する雰囲気によりマッチした曲の流れになっているように感じました。

元のアルバムも文句なしの傑作だったのですが、その良さを引き継ぎつつリミックスを行った本作は、まずその酩酊感がたまりません。ドラッグを摂取しながら聴くと・・・といううたい文句ですが、そんな違法行為をしなくてもこれだけで十分心地よさを味わえる作品。リミックス盤というとどうしても原曲の方がよかった・・・というケースも多いのですが、このアルバムに関しては「Drunk」といい意味で別物として楽しめる傑作アルバムだったと思います。この酩酊感、是非本作で味わってみてください。

評価:★★★★★

Thundercat 過去の作品
Drunk

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2018年3月16日 (金)

タイトルに偽りなし

Title:キラーチューンしかねえよ
Musician:ゴールデンボンバー

ご存じそのユーモラスなパフォーマンスが大きな話題を呼んだ「エアーバンド」ゴールデンボンバー。正直言ってしまうと、一時期に比べると人気に関しては一段落した感もあります。約2年半ぶりとなるニューアルバムである本作も最高位2位を記録したものの初動売上は前作から大きくダウンしてしまっています。

ただ、ユーモラスなパフォーマンスに関しては話題にのぼることが多く、例えばLINE MUSICスタンプで曲が流れる限度の8秒だけの長さの曲「出逢って8秒」をLINE MUSICスタンプで発表したかと思えば、8秒限定ライブというライブを実施したり、本作でも収録されている「#CDが売れないこんな世の中じゃ」でミュージックステーションに出演した時は、同曲の無料ダウンロード先が記載されたQRコードをテレビに映したりと、そのユニークなパフォーマンスはむしろ勢いを増しているように思います。

今回のアルバムに関して言っても、楽曲的な勢いはむしろ以前よりも増しているようにすら感じます。彼らの音楽のスタイルは歌謡曲風の平凡なJ-POPという印象なのですが、今回のアルバムでは、例えば「燃やして!マイゴッド」ではラテンの雰囲気を強くして正統派歌謡曲の方向性をより深化させたり、一方では「スイートマイルーム」では90年代J-POP路線をより押し進めて、むしろJ-POPのパロディー的な感じなまでに成立させたりしています。

要するに平平凡凡な歌謡曲、J-POPという楽曲をむしろ逆手にとって、歌謡曲、J-POPらしさをさらに強調した結果、王道の歌謡曲やJ-POPのパロディー的な楽曲にまで仕上げていました。また一方、「#CDが売れないこんな世の中じゃ」や「お前を-KOROSU-」はハードロックテイストの強い作品になっていますが、こちらも本格的なハードロックというよりも、ハードロックの王道を模倣したような作品に。こちらも彼ららしいユーモアテイストを感じました。

また一方、歌詞に関しても今まで以上にユーモアテイストを強く感じる曲が多く、ユーモラスさと真面目さがちょうどよいバランスに成り立っていました。例えば「やさしくしてね」は、すぐ傷ついてしまう今時の若者を皮肉ったようなユニークな歌詞に(ただ、心が弱っている時に聴くと、グッと来てしまいます)。先行シングルになっている「水商売をやめてくれないか」も水商売をやっている彼女を持つ彼氏の悲哀を歌ったユニークなテーマ。「スイートマイルーム」も爽快さを感じる別れのナンバーかと思いきや、叙述トリック的なオチが秀逸ですし、「誕生日でも結婚式でも使える歌」もタイトル通り、あえて具体的な状況設定をしないで「おめでとう」だけ歌われる歌詞が非常にユニークになっています。

メロディーの側面でも歌詞の側面でも、むしろいままでの楽曲がさらに成長を遂げており、ミュージシャンとしての大きな進歩を感じさせるアルバム。売上的には落ち着いてしまいましたがミュージシャンとしてはむしろ今、最も脂がのっているのではないか、とすら感じてしまいます。

間違いなくバンドとしての最高傑作。これだけの作品をリリースできるのなら、売上的にもまた回復してくるのでは?パフォーマンスもまだまだユニークなものを見せてくれそう。いろいろと、まだまだ今後が楽しみなグループです。

評価:★★★★★

ゴールデンボンバー 過去の作品
ゴールデン・アワー~下半期ベスト2010~
ゴールデン・アルバム
NO MUSIC NO WEAPON


ほかに聴いたアルバム

Sugar/浅井健一&THE INTERCHANGE KILLS

浅井健一&THE INTERCHANGE KILLS名義としては約2年半ぶりとなる新譜。さすがに以前のような異常なほどの多作を繰り返した結果、凡作を乱発する事態は落ち着き、本作も冒頭の「Vinegar」「Beautiful Death」が疾走感あるかなりカッコいいロックチューンに仕上がっています。ただ序盤の期待とは裏腹に、その後は結局いつも通り、くすんだ世界観の浅井健一らしい良くも悪くも大いなるマンネリ的な楽曲が並んでいるアルバムに。ただ、ここ最近のアルバムの中では一番出来はよく、バンドとしてのまとまりも感じさせるアルバムに仕上がっていました。

評価:★★★★

浅井健一 過去の作品
Sphinx Rose
PIL
Nancy
METRO(浅井健一&THE INTERCHANGE KILLS)

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2018年3月15日 (木)

アルバムでは初の1位獲得

今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

今週1位を獲得したのは30歳にして芸歴20年という「ベテランシンガー」のベスト盤。

今週1位を獲得したのは三浦大知「BEST」。1997年にアイドルグループFolderのメンバーとしてデビューした彼は、まだ30歳という若さながらもデビューから20年を超えるベテランシンガー。Folderでのデビュー当初から歌の上手さには定評のあった彼ですが、ここ最近、徐々にその人気を確立。今回、初となるベスト盤でアルバムとしては初のチャート1位を獲得しました。初動売上は6万7千枚。直近のオリジナルアルバム「HIT」の2万1千枚(4位)から大きく売上を伸ばしており、固定ファン以外からの支持の高さもうかがわせます。

2位初登場は「あんさんぶるスターズ! アルバムシリーズ 流星隊」。女性向けアイドル育成ゲーム「あんさんぶるスターズ!」キャラクターによるアルバムで、同ゲームのキャラソンがアルバムでリリースされるのはこれが初だそうです。初動売上は2万6千枚。

3位は先週1位を獲得した「グレイテスト・ショーマン(サウンドトラック)」が2ランクダウンながらベスト3をキープ。売上枚数は2万1千枚と先週の2万6千枚からダウンしているものの、まだまだ高い人気を維持しています。

続いて4位以下の初登場盤です。4位初登場はソンジェfrom超新星「ユメノカイカ~夢が夢で終わらないように~」。ミュージシャン名とおり、韓国のアイドルグループ超新星のメンバーによるソロ作。初動売上は1万6千枚。直近作は同じ超新星のメンバーと組んだユナク&ソンジェ from 超新星としてリリースされた「2Re:M」で、同作の初動1万8千枚(4位)からはダウン。ソンジェ単独名義だと前作「It's Time」の1万8千枚(3位)から、こちらもダウンしています。

5位はロックバンドKEYTALK「Rainbow」がランクイン。初動売上1万2千枚は前作「PARADISE」の1万4千枚(2位)からダウンしています。

6位はこちらは男性向けアイドル育成ゲーム「アイドルマスター ミリオンライブ!」からのキャラクターソング「THE IDOLM@STER MILLION LIVE! M@STER SPARKLE 07」がランクイン。初動売上9千枚は同シリーズの前作「THE IDOLM@STER MILLION LIVE! M@STER SPARKLE 06」(7位)から横バイ。

さて、今週のベスト10でビックリしたのが7位にランクインしたNulbarich「H.O.T」でしょう。ジャズやソウルの要素を取り入れたポップソングを聴かせてくれるバンドで、イメージ的には昨今話題のSuchmosに近いタイプのグループと言えるでしょう。今回が初のベスト10ヒット。初動売上9千枚は前作「Who We Are」の5千枚(14位)からアップ。正直なところ、ここまで人気のあるバンドとは思っていませんでした。この手の音楽は最近、ちょっとしたブームになっていますね。

9位にはイギリスのへヴィーメタルバンドJudas Priest「Firepower」がランクインです。初動売上は8千枚。前作「Redeemer of Souls」は発売日の関係でリリース2週目に売上6千枚で15位にランクイン。ベスト10ヒットは2005年にリリースした「Angel of Retribution」以来3作ぶりとなります。

今週の初登場は以上。ロングヒット組では安室奈美恵「Finally」が今週、ついに10位までダウン。来週はついにベスト10から陥落か?

それでは、次は来週水曜日のHot100で!

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2018年3月14日 (水)

AKB系 vs ジャニーズ系

今週のHot 100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

今週はAKB系とジャニーズ系が並びました。

まず1位には欅坂46「カラスを割れ!」が先週の18位からCDリリースにあわせてランクアップし1位を獲得。いかにも手垢のついた「反骨ロック」というスタイルで、秋元康の狙いがミエミエなのですが、ロッキンオンジャパンとかが大きく取り上げちゃったのを見ると普段、偉そうなことを言っていてもロック系メディアを騙すのって簡単なんだな、と思っちゃいます。CD販売・ダウンロード・ストリーミング数(以下「実売数」)、PCによるCD読取数及びTwitterつぶやき数1位、You Tube再生回数3位、一方でラジオオンエア数は17位に留まっています。オリコンでは初動売上83万3千枚で1位獲得。前作「風に吹かれても」の64万2千枚(1位)からアップしています。

2位初登場はジャニーズ系、ジャニーズWEST「プリンシパルの君へ」が初登場でランクイン。メンバーである小瀧望主演映画「プリンシパル~恋する私はヒロインですか?~」オープニングテーマ。実売数2位、PCによるCD読取数3位、Twitterつぶやき数9位を記録した一方、ラジオオンエア数は45位に留まりました。オリコンでは初動14万8千枚で2位初登場。前作「僕ら今日も生きている」の12万7千枚(2位)からアップしています。

3位は先週2位の米津玄師「Lemon」がワンランクダウンながらもベスト3をキープ。実売数3位、ラジオオンエア数5位、Twitterつぶやき数3位といずれも上位にランクインしているほか、You Tube再生回数では先週から引き続き1位を獲得しています。来週はついにCDもリリースされるだけにさらに上位へのランクインも期待できそうです。

続いて4位以下の初登場曲です。6位初登場はA3ders!「春夏秋冬☆Blooming!」。イケメン役者養成ゲーム「A3!」の第2部主題歌だそうで、登場キャラクターによるキャラソン。実売数6位、PCによるCD読取数7位のほかはランク圏外というのは一部の固定ファンのみに支持を得ている曲にありがちな傾向。ちなみにオリコンでは初動売上3万6千枚で3位初登場。オリコンシングルチャートでは初のランクイン。ちなみに前作「MANKAI☆開花宣言」はアルバム扱いで、初動1万4千枚(5位)を記録しており、こちらよりは大きくアップしています。

8位にはアイドルグループBiS「WHOLE LOTTA LOVE」が初登場でランクイン。実売数7位、ラジオオンエア数29位、PCによるCD読取数72位。サウンドはへヴィーなギターリフのロック風なのですが、メインとなるメロディーラインは良くも悪くも典型的なアイドル歌謡曲。オリコンでは初動売上2万6千枚で4位初登場。前作「I can't say NO!!!!!!!」の1万4千枚(5位)よりアップ。

9位にはUNISON SQUARE GARDEN「春が来てぼくら」が初登場でランクイン。実売数は13位、ラジオオンエア数11位、Twitterつぶやき数54位、You Tube再生回数91位とふるいませんでしたが、PCによるCD読取数は8位とベスト10入り。総合順位でもベスト10入りを果たしています。NHKアニメ「3月のライオン」オープニングテーマ。タイトル通り、これからの季節にピッタリの非常に爽快さを感じるポップチューンに仕上がっています。オリコンでは初動1万8千枚で5位初登場。前作「fake town baby」の2万5千枚(6位)よりダウン。

今週の初登場曲は以上ですが、今週は1曲、1年に1回、急激にランクアップしてくる曲がベスト10にランクインしています。それが10位にランクインしたレミオロメン「3月9日」。そう、今週、ちょうどチャート対象週に3月9日が含まれていたんですね。昨年の3月20日付チャート以来、ちょうど1年ぶりのベスト10返り咲き。実売数15位、ラジオオンエア数13位、Twitterつぶやき数5位を記録しています。ちなみにオリコンではシングルチャートではベスト50圏外なのですがデジタルシングルチャートでは10位にランクイン。最近、この手の純粋に「曲」が支持されているような場合って、CDはほとんど売れずに、配信のみ売れるケースが目立ちますね。

今週のHot100は以上。明日はアルバムチャート。

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2018年3月13日 (火)

サラリーマンの悲哀も感じる

Title:おつかれさまです
Musician:ミドリカワ書房

いかにも「おつかれさまです」という言葉がピッタリきそうな、ちょっとくたびれだサラリーマン風のスーツ姿のジャケ写が印象的なミドリカワ書房のニューアルバム。ミドリカワ書房といえば、毎回、かなり奇抜なテーマ設定をした良くも悪くもインパクトある歌詞が大きな特徴でした。そんな中、今回のアルバムは「おつかれさまです」というタイトルにも沿ったような、しがないサラリーマンの哀愁感が漂ったような歌詞がメイン。公式サイトの本作の紹介記事には、彼自身、音楽のみでは食っていけず、長らくアルバイトをやっているという事実が記載されていますが、まさにそんな彼のサラリーマン(というかバイト)生活が反映されたようなアルバムと言えるかもしれません。

そのため今回のアルバムでは前作まで感じられた奇抜なテーマ設定の楽曲はほとんどありません。「笑ってあなたにグッド・バイ」のような離婚調停中の夫婦を歌った曲など、奇抜なテーマ設定の曲もありますが、アダルトビデオについて歌った「のれんの向こう」みたいにユニークな設定ながらも男性として共感できるようなテーマ設定となっているなど、ほとんど曲はリスナーにとっても共感できるようなテーマ性を持っています。

いままでのミドリカワ書房の曲はこの奇抜な設定が大きなインパクトになっていた一方、個人的にミドリカワ書房にほとんど関係ないようなテーマ性に共感ができず、「なぜそんなテーマの歌を歌う必要があるのか」という点で強い疑問を持っていました。

しかし今回のアルバムに関しては通勤途中に出会う女性の片想いを歌った「恋の都営新宿線」や文字通り、会社からの帰り道を歌った「帰路」など、歌詞の途中に彼らしい毒の要素は感じられるものの、基本的には彼の日常に即したようなテーマ性のもった歌詞がメイン。そのためリスナー側にとっても聴いていておかしな疑問を感じることなく、共感できるような内容になっていました。

もっともその結果、歌詞のインパクトという意味では薄れてしまったような印象も受けます。アルバム全体としてもいままでのアルバムに比べると薄味になってしまったようにも感じます。ただ個人的には、いままでのようにインパクトだけが先走ったような奇抜なテーマ設定の曲よりも、今回の作品にように、多少インパクトは薄れても、彼の日常に沿ったような曲のほうが共感が出来、アルバムも楽しめました。今後もこの方向性でより歌詞にインパクトを持たせられるよう目指した方が楽曲がおもしろくなるのではないでしょうか。

楽曲的にはアコギメインのフォーキーな曲があったり、ピアノ弾き語りの「観覧車」のような曲があったり、「のれんの向こう」のようなギターロックの曲があたりとバラエティー豊かながらも基本的には歌と歌詞を聴かせるシンプルなアレンジがメイン。ただ今回ユニークだったのが「もつやき 玄ちゃん」で、歌詞もメロディーもアレンジも、そのまんま「北酒場」。演歌調のメロディーが非常にユニークな楽曲になっていました。

インパクトという面では少々薄味に感じられるものの、方向性としてはおもしろく感じられた今回のアルバム。メジャーからインディーズに戻ってしまい、一時期に比べると話題になることが減ってしまった感もありますが、今回のアルバムは今後に期待できそうな内容でした。次回作をさらに期待したいところです。

評価:★★★★

ミドリカワ書房 過去の作品
愛にのぼせろ


ほかに聴いたアルバム

Fin/10-FEET

オリジナルアルバムとしては5年ぶりというから久々となる10-FEETの新作。ただこの間も自ら主宰する「京都大作戦」をはじめ数多くのフェス、ライブ活動によりむしろ人気はうなぎのぼり。またバンドとしての勢いも感じます。実際、このアルバムも彼らの「本籍」であるメロコアを主軸に、スカ、レゲエ、ポップ、ハードコア、オルタナ系ギターロックなどの要素を幅広く取り入れ、またユーモラスある歌詞も相まって、いままでのアルバム以上に幅のある楽曲で勢いを感じさせます。個人的にはいままで聴いた彼らのアルバムの中で一番の傑作だったかも。いまなお続くバンドとしての勢いを感じさせるアルバムでした。

評価:★★★★★

10-FEET 過去の作品
VANDALIZE
Life is sweet
thread
Re:6-feat
6-feat 2

10-FEET入り口の10曲

mothers/My Hair is Bad

3枚目となるMy Hair is Badのフルアルバム。アルバムチャートでは最高位2位を記録するなど、人気上昇中のバンドです。基本的にはよくありがちなギターロックバンドで、サウンド的には面白味を感じないのですが、恋人同士の心象風景を上手く切り取った具体性ある歌詞が大きな魅力。今回のアルバムに関しても、サウンドやメロディーよりもまず歌詞に耳がいきます。歌詞がいいバンドはいい意味で安定性があり、安心してアルバムを楽しむことが出来ますね。ついつい聴き入ってしまう良作でした。

評価:★★★★

My Hair is Bad 過去の作品
woman's

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2018年3月12日 (月)

驚異的なヒットを続けるベスト盤

Title:Finally
Musician:安室奈美恵

昨年9月、1年後の芸能界引退を突然公表して世間に衝撃を与えた安室奈美恵。今年からスタートした最後のドームツアーもチケットへの応募が殺到いました。そして昨年から今年にかけて大ヒットを続けているのがこの彼女の最後の集大成ともいえるベストアルバム。セールスはトータル200万枚を突破。発売から4ヶ月が経過した今でもいまだにチャート上位を走り続けています。

このアルバムでは安室奈美恵がかつて所属していたSUPER MONKEY'Sのデビューシングル「ミスターU.S.A.」からスタート。もちろん小室哲哉プロデュースにより大ヒットを記録した「Body Feels EXIT」「Chase the Chance」「CAN YOU CELEBRATE?」も収録。昨年の紅白でも歌われた「Hero」にCDでのラストシングルとなった「Just You and I」、配信限定のラストシングルとなった「Hope」まで収録されています。

今回のベスト盤でちょっと意外だったのが小室哲哉プロデュース時代の曲はともかくとしてSUPER MONKEY'S時代の曲も収録されていたという点。正直言って、インパクト満載の小室哲哉時代の曲や本格的なR&B志向にシフトした小室プロデュース以降の曲に比べると平凡なユーロビートのナンバーで音楽的なおもしろみはあまりありません。実力派シンガーというイメージがついた今の彼女と比べるとアイドル志向も強く、ともすれば「黒歴史」化してしまう可能性もあるSUPER MONKEY'S時代の曲も、デビューシングルを含めきちんと収録し、安直に過去を否定しないという態度は立派なものを感じます。

さらに今回、そのデビューシングル「ミスターU.S.A.」から2014年にリリースされた「TSUKI」まで、再レコーディングを実施されています。リアルタイムでの録音音源というのも、それはそれで彼女の歴史を感じられ、あらためてベスト盤として聴きたかったな、という気持ちもあるのですが、あえて今回、過去の曲を録りなおすことには彼女のこだわりも感じさせます。もっとも音源的には過去の曲のアレンジを大幅に変えたものではないため、慣れ親しんだあの曲の雰囲気が大きく変わってしまうのではないか、という心配は不要です。

さて今回のベスト盤の楽曲を聴いてみると、ベスト盤を聴く前からわかりきったことではあったのですが、彼女はそのキャリアにおいて音楽性を大きく2回変えています。まず最初はデビュー直後。上にも書いた通り、SUPERM MONKEY'S時代の楽曲はアイドル色も強いユーロビートナンバーでした。そして大ブレイクした小室哲哉プロデュース時代。この頃の彼女の曲は今の彼女につながるR&B路線を取り入れた曲もあるものの、基本的にサビに強いインパクトを持ってくる、良くも悪くもJ-POP的な楽曲がメインとなっています。そして小室哲哉のプロデュースを離れて現在までは、より本格的志向を強めたEDMやR&Bなど、洋楽テイストが強くなった曲を歌っています。

そして彼女がすごいのは、このそれぞれの時期においてブレイクを果たしているという点です。まず最初は「TRY ME~私を信じて~」で大ブレイクを果たしていますし、その後の小室プロデュース時代の人気はご存じの通り。小室哲哉のプロデュースを離れてからは若干人気が下火になっていたのですが、徐々に人気が再燃。2008年にリリースした「60s 70s 80s」でチャート1位に輝き、それ以降は一定の人気を保ち続けました。

彼女みたいな自ら作詞作曲をするタイプではない「シンガー」は楽曲の雰囲気を変えるとどうしても人気は低迷しがち。実際、小室プロデュースで人気を確保したシンガーでその後、人気を持続させたシンガーは彼女以外ほとんどいません。そんな中、スタイルを2度も変えながらも人気を持続させ続けた彼女には、ある意味驚きを感じるとともに、シンガーとしての確固たる実力を感じざるを得ません。

本作では3枚組のアルバムの中で、リリース順に楽曲が並んでいるのですが、やはり一番秀逸だったのはDisc2。小室哲哉プロデュースを離れて本格派志向にシフトした頃の作品なのですが、楽曲の出来のよさもさることながら、なによりも時代に対して攻めていこうという強い姿勢を感じます。特にチャート1位を獲得した「60s 70s 80s」に収録されていた「NEW LOOK」「ROCK STEADY」「WHAT A FEELING」は、60年代70年代80年代の曲をサンプリングさせつつ、今の時代の音と見事に融合させており、非常に意欲的な試みを成功させた傑作。おそらく彼女にとってはひとつのピークと言えるでしょう。

Disc3には過去の楽曲のほか、今回新曲として(既発表のシングルを含む)6曲があらたに収録。ベスト盤としてのみならず、最後のオリジナルアルバム的な楽しみが出来るのも、ファンにとっては粋な試みと言えるでしょう。ただ、新曲を含めてDisc3の曲に関しては、確かに名曲揃いではあるものの、Disc2の頃の曲と比べると、若干「守り」の姿勢に入ってしまった感もあります。そういう意味では引退の理由として彼女があげている「やりつくした感」は、楽曲を通じても残念ながら感じることは出来ました。

ただ、そんな「やりつくした感」はあるものの、いまなおシンガーとして突出した才能を感じられるのは事実で、今回の引退劇が非常に残念に感じるのは言うまでもありません。個人的にもいつかは行きたいと思っていた彼女のライブに結局行けなかったのも非常に残念で・・・。いつかはまたシーンに復活してくれることを期待しつつ、ただ今はゆっくりと休んでほしい、そう願っています。

評価:★★★★★

安室奈美恵 過去の作品
BEST FICTION
Past<Future
Checkmate!
Uncontrolled
FEEL
namie amuro FEEL tour 2013
Ballada
_genic

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2018年3月11日 (日)

より大人になった彼女たち

Title:アイハベル
Musician:Kiroro

1998年に「長い間」が大ヒットを記録し、一躍その名を知られるようになった沖縄出身の女性2人組ユニットKiroro。2005年にメンバーの玉城千春、金城綾乃それぞれが結婚を発表し、さらにその後、お互い3人の子供を相次いで出産。断続的な活動はあったものの、事実上、非常に長期にわたる産休に入り、Kiroroとしての活動は休止していました。

そんな彼女たちは今年1月、メジャーデビュー20周年を迎えましたが、活動も本格的に再開。実に12年2ヶ月ぶりという久々のニューアルバムがリリースされました。Kiroroといえばシンプルな暖かいポップソングを歌うユニットというイメージがありますが、今回のアルバムに関しても基本的にそんな彼女たちのイメージに沿ったような作品となっています。

そんな復帰後の1曲目を飾る「アニバーサリー」は新たな一歩の決意を歌う前向きな歌詞が印象的な、爽快なポップソング。この曲、とてもユニークなのは歌詞の中に彼女たちのいままでの楽曲のタイトルが織り込まれている点。「長い間」「Best Friend」などのヒット曲ももちろん顔を覗かせます。

また一方、今の彼女たちだからこそ歌えたように感じるのが「ブランコ」。子供たちへの想いを歌った母親だからこそ歌詞に出来たよう歌詞が胸をうちます。

アルバムはKiroroらしいシンプルなポップソングが並びます。メロディアスできちんとインパクトも兼ね備えたポップソングが並ぶ一方で、いい意味で素人っぽさ、垢抜けなさも感じられるのが大きな特徴。デビュー当初から彼女たちの曲は、この垢抜けなさがひとつの魅力のように感じたのですが、長い産休を経た久しぶりの新作でも、そんな魅力は変わっていませんでした。

一方で楽曲的には「無敵なBig Smile」ではアコギをかきならすロッキンなスタイルを聴かせたり、「鳥かご」ではちょっとジャジーに聴かせたりと楽曲的なバリーションは増えたようにも思えます。ゴスペル風のコーラスを入れた「Let's Go Together」といいストリングスを優雅に聴かせる「ヒカリ」といい、シンプルなポップソングという軸は変わらないものの、よりバレエティーに富んだスケール感も増した楽曲を聴かせてくれました。

結果としていままでのKiroroらしさは維持しているものの、同時に大人になった彼女たちの姿も楽曲の中から垣間見れたようなアルバムになっていたように感じます。もともと落ち着いた部分も感じられた彼女たちでしたが、今回のアルバムではその傾向がより顕著になったような印象を受けます。まあ、失礼ながら、12年以上の月日が経って、メンバー2人とも40代ですからね。年齢相当の作品をきちんと聴かせてくれるアルバムと言えるのかもしれません。

産休が終わり本格的に活動を再開した彼女たち。今度はコンスタントに活動を続けてくれそう。また彼女たちが産みだす素敵なポップソングを聴くことが出来るでしょう。これからの活動も楽しみです。

評価:★★★★


回転する/Ivy to Fraudulent Game

今、もっとも注目を集めているバンドの一組、Ivy to Fraudulent Game(アイヴィー トゥー フロウジュレント ゲーム)。本作でついにメジャーデビューを果たしました。哀愁感の強いメロディーラインが印象に残る一方、シューゲイザー直系のノイジーなギターサウンドが非常に心地よく感じます。特に本作では「dulcet」などはまんまマイブラといった感じの曲。耽美的な雰囲気も醸し出しており、良くも悪くもヴィジュアル系っぽい雰囲気もあり、そういう意味で癖もあるのですが、前作よりグッとよくなった印象も。これからの活躍も楽しみです。

評価:★★★★

Ivy to Fraudulent Game 過去の作品
継ぐ

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2018年3月10日 (土)

懐かしき80年代的な・・・

Title:Little Dark Age
Musician:MGMT

2007年にリリースされたアルバム「Oracular Spectacular」が非常に高い評価を受け、一躍時代の寵児となったアメリカはブルックリン出身の2人組ロックデゥオ、MGMT。その話題になったアルバム「Oracular Spectacular」ではそのポップなメロディーラインが大いに評価されたものの、その後のアルバムは徐々にサイケ路線が強くなり、セルフタイトルとなった「MGMT」ではポップな路線がかなり後ろに下がっていました。

その後、バンドとしては活動休止状態となり、その前作「MGMT」から約5年。待望となるニューアルバムがリリースされました。かなり不気味で、悪夢に出てきそうなジャケットがマイナスな意味で目を引くのですが、そんなジャケットとは裏腹にアルバム自体は前作までの方向性とは一転、非常にポップなメロディーが耳を惹くアルバムに仕上がっていました。

まずアルバムは軽快なエレクトロのポップチューンと、昔のラジオのアナウンスのような女性の呼び声からはじまる「She Works Out Too Much」でスタート。フレンチポップのような軽快さを感じるエレクトロポップで、女性コーラスも鮮やかなポップチューンに仕上がっています。

続くタイトルチューン「Little Dark Age」はエレクトロなリズムが軽快なナンバー。ちょっと80年代を彷彿とさせるサウンドに心地よさを感じます。かと思えば「When You Die」はアコースティックギターの音色を入れたネオアコ風のナンバー。こちらもどこか80年代テイストを感じさせるメロディアスなポップチューンになっています。

そんなどこか80年代的な、懐かしさを感じつつもシンプルで心地よいポップなメロが耳を惹く本作。その後も軽快なポップチューンが並びます。一方、サウンド的には軽快なエレクトロサウンドがメインなのですが、サウンド的に耳を惹くのが「James」。全面的にノイジーなギターが入り、ダウナーなボーカルとあわせてシューゲイザー色が強い楽曲になっています。続く「Days That Got Away」もドリーミーなインストナンバーになっており、アルバムの中で特にサウンド面で聴かせるナンバーとなっています。

80年代的といえば、特にその傾向が強かったのが「One Thing Left to Try」。ドラムの音色といい、チープなシンセのサウンドといい、完全に80年代的なディスコチューン。正直、この曲を聴いていると、いかにもMTVで流れていそうなカラフルなPVが目の前に浮かんでくるような錯覚すら覚えます(笑)。

とにかく全編80年代的なサウンドとメロディーが心地よかった今回のアルバム。ポピュラリティーが薄かった前作から反転、いままでの作品の中でもっともポップに振り切ったアルバムと言えるかもしれません。あらためてポップミュージシャンとしてのMGMTの魅力を再認識したアルバムでした。

評価:★★★★★

MGMT 過去の作品
Oracular Spectacular
CONGRATULATIONS
MGMT

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2018年3月 9日 (金)

新生フランツ、久々の新作

Title:Always Ascending
Musician:FRANZ FERDINAND

2016年、ギターのニックことニコラス・マッカーシーが脱退。その後の動向が心配されたフランツ・フェルディナンドでしたが、2017年、ニックにかわってディーノ・バルドーとジュリアン・コリーという2人のギタリストが新規加入し5人組となった彼ら。新生フランツとしては初となるアルバムがリリースされました。直近作「FFS」はSparksとのコラボユニットだったのでフランツの純然たるオリジナルアルバムとしては約4年半ぶりのアルバムとなります。

ただ、新生フランツになったといっても基本的な路線はいままでと変わりません。今回のアルバムはタイトルチューンである「Always Ascending」からスタートするのですが、彼ららしい打ち込みのリズムが軽快なダンスポップチューン。続く「Lazy Boy」もギターサウンドでリズミカルに展開されるダンサナブルなポップチューンとなっています。

またギタリストが一人増えた、といっても音楽的にサウンドがいきなり分厚くなった、といった感じではありません。シンセでダンサナブルなリズムを刻みつつ、ちょっと憂いを帯びたようなポップなメロディーラインというスタイルは変わりませんし、サウンド的にも比較的シンプル。以前の彼らと同様、いい意味で頭をからっぽにしてダンスポップを楽しめるアルバムになっていたと思います。

ただその一方で今回の作品、「新生フランツ」を感じさせるような新たな音楽性も垣間見れた作品になっていました。例えば「Huck And Jim」などは分厚くノイジーなギターサウンドが入っており、ギターロックバンド然とした雰囲気を強く押し出しています。逆に「The Academy Award」はアコギのサウンドからスタート。途中からシンセも入るのですが、全体的に暖かみのあるフォーキーな雰囲気の楽曲になっています。

またほかにも「Finally」はどこか60年代のギターロック的な懐かしさを感じさせるナンバーになっていますし、ラストを飾る「Slow Don't Kill Me Slow」はメロウさを感じるミディアムテンポのメロディーラインを聴かせるナンバーに仕上がっていました。

全体的にはいままでのフランツらしさをきちんと残しつつ、ほどよいバランスで新たなスタイルにも挑戦したアルバムと言えるでしょう。メンバーチェンジにより新たな一歩をいい形で踏み出した作品。これからの彼らの活動が楽しみになる傑作でした。

評価:★★★★★

FRANZ FERDINAND 過去の作品
TONIGHT
Right Thoughts,Right Words,Right Action
FFS(FFS)


ほかに聴いたアルバム

10/30/96 SAPPORO,JAPAN COUNTERACTION/FUGAZI

伝説のハードコアバンドとして今なお多くのミュージシャンに支持を受けるアメリカのバンドFUGAZI。そんな彼らが1996年に札幌で行ったライブ音源がリリースされました。もともとは2011年に日本国内限定で1,000枚のみリリースされていたアルバムの再発だそうです。

その現場の空気をそのまま詰め込んだようなダウナーで非常に重いものの、迫力を感じさせるサウンドが印象に残るアルバム。バンドの演奏を待ちわびていた会場のファンの熱狂も伝わってきます。リアルタイムでライブを見たかったな、ということも強く感じさせるライブ音源でした。

評価:★★★★★

FUGAZI 過去の作品
First Demo

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2018年3月 8日 (木)

ついに1位獲得

今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

今週は大物ミュージシャンのリリースがなく、全体的に低水準のチャートとなっています。

そんな中でついに1位を獲得したのが「グレイテスト・ショーマン(サウンドトラック)」。日本でも興行成績ランキングで1位を獲得するなどヒットを記録していますが、サントラ盤も先週の2位からワンランクアップしてついに1位を獲得しています。売上枚数も2万3千枚から2万6千枚へアップ。正直、1位の売上枚数としては寂しい数字なのですが、そうとはいっても映画のヒットと連動して見事な1位獲得となりました。

初登場最高位は2位。「うたの☆プリンスさまっ♪Shining Masterpiece Show 『リコリスの森』」がランクイン。女性向け恋愛アドベンチャーゲーム「うたの☆プリンスさまっ♪」のドラマCD。初動売上2万2千枚は前作「うたの☆プリンスさまっ♪Shining Masterpiece Show『トロワ-剣と絆の物語-』」の1万6千枚(4位)からアップ。

3位には先週1位を獲得したJUJU「I」が2ランクダウンながらもベスト3をキープしています。

続いて4位以下の初登場盤です。まず4位にはCandy or Whip「last」がランクイン。こちら、現役高校生YouTuberレイダーズとして人気の4人が結成したバンドだそうです。これがデビュー作となるミニアルバム。初動売上1万5千枚で見事ベスト10入りです。

5位初登場はCHiCO with HoneyWorks「私を染めるiの歌」。「アニソン」と「ボカロ」に特化したオーディション「ウタカツ!」でグランプリに選ばれた女性シンガーCHiCOがボカロPユニットHoneyWorksと組んでリリースしたアルバムの第2弾。初動売上1万5千枚は前作「世界はiに満ちている」の2万4千枚(5位)からダウン。

6位には倖田來未「AND」が初登場。初動売上は1万4千枚。前作は2作同時リリースの「W FACE ~outside~」(1位)「W FACE ~inside~」(2位)で、初動売上はそれぞれ2万枚でしたので、こちらよりもダウンしています。ここ最近、すっかり話題にのぼる機会の少なくなった彼女。アルバムの初動売上も25万3千枚→13万8千枚→9万3千枚→4万6千枚→3万9千枚→2万枚→1万4千枚と凋落傾向が止まりません。ベスト5落ちもオリジナルアルバムでは2004年の「feel my mind」以来という厳しい結果になっています。

7位にはEve×Sou「蒼」がランクインです。You Tubeなどへの動画投稿で話題となったシンガーソングライターのEveと、同じくニコニコ動画の「歌ってみた」コーナーで話題となったシンガーSouのコラボユニットによる初のアルバムです。初動売上は1万2千枚。Eveの直近作「文化」の7千枚からアップし、Eveとしては初のベスト10ヒット。Souの直近作はこちらもコラボ作Sou×はるまきごはん「世界が終わるのよEP」でこちらはベスト50圏外。Sou名義での前作「水奏レグルス」の3千枚(27位)より、こちらもアップしています。

9位初登場はロックバンドROTTENGRAFFTY「PLAY」。ここに来て人気が上昇している中堅ロックバンドの彼ら。初動売上8千枚は前作「Life Is Beautiful」(6位)から横バイとはいえ、アルバムでは2作目となるベスト10ヒットとなりました。

最後10位にはUNIONE「ONE HEART」がランクイン。昨年の日本レコード大賞新人賞も受賞した男性5人組ボーカルユニット。本作がデビューアルバム。初動売上5千枚はベスト10ヒットとしては少々寂しい売上ですが、見事ベスト10ヒットを果たしています。

今週のアルバムチャートは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2018年3月 7日 (水)

あの「アニソン」がついに1位

今週のHot 100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

以前からチャートインしているあのアニソンがついに1位獲得です。

今週1位は星野源「ドラえもん」。映画「ドラえもん のび太の宝島」主題歌。CD販売・ダウンロード・ストリーミング数(以下「実売数」)、ラジオオンエア数、PCによるCD読取数、Twitterつぶやき数でいずれも1位という驚異的な結果。You Tube再生回数のみ残念ながら3位にとどまってしまいました。先週の10位からランクアップし、7週目にして1位獲得。オリコンでも初動売上14万4千枚で1位を獲得しておりますが、前作「Family Song」の初動19万1千枚からはダウンしています。

この曲、あらためて聴くとすごい曲だな、思います。いわゆるアニソンで、アニソンを専業としていないようなミュージシャンがアニメの世界観に沿ったような曲を書くケースは珍しくありません。ドラえもんの主題歌では例えばスキマスイッチの「ボクノート」あたりが典型例でしょう。ただ、基本的にはミュージシャンの普段の曲の延長線上にとどめていて、例えばアニメのキャラクターやアニメ特有の固有名詞が曲の中に登場するケースはほとんどありません。逆に曲の中に無理にアニメキャラを入れてくるとミュージシャンのイメージがぶち壊しになるケースが少なくありません。

しかしこの曲はタイトルからして「ドラえもん」というストレートにアニメキャラを入れてきているにも関わらず、楽曲は紛うことなく星野源の楽曲。星野源のイメージを全く損なうことなく、「ドラえもん」という飛び道具的な言葉を歌詞に織り込み、きちんとドラえもんの主題歌として機能する作品に仕上げています。さらに曲中にはドラえもんの代表曲ともいえる「ぼくドラえもん」のワンフレーズまで登場させるという粋な演出も。星野源ファンもドラえもんファンも大満足の楽曲となっており、そんな難しいことをやってのけた星野源の実力をあらためて感じさせてくれた傑作だと思います。

さて、続く2位は米津玄師「Lemon」が2週続け同順位をキープ。実売数2位、ラジオオンエア数及びTwitterつぶやき数で3位を記録。さらに今週はYou Tube再生回数で見事1位を獲得しています。ちなみにオリコンデジタルシングルチャートでも今週1位をキープしています。

3位は菅田将暉「さよならエレジー」が先週の4位からワンランクアップし、3週ぶりにベスト3に返り咲きました。実売数4位、PCによるCD読取数5位、You Tube再生回数では2位を記録。一方、ラジオオンエア数では30位、Twitterつぶやき数は19位にとどまっています。ちなみにオリコンの今週の順位は30位。ただしデジタルシングルチャートでは3位を記録しており、配信中心のヒットとなっています。

続いて4位以下の初登場曲です。まず5位にEXILEの事務所LDH所属の女性アイドルグループの合同ユニットE-girls「Pain,pain」が先週の34位からCDリリースにあわせてランクアップ。いつものようなエレクトロナンバーながらも歌謡曲的なメロディーでどちらかというとAKB系のアイドルグループのような楽曲になっています。実売数5位、PCによるCD読取数7位を記録。ただしラジオオンエア数は26位、Twitterつぶやき数56位、You Tube再生回数は81位にとどまりました。オリコンでは初動2万5千枚で6位初登場。前作「あいしてると言ってよかった」の3万1千枚(5位)からダウン。

7位には韓国の男性アイドルグループBOYFRIEND「Try my wings」が初登場でランクイン。実売数6位、Twitterつぶやき数32位でそのほかはランク圏外という韓流らしい固定ファンのみに支持されている傾向が強いランク傾向となっています。オリコンでは初動1万9千枚で7位初登場。前作「GLIDER」の3万9千枚(3位)よりダウン。

9位初登場はEXILE「Melody」。6ヶ月連続の配信シングルリリースの第2弾となります。軽快なエレクトロダンスチューン。実売数は13位、ラジオオンエア数48位、You Tube再生回数93位にとどまっていますが、Twitter数では6位を記録。結果、ベスト10入りを果たしています。ちなみにオリコンデジタルシングルチャートでは初登場で4位を記録しています。

初登場組ラストは女性シンガーソングライターさユり「月と花束」が10位に初登場。アニメ「Fate/EXTRA Last Encore」エンディングテーマ。実売数10位、PCによるCD読取数8位、ラジオオンエア数71位、Twitterつぶやき数26位という結果になっています。ちなみにオリコンでは初動売上1万3千枚で10位初登場。前作「平行線」の9千枚(10位)からアップしています。

今週の初登場組は以上。一方、ロングヒット組ではTWICE「Candy Pop」が先週と変わらず8位キープ。ただ先週1位を獲得したYou Tube再生回数は4位までダウン。実売数も14位にとどまっており、ここらへんが正念場と言えるでしょう。また先週7位だったSEKAI NO OWARI「サザンカ」がCDリリースにあわせて7位から4位にランクアップ。オリコンでも初動売上2万7千枚で4位初登場。前作「RAIN」の5万8千枚(2位)から大幅ダウンとなっています。

今週のHot100は以上。アルバムチャートはまた明日に!

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2018年3月 6日 (火)

まさかの師弟ユニット!

Title:Blueprint
Musician:PANDORA

2017年、小室哲哉ファンにとって大きな驚きをもって迎え入れられたニュースは間違いなく、浅倉大介とのユニット、PANDORAの結成でしょう。ご存じの通り、浅倉大介といえばもともとはTM NETWORKのサポートメンバーとしてその名を知られるようになったミュージシャン。楽曲的にも小室哲哉のフォロワー的な曲が多く、小室哲哉の劣化版的なイメージもあり必ずしも小室哲哉ファンから支持を受けていない部分あったものの、やはりこの師弟ユニットは素直に期待を持って迎え入れたファンも多かったのではないでしょうか。

しかし、デビューシングル「Be The One」発売直前に衝撃にニュースが伝えられました。小室哲哉引退・・・。その後、ミニアルバムとしての本作を発表。ライブも行われたようですが、残念ながらその後の活動は現在のところ未定となっています。

さてそんなPANDORAのデビューアルバムである本作。残念ながらわずか4曲30分という内容のミニアルバムにとどまっています。まずアルバムはデビューシングルでもある「Be The One」からスタート。女性シンガーのBeverlyをフューチャーした楽曲で、女性のハイトーンボイスというあたりは完全に小室哲哉の好み。テンポのよいエレクトロトラックで、楽曲の入りのメロディー展開も強い小室哲哉の手癖を感じます。小室系全盛期の楽曲を彷彿とさせる典型的なJ-POPで、目新しさは全く感じませんが、実に小室哲哉らしいナンバーに仕上がっています。

この曲を含めて4曲中3曲はハイトーンボイスの女性ボーカルがのるエレクトロポップナンバーで、基本的には小室哲哉の色合いの強い楽曲に仕上がっています。作詞作曲は小室哲哉がメイン、音色制作やエンジニアリングは浅倉大介がメインということらしいので、パッと聴いた楽曲の印象としては小室哲哉の色合いが強くなっているのでしょう。また言うまでもなく浅倉大介自身も小室哲哉に強い影響を受けているだけに、このようなユニットを結成すると小室哲哉メインになってしまうのは仕方ないことなのでしょう。

ただ・・・正直言ってしまうとアルバムの出来としてはいまひとつという印象を受けてしまいました。「Be The One」をはじめとする歌モノ3曲については良くも悪くもいままでの小室哲哉らしい楽曲で目新しさはありません。もっとも小室系ブームが終わった直後の小室哲哉は、楽曲に目新しさを出そうと迷走していた時期が長かっただけに、逆に往時の楽曲に回帰したこれらの楽曲にはある種の吹っ切れた面も感じさせます。

そして3曲目に配置された「Aerodynamics」は17分にも及ぶインストナンバー・・・なのですが、正直言っておもしろくない・・・。印象としてはエレクトロサウンドを入れたプログレといった感じなのですが、特に今風のサウンドを入れた訳でもなく、これといって光るようなアイディアがある訳ではなく、楽曲として面白味はありません。小室哲哉のインストナンバーって以前からおもしろいと思えるような曲に出会えたことがほとんどないんですが、本当にこの人はあくまでも「歌モノのポップス」のミュージシャンなんでしょうね。

アルバムとしてはわずか4曲入りという物足りなさもあるし、出来としては正直なところ3つ程度の物足りない内容でした。ただ・・・もしこれが小室哲哉にとって最後のアルバムになるとしたら非常に残念で仕方ありません。またほとぼりが冷めたころに音楽活動に戻ってくるんですよね!PANDORAとしての次のアルバム、次はフルアルバムがリリースされることを願って下の評価に。次回作に大いに期待しています。

評価:★★★★

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2018年3月 5日 (月)

バンドサウンドを取り入れて

Title:The Blue Hour
Musician:キセル

デビュー以来、独特のグルーヴ感を奏でる音楽性で根強い人気を得ている辻村豪文・友晴による兄弟ユニット、キセル。そんな彼らがちょっと久しぶり、約3年ぶりとなるニューアルバムをリリースしてきました。

そんな久々の彼らのアルバム、ちょっと陳腐な言い方になるかもしれませんが、一言で言うと、昨今のシティポップブームに対するキセルからの回答、という表現がまず思い浮かびました。キセルといえば独特の浮遊感のある絶妙なグルーヴ感あるサウンドがとても心地よいバンド。昨今のシティポップ勢の曲から感じられるグルーヴ感とも近似性があるとも言えるでしょう。そして今回の彼らはいままでのキセルの浮遊感を残しつつも、ソウルやジャズの領域にグッと近づいた楽曲を聴かせてくれます。

特にその傾向はアルバム後半に顕著。「来てけつかるべき新世界」はピアノを取り入れてジャジーな雰囲気を醸し出す曲になっていますし、「明日、船は出る」はファンキーなギターが心地よいリズム感を生み出しています。さらに「きざす」ではメロウなワウワウギターが心地よいAORのナンバーになっており、まさにキセル流のシティポップを聴かせてくれるような展開になっています。

そして今回、彼らのアルバムにソウルやジャズのグルーヴ感が入った最大の要因は、いままでの彼らと異なり、生音を多く取り入れたからでしょう。キセルといえばいままでリズムボックスを使用しており、それが彼らのサウンドの特徴となっていました。しかし今回はほぼ全曲において生ドラムを導入。さらにはサックスやフルート、キーボードなヴィブラフォンまで導入。シンプルなギターデゥオだった彼らですが、今回はバンドサウンドを取り入れた楽曲へと変化していました。

それだけに今回のアルバムはいままでの彼らのサウンドに比べて音の厚みが増しましたし、バンドサウンドだからこそ生み出せるもっと生々しいグルーヴ感が大きな特徴となっています。サウンドにはブラジル音楽的な雰囲気を感じたり、いままでにない音の広がりを感じさせるのも、様々なミュージシャンが参加したバンドだからこその音楽性の広がりと言えるかもしれません。

ただ、もっとも楽曲の根底に流れるキセルらしさは今回も変わりありません。例えば1曲目の「富士と夕闇」はどこかドリーミーな雰囲気を感じ、またキセルらしい浮遊感も健在。「二度も死ねない」もシンプルなサウンドの下に流れる浮遊感あるサウンドはまさにキセルサウンド。いままでのキセルらしさももちろんきちんと残っています。

またバンドサウンドで音が分厚くなったといっても、やたらめったら音を詰め込んだ、という訳ではなく、基本的には非常にシンプルなサウンドに徹しており、そういう点でもいままでのキセルらしさは健在といった感じでしょう。今回、バンドサウンドを取り入れ、新たな一歩を踏み出した彼ら。ただもっとも前作「明るい幻」では逆にチープさを追求したようなアルバムになっており、今回のアルバム以降、ずっとバンドサウンドを続ける、という訳ではないようにも思います。とはいえ今回、バンドサウンドを取り入れたことによりキセルの可能性はグッと広がったのではないでしょうか。もちろん今回も文句なしの傑作アルバム。キセルらしい浮遊感と、シティポップ的なグルーヴ感を同時に楽しめるアルバムでした。

評価:★★★★★

キセル 過去の作品
magic hour

SUKIMA MUSICS
明るい幻


ほかに聴いたアルバム

Dagital Native/中田ヤスタカ

サントラのリリースはあったものの、純然たるオリジナルアルバムとしては初となる中田ヤスタカ名義のアルバム。ソロ名義なので、かなり実験的、挑戦的なアルバムになる・・・かと思いきや、内容的にはむしろcapsuleに比べてもかなりポップ寄り。きゃりーぱみゅぱみゅや米津玄師など豪華なゲストも参加しており、インパクトのある売れ線のJ-POP路線といった感じもします。良くも悪くも聴きやすいアルバムで、もうちょっと挑戦的な内容を期待していた身としてはちょっと肩すかしだったかも。ただ、Perfumeやきゃりーぱみゅぱみゅのような、ミュージシャンイメージに沿ったテーマ性を持った楽曲ではなく、彼が産みだせる様々なタイプのポップソングを並べた自由度の高いアルバムといった側面もあり、そういう意味ではソロらしいアルバムと言えるのかも。

評価:★★★★

中田ヤスタカ 過去の作品
NANIMONO EP/何者(オリジナル・サウンドトラック)

REQUEST -30th Anniversary Edition-/竹内まりや

1987年にリリースされ、ミリオンセラーを記録。日本のポップスシーンに残る「名盤」としての誉れ高い竹内まりやの7枚目のアルバムが、30周年記念盤としてリリースされました。「REQUEST」自体は、アイドルへの提供曲のセルフカバーが多く、そのため全体的なまとまりは薄く感じるのですが、いまなおその暖かくも美しいメロディーラインに心惹かれるエバーグリーンなポップソングが並んでいます。ボーナストラックは、「TEKO'S THEME」「夢の続き」のシングルバージョンや「時空の旅人」の原型であり未発表であった「Good bye」、さらにカラオケが収録。基本的にシングルバージョンはアルバムとさほど大差はなく、ボーナストラックは比較的ファン向け選曲といった感じですが、やはりこういう形でシングルバージョンが収録されるのはうれしい話。内容は文句なしの名盤なので、未聴の方はこれを機に、是非。

評価:★★★★★

竹内まりや 過去の作品
Expressions
TRAD

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2018年3月 4日 (日)

セクシーで中性的なボーカルが魅力

Title:Blood
Musician:Rhye

セクシーなジャケット写真が目を引く本作は、ロサンゼルスを拠点とする男性2人組のデゥオ。デビューアルバムである前作「Woman」が大きな話題を呼び、一躍注目を集めました。ただ私は前作「Woman」は未聴。本作ではじめて彼らの作品を聴いてみました。

まずアルバムで耳を惹くのがハイトーンボイスで優しく聴かせるボーカルでした。包容力もあり、セクシーさも感じさせるボーカルは、正直言うと、最初聴いた時はずっと女性だと思っていたのですが、実はカナダ出身のマイク・ミロシュという男性ボーカリストというから驚き。ただ、中性的な独特のボーカルがRhyeの大きな魅力となっていました。

また楽曲はストリングスやピアノの音を取り入れつつ、比較的シンプルにまとめあげているのが印象的。サウンド的にはリズムトラックなどで打ち込みを取り入れつつも、生音がメインとなっているため丸みを帯びた優しい雰囲気のサウンドで、独特のメロウなグルーヴ感ある楽曲に仕上げています。

そんなハイトーンボイスのセクシーなボーカルと生音重視のサウンドが相成ったメロウなR&Bの楽曲は、一言で言うと官能的という表現がピッタリと来そう。特に熱量的に抑え気味なマイク・ミロシュのボーカルは、楽曲によっては耳元でささやいているような感触があり、男性ボーカルにも関わらず、男性が聴いてもゾクゾクくるような一種のエロさを感じてしまいます。特にシンプルなサウンドながらも軽快に聴かせる「Song For You」や、逆にアルバムの中では比較的分厚く、サイケさを感じるサウンドの中で静かなボーカルを聴かせる「Softly」あたりは、そんなエロさを強く感じました。

ただ一方でアルバム全体としては「Waste」のような静かでメロウ、メロディアスなメロディーラインをしっかりと聴かせるようなシンプルなポップソングが主軸という印象。ストリングスを優雅に聴かせる「Please」やサウンドにファンキーなグルーヴが入った「Count To Five」のようなバリエーションを出しつつも、アルバム全体としてはあくまでもマイクのボーカルを前に出したシンプルなポップソングがメインという印象があります。

ただ、熱量が抑えられたボーカルとサウンドでポップな楽曲を聴かせつつも、一方ではしっかりとソウルな要素も感じられるのも大きな魅力。官能的なソウルの要素も楽しみつつも、基本路線はシンプルなポップソングといういい意味で聴きやすいアルバムだったと思います。セクシーなジャケットからメロウな作品を想像していたのですが、予想通り楽しめた傑作アルバムでした。

評価:★★★★★

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2018年3月 3日 (土)

本作もポップの魅力を十分に発揮

Title:MAN OF THE WOODS
Musician:JUSTIN TIMBERLAKE

いまやアメリカを代表するポップシンガーの一人となったJUSTIN TIMBERLAKE。前作「THE 20/20 EXPERIENCE」から早くも5年が経過。待望のニューアルバムがリリースされました。今回もビルボードチャートでは文句なしの初登場1位を獲得・・・なのですが、初動売上は29万3千枚と前作「THE 20/20 EXPERIENCE-2 of 2」の34万9千枚を大きく下回る結果に。さらにその前作「THE 20/20 EXPERIENCE」では初動売上96万8千枚を記録していましたので、今回のアルバムはかなり厳しい結果と言わざるを得ません。

急激な売上減の理由は正直あまりわからないのですが・・・アルバムをパッと見た感じ、まずジャケットがかなり地味という印象が。また、アルバムに先立ってPVが公開となった「Filthy」「Supplies」はいずれも地味な印象のナンバー。ジャケットにはじまって非常にきらびやかな印象があった前作に比べると、地味という印象がぬぐえません。

実際、アルバム全体としても前作に比べるとイメージとしてはちょっと抑えめな雰囲気。全体的にちょっとおとなしめという印象を受けました。いかにも楽しげなポップアルバムだった前作に比べると、ちょっと躊躇してしまった方が多いかもしれません。

もっとも、アルバム全体としては前作同様に様々なタイプのポップチューンの入った非常に楽しいポップのアルバムになっているという点は変わりません。冒頭の「Filthy」こそ少々地味な印象はあるものの、続く「Midnight Summer Jam」はハイトーンボイスが軽快なダンサナブルなファンキーチューン。「Sause」もノイジーなギターがノリノリで楽しいポップチューンに仕上がっており、ワクワクするポップソングが楽しめるという点は以前から変わりません。

中盤以降はアリシア・キーズが参加した「Morning Light」はしんみりブルージーな雰囲気で聴かせるナンバー。「Flannel」はアコギが入ってフォーキーな雰囲気で優しく聴かせるナンバー、「The Hard Stuff」もアコースティックに聴かせるナンバーと、後半の雰囲気は全体的に抑制的でちょっと地味め。ただ一方ではシンプルなメロディーラインをしっかりと聴かせているナンバーという見方も出来、ソングライターとしての彼の実力がしっかりと発揮されているという見方も出来るかと思います。

様々な作風の曲を聴かせた結果、少々まとまりがなくなった前作に比べると、地味めながらもしっかりメロディーを聴かせるという方向性があった本作には全体的なまとまりも感じました。売上的には落ち込んだものの、彼の魅力は本作でももちろん健在。まだまだ彼からは名作がどんどん誕生しそうです。今回も文句なしの傑作アルバムでした。

評価:★★★★★

JUSTIN TIMBERLAKE 過去の作品
THE 20/20 EXPERIENCE
THE 20/20 EXPERIENCE-2 of 2


ほかに聴いたアルバム

First Sessions/Norah Jones

ノラ・ジョーンズがデビューアルバム発売前に録音した貴重な音源を収録したアルバム。デビュー当初に一部のツアー会場やWebサイトでのみ配布されたものだそうです。もっとも、全6曲中5曲は既発表曲。デビュー前に既に彼女がそのスタイルを確立していたという意味では非常に興味深い1枚で、純粋にアルバムとして楽しむことは出来るものの、どちらかというとマニア向けアイテムに近い感じかと。

評価:★★★★

NORAH JONES 過去の作品
THE FALL

...FEATURING NORAH JONES(ノラ・ジョーンズの自由時間)
LITTLE BROKEN HEARTS
COVERS(カヴァーズ~私のお気に入り)
foreverly(BILLIE JOE+NORAH)
DAY BREAKS

The Time Is Now/CRAIG DAVID

デビュー作「Born to Do It」が大きな評判を呼び大ヒットを記録したイギリスのR&Bシンガー。その後、徐々に人気を落としていったものの、前作「Following My Intuition」はデビュー作以来の全英チャート1位を記録しここに来て返り咲き。さらに本作も全英2位を記録するなど、完全に人気を復活させました。

そんな最新作はサウンド的にはデビュー作で感じたような目新しいものは一切ありません。ただテンポのよいエレクトロのリズムをバックに聴かせるポップなメロディーラインは非常に耳に残りかつ魅力的。確かにこれはいい意味で売れそうだなぁ、という印象を抱かせます。ここに来ての人気復活も納得できる作品でした。

評価:★★★★★

CRAIG DAVID 過去の作品
TRUST ME

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2018年3月 2日 (金)

レトロな雰囲気も漂いつつ

Title:Get With The Times
Musician:BEKON

昨年、おそらくもっとも話題となったアルバム、ケンドリック・ラマーの「DAMN.」。そのアルバムの14曲中8曲に参加して大いに話題となったプロデューサーがいました。それがBEKONという、ちょっと奇妙な名前のプロデューサー。本名ダニエル・タネンバウムで作曲も行い、ケンドリック・ラマーのほかにEMINEMの「Recovery」やDr.Dreの「Compton」にも参加しており、今、もっと注目を集めている彼のデビューアルバムが本作となります。

まず、なんかジャケット写真がいいですね。タキシードからピストルを取り出しているスタイリッシュだけど怪しげなセルフポートに、黄色の背景に赤字でミュージシャン名とアルバムタイトルという原色の組み合わせ。全体的な構成にもどこかレトロさが漂います。

アルバムはそんなちょっとレトロな雰囲気の漂うインストナンバー「Madame Butterfly」からスタート。そしてまず強い印象を残すのが先行配信曲でありPVも作成された3曲目の「Cold As Ice」。ハイトーンボイスのとろけるようなボーカルとメロディーライン。シンプルに流れるエレクトロテイストのサウンドとあわせて全体的にドリーミーな雰囲気が漂うナンバー。ちょっと一昔前のソウルテイストも漂う楽曲になっており、懐かしさを感じつつ、聴きながらその美しいメロディーとボーカルにとろけてしまいそうになる楽曲です。

基本的にはこの「Cold As Ice」で聴かせてくれるような、美しいハイトーンボイスを聴かせつつ、ゆっくりとソウルテイストの美しいメロディーラインを聴かせてくれる楽曲が並びます。「Cold As Ice」のあとのインターリュード曲を挟んでつづく「Oxygen」も同じようなタイプのナンバーですし、タイトルチューンの「Get With The Times」やラストを飾る「In Your Honor」も似たようなタイプのナンバーになっており、アルバム全体の方向性を決めています。

一方では「17」のような、アコギのアルペジオで聴かせる、どちらかというとギターポップ寄りのナンバーがあったり、フレンチポップ色の強い「Candy and Promises」のような曲があったりと、なにげに音楽的に広いバリエーションを聴かせてくれます。この音楽的な引き出しの多さこそ、シンガーソングライターというよりも、まずほかのミュージシャンへの楽曲提供やプロデューサーとして名を知らしめた彼らしい「プロ」の仕事ぶりと言えるのかもしれません。

ただここらへんの曲に関しても基本的にはドリーミーな雰囲気の美しいポップチューンにハイトーンボイスというスタイルは共通しており、アルバム全体としての統一感はしっかりと保たれています。また、全体的にレトロな雰囲気は漂わせつつも、HIP HOP的な要素を取り入れたり、今風のリズムを強調したトラックを入れたりと今の音楽性にもしっかりとアップデートしており、そういう意味では懐かしさを感じさせつつ全体的には今の音楽としてしっかりと成立する内容になっていました。

話題のプロデューサーということも納得の聴いていてその美メロにとろけそうになる傑作アルバム。これからもますます彼は様々なミュージシャンからおよびがかかりそうですね。その名前、いまから注目していてもよさそうです。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

AVICI(01)/AVICII

2016年いっぱいでDJとしてのツアーやライブ活動の終了は宣言してものの、音楽活動は継続しているようで本作は配信限定でリリースされたアルバム。ちなみに日本ではこれにボーナストラック1曲を加えて「WITHOUT YOU」というタイトルでCDリリースされています。

基本的にはいままでのAVICII同様、バリバリに踊らせるような楽曲ではなくアコギの音などを取り込んでメロディアスにポップな歌を聴かせるような構成。所々に入るリズミカルなエレクトロサウンドの音色が心地よく楽しめるアルバムで、全体的にはおとなしいポップアルバムという印象ですが、最後まで素直に楽しめるアルバムでした。

評価:★★★★

AVICII 過去の作品
True
True:Avicii By Avicii
STORIES

CultureII/Migos

おそらく今、もっとも注目を集めるHIP HOPミュージシャンの一組、Migos。トラップという注目を集めるジャンルを代表するミュージシャンで、前作「Culture」も昨年の各種メディアで軒並みベストアルバムの上位にランクインしてきました。そんな彼らの早くもリリースされた最新作は基本的には前作から連なる内容。ダークな雰囲気に重低音を強調したビートがカッコいいナンバーが並びます。特に後半に関してはジャジーな楽曲が並び、音楽性の幅を感じます。前作同様、中毒性あるサウンドを聴かせてくれる作品で、今年のベスト盤候補としてまた取り上げられそうな予感もします。

評価:★★★★★

Migos 過去の作品
Culture

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2018年3月 1日 (木)

低水準のチャートながら

今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

今週は1位の売上枚数が2万枚台という低水準のチャートとなりました。

そんな訳で初動売上2万8千枚で1位を獲得したのがJUJUのニューアルバム「I」。オリジナルアルバムとしては2011年にリリースした「YOU」以来の1位獲得となりました。プロデューサーに小林武史や平井堅、さらには小田和正など豪華なメンバーが参加している新作。直近作はカバーアルバムの「スナックJUJU ~夜のRequest~」でこちらの3万4千枚(5位)からダウン。オリジナルアルバムとしての前作「WHAT YOU WANT」の4万2千枚(4位)よりもダウンしています。

2位には先週7位にランクアップしベスト10入りを果たした「グレイテスト・ショーマン(サウンドトラック)」がさらにランクアップし、なんとベスト3入り。日本でも公開がはじまったミュージカル映画のサントラ盤。今週の売上は2万3千枚で、先週の売上枚数1万枚より大きくアップしています。

3位には韓国の男性アイドルグループEXO「COUNTDOWN」が先週の27位から大きくアップして2月19日付チャート以来2週ぶりのベスト10返り咲き。売上枚数も2千枚から1万8千枚に大きくアップ。2月23日24日に京セラドーム大阪で来日公演が行われたようで、その影響でしょう。

続いて4位以下の初登場盤です。まず4位に家入レオ「TIME」がランクイン。初動売上は1万5千枚。直近作はベスト盤「5th Anniversary Best」でこちらの2万6千枚(3位)からダウン。オリジナルアルバムとしては前作の「WE」の1万8千枚(6位)よりも若干のダウンとなっています。

6位にはスカイピース「にゅ~べいび~」がランクイン。こちら、You Tuberとして活躍しているテオくん、☆イニ☆の2人からなるユニット。いまどき、You Tuberも歌手デビューしちゃうんですね・・・。初動売上1万3千枚で本作がデビュー作となります。

8位初登場は関西を拠点に活動しているスターダストプロモーション所属の女性アイドルグループたこやきレインボー「ダブルレインボー」がランクイン。アルバムとしては初のベスト10ヒットですが、初動売上6千枚で、前作「まいど!おおきに!」の7千枚(18位)からダウンしています。

今週の初登場は以上ですが、今週はランクインしたアルバムの売上枚数が大幅に減少した影響から3位のEXO以外にもベスト10返り咲き組が多く見受けられました。

まず9位にはDJ和「ラブとポップ~好きだった人を思い出す歌がある~mixed DJ和」が先週の14位からランクアップして1月22日付チャート以来6週ぶりにベスト10返り咲き。売上も先週の5,821枚から6,055枚と若干ですがアップ。驚異的なロングセラーを続けています。また、10位にはWANIMA「Everybody!!」が先週の12位からランクアップし、こちらは2月19日付チャートから2週ぶりにベスト10返り咲き。ただし、こちらは売上的には6千枚から4千枚にダウンしています。

またロングヒット盤としては安室奈美恵「Finally」は今週4位から5位にダウン。ただ、売上的には先週の1万4千枚から1万5千枚になんとアップしており、こちらも根強い人気を見せつけています。まだまだロングヒットは続きそうです。

今週のアルバムチャートは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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