ブルースのレジェンド 最盛期のライブ盤
Title:At Onkel Po's Carnegie Hall-Hamburg 1976
Musician:JOHNNY 'GUITAR' WATSON
まだまだ続いています。2017年ベストアルバムのうち、まだ聴いていなかったアルバムを聴くシリーズ。今回は「BLUES&SOUL MAGAZINE」誌のリイシュー/発掘音源部門で1位を獲得したアルバムです。
本作はタイトル通り、1976年、ドイツ・ハンブルグの「Onkel Po's Carnegie Hall」で行われたライブ音源を収録した発掘音源。このクラブでのライブ音源はいろいろなミュージシャンのバージョンがリリースされているようですが、本作はその一環となるようです。
JOHNNY 'GUITAR' WATSONは1935年アメリカに生まれたブルースミュージシャン。テキサスブルースの流れを組みつつ、楽器的にはシンセを取り入れたり、あるいは音楽的にはファンクの要素を取り入れたりと、旧来のブルースのスタイルにこだわらないスタイルを貫いた点が大きな特徴となっています。
本作でも「I Don't Want To Be A Lone Ranger」ではエフェクトをきかせまくったギターをかき鳴らした後、ファンキーなホーンセッションを入れてくるなど陽気な演奏を聴かせたり、ブルースのスタンダードナンバー「Stromy Monday」でもエレピを取り入れて、よりジャジーにムーディーにその演奏を聴かせてくれます。
基本的にその後の「Superman Lover」や「Ain't That A Bitch」などホーンセッションやエレピの音を入れつつ、ファンキーなサウンドを聴かせるスタイルの曲が多く、一般的なブルースというイメージよりも、ファンクのイメージが強いサウンドを聴かせてくれます。
特に1976年というとJOHNNY 'GUITAR' WATSONの作品の中で名盤の誉れ高い「Ain't That A Bitch'」がリリースされた年。彼も御年41歳という脂ののった頃となっており、それだけにライブに関しても迫力満点。ホーンセッションを従えてファンキーなサウンドで会場を盛り上げたかと思えば、「Cuttin In'」ではブルージーなギターと感情たっぷりに歌い上げるソウルフルなボーカルを聴かせてくれます。
ライブのクライマックスであり個人的にも非常にカッコよさを感じたのが「I Need It」。15分にも及ぶ長尺で聴かせるのですが、中盤のジャムセッションが非常にカッコよく、バックで同じキープで演奏するギターやドラムの音も実にグルーヴィー。バンドとしての底力を感じます。
ちなみにJOHNNY 'GUITAR'' WATSONといえば1996年、来日中の横浜でのライブの最中に突然倒れ、そのまま帰らぬ人となったという、日本人にとっても思いを感じるミュージシャン。実は私、彼の音源を聴くのはこれがはじめてなのですが、そのファンキーで時には楽しく、時には聴かせる演奏に一気に魅せられました。
脂ののった時期の彼のライブの魅力がはっきりと伝わってくるライブ盤。この時期のライブ、見たかったな、と感じてしまった作品でした。
評価:★★★★★
ほかに聴いたアルバム
Mind Gone/Lacee
本作は「BLUES&SOUL RECORDS」誌年間ベストアルバム4位となった女性ソウルシンガーの新作。黒人地区の小さなライブハウス中心に活動しているインディー系のミュージシャンだそうです。以前、ここでも何作か紹介していますが、基本的な路線はそれらの作品と変わらず。昔ながらのソウルミュージックで楽曲的には目新しさはないものの、非常に表現力と包容力のある彼女のボーカルに惹かれるアルバムになっていました。
評価:★★★★
4EVER/PRINCE
2016年、57歳という若さで急逝したアメリカを代表するシンガーソングライターPRINCEの、逝去後にリリースされた2枚組のベストアルバム。いかにも逝去後に企画されたようなベスト盤ですが、彼の代表曲が網羅され、あらためて彼の魅力を再認識できるベスト盤。時代によって音の雰囲気はかなり変化するものの、根本に流れるファンキーなリズム感と高いポピュラリティーは時代を通じて不変で、彼の才能を強く感じられるベスト盤でした。
評価:★★★★★
PRINCE 過去の作品
PLANET EARTH
ART OFFICIAL AGE
PLECTRUMELECTRUM
HITnRUN Phase One
HITnRUN Phase Two
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