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2018年2月10日 (土)

豪華なゲスト陣も大きな魅力

Title:Times Have Changed
Musician:Ronnie Baker Brooks

今回も2017年各種メディアのベストアルバムのうち、聴き逃したアルバムを後追いで聴くシリーズ。今回はBLUES&SOUL RECORDS誌2017年新録部門で1位を獲得したアルバムです。Ronnie Baker Brooksはアメリカシカゴで活躍するギタリスト。同じくシカゴで活躍していたブルースギタリストで、昨年4月に惜しまれつつこの世を去ったロニー・ブルックスの息子だそうです。

ロニー・ブルックスの息子・・・といっても彼も御年51歳となり、80年代半ばから活動を続けるベテランギタリスト。本作はなんと約10年ぶりとなる新作で、これが4枚目となるオリジナルアルバムだそうです。

さてそんな彼のニューアルバムですが、いい意味でストレートにブルースギターの楽しさを聴かせるような、聴いていて楽しくなってくるようなアルバムでした。まず1曲目「Show Me」からしてホーンセッションを取り入れてワクワクするダンサナブルなソウルナンバー。イメージとしてOTIS REDDINGの「I Can't Turn You Loose」を彷彿とさせるよなナンバーでした。

「Twine Time」では父親のロニー・ブルックスと共演しているのですが、こちらも軽快で力の抜けたギターソロを聴かせるインストナンバー。周囲のざわめきも一緒に収録されているのですが、仲間内でワイワイやっているような印象を受ける気軽で楽しいギターインストになっていました。

ほかにも「Come On Up」「Long Story Short」などファンキーなリズムを楽しめるナンバーがあったり、かと思えば「Wham Bam Thank You Sam」のような哀愁感たっぷりのギターサウンドを聴かせてくれたりと聴きどころがたくさん。またブルースやソウルのみならず、ファンクやジャズ、ロックなどの要素を幅広く取り入れた自由度の高い音楽性もこのアルバムの楽しさのひとつ。タイトルチューンでは「Time Have Changed」ではなんとメンフィスのラッパー、アル・カポネが参加。HIP HOPの要素すら楽曲に取り入れています。

また長らくシカゴの音楽シーンで活躍してきた彼らしい豪華なゲスト陣も魅力的。前述の通り、父親であるロニー・ブルックスとの共演も楽しめるほか、「Show Me」ではSteve Cropperと共演。さらに「Old Love」では2013年に亡くなったブルース界のレジェンド、ボビー・ブランドがその歌声を聴かせてくれたりしています。

様々なジャンルを取り込んだ、いい意味で今の時代を感じさせるブルースアルバム。そしてそんな今のブルースを難しいこと抜きにワクワクしながら楽しめる、そんな素敵なアルバムでした。新録部門年間1位も納得の傑作。ブルース好きはもちろん、ソウルやファンク、あるいはブルースロックが好きならお勧めしたい1枚です。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

Hidden Figures: The Album(邦題 「ドリーム」オリジナル・サウンドトラック)

昨年9月に日本でも公開されたNASAの宇宙開発を支えた知られざる女性の活躍を描いた「ドリーム」。本作は同映画のサントラ盤。Pharrell Williamsが全曲書下ろし&プロデュースを手掛けており、本人ももちろん参加しているほか、Alicia Keys、Mary J.Bligeといった超豪華なゲストも参加しています。

Pharrell Williamsといえばご存じ「Happy」の大ヒットが有名ですが、本作もそんな「Happy」の流れを組むような、ソウルやジャズ、ゴスペル、ファンクなどの要素を主軸としつつ、ピアノやホーン、ギターなどを入れて楽しく聴かせる「ポップ」な作品が並んでいます。サントラ盤といっても基本的には歌モノの曲が並ぶオムニバス盤のような内容。むしろPharrell Williamsの新譜とすら捉えられるような内容で、映画を見ていなくても、これはひとつのアルバム作品として十二分に楽しめる傑作アルバムに仕上がっていました。

評価:★★★★★

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