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2018年2月 5日 (月)

アフロ・ビート的な要素も

Title:Drikouraman
Musician:Dede Saint-Prix

今回も、2017年に評価の高かったアルバムを後追いで聴いてみたアルバム。本作はミュージックマガジン誌のラテン部門で1位を獲得したアルバム。もちろん、完全に初耳のミュージシャンで名前は「デデ・サンプリ」と読むらしいです。カリブ海に浮かぶフランスの海外県、マルティニーク出身のミュージシャンだそうで、マルティニークの伝統芸能、シュヴァル・ブワのミュージシャン。御年60歳を超える彼は70年代から活動を続けている大ベテランミュージシャンだそうです。

楽曲は基本的にラテンのイメージらしい、軽快なパーカッションで、カリブ海の陽気な太陽の光を感じることの出来るような爽快な楽曲がメイン。特にタイトルチューンとなっている「Drikouraman」はパーカッションの軽快なリズムにホイッスルやアコーディオンも加わる典型的なラテンチューンに仕上がっています。

また一方では「Pa gade pat mile」のような哀愁感たっぷりのアコーディオンをムーディーに聴かせてしっとりと歌い上げるようなナンバーも顔を覗かせます。決して端整な歌声といった感じではないのですが、年季の入ったそのボーカルはどこか味のある歌声を聴かせてくれます。

ただ個人的にこのアルバムが気に入った大きな要素がパーカッションにトライバルな要素を強く感じた点でした。基本的にコールアンドレスポンスを主軸とした展開に疾走感あるパーカッションはトライバルな雰囲気を強く感じるのですが、例えば「Onoma」のようにパーカッションのリズムに女性のコーラスが重なる部分など、非常にアフリカ音楽にも通じるような部分が強いですし、続く「Bonswar」もなにより軽快でトライバルなパーカッションが心地よい作品になっています。特に「Aprann yo peche」などは性急なビートとシャウト気味なボーカルのハイテンションな楽曲になっており、ラテンというよりもむしろアフロビート的なノリを感じる楽曲になっていました。

一方ではリズミカルなサウンドを聴かせるような曲ばかりではなく「Gol-la pri an sa」のようなポップに聴かせる曲にはメロディーラインにもしっかりと聴かせるものを感じます。さらに終盤「Granbele」「Lanmou-nou」はムーディーなピアノやサックスも入り、ジャジーな雰囲気を醸し出しつつ、アルバムは幕を下ろします。

そんな訳で「ラテンミュージック」にカテゴライズされるアルバムですが、雰囲気としてはアフロ的な雰囲気も強く感じられ、アフリカ音楽が好きな人にも非常に魅力を感じることが出来るアルバムだったと思います。またポップなメロを楽しく聴かせる楽曲やジャジーでムーディーな楽曲も収録されており、その音楽性の広さも大きな魅力。キャリア40年以上のベテランらしい音楽的な広く深い素養を感じる作品になっていました。

ラテンだから、ということでアルバムを積極的に聴くケースはあまり多くないのですが、それでもラテンミュージックのアルバムとして年間1位というのは納得の、非常に楽しめた傑作アルバムでした。

評価:★★★★★

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