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2018年2月13日 (火)

毒舌(元)OLたちのラストアルバム

Title:Charisma.BEST
Musician:Charisma.com

 

女性2人組HIP HOPデュオ、Charisma.com。結成当時、現役OLだったいつか(MC)とゴンチ(DJ)が組んだユニットで、OLが感じる本音や不満をつづった毒舌的なリリックが話題となりました。その後、昨年にはOLを引退し音楽活動に専念していたのですが、その後、ゴンチが家業への専念を理由に脱退を発表。ユニットとしても無期限の活動休止となってしまいました。

本作はそんな彼女たちが最後にリリースした、Charisma.comの活動を総括するベスト盤。インディーズ時代のアルバム「アイ アイ シンドローム」の1曲目を飾った「HATE」からスタート。「グララ」「りぼん」という2曲の新曲を加えて、彼女たちの代表曲が並ぶアルバムとなっていました。

活動を総括するベスト盤なのですが、よくあるリリース順に並べるようなスタイルではなく、アルバム全体の流れを考えつつ曲順を決めている構成になっています。彼女たちの楽曲は基本的にエレクトロサウンドをベースにリズミカルなトラックが特徴的ですが、前半は「イイナヅケブルー」「メンヘラブス」をはじめ、彼女たちらしいエレクトロのリズミカルな楽曲がメイン。まずはもっともCharisma.comらしいともいえる曲が並びます。

中盤もリズミカルなエレクトロトラックという流れは変わらないのですが「999」のようなマイナーコード主体のナンバーも。また、新曲「グララ」のようなミディアムテンポで聴かせる楽曲もあり、ちょっとクールダウンした展開となっています。

そして後半は「Train HELL」「こんがらガール」のようなノイジーでビートの強い、よりトランシー感を増した楽曲が並び、再びテンションが上がる展開に。最後を締めくくる新曲「りぼん」もそんな流れの中にピッタリのトランシーなナンバー。全19曲76分というフルボリュームの内容ながら、そのテンポよいエレクトロチューンの連続に一気に聴けてしまうベストアルバムになっていました。

また彼女たちの特徴は、OLの本音や不満をユーモラスを込めてつづったリリック。彼女たちの代表曲でいえば、例えば「サブリミナル・ダイエット」では、いつも「ダイエットのために」という女性に対して、まるでサブリミナル効果みたいと思いっきり皮肉った歌詞がユニークな楽曲に。「もや燃やして」はいろいろとうまくいかない現実に対してのOLのストレートな心境をつづった歌詞がユニーク。「お局ロック」はタイトル通り、いわゆる「お局様」といわれるようなOLに対する強烈な皮肉をつづっています。

エレクトロなサウンドはラップリスナー層以外にも訴求できそうな聴きやすさがありますし、またOLの本音をつづった歌詞も普遍性があってヒットポテンシャルは十分。実際、一時期は結構注目を集めたり、ミュージックステーションにも出演したりもしました。

十分なヒットポテンシャルはあるし、売れそうなユニットだったのですが、チャート的には2016年にリリースしたアルバム「愛泥C」で記録した24位が最高位。残念ながらブレイクには至りませんでした。

今回のベスト盤を聴く限りでは非常に魅力的な楽曲が並んでおり、ブレイクできなかったのは不思議にすら感じるのですが・・・。ただ一方では、確かにOLの本音や不満をつづっていながらも、ラップが早口のため肝心な内容が聴き取りにくかったり、あるいはインパクトあるフレーズをうまくサビにもってこれなかったりと、ちょっと惜しいな、と感じるような部分も随所には感じられます。そういう点がひょっとしたらいまひとつブレイクしきれなかった要因なのかもしれません。

もっとも、このベスト盤で最後というのは非常に残念。ただ今回、あくまでもCharisma.comは解散ではなく無期限の活動休止。そういう意味では今後の活動再開に含みをもたせた形での幕引きとなりました。ゴンチが引き継ぐ家業が何なのかはわかりませんが、ひょっとしたら家業がひと段落ついたら活動再開ということがあるのかもしれません。そんな日が来ることを、このベスト盤を聴きながら心待ちにしたいと思います。

評価:★★★★★

Charisma.com 過去の作品
DIStopping
OLest
愛泥C
not not me


ほかに聴いたアルバム

Typical/neco眠る

大阪出身6人組インストバンドの3年ぶりとなる新作。本作は新メンバーおじまさいり加入後、初となるアルバムに。スチャダラパー+ロボ宙が参加した「ひねくれたいの」やnever young beachの安部勇磨が参加した「SAYONARA SUMMER」など歌モノも目立ちます。ちょっとサイケ気味のシンセやギターの音色に郷愁感あるメロディーラインが魅力的。どこかコミカルなサウンドが入っているにもひとつの魅力に。シティポップな雰囲気の強い楽曲も加わる、前作に比べると良くも悪くも垢抜けたような印象も。

評価:★★★★

neco眠る 過去の作品
EVEN KICK SOYSAUCE
Boy

ラッキー&ヘブン/ザ・クロマニヨンズ

ちょうど1年ぶりとなるクロマニヨンズの新作。「パンク」と一言でとどまらない、フォーキーな曲や歌謡曲調の曲、盆踊りのリズムを聴かせる曲やらブルースロックやら、とにかくバラエティー豊富なのが特徴的。ベテランの彼ららしい音楽的な包容力の大きさを感じさせてくれるアルバムでした。

評価:★★★★★

ザ・クロマニヨンズ 過去の作品
CAVE PARTY
ファイヤーエイジ
MONDO ROCCIA
Oi! Um bobo
ACE ROCKER
YETI vs CROMAGNON
ザ・クロマニヨンズ ツアー2013 イエティ対クロマニヨン
13 PEBBLES~Single Collection~
20 FLAKES~Coupling Collection~
GUMBO INFERNO
JUNGLE9
BIMBOROLL

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