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2018年1月23日 (火)

バラエティー富んだ作品を歌いこなす

Title:30
Musician:Hiba Tawaji

ここ最近続いている、各種メディアの2017年ベストアルバムのうち、リアルタイムに聴きそびれたアルバムを聴いてみるシリーズ。今回紹介するのはレバノンで活躍する女性シンガー、Hiba Tawajiのニューアルバム。ミュージックマガジン誌のワールドミュージック部門で1位を獲得した作品で、タイトル通り、今年30歳になるシンガーだそうです。

彼女については音源を聴くのもはじめてで、名前もミューマガのベストアルバムではじめて聴いたシンガー。哀愁感たっぷりのメロディーラインでその伸びやかな歌声を聴かせるスタイルで、今回のアルバムに関しては特にオーケストラを取り入れたアレンジが多く、スケール感を覚える作品が目立つ内容になっていました。

彼女自身は同じレバノンの大人気歌手、フェイルーズのフォロワー的な立ち位置のシンガー。フェイルーズに関しては以前アルバムを聴いたことがあるのですが、確かに楽曲のタイプとしては似たようなものを感じます。フェイルーズはその哀愁感漂うメロディーラインに歌謡曲的なものを感じた部分があったのですが、彼女に関してもそれは同様。例えば「Tir W Aalli」などは非常にダイナミックな展開やこぶしをいれた力強いボーカルに、どこか中島みゆき的なものを感じましたし、「Enta L Fallayt」などは完全にムード歌謡曲な楽曲になっています。

基本的には、そんな歌謡曲にも通じるようなメロディーラインの楽曲がベースとなっているのですが、「Enta Habibi」のような垢抜けたボッサ風のポップチューンもあったり、打ち込みを入れてリズミカルに聴かせる「Hkini」などバラエティー豊か。その一方で「Yalla Norkos」のようなアラブ的な側面を前に押し出した曲もあり、アルバム全体を流れるエスニックな雰囲気も大きな魅力となっています。

また上にも書いたようにオーケストラを取り入れたスケール感ある作品が目立ったのも大きな特徴。特にDisc2はオーケストラアレンジの楽曲が並んでいますし、また彼女自身、ミュージカルなどで女優としても活躍しているようで、そんな彼女の特徴を生かしてか、ミュージカル風、映画音楽風のドラマチックな構成を聴かせる楽曲も目立ちました。ただその結果、Disc2に関しては正直ちょっと大味な部分も感じてしまいました。その点はちょっと残念だったかも・・・。

アルバムは2枚組全30曲2時間を超える長さのボリューム。そういう点でも最初の1枚としては若干敷居も高いのも事実。ただ、アラブ風のエスニックな味付けをベースとしてバラエティー富んだ作風と、そして時には優しく、時には力強く歌い上げるHibaの歌声が非常に魅力的なアルバムでした。メロディーラインには歌謡曲に通じる部分もあるので日本人にも聴きやすいアルバムだったと思います。ちょっとボリュームが多かったり、大味に感じた部分もあったりしたけど、その歌声に魅了された作品でした。

評価:★★★★

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