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2018年1月14日 (日)

民謡しなけりゃ意味ないね!!

Title:エコーズ・オブ・ジャパン
Musician:民謡クルセイダーズ

今回紹介するバンドは、まずミュージシャン名からしてその方向性がわかるかと思います。福生在住のギタリスト、田中克海と民謡歌手、フレディ塚本を中心として結成されたバンド、民謡クルセイダーズ。各地のライブイベントに出演して話題を集め、さらにはライ・クーダーがTwitterで彼らに言及して注目を集めています。このたび、彼らにとって初となるアルバムがリリース。さっそく聴いてみました。

彼らのキャッチフレーズは「民謡しなけりゃ意味ないね!!」。日本に根付いている民謡をバンドアレンジで今風にまとめているのが彼らのスタイル。それだけでもおもしろいものの、民謡を今風にアレンジして歌うバンドはさほど珍しくありません。しかし、彼らが非常にユニークなのは民謡をラテンやカリブ、さらにはアフリカ音楽などのリズムにあわせて大幅にアレンジしているという点。まさに日本文化と世界の融合を目指したアルバムとなっています。

たとえば有名な民謡としては「おてもやん」をレゲエ風にアレンジ。横ノリでダビーなサウンドが心地よく、そしてどこかコミカルに仕上げていますし、「炭鉱節」はブーガルーという60年代~70年代にニューヨークで流行したラテン音楽風のアレンジに仕上げています。こちらもラテン風の軽快なリズムが「炭鉱節」に意外なほどピッタリとマッチしています。

「会津磐梯山」もボーカルパートだけ取り出すと、完全に民謡そのもののこぶしを利かせるのですが、ここに重なるラテンのリズムとの相性はなぜか抜群。「串本節」はなんとクンビアによるアレンジ。クンビアの独特のリズムが、これまた「串本節」にしっかりと合っていて、とても心地よいリズム感が味わえます。

個人的にはエチオピアンファンクのリズムにのせた「秋田荷方節」がお気に入り。うねるようなグルーヴ感のあるリズムがとても気持ちのよい楽曲で、このグルーヴと民謡のこぶしが一体となって心地よいサウンドを作り上げています。

もともとボーカルのフレディ塚本は民謡歌手ということでボーカルパートは紛うことなく日本の民謡。節回しは日本人にとって無意識のうちに身体になじんでおり、民謡に縁がないような方でもおそらく耳なじみあるかと思います。

そして、そんな純和風なメロディーがラテンやクンビア、アフロやレゲエといった遠い中南米やアフリカのビートにピッタリマッチするというのが驚かされます。ただ、よくよく考えれば、ラテンやレゲエといったリズムも、その土地土地の人々が日々の暮らしの中でうまれてきた土着のリズム。一方で民謡もやはり、私たち日本人が日々の暮らしの中でうまれてきたサウンド。同じ人間、やはり心地よく思うようなリズムは一緒なわけで、遠く離れた日本と中南米、アフリカのリズムがマッチしても不思議ではないかもしれません。

「エコーズ・オブ・ジャパン」というタイトルも絶妙で、ここにおさめられている民謡は、まさに日本の一般大衆たちの声。純和風の音楽というと、どうしても太鼓やら琴やら「いかにも」な楽器が奏でる音色に注目があつまりがち。もちろんそういう音も日本らしいものかもしれませんが、ただ、ここで歌われている民謡こそが、ある意味本当の日本人の「歌」と言えるのかもしれません。そういう意味でも、こういう形で民謡がもっともっと受け入れられると、日本の音楽シーンもさらにおもしろくなってくるかも。

民謡の独特のこぶしも心地よかったですし、さらにそれが載っているリズムも非常に心地よかったこのアルバム。その音楽的な方向性も意義深いですし、2017年の年間ベスト候補の傑作アルバムだったと思います。ちなみに本作最後の「相撲甚句」はアカペラで収録。フレディ塚本の民謡歌手としての実力を申し分なしに収録。「民謡歌手」としてちゃんと土台があるからこそ、こういう傑作が生みだせるのでしょうね。今後の活躍も楽しみです。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

3周まわって素でLive!~THE HOUSE PARTY! ~/久保田利伸

昨年行われたライブハウスツアーの模様を収録したライブアルバム。ちょっと意外なことに彼にとって初となるライブアルバムとなるそうです。彼のステージは見たことはないのですが、ファンキーな楽曲で盛り上げる一方、しんみりと聴かせるバラードナンバーでは如何なくそのボーカルの魅力を発揮。会場の熱気と楽しさが伝わってくるライブアルバムになっており、一度彼のステージも見てみたくなりました。

評価:★★★★★

久保田利伸 過去の作品
Timeless Fly
Gold Skool
THE BADDEST~Hit Parade~
L.O.K.
THE BADDEST~Collaboration~

INTELLIGENCE/夜の本気ダンス

そのバンド名の通り、アップテンポでダンサナブルなギターロックがメインのアルバム。私が彼らの作品を聴くのはこれが2枚目となるのですが・・・正直言って、いまひとつ。突き抜けたようなダンサナブルなギターロックがあるわけでもなく、メロディーに強いインパクトがあるわけでもなく、どうも中途半端。よくありがちなギターロックの一組といった感じで、これといった個性が感じられませんでした。

評価:★★★

夜の本気ダンス 過去の作品
DANCEABLE

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