セルフカバー第2弾
Title:逆輸入~航空局~
Musician:椎名林檎
椎名林檎のニューアルバムはセルフカバーアルバム第2弾。前作「逆輸入~港湾局~」をリリースしたのが2014年で、それから約3年半。かなり早いペースでのリリースとなりました。元曲はおもに2000年以降に発表された作品なのですが、特に2014年以降の楽曲も多く、それだけここ最近、彼女の楽曲が数多くのミュージシャンから求められているということが言えるのでしょう。
前作では楽曲毎にアレンジャーを変え、アレンジャー同士がその出来栄えを競争しているかのような内容でした。今回のアルバムでアレンジに参加しているのは斎藤ネコ、 村田陽一、名越由貴夫、朝川朋之。いわば椎名林檎作品ではおなじみのメンバー。そのため、非常に椎名林檎らしいアレンジの作品が並んでいます。
ミュージカル風の「人生は夢だらけ」からスタートし、サスペンスチックな「少女ロボット」もとても椎名林檎らしい作品。「暗夜の心中立て」も石川さゆり提供曲らしいムーディーな歌謡曲ナンバーですが、イントロのダイナミックなホーンの節回しは椎名林檎作品ではよく聴くようなパターンになっています。
基本、村田陽一アレンジの作品がホーンセッションを入れたダイナミックなミュージカル風のナンバーになっている一方で、「重金属製の女」「野性の同盟」など名越由貴夫がアレンジを手掛けた作品はへヴィーなギターサウンドが印象的なロックなアレンジ。特に「重金属製の女」はイントロのパーカッションのトライバルな音色も強い印象に残ります。
もともと椎名林檎の楽曲を手掛けてきたアレンジャーによる作品なだけに椎名林檎のボーカルももちろん楽曲にピッタリとマッチ。基本的にはほとんど違和感はなく、完全に椎名林檎の作品になっています。なじみのアレンジャーと彼女のボーカル、そして楽曲がとにかくしっくりとはまっており、まずはとてもおさまりのいい楽曲という印象を受けるセルフカバーアルバムでした。
また他のシンガーへの提供作ということもあって、楽曲は比較的シンプルでメロディアスなポップが主体。そのためメロディーと歌という椎名林檎の良さが存分に発揮されていたアルバムにもなっていました。ここ最近は彼女の作品、比較的シンプルにメロディーを聴かせる曲が続いていましたが、その流れにそったセルフカバーアルバム。彼女の魅力を存分に味わえた1枚でした。
評価:★★★★★
椎名林檎 過去の作品
私と放電
三文ゴシップ
蜜月抄
浮き名
逆輸入~港湾局~
日出処
ほかに聴いたアルバム
ON THE AIR/VIDEOTAPEMUSIC
ちょっと奇妙な名前のミュージシャン。公式サイトによると「地方都市のリサイクルショップや閉店したレンタルビデオショップなどで収集したVHS、実家の片隅に忘れられたホームビデオなど、古今東西さまざまなビデオテープをサンプリングして映像と音楽を同時に制作している。」だそうで、このアルバムもメロディアスなインスト曲がメインながらも、ムーディーなサウンドからメロディアスなポップまでバラエティー富んだ「音」を詰め込んだ、実験的な要素を強く感じるアイディア集のようなアルバム。聴いていてちょっと不思議な感覚の音世界が楽しめました。
評価:★★★★
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