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2018年1月20日 (土)

とても暖かい

Title:SHINJITERU
Musician:ハナレグミ

ハナレグミ約2年ぶりとなるニューアルバム。前作「What are you looking for」は数多くのゲストが参加したアルバムになっていましたが、本作にも前作に引き続き多くのゲストが参加。前作から引き続きの堀込泰行の他、かせきさいだあやスカパラの沖祐市、阿部芙蓉美というメンバーが名前を連ねています。

ただ前作ではRADWIMPSの野田洋一郎のようなちょっと意外なメンバーが加わっていたのに対して今回の参加メンバーはある程度は予想の範疇内。そのため楽曲的にも意外性のあるような曲はありませんでした。

そんなある意味「攻め」の姿勢が見られた前作に対して今回のアルバムは、語弊のある言葉かもしれませんが、ある意味「守り」的なアルバムと言えるかもしれません。実際、収録されている楽曲もアコースティックで暖かく聴かせるナンバーがメイン。ハナレグミらしい暖かさを強く感じさせる構成になっています。

特に前半から中盤にかけてその傾向が強く、アルバムはまずいきなりピアノでしんみり聴かせるバラードナンバー「線画」からスタートします。アコースティックでシンプルなサウンドと心理描写と風景を重ね合わせた歌詞をじっくりと聴かせるナンバー。暖かみを感じさせる一方でアルバムの1曲目としては地味という印象すら感じる作品ですが、本作の方向性も感じさせる楽曲とも言えるかもしれません。

その後も郷愁感あるサウンドとメロが心に残る「深呼吸」、ブルージーなサウンドが印象的な「My California」、打ち込みのサウンドを入れつつも歌詞とメロに暖かみを感じる素朴なラブソング「ののちゃん」など、彼の楽曲は以前からアットホームで、彼の人柄を反映するかのような暖かい曲が多いのですが、今回のアルバムはその傾向がより顕著にあらわれているように感じます。

ただ終盤にはダウンチューンの「Primal Dancer」や裏打ちのリズムが軽快なラテンナンバー「太陽の月」といった楽曲も顔をのぞかせます。もっとも、これらの曲に関してもシンプルなサウンドで暖かさを感じさせる楽曲となっており、アルバム全体の統一感を乱すものではありません。

最後は森の音色が加わり、まるで森の中でゆっくりと聴いているような、幻想的な雰囲気の「YES YOU YES ME」で締めくくり。最後までほっこりとした暖かさを感じる楽曲が並んでいました。

地味、と言われればひょっとしたらいままでのアルバムの中で最も地味な作品だったかもしれません。ただ一方、暖かさといえば、これまでのアルバムの中で最も暖かい作品だったと思います。シンプルだからゆえにハナレグミらしく、かつハナレグミの魅力が存分につまった傑作アルバムと言えるでしょう。聴いていて心がほっこりとする作品でした。

評価:★★★★★

で、ハナレグミからもう1作。

Title:Live What are you looking for
Musician:ハナレグミ

こちらはもともと2016年に配信限定でリリースされたライブアルバムが、「SHINJITERU」リリースにあわせてCDリリースされたもの。このたびはじめて聴いてみました。

内容はタイトル通り、前作「What are you looking for」リリース後のツアーの模様をおさめたライブアルバム。それも非常に評判がよかった2016年3月6日のNHKホールでのライブで披露された曲を全曲おさめたライブアルバムとなっています。

確かに、NHKホールというそこそこの広さのある会場ながらも、その広さを感じさせないアットホームな雰囲気をライブ音源を通じても感じることが出来ます。特にハナレグミ自身が会場の反応を見ながら曲をすすめたり、観客への呼びかけがあったりと、会場と一体となる空気を作り出しており、その一体となった空気感がこちらにも伝わってくるようです。

前作「What are you looking for」もとてもアットホームで暖かみを感じるアルバムだったのですが、その魅力をしっかりと伝えてくれているライブアルバム。彼のライブの魅力をしっかりと感じることのできた作品でした。

評価:★★★★★

ハナレグミ 過去の作品
あいのわ
オアシス
だれそかれそ
どこまでいくの実況録音145分(ハナレグミ,So many tears)
What are you looking for

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