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2018年1月 4日 (木)

初期ホフディランを聴きなおす その2

昨日に引き続き、ポニーキャニオン~コロンビア時代のホフディランの初期作品のリマスター盤「帰ってきた」シリーズの紹介です。

Title:帰ってきた31ST CENTURY ROCKS
Musician:ホフディラン

日本コロンビア移籍後初となる2001年リリースのアルバム。タイトル通りのスケール感と疾走感を感じるギターロック「TO THE WORLD(香港経由)」をはじめとして、小宮山雄飛らしいポップなギターロック路線は本作でも健在。特に本作ではベイビー楽曲を含めて分厚いサウンドの曲が多くなっています。

ただ本作ではベイビーの楽曲は少し引っ込んでしまい、ユウヒの楽曲がメイン。またサウンド的にも「FLOWER」のような打ち込みを入れて少々サイケな要素を加えた曲があったり、BIKKEのポエトリーリーディングをフューチャーした「NICE DAY」のような作品があったりと、新たな挑戦を試みたような作品が目立ちます。

特典ディスクの方もシングルのカップリングが収録されているのですが「ビーナス」のようなサイケ路線の曲があり、結果としてサイケ路線にシフトする次回作の前兆が、今から聴きなおすとこの時期の作品で見かけることが出来ます。よくよく考えると前作「ホフディラン」はある意味、ホフディランのある種の到達点だったわけで、そこからこのアルバムのリリースまでも2年8ヶ月もかけており、今から考えると、次の一歩を模索して苦労の結果、なんとかリリースしたアルバムだったのではないか、そう感じてしまいました。

もっともこのアルバムに関しては前作までもホフディランの勢いも持続しており、十分楽しめるアルバムなのですが・・・問題作となった次回作の前兆を、いまとなっては強く感じるアルバムでした。

評価:★★★★★

Title:帰ってきたPSYCHO POP KILLER BEE
Musician:ホフディラン

2002年リリースの5thアルバム。リアルタイムで聴いた時もかなり意外性を感じたアルバムですが、今回あらためて聴いても完全に問題作と言えるアルバム。いままでの彼らのシングルなギターポップ的な要素は完全に消えてしまい、シンセを全面的に取り入れてサイケポップのアルバムとなっています。

リアルタイムで聴いた時はなんでこんなアルバムを作ってしまったんだ?と疑問に思ったのですが、今回あらためて彼らのアルバムを続けて聴くと、このような路線のアルバムになったのは非常に納得がいきます。デビュー以来、その音楽性に磨きをかけ、3rdアルバム「ホフディラン」でひとつの到達点に達した彼ら。おそらくその後の方向性についてかなり悩んだのでしょう。上にも書いた通り、その悩みはこの前の作品「31ST CENTURY ROCK」でも感じることが出来ます。

そして彼らがひとつの方向性として提示したのが本作のようなサイケポップ。もちろん本作でもそれなりにポップスバンドとしてのホフディランの魅力を感じる側面もあります。ただ、このアルバムでは小宮山雄飛もワタナベイビーもポップミュージシャンとしての魅力を発揮しているとはいえず、サイケポップというある種の観念だけが先走ってしまったアルバムになっています。

正直、出来栄えとしてはかなり厳しい結果となってしまった今回のアルバム。その後、彼らは活動を休止。次のアルバムリリースまで5年の歳月をかけることになってしまうのですが、今回、デビュー以来5枚のアルバムを続けて聴くと、活動休止の理由は痛いほどわかってしまいました。はっきりいってアルバムとしては問題作。個人的には駄作だと思っています。ただ、彼らにとってはアルバム「ホフディラン」で手にいれたひとつの到達点を乗り越えるためには、今となってはどうしても必要であったアルバムと言えるかもしれません。そういう意味では「重要な」アルバムと言える作品でした。

評価:★★★

そんな訳で彼らの初期アルバム5作。アルバムを続けて聴くと、初期の彼らの音楽的模索が嫌というほどわかる内容になっています。その後はホフディランらしい作品が続き、安定感が出てくるわけですが・・・。今回の5枚のアルバム、どれも久しぶりに聴いたアルバムばかりなのですが、あらためてホフディランの魅力に触れることが出来た企画でした。


ほかに聴いたアルバム

GOOD VIBRATIONS/堀込泰行

キリンジ脱退後、比較的マイペースな活動を続ける堀込泰行。昨年、ようやくソロ名義でのオリジナルアルバムをリリースしましたが、それから1年。続いての作品は様々なミュージシャンとコラボを行ったアルバムになっています。D.A.N.やWONK、シャムキャッツといった新進気鋭のミュージシャンたちとのコラボが目立つ作品。特にグルーヴィーなリズムがカッコいいD.A.N.とのコラボ「EYE」や現代ジャズのサウンドが曲にもマッチしているWONKとのコラボ曲「Dependent Dreamers」のカッコよさが目立ちます。ただここらへんは堀込泰行との作風ともマッチしているため非常に相性の良さを感じるのですが、tofubeatsや□□□はいまひとつ、堀込泰行の作風に寄り添いすぎて彼らの個性が目立たなかったような印象も。楽曲自体の出来はもちろん素晴らしいのですが、もうちょっとコラボ相手の個性が目立った方がおもしろかったかも。

評価:★★★★

堀込泰行 過去の作品
River(馬の骨)

"CHOICE" BY 堀込泰行
One

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