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2018年1月 3日 (水)

初期ホフディランを聴きなおす その1

昨年10月、約5年8ヶ月ぶりとなるニューアルバム「帰ってきたホフディラン」をデビュー当時のレコード会社、ポニーキャニオンからリリース。文字通りメジャーシーンに帰ってきたホフディラン。そんな彼らのデビュー後から2002年まで、ポニーキャニオンとコロンビア時代のアルバム5枚が、「帰ってきた」シリーズとしてリイシューされました。オリジナルアルバムの音源がリマスターされた他、特典ディスクとしてアルバム未収録曲やデモ音源が収録。初期の彼らの作品を振り返ることの出来るうれしいアルバムとなっています。

そんな訳で今日と明日は「帰ってきた」シリーズの5枚のアルバムを紹介。初期ホフディランの活動についてあらためて振り返ろうと思います。

Title:帰ってきた多摩川レコード
Musician:ホフディラン

まずは記念すべきデビューアルバム。1996年の作品。デビュー直後の彼らは「スマイル」「マフラーをよろしく」とワタナベイビーの曲が続き、ワタナベイビーが得意とするようなユーモラスでひねくれたポップス路線というイメージが強かったのですが、アルバムも基本的にその路線。楽曲は後の彼らの作品と同じく、ワタナベイビー、小宮山雄飛の曲がほぼ半々収録されているものの、ユウヒ楽曲の「ミスターNO.1」「車は進んで僕を見る!」などもワタナベイビーの作風に沿ったような曲が多く、ユウヒらしい正統派ギターポップ路線の楽曲はあまりありません。その分、アルバム全体に統一感はあるのですが、楽曲的には少々癖があるため、好き嫌いはわかれるかもしれません。

またベイビーの曲は最近の曲に比べて「毒」の要素も強く、この点が魅力的に感じる一方で、こちらも好き嫌いがわかれる要因になるかも。ストレートな「ハゲてるぜ」なんて曲もあったりして、ビミョーな気持ちになります(笑)。ただこの曲、ユーモラスな作風と裏腹にストーンズや忌野清志郎からの影響も感じられ、ワタナベイビーの音楽的なルーツを感じる作品になっています。

特典ディスクにはシングルのカップリング曲のほか、アルバム未収録だった「キミのカオ」も収録。ベスト盤にはよく収録されている彼らの代表曲のひとつなのでアルバム未収録というのはちょっと意外・・・。カップリングもベイビー色が強いのですが、「僕の好きな人」というフォーキーな楽曲もあり、彼らの音楽性の広がりも感じさせられます。

小宮山雄飛の才能が開花しておらず、まだまだホフディランの魅力が全開になった訳ではありませんが、彼らの原点として楽しめるポップのアルバム。特にベイビー楽曲は彼の魅力がさく裂しており、ベイビーのファンにはたまらないアルバムかもしれません。

評価:★★★★

Title:帰ってきたWashington, C.D.
Musician:ホフディラン

1997年リリースの2ndアルバム。オリコンでは初登場10位を記録しており、彼らにとって現時点においてシングルアルバム通じて、唯一のベスト10ヒットとなっています。

間違いなく彼らの転機になったのは1997年の「恋はいつも幻のように」。いままでのワタナベイビー路線のイメージを覆すような切ないメロディーが特徴のギターロック。言わずとしれば小宮山雄飛による大名曲ですが、この曲をはじめとして今回のアルバムでは小宮山雄飛の才能が一気に開花。「SUPER DRY」「夜」などオルタナ色の強いギターロックの作品が展開され、初期のホフディランのひねくれたユーモラスなポップ路線というイメージから、オルタナ系ギターロックというイメージに大幅にシフトしています。

その分、本作はベイビー楽曲のインパクトが薄くなってしまっているのですが、その分、「Baby's Song」のようなメタル路線やブルージーな「自殺(仮)」などポップ路線に留まらない彼の音楽性の幅広さを垣間見ることの出来る楽曲が並び、ホフディランの音楽性が一気に広がったアルバムとなっています。

特典ディスクは全10曲30分強とちょっと短め。ただこちらもシングルのカップリングが並んでいるのですが、こちらもインパクトあるポップソング揃いでこの時期の彼らの勢いを感じさせます。ちなみにシングルでアルバム未収録の「コジコジ銀座」も収録。こちら、タイトル通りアニメ「コジコジ」のオープニング曲なのですが、分厚いウォール・オブ・サウンドのアレンジにビートルズばりのポップチューンを組み込んだ作品。アニメタイアップ色が強い楽曲ながらも彼らの挑戦心を感じさせる楽曲になっています。

ベスト10ヒットという売上的な側面もさることながら音楽的にも彼らの勢いを感じさせる作品。ホフディランの音楽的な魅力が一気に開花した傑作です。

評価:★★★★★

Title:帰ってきたホフディランIII
Musician:ホフディラン

1998年リリースの3rdアルバム。オリジナル作品のリリース時は「ホフディラン」というセルフタイトルでしたが、今回の「帰ってきた」シリーズでは唯一「ホフディランIII」とタイトルが変わっています。ま、「帰ってきたホフディラン」だと昨年リリースしたオリジナルアルバムと同タイトルになってしまうんで、それを避けたんでしょうが。

前作と若干迷う部分はあるのですが、個人的にはホフディランの最高傑作を上げるとすれば本作でしょう。まず小宮山雄飛楽曲が前作から引き続きのりまくっています。アップテンポで勢いのあるギターロック「極楽はどこだ」から彼のメロディーセンスの良さを見せつけるミディアムチューン「欲望」など名曲揃い。さらに前作では勢いのあるユウヒの楽曲の影に隠れてしまったベイビー楽曲も、「遠距離恋愛は続く」のような彼らしいかわいらしいポップソングや「僕がおこられた」のようなユーモラスなポップチューンなど、ユウヒに負けず劣らずの名曲を聴かせてくれます。

特典ディスクにはいままでと同様、シングルカップリング曲やアルバム未収録のシングル「STAND」、さらにはベスト盤のみに収録されていた「Jailhouse Rock」も収録。特に中盤ではシングルのカップリングとして収録されていたライブ音源も収録。ライブミュージシャンとしての魅力も感じるとともに、当時の彼らをめぐる盛り上がりもその黄色い歓声から感じることが出来ます。

いい意味で小宮山雄飛とワタナベイビーがお互いに刺激しあい、それぞれが実力を出し切った名曲を生み出してきた文句なしの名盤。セルフタイトルという自信のあらわれも納得といった感じの作品でした。

評価:★★★★★

で、明日は残り2作を紹介します。

ホフディラン 過去の作品
ブランニューピース
13年の金曜日
14年の土曜日
15年の日曜日
2PLATOONS
帰ってきたホフディラン

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