岡崎ジャズストリート2017
会場 岡崎信用金庫本店、東邦ガス 他 日時 2017年11月4日(土)

久しぶりにライブサーキット系のイベントに足を運んできました。岡崎ジャズストリート。毎年、岡崎で開催されているジャズ系のライブサーキットです。このイベントが開催された11月4日、ちょうど1日時間が空き、いろいろと調べる中、このイベントにBloodest Saxophoneと土岐麻子というちょうと見てみたいミュージシャンが参加していることを知り、足を運んでみました。
このイベントは「ジャズの街」を標榜している岡崎で開催されているイベント。チケットが必要な全11会場の他、チケットが不要な会場も13か所設け、イベントの最中は町中にジャズが流れ出しているイベントになっています。ちなみにチケットが必要な11会場についても、音楽専門のホールは数か所だけで、他は会社の中のホールだったり、ホテルやお寺の一角だったりを利用しており、街ぐるみで参加しているようなイベント。運営のスタッフも普通のおじさん、おばさんだったり、おそらく地元の高校生と思われる子が運営しており、手作り感覚も感じるイベントになっていました。
Bloodest Saxophone@中部美容専門学校岡崎校
有料会場のステージはこの日は13時からスタート。まずはさっそくお目当てのBloodest Saxophoneを見に会場の中部美容専門学校岡崎校へ。会場は専門学校の中のホール。舞台もないようなステージで、カーテンも特にひかれず明るい状態の中での会場。ライブを見るにはちょっと不思議な感じなのですが、逆にバンドのメンバーは非常に身近に感じられる会場になっていました。
さてBloodest Saxophoneはアルバムを聴いたことはあるのですが、ライブを見るのはこの日がはじめて。メンバー全員、スーツ姿でビシッと決めています。メインをはっているテナーサックスの甲田'ヤングコーン'伸太郎はスーツにシルクハットで決めて、バリトンサックスのユキマサはスキンヘッド、ホーンのCohは非常に大柄で存在感があり、メンバーのキャラ立ちも十分。見た目も非常に決まっていました。
楽曲はデューク・エリントンの「キャラバン」をカバー。これがサックスの音をブイブイと響かせてスモーキーな雰囲気の渋くカッコイイナンバー。どちらかというと陽の光の差し込むような会場よりも夜のライブハウスが似合いそうな感じなのですが・・・(^^;;さらに同じデューク・エリントンのナンバー「イン・ア・センチメンタル・ムード」。こちらはしんみりと聴かせるナンバーもしっかりと決めてくれます。
その後もギター、ベース、ドラムスだけのナンバーを入れてきたり、トロンボーンのCohがボーカルを取り、古いヒット曲として「スウィート・スー」を歌ったりと、バラエティー富んだ展開に。彼らの楽曲は、1930年代から40年代にかけて流行した「ジャンプ」と呼ばれるビックバンドに影響を受けたアップテンポなブルースがメイン。そのため、楽曲としては戦前や50年代あたりのブルースの香りも漂うようなルーツ志向の楽曲がほとんど。本人たちのパフォーマンスも決まっていて、めちゃくちゃカッコよいパフォーマンスを見せてくれました。正直、真昼間に椅子席で見るよりもライブハウスで思いっきり踊りながら見てみたかったです。予想以上に素晴らしいステージで、これはまたライブを見てみたいなぁ~。今度はビール片手に思いっきり踊りながら見てみたいです!
土岐麻子@岡崎信用金庫本店
続いてはこの専門学校の目の前にある岡崎信用金庫本店へ。この2階のホールで土岐麻子のライブを見に行きます。この信金、全国屈指の規模を誇る信金なだけに本店もかなり大きく重厚感が。ここでジャズのコンサートというのもちょっと不思議な感じ。ホールもそれなりに大きなステージとなっていました。

土岐麻子はアルバムこそリリースされるたびに聴いているのですが、ライブを見るのは久しぶり。相変わらずきれいな方で見とれてしまいます(笑)。彼女はジャズというよりもポップスシンガーなのですが、彼女の父親はジャズサックス奏者の土岐英史。本人もジャズのアルバムをリリースしていたりします。それだけにこの日は普段とはちょっと違う、ジャジーなステージになるのか・・・と思っていたのですが、「Beautiful Day」からスタート。その後も「Fancy Time」「Blue Moon」と最新アルバム「PINK」からのナンバーが続き、通常モードのポップスのステージとなっていました。
その後はカバー曲へ。マイケル・ジャクソンの「Human Nature」、ニーナ・シモンで有名な「Feelin' Good」、さらにちょっと変わった選曲で「おてもやん」をポップ風アレンジにして披露してくれました。なんでも最近、日本の民謡に興味が出てきたそうで、この「おてもやん」もなかなかユニークなカバー。この日の選曲の中でも決して浮かずに自然に歌い上げていました。
さらに「僕は愛を語れない」、そしてCMソングにもなりおそらく彼女の曲の中では一番知られていると思われる「Gift~あなたはマドンナ~」で締めくくり。50分の予定がちょっと短めの40分でのステージとなったのですが、基本的にはジャズというよりもポップスの楽曲を聴かせるステージとなりました。
久しぶりに彼女のステージを見たのですが、かわいらしいボーカルも以前から変わりなく、とても楽しいステージを見せてくれました。ジャズを期待した層からするとちょっとポップス過ぎるかな?とも思うのですが、この日、土岐麻子がお目当ての一人だった私にとっては十分満足の行くステージ。彼女のステージ、また見てみたいです。
ユッコ・ミラーBAND@東邦ガス
さて、この日のイベントのお目当て、Bloodest Saxophoneと土岐麻子を見たので、次は何を見ようか迷ったのですが・・・事前にいろいろと調べた結果、ユッコ・ミラーというジャズサックスプレイヤーのライブを見に行くことにしました。非常に若いサックスプレイヤーで(年齢未公表ながらもおそらくは20代前半)、この日のパンフレットに「萌え系ファッションで話題のサックスプレイヤー」と書いてあったのですが、そのような奇抜なファッションといういで立ちながらも、キャンディー・ダルファーやグレンミラー・オーケストラとその実力が非常に高い評判を呼んでいるジャズミュージシャンだそうです。

会場は東邦ガスの岡崎営業所内のホール。おそらく普段は研修か何かに使われていそうな比較的こじんまりとした会場ということもあってか、人の入りは超満員になっていました。
で、会場にあらわれた彼女は、カラフルに染めた髪に服はピンクのセーラー服というかなり奇抜なスタイル(笑)。背格好はかなり小柄で、とてもかわいらしい女の子といった感じでした。本人曰く、もともとは違った服装だったそうですがパンフレットに「萌え系ファッション」と書かれた期待に応えるためにドンキホーテで購入したピンクのセーラー服に着替えたそうです。
ちなみにMCでも「萌え系」を意識したようなハイトーンでのトークで、「ミラクル星から来た」というどこかで聴いたようなキャラ設定のいかにもなトークを展開して、会場に微妙な空気感を漂わせていました(笑)。
ただ・・・ライブがスタートするとそんな雰囲気は一転。サックスのプレイはあんな小柄な身体のどこにこんなパワーを秘めていたんだろうと思うようなアグレッシブな演奏。まずは「Yes Or No」というウェイン・ショーターのナンバーからスタートしたのですが、その力強いプレイに一気に惹きこまれました。
その後は彼女のオリジナルアルバムから「Pick Up The Pieces」。さらには彼女のキャラ設定「ミラクル星へ帰る途中の旅についての曲」らしい(^^;;「Miller Crew」を披露。ただ、この「痛い」設定とは異なり、楽曲自体は非常にカッコいいナンバーに。宇宙の旅をイメージしたようなスペーシーなエフェクトを入れたり、さらにダイナミックな演奏が入ったりと、ジャズでありながらもロック的なちょっとプログレっぽい要素も感じられる曲で、非常に惹きつけられました。
一方続く「Lagrimas」というナンバーは一転、ムーディーな雰囲気にしんみりと聴かせる曲に。彼女の風貌からするとかなりギャップのあるナンバーなのですが、非常に表現力豊かなプレイを聴かせてくれます。最後を締めくくるのは「Uptown Funk」というジャズファンクのナンバー。この曲もファンキーなリズムで思わず踊りだしたくなるような曲。最後はユッコ・ミラーが客席の中を歩きながらプレイして観客を沸かせました。
ジャズのイベントながらこの日3組目にしてはじめてスタンダードなジャズのライブを見たのですが、ユッコ・ミラー、その「萌え系」のいで立ちからするとかなりギャップのある非常にカッコいいプレイを聴かせてくれました。最初はかなり小柄に見えた彼女ですが、ステージ上の存在感は抜群で、最後の方はステージの上でかなり大きく見えるように感じれました。MCに関しては正直、かなり引いた部分もあるのですが、それは良くも悪くも彼女のキャラとして(笑)、非常に楽しめたステージ。また機会があれば彼女のステージも見てみたいです。
さてこの日はこの後、もう1ステージあったのですが、個人的な事情のためユッコ・ミラーのステージを最後に会場を離れました。3組のステージでしたがどれも非常に素晴らしいステージばかり。かなり満足感の高いパフォーマンスばかりでした。この日は無料ステージということで街角の至るところでも演奏が行われていたようですが、無料ステージのメインとなる場所は私が足を運んだ有料会場の場所からはちょっと離れており、そちらの雰囲気はあまり味わえなかったのはちょっと残念。ただとても楽しいイベントだったので、また機会があれば足を運んでみたいです。
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