アルバムレビュー(洋楽)2017年

2017年3月21日 (火)

アンビエントがテーマの2枚組

Title:Principe del Norte
Musician:Prins Thomas

今年に入ってから2016年に話題となったアルバムの中で聴き逃したアルバムをいまさらながらいろいろと聴いているわけですが、おそらくそんなアルバムもこれが最後。ノルウェーのDJ/プロデューサー、Prins Thomasがリリースした2枚組のニューアルバム。ミュージックマガジン誌の「ハウス/テクノ/ブレイクビーツ」部門で2016年度の1位を獲得したアルバムです。

Prins Thomasというプロデューサーの名前は今回初耳。いろいろと調べていく中で「コズミック・ディスコ・プロデューサー」という肩書に出会ったのですが、この「コズミック・ディスコ」というジャンル、調べてみてもどんな感じのジャンルなのかいまひとつわからない・・・。彼の楽曲は非常にスペーシーな曲が多いので、こんな雰囲気のディスコミュージックを「コズミック・ディスコ」というのでしょうか??

今回のアルバムのコンセプトはアンビエントということで全体的に淡々としたサウンドが延々と続いていきます。楽曲のタイトルもアルファベットをAから順番に並べただけという非常にシンプルなもの。楽曲の色などをほとんど感じさせない、ある意味サウンドが並んでいるだけ、とでもいうようなアルバムになっています。

ただ2枚組となる本作ですが、あきらかに1枚目と2枚目とではその方向性が異なります。1枚目はスペーシーなサウンドに淡々としたミニマルテイストのメロディーが続いていく感じ。アンビエントらしく抑えめのサウンドを延々と聴かせる構成になっておりメロディーラインが意外とポップで耳なじみやすいのが印象的でした。また楽曲は1曲あたり6分から長い曲で14分弱。その中でミニマル的に淡々とサウンドが続いていくわけですが、所々でサイケデリックなサウンドが加わったり、ドリーミーな雰囲気となったりと徐々に変わっていくサウンドがまたユニークにも感じました。

一方2枚目に関してはテンポのよいリズムが前面に出てきている構成に。こちらも抑えめなサウンドで高揚感はないとはいえ、例えば四つ打ちのリズムでトランシーなリズムを楽しめる「G」などはフロアで流れれば十分踊れるだけのダンサナブルな楽曲に。「E」などもファンキーなリズムを楽しめ、軽快でリズミカルなサウンドが楽しめる楽曲になっています。

アンビエントというテーマらしく淡々としているという印象はあるのですが、1曲の中で楽曲が徐々に変化して様々な構成を楽しむことが出来、そして意外とポップなメロディーが根底に流れていることもあり、2枚組95分程度というボリュームのアルバムながらも全く飽きることなく楽しむことが出来る内容でした。年間1位という感じなのかどうかはちょっとよくわからないのですが・・・テクノ/ハウス界隈が好きなら文句なしに要チェックのアルバムです。

評価:★★★★★

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2017年3月19日 (日)

メロディーもはっきりと流れるものの

Title:Oczy Mlody
Title:The Flaming Lips

ここ最近、ビートルズのカバーアルバム「With a Little Help From My Fwends」をリリースしたり、ピンクフロイドのカバーアルバムをリリースしたりと積極的な活動が目立ったためちょっと意外な感じもするのですがオリジナルアルバムとしては4年ぶりとなるThe Flaming Lipsのニューアルバム。「Oczy Mldoy」(=オクシィ・ムロディ)というタイトルは非常に奇妙な印象を与え、インパクトあるタイトルとなっているのですがこれはポーランド語で「eyes of the young」という意味だそうです。なんか語感から受ける印象とかなり異なる感じがしますね。

事前にこのアルバムのレビューなどを見ると、メロディーが際立ったアルバム、といった評価が多かったため、個人的には最初、かなりポップな作風を想像していました。そういうイメージを持ったうえでこのアルバムを聴くと、最初はかなり戸惑うかもしれません。イントロ的な役割を果たすタイトル曲「Oczy Mlody」は確かに美しいメロディーラインは流れているものの、かなりサイケなノイズが前に出たような作品。続く「How??」もとてもスペーシーなサウンドが前に出ている作品になっています。

確かにそのメロディーラインが比較的はっきりあらわれており、ポップなメロが確実に流れているアルバムだとは思います。特に終盤、「The Castle」から「Almost Home(Blisko Domu)」「We a Famly」と続く3曲は憂いを帯びたようなメロディーラインが印象に残る作品。そのメロディーセンスがはっきりとあらわれた作風になっています。

ただそれらの曲を含めてアルバム全体としてかなりへヴィーなノイズが流れたサイケデリックで、かつスペーシーな作品に仕上がっています。重厚感あるサウンドが特徴的な「Sunrise(Eyes of the Young)」やダークなエレクトロサウンドが楽曲の根底で流れつづける「One Night While Hunting for Faeries and Witches and Wizards to Kill」、哀愁感を帯びたダークでドリーミーなサウンドが流れる「Listening to the Frogs with Demon Eyes」など、楽曲毎にパターンを変えながらもノイジーなサウンドが流れ続ける作品が続きます。

アルバムとして「歌」としての美しさは楽しめるものの、やはり全体のバランスとしてはサイケ、ノイズの部分が強く出たアルバムのように思います。もちろんThe Flaming Lipsらしいキュートなポップが楽しめるアルバムではあるのですが・・・個人的にはそのサイケデリックな音の洪水に最後の方はちょっと疲れてしまったというのが正直な感想。良作だとは思うのですが、好き嫌いはわかれそうな作品といった感じでしょうか。

評価:★★★★

THE FLAMING LIPS 過去の作品
EMBRYONIC
The Dark Side Of The Moon
THE FLAMING LIPS AND HEADY FWENDS(ザ・フレーミング・リップスと愉快な仲間たち)
THE TERROR
With a Little Help From My Fwends

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2017年3月11日 (土)

約40年ぶり(!)にスタックスからリリース

Title:This Is Where I Live
Musician:William Bell

もう3月になりましたが・・・今回紹介するアルバムも2016年に評判の高かったアルバムでリアルタイムに聴き逃したアルバムをいまさらながら聴いてみた1枚。本作は「Blues&Soul Records」の2016年ベストアルバムの1枚に選ばれたWilliam Bellの新作です。

William Bellは主に70年代から80年代にかけてスタックス・レコードで人気を博したシンガーソングライター。1976年には「Tryin' To Love Two」がアメリカのR&Bチャートで1位を獲得するなど高い人気を誇りました。本作はそんな彼がスタックス・レコードから42年ぶり(!)にリリースしたということで話題となった1枚。もっともスタックス・レコード自体、1975年に倒産しており2006年に復活した、という経緯をたどっているのですが・・・。また彼自体、スタックスから離れて以降もコンスタントにアルバムはリリースしています。もっとも本作は約10年ぶりとなるオリジナルアルバムとなるようですが。

そんな話題の新作は、まさに70年代のソウルミュージックをそのまま解凍したような1枚。しんみりホーンとギターサウンドをバックに哀愁感たっぷりに歌い上げる「The Three Of Me」からスタートし、おなじく哀愁感たっぷりに歌う「The House Always Wins」もホーンやギターの音色が優しく響きます。

楽曲的にはそんなリスナーの琴線に触れるような物悲しさを感じさせるメロディーラインの曲を包容力ある力強い彼のボーカルで聴かせるナンバーが並んでいます。後半も「Walking On A Tightrope」「More Rooms」などそのメロディーや彼の歌に胸がキュッとなるような曲が続きます。タイトルチューン「This Is Where I Live」のようなアップテンポな曲もありますが、こちらもホーンセッションをバックに力強く聴かせる彼のボーカルが印象的。特に「All Your Stories」などはアコギ一本で優しく歌い上げるナンバー。その切ないメロディーラインと共に強い印象を残す楽曲になっています。

一方では「Poison In The Well」やアルバート・キングのカバー「Born Under A Bad Sign」のようなロック色の強いブルースロックナンバーも目立ち、全体的にはロックリスナーにとっても聴きやすいようなアルバムになっていたようにも感じました。

とにかくその哀愁感たっぷりのメロディーラインと、そんな楽曲を優しく歌い上げる彼のボーカルが心に響いてくるアルバム。ちなみに本作、今年のグラミー賞でベスト・アメリカーナ・アルバムを受賞しており、その評判の高さをうかがわせます。ソウルミュージック好きにはおそらくたまらない1枚だと思います。

評価:★★★★★

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2017年3月10日 (金)

待望の新作!

Title:I See You
Musician:The xx

前作「Coexist」が大ヒットを記録。また各種メディアにおいても非常に高い評価を得て、一躍注目のミュージシャンとなったイギリスの3人組バンドThe xx。その後はメンバーのジェイミー・スミスがJamie XX名義でソロアルバム「In Colour」をリリース。こちらも大きな評判を呼びました。

しかしThe xxとしてのアルバムはその後久しくリリースされず約4年半。ようやくのリリースとなる待望のニューアルバムがリリースされました。久々のアルバムとなったのですが全英チャートでは前作に引き続き1位を獲得。さらにアメリカビルボードチャートでは前作の最高位5位を上回る2位を記録するなどその期待値の高さをうかがわせます。

そんな彼らのニューアルバム、まず印象的だったのは男女のツインボーカル、ロミー・マドリー・クロフトとオリヴァー・シムによるデゥオでしょう。優しい雰囲気のポップなメロディーラインが印象的なのですが、メンバー全員幼馴染という間柄だそうで、それだけに息の合ったデゥエットを聴かせてくれます。2人とも包容力あるボーカルが魅力的なのですが、お互いのことをよく知っている2人のデゥエットだけにお互いを気遣うようなやさしさをそのボーカルから感じることが出来ます。

この2人のデゥオが印象的なポップなメロディーラインというのは前作「Coexist」から共通点。一方、前作から大きく変わった部分があります。それはサウンド。前作は音をそぎ落としたシンプルで空間を生かしたようなサウンドが特徴的でした。今回のアルバム、1曲目「Dangerous」はリズムを強調したダンスチューンとなっており、Jamie XXでの活動からの影響を感じさせます。こちらは比較的音の作りはシンプルとなっているのですが、続く2曲目「Say Something Loving」は重いベースの音やパーカッション、さらにはギターやピアノの音まで加わる分厚いサウンドが特徴的。その後もスペーシーでスケール感を感じる「A Violent Noise」や反響する音を生かしたダイナミックなサウンドが神秘的な「Brave For You」など、音数は前作より圧倒的に増え、分厚いサウンドが特徴的な楽曲が並びました。

個人的には音を絞ったシンプルな曲が好み、ということもあり前作の方がよかったかな、というのが正直な感想。ただ単純に前作のコピーを作るのではなくバンドとして新たなサウンドを模索しているということは強く感じることが出来ました。またサウンドにしてもただ単に音を詰め込んで分厚くしたりスケール感を出したりしている、という感じではなく本作に関してもまたその音には緊迫した空気を感じられました。

特にアルバムの中で印象に残ったのが終盤。荘厳さを感じる出だしからリズミカルなポップソングへと展開していく「On Hold」から、アップテンポでポップでキュートメロディーが印象的な「I Dare You」へとインパクトある楽曲が並んだかと思うと、ラストはピアノの音をバックに2人のボーカルをしっかり聴かせる「Test Me」で終了。彼らの魅力を存分に感じ、このアルバムは幕を下ろします。

上にも書いた通り、正直なところ前作の方が好みでしたが、The xxの久々のアルバムとして次の一歩を感じさせる作品でした。前作のイメージもそのままでしたから、久々の新作としてファンにとっては期待どおりの作品と言えるかもしれません。2017年1月早々にリリースされたアルバムですが、これもまた2017年を代表する作品としていろいろと話題になりそうです。

評価:★★★★★

The xx 過去の作品
Coexist

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2017年2月25日 (土)

70年代ソウルをそのまま解凍

Title:Special Night
Musician:LEE FIELDS&THE EXPRESSIONS

30年以上のキャリアを持ち、今のファンクバンドからもリスペクトを集め、そのスタイルから「リトル・ジェイムス・ブラウン」という異名を持つアメリカのファンクミュージシャン、LEE FIELDS。今回紹介するのはそんな彼のニューアルバムです。

ジャケット写真からしていかにも昔ながらもレコードジャケットを彷彿とさせるのですが、楽曲自体もまさに70年代をそのままパッケージしたような古き良きファンクがつまったようなアルバム。まず1曲目、いきなりタイトルナンバーの「Special Night」からスタートするのですが、ムードたっぷりのホーンの音色に彼の力強い歌声が重なるバラードナンバー。そのスタイルからまるっきり古き良き時代のソウルそのものです。

基本的にその後もそのボーカルで歌い上げるスタイルのバラードナンバーがメイン。「Lover Man」みたいにちょっとセクシーさを感じさせるボーカル曲もあったり、「Let Him In」のようなギターサウンドを絡ませつつ、ソウルフルに歌い上げるナンバーもあったり、昔ならのソウルナンバーの中で微妙にそのボーカルスタイルを変えてくるのも魅力的ですし、彼の実力を感じさせます。

そんなミディアムチューンの中に挟まれているアップテンポでファンキーな楽曲も魅力的で大きなインパクトに。「Make The World」はぶっといホーンやバンドサウンドで非常に黒さを感じるファンクナンバー。「How I Like It」もへヴィーなギターリフが印象的なリズミカルなファンクチューンに。アップテンポなナンバーについても、これでもかというほど黒く、分厚いサウンドがとても魅力的に仕上がっています。

言ってみれば冷凍パッケージされた70年代ソウルをそのまま解凍されたようなアルバム。それだけに黒さを感じさせるそのサウンドは素直に気持ちよかったのですが、その反面、あまりにも70年代そのまま過ぎないか?というのを感じたのも事実。もちろん、70年代ソウルをそのまま再現しているという点で、その時代のソウルが大好きなら間違いなくはまる1枚だと思います。ぶっといサウンドがとにかく気持ちよいアルバムでした。

評価:★★★★

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2017年2月24日 (金)

21分の短さにNINの魅力が凝縮

Title:Not The Actual Events
Musician:NINE INCH NAILS

突如リリースされたNINE INCH NAILSの新作は5曲入り21分のEP。今回もまたなかなかユニークなのがそのリリース形態で、ダウンロードもしくはLP盤のみでのリリース。ちょうど先日、OKAMOTO'Sが同じような形態でEPをリリースしました。NINE INCH NAILSがそんなOKAMOTO'Sを知っていて・・・という訳ではないと思いますが、基本、ダウンロードでのリリース、フィジカル版はCDではなくレコードというスタイル、今後増えていくかもしれません。

さてそんな彼らの新作ですが、前作「Hesitation Marks」から約3年4ヶ月ぶりのリリースとなります。前作「Hesitation Marks」はインダストリアルでへヴィネスという彼らのイメージからするとかなり軽いエレクトロサウンドという印象の作品でした。今回の作品も比較的軽く、聴きやすいという印象を受けたのですが、前作よりはへヴィネスさがグッと上がった作品になっています。

1曲目「Branches/Bones」はノイジーで強いビートのリズムからスタートするアップテンポなナンバー。途中、ワンテンポおいてボリュームがあがり、いきなりシャウトが始まる激しい展開がカッコいいナンバー。2分弱の短いナンバーなのですが、非常に耳を惹きつけられます。

続く「Dear World,」は軽いエレクトロサウンドがミニマルテイストで続く作品。1曲目2曲目は勢いのある作品が並び、ポップで聴きやすいという印象を受けます。それがグッと変わるのが3曲目。「She's Gone Away」は非常にダークでへヴィーなサウンドがゆっくりと襲いかかるようなナンバー。6曲に及ぶアルバム最長のナンバーで、このアルバムがへヴィネスであるという印象を形作るひとつの核となっています。

「The Idea of You」は出だしのギターがとにかくカッコいいナンバー。重々しい雰囲気で楽曲は展開していくのですが、サビでは一気にシャウトでカタルシスを爆発させるような楽曲。ワンコードで引くまくるノイジーなギターサウンドもインパクト大の楽曲になっています。そして最後「Burning Bright(Field on Fire)」は音の洪水が耳に襲う、へヴィーでサイケなナンバー。歪みまくりのサウンドで不気味な印象を残したまま、アルバムは終了します。

そんな訳で5曲5様のサウンドで構成されるアルバムなのですが、比較的エレクトロ色が強く軽い作風の楽曲から歪みまくりのサウンドでへヴィネスさが炸裂した楽曲まで短い時間でNINE INCH NAILSの様々な魅力が凝縮されたようなアルバムになっていたと思います。今回のアルバムでNINとしての新しい展開、みたいなものはあまり感じませんでしたが、きちんとNINを堪能できる良作に仕上がっていました。次のフルアルバムも楽しみです。

評価:★★★★★

NINE INCH NAILS 過去の作品
GhostI-IV
THE SLIP
Hesitation Marks

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2017年2月21日 (火)

こちらも若々しく

昨日ははじめて足を運んだJeff Beckのライブレポをアップしましたが、ライブへ足を運ぶにあたって遅ればせながら彼の最新アルバムを聴いてみました。

Title:Loud Hailer
Musician:Jeff Beck

Jeff Beckといえばエリック・クラプトン、ジミー・ペイジと並び、ヤードバーズの三大ギタリストと呼ばれ日本でも高い評価と絶大な人気を得ています。ただ、ロック史において輝かしい活躍を続けてきたお三方も既に70代。ジミー・ペイジはここ最近、レッド・ツェッペリンのアルバムリマスターの際によくその名前が登場してきますが自身のソロ作はここ最近リリースさいていませんし、クラプトンは積極的なアルバムリリースを続けていますが、落ち着いたブルージーな作品が続いています。

そんな中、目立つのは相変わらずアグレッシブなJeff Beckの活動。先日のライブでもバリバリ現役感、往年の活躍を彷彿とさせるようなロックなギタープレイを披露し、70歳過ぎという年齢を全く感じさせなかったのは先日のライブレポの通り。そして久々となる本作でも非常にアグレッシブなギタープレイを聴かせてくれています。

今回のアルバムはシンガーとしてロージー・ボーンズという女性ボーカリストを起用。またカーメン・ヴァンデンバーグという女性ギタリストも起用しており、2人の女性の起用が話題となりました。このうちロージーのボーカルはロックボーカリストらしいちょっとドスのきいたようなボーカルがダイナミックなバンドサウンドにもピッタリマッチ。女性ボーカリストらしい耳触りのよさもあいまって、アルバムにいい意味での聴きやすさを与えています。

特に「Live In The Dark」はダイナミックなギターサウンドにロージーのパワフルなボーカルがピッタリとマッチしたゾクゾクっとするほどカッコイイ、ハードロックなナンバー。「Right Now」もミディアムテンポのへヴィーなギターリフを主導として、これぞロック!といった感じの楽曲になっています。

一方では「Scared For The Children」では哀愁感たっぷりの泣きのギターが印象的な楽曲。優しさを感じさせるロージーのボーカルはここでもマッチしています。そして最後はミディアムテンポでスケール感のある「Shrine」でこれまた伸びやかなギタープレイをしっかりと聴かせて終了しました。

正直言ってしまうと、いい意味でも悪い意味でも昔ながらもギターロックといった感じ。目新しいものはほとんどありません。リスナーがJeff Beckに期待するものをしっかりと体現化したアルバムだったと思います。聴いていてJeff Beckを聴いたなぁ!という高い満足感を得られるアルバムでした。

評価:★★★★

Live+/Jeff Beck

で、こちらはライブの事前予習の意味を込めて聴いてみた最新のライブアルバム。2014年のUSライブツアーの模様を収録したアルバムだそうです。先日のライブツアーにも参加していたジミー・ホールもボーカルとして参加しています。

そのため基本的には先日のライブツアーと同様、彼のギタープレイがさく裂するロッキンなアルバム。ある意味、その後にリリースされたオリジナルアルバム「Loud Hailer」につながるようなハードなロック色の高いライブになっており、その迫力は音源を通じても伝わってきます。先日のライブでも感じたJeff Beckのステージの魅力がしっかり伝わるライブ盤でした。

評価:★★★★

Jeff Beck 過去の作品
EMOTION&COMMOTION

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2017年2月19日 (日)

パームワイン・ミュージック界若手のホープ

Title:Higher Life on Palmwine
Musician:Kyekyeku

ここ最近、ワールドミュージックのアルバムの紹介が続いていますが今回のワールドミュージックのアルバムのご紹介。アフリカはガーナのミュージシャン、Keykyekuのニューアルバム。日本人には非常に読みにくい名前ですが、これでチェチェクと読むらしいです。本作はミュージックマガジン誌のワールドミュージック部門、2016年ベストアルバムの第1位に選ばれた作品。それをきっかけに本作を聴いてみました。

彼が奏でる音楽は「パームワイン・ミュージック」という音楽。パームワインというのはヤシの実で作られたお酒のこと。アフリカ西海岸の安酒場で出されていたお酒で、このパームワイン・ミュージックというのはそんな安酒場で流れていた音楽ということでこの名前がついたそうです。

なんでもアフリカ最古のポピュラーミュージックらしいこのパームワイン・ミュージック。アコースティックギターをベースに奏でられる非常に爽やかさを感じるサウンドは、くすんだ酒場というよりも、むしろ真夏の夕方のビーチで流れていると似合いそうな、爽やかさと同時にどこかけだるさも感じられる音楽。イメージとしてはむしろボサノヴァあたりのイメージに近い音楽かもしれません。

このパームワイン・ミュージックの若手のホープと称されるのが彼、Kyekyekuだとか。アルバム全編にわたって流れてくるのは、アルベジオをベースとしたアコースティックギターの爽やかな音色。ところどころにホーンセッションも入り、非常に心地よい音色を奏でています。

都会的な雰囲気の強い垢ぬけたサウンドはアフリカ的な雰囲気は薄い感じもするのですが、「Onye Nyame Nipa」「Fine Fine Woman」のようなパッショナブルなリズムを聴かせてくれる曲も少なくなく、このリズム感覚にもユニークなものを感じました。

最初聴いた時はちょっと地味な印象も受けたのですが、その爽やかで垢ぬけたサウンドに何度か聴くうちに徐々にはまっていく魅力があります。なにより心地よくメロディアスなその楽曲は、ワールドミュージックやアフリカ音楽にあまりなじみがなくてもおそらく楽しめる音楽だと思います。聴いていると心地よい海辺の風が通り抜けていくようなアルバムでした。

評価:★★★★★

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2017年2月18日 (土)

突然のラストアルバム

Title:Forever De Generation En Gener(邦題 パパ・ウェンバよ、永遠に)
Musician:Papa Wemba

ここでも何度かおなじことを言及していますが・・・2016年は洋楽邦楽問わず数多くの有名ミュージシャンの逝去というニュースが飛びこみ、音楽ファンにとっては辛い1年になりました。そんな中でワールドミュージックのリスナーにとって大きなニュースとなったのはPapa Wembaの突然の訃報。ルンバ・ロックの第一人者としても知られ、アフリカミュージックで絶大な支持を得ていたコンゴのミュージシャンの突然の逝去のニュースは大きなショックをもって迎え入れられました。さらに彼の最期はコートジボワールでのライブの最中、ステージで突然倒れるという衝撃的だったというのも大きな話題となりました。

本作はそんな彼が死の直前まで作成を続けていたオリジナルアルバム。本人が意図しない形で奇しくもラストアルバムとなってしまった本作ですが、内容的には現役感バリバリの勢いすら感じさせる内容になっており、あまりにも突然の死をあらためて残念に感じます。

・・・とまあいろいろ書いておきながらこんなこと言うのは何なのですが、私、Papa Wembaの名前は知っていたのですがアルバムを聴くのはこれがはじめてだったりします(^^;;彼が奏でる音楽のジャンルは「ルンバ・ロック」「リンガラ」などと称されているようですが、非常にラテンの要素も強い、哀愁感漂う楽曲。そのメロディーは歌謡曲にも通じるものも感じられ、日本人の琴線にも触れる楽曲も少なくないのではないでしょうか。

なによりも楽曲的に非常に洗練されているのが特徴的。特に「Ingratitude」は女性ボーカルのセクシーでメロウなコーラスラインからスタートしており、R&B的な雰囲気すら感じられる楽曲。この曲、はじめに聴いた時は正直、間違って違うミュージシャンの曲を選曲してしまったか?と思ったくらいです。

事実上、ラストナンバーとなっている「Union」もおごそかなストリングスの音色からスタートするスケール感あるナンバー。コーラスラインも重厚感あるオペラ風に仕上げており、アフリカの音楽というイメージからするとかなり意外性ある作風となっています。

ただ一方、これらの曲のバックにしっかり鳴り響いているのがパーカッションのリズム。いかにもアフリカなポリリズムといった感じではないのですが、独特のリズム感が楽曲に独自性を与えており、洗練されたメロディーラインとのバランスの良さがPapa Wembaの大きな魅力のように感じました。

これが意図しないラストアルバムとなった訳ですが、最後まで完成されない状態でのリリースということを感じさせない魅力的なアルバムになっていたと思います。あらためて突然の逝去を残念に感じる作品でした。

評価:★★★★★

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2017年2月17日 (金)

ジンバブエが産んだスーパースター

Title:Eheka Nhai Yahwe
Musician:Oliver 'Tuku' Mtukudzi

ジンバブエ出身のアメリカ音楽界のスーパースター、Oliver 'Tuku' Mtukudzi。2013年のワールドミュージックフェスティバル、スキヤキ・ミーツ・ザ・ワールドに初来日。私もそのステージを目撃しました。本作はそんな彼の65枚目(!)となるニューアルバム。ただ、スタジオ録音としては、その2013年にリリースされ、来日公演の影響か国内盤もリリースされた「SARAWOGA」以来のアルバムとなるそうです。

そんなスタジオ録音のアルバムとしては約3年ぶりとなる本作ですが、基本的な方向性としては前作から大きな違いはありません。ギターを中心とした爽やかでコンテンポラリー色も強いサウンドが印象に残ります。特に聴かせるのは「Haasi Masanga」。女性とのデゥオとなる本作。アコギやピアノの美しい調べも印象に残るのですが、この作品でデゥオをとるDaisy Mtukudziはその苗字からもわかるように彼の奥様だそうです。夫婦ならではの息の合ったデゥオが魅力的な曲となっています。

ただ、そんな聴かせる曲もある一方、アルバム全体としてはリズミカルでトランシーな作品が目立ちます。1曲目「Chori Novamwe」からミニマルなリズムが延々と続くトランシーな作品となっていますし、「Dzikama Wakura」も爽快にはじまるバンドサウンドが後半に行くほどグルーヴ感を増す作品になっています。ほかにも「Tamba Tamba Chidembo」も軽快なリズムが中毒性の高いナンバーに仕上がっていました。

前作ももちろん、アフリカ音楽らしいパーカッションのリズムとコール&レスポンス、そしてオリヴァーの伸びやかなボーカルが魅力的な作品になっていましたが一方ではアルバム全体としては垢抜けたという印象も強いアルバムになっていました。今回もまた垢抜けたサウンドをきちんと聴かせてくれる一方、よりアフリカらしい部分を前面に押し出したような作品になっているように感じました。

もっとも上に書いたようにアルバムとしての大きな方向性は前作から本作に大きく変化したわけではありません。いい意味でオリヴァーらしさというのはきちんと確立されており、その中でのシフトチェンジにすぎません。ベテランミュージシャンらしくしっかりと軸足を地面につけた活動と言えるでしょうし、またベテランらしい安定感と余裕も感じられました。

しかし本作は前作以上にライブ映えしそうな楽曲が並んでいます。日本での知名度は決して高いわけではないので難しいかもしれないけど、また来日してライブを見せてくれないかなぁ。このアルバムの曲をライブで聴いたらとても気持ち良いと思うのですが。

評価:★★★★★

Oliver 'Tuku' Mtukudzi 過去の作品
SARAWOGA(OLIVER 'TUKU' MTUKUDZI&THE BLACK SPIRITS)

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