アルバムレビュー(邦楽)2017年

2017年7月23日 (日)

学生時代にまつわる日常ネタ

Title:手のひらを満月に
Musician:ブリーフ&トランクス

2012年の再結成以来、ほぼ1年に1枚というハイペースでアルバムをリリース。前作ではメジャー再デビューを果たすなど積極的な活動が続くブリーフ&トランクス。ただ短期間でのリリースが相次いだためか前作では正直なところ若干ネタ切れでは?という事態になり、それだけにそこからわずか1年ちょっとのインターバルでリリースされた本作も、どうなんだろうか、と思いつつアルバムを聴き始めました。

しかし、ここでまさかのブリトラ復活!日常生活の中の「あるある」ネタをユニークな視点から織り交ぜつつ、2人によるシンプルなアレンジとハーモニーによって繰り広げるスタイルは本作も健在。特に本作はここ数作の中でもっとも「ブリトラ」らしいネタがつまっていました。

例えば「奇跡のアレ」はサイモン&ガーファンクルばりの美しいギターアルペジオと2人のハーモニーをきかせながら歌っているネタはうんこネタというギャップはいかにもブリトラらしい感じ。「へーへーへー」「逆に」なんかは日常生活の中でつい口にしてしまうフレーズをユニークに切り取っているのも彼ららしい感じ。「チンポジ」なんかは男性あるあるネタ。ネタ的にはよくありがちなのですが、タイトル通りのテーマを歌詞に取り入れてポップに歌い上げているのは彼ららしいところでしょう。

「虫女」のような異常に虫に好かれる女性という若干ありえないテーマ設定ながらも笑えるようにまとめているのも彼ららしい感じ。そんな中でも特におもしろかったのが「大寝坊」。タイトル通り、大切なテストの日に大寝坊した朝の模様を描いたのですが、歌詞の内容と曲の疾走感がピッタリとマッチ。オチもなかなか秀逸で非常に笑えるネタに。また「ジェットコースター」もジェットコースターにのりながら愛の歌を歌いというある意味一発ネタが笑えます。

今回のアルバムは「学生時代にまつわる半径5メートル以内の日常」をテーマとしたコンセプトアルバムだそうですが、その通り、基本的に学生時代のネタがほとんど。アラフォー世代の彼らが学生あるあるネタを歌うテーマ設定は若干違和感を覚えるものの、この手のネタは彼らにとってまさに十八番。自分も学生時代に似たようなことがあったなぁ・・・なんてことをちょっと懐かしく感じつつ、同時にクスッと笑いながら一気に楽しめたアルバムでした。

前作でネタ切れか?と思われたのですが、彼らが温めているネタはまだまだありそう。まだまだこれからの活躍も期待できそうですね。次回作でも是非ともまた私たちをクスッと笑わせてほしいです。

評価:★★★★★

ブリーフ&トランクス 過去の作品
グッジョブベイベー
ブリトラ道中膝栗毛
ブリトラ依存症

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2017年7月22日 (土)

「月9ドラマ」でブレイクという印象とは反して

Title:PLAY
Musician:藤原さくら

昨年、ほぼ無名の状態ながらもフジテレビの月9ドラマ「ラヴソング」のヒロイン役として抜擢され、一気に注目を集めた女性シンガーソングライター。同ドラマこそ、さほどヒットはしなかったものの、主役の福山雅治が作詞作曲を手掛けた「Soup」が大ヒットを記録し、彼女自身も一躍ブレイクを果たしました。

それから約1年を経てようやくリリースされたニューアルバムが本作。ブレイクのタイミングからするとちょっと遅い印象は受けるのですが、チャート的にはオリコン最高位5位を記録しています。

彼女の楽曲については聴いたことあったのは「Soup」のみ。その曲も決して悪くはなかったのですが、平凡なJ-POPという印象を受けており、そんな高い期待を持って聴いてみたアルバムではありませんでした。なんといってもブレイクの経緯からして、「売れ線のJ-POPシンガー」という印象も強く受けていました。しかし、本作で収録されている楽曲は「月9ドラマでブレイクした女性シンガーソングライター」という一般的なイメージとは大きく乖離したものでした。

彼女の歌っている楽曲はJ-POPという枠組みからははずれている、むしろ洋楽テイストの強いオーガニックな楽曲がメイン。冒頭を飾る「My Way」など、全英語詞でオーガニックテイストの強い作品ですし、「play with me」ではフォーク、「赤」「SPECIAL DAY」ではブルース、「neckless」はロックンロールといった様々なジャンルからの影響を強く感じます。

ピアノやアコギ、あるいはエレピなどをメインとして非常にシンプルにまとめあげたアレンジも実に魅力的ですし、情報過多なアレンジを行う影響にあるJ-POPとは対極的。またスモーキーな雰囲気のあるボーカルも楽曲にマッチして味わいがあるのですが、今時の「売れ線」の傾向とは異なります。

彼女自身、影響を受けたミュージシャンとしてまずポール・マッカートニーをあげており、これはまあ誰もが知っているようなミュージシャンですが、次にあげているのがビル・ジョーンズやケイト・ラズビーといった日本で決して知名度が高いとはいえないフォーキーな女性シンガーたち。またワールドミュージックも好んで聴いているそうで、メインストリーム系のシンガーソングライターとは異なるものを感じます。

それだけにそんな彼女をなぜ月9ドラマに抜擢し、さらに福山雅治作詞作曲の楽曲を歌わせてヒットさせたのか、かなり疑問に感じます。その結果、確かにブレイクしましたがおそらく彼女を最も支持しそうな層は、「月9ドラマ挿入歌」「福山雅治の曲」といったキーワードからもっとも遠くいるような層のはず。事務所的には彼女の実力にほれ込んでブレイクさせようとしたのでしょうが、その時にこのような方法論しか取れなかったという部分に日本の音楽業界の底の浅さを感じてしまいました。

そんな訳で、予想外によかったこのアルバム。月9ドラマ挿入歌でヒットした彼女ですが、上にも書いた通り、むしろそんなキャリアに全く食指の動かないような方にお勧めしたいミュージシャン。タイプ的には彼女も影響を受けたというノラ・ジョーンズや、あるいはジョニ・ミッチェルあたりが好きなら気に入りそうなタイプかと。確かにあの曲のヒットがなかれば今の日本ではブレイクしにくそうな楽曲だとは思うのですが・・・このブレイクの方法が今後の彼女のキャリアにとってマイナスにならなければいいのですが。今後の彼女の活躍に期待したいところでしょう。

評価:★★★★★

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2017年7月21日 (金)

ストリーミングオンリーでのリリース

Title:Popcorn Ballads
Musician:サニーデイ・サービス

Popcornballads

昨年、傑作アルバム「DANCE TO YOU」をリリース。2008年の再結成以来、比較的マイペースな活動が目立っていた彼らでしたがその健在ぶりをあらためてアピールしました。そのアルバムリリースから約10ヶ月。突然リリースされたニューアルバムが大きな話題となっています。話題となった大きな要因はなによりもそのリリース形態。本作はApple Music及びSpotifyでのストリーミングオンリーでのリリース。ダウンロード及びCD形態での販売は一切なしというスタイルとなっています。日本でも配信オンリーでのアルバムを突然リリースするケースは少なくなくなってきましたがストリーミングサイトオンリーでのアルバムリリースはまだ珍しいケースだと思われます。

そんなストリーミング限定でのリリースでありアルバムの長さに制限がないことから22曲85分というフルボリュームの内容となった本作。ただこれだけ長いアルバムであるにも関わらず聴いていて全くだれることのない傑作に仕上がっていました。まず聴いた感触としては傑作アルバムだった前作「DANCE TO YOU」の流れをひいているように感じます。全体的にメロウさを感じつつもちょっとネチッとした熱量も同時に感じるようなシティポップが多く、前作から10ヶ月というインターバルやストリーミング限定というリリース形態から、「DANCE TO YOU」のアウトトラック的なアルバムなのか?と最初は感じました。

しかし聴き進めていくとアルバム全体、非常に様々なバリエーションのある楽曲が並んでいます。例えばMVも作成されアルバムの代表曲的な位置づけになっている「青い戦車」は前作からの流れを感じるファンクポップになっているのですが、「花火」はフィルスペクターばりの分厚いサウンドにキュートなメロが印象的なポップスになっていますし、続く1分に満たない小曲である「Tシャツ」はオールドスタイルのロックンロール。「虹の外」は80年代を感じさせるポップチューンになっていますし、タイトルチューン「ポップコーン・バラッド」は昔のサニーデイを彷彿とさせるようなフォーキーな楽曲に仕上がっています。

また数多い楽曲の中には少々実験的というか挑戦的というか、22曲という曲数だからこそ入れられたような楽曲も見受けられました。例えば「街角のファンク」はゆっくりとした強いビートを刻みつつ、途中にラップも登場。HIP HOPテイストも強いファンクナンバーとなっていますし、「クジラ」は挑戦的ともいえるエレクトロサウンドを取り入れています。「透明でも透明じゃなくても」もサニーデイらしいフォーキーなメロを楽しめる楽曲ながらも微妙にサイケな雰囲気なサウンドも印象的。また「恋人の歌」はアコギ1本で聴かせるデモ音源のようなつくりになっています。

曽我部恵一らしいメロというゆるい統一性はあるもののアルバム全体としてはバラバラといった感じで、コンセプチャルだった前作とは対照的ともいえるかもしれません。またストリーミングオンリーでのリリースということもあって、ひとつのコンセプトにまとまった「アルバム」というよりは出来上がった曲を並べた「プレイリスト」的な感覚の作品と言えるかもしれません。

しかしそんなアルバムにも関わらず実に魅力的な作品がズラリと並んでいた本作。再結成後は煮え切らないような作品が続いたサニーデイが前作「DANCE TO YOU」で驚くような傑作をリリースしてきたのですが、続く本作を聴く限り、むしろ今がサニーデイにとって全盛期ではないのかと思われるような脂ののった傑作となっています。他にも7分におよぶ楽曲ながらもグルーヴィーなサウンドに魅了される「クリスマス」や、軽快でバンドサウンドが心地よいギターロック「サマー・レイン」などこれだけでアルバムの中心曲として機能しそうな名曲も惜しみなく収録されています。これだけの作品を惜しみなくアルバムに収録してくるあたり、いかに今、曽我部恵一の創作意欲があふれてだしているかを実感させられます。

個人的にはむしろ前作以上に気に入った、今年を代表するような最高傑作だったと思います。Apple MusicかSpotifyに加入しないと聴けないアルバムなのですが、このアルバムを聴くためだけにでも同サービスに加入することをお勧めしたい傑作アルバムです。デビューから20年以上が経過したベテランである彼らですが、ここに至ってこれだけのアルバムをリリースしてくるとはかなりのビックリ。ストリーミングオンリーであるがゆえに宣伝もあまり行われていないようなのが残念なのですが・・・是非ともチェックしてほしいアルバムです。

評価:★★★★★

サニーディ・サービス 過去の作品
本日は晴天なり
サニーディ・サービス BEST 1995-2000
Sunny
DANCE TO YOU
桜 super love

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2017年7月16日 (日)

すべてのシングルを網羅

Title:HIROKO TANIYAMA 45th シングルコレクション
Musician:谷山浩子

1972年のデビュー以来、根強い支持を集め長くにわたり活動を続けてきた女性シンガーソングライター谷山浩子。そのデビュー45周年を記念してシングルベストがリリースされました。3枚組となる本作はデビューシングル「銀河系はやっぱりまわってる」から2012年にリリースした現時点での最新シングル「同じ月を見ている」までのシングル曲すべてをカップリングを含めて収録したアルバムとなっています。

デビューから45年、コンスタントに活動を続けてきた彼女ですが、実は私、彼女の曲をこれだけまとめて聴くのは今回がはじめて。もちろんその名前は昔から知っていたのですが、彼女のシングル曲をデビュー作から最新作まではじめてまとめて聴いてみました。そこでまず感じたのは彼女の作風がその時期にあわせてかなり変化しているな、ということでした。

デビュー曲「銀河系はやっぱりまわってる」はプログレロック風な作品になっており、まずかなりビックリさせられます。ところがそのカップリング曲でもあった「天使のつぶやき」はフォーク風の作品。しかし「河のほとりに」からはグッと雰囲気が変わり、哀愁たっぷりのメロディーに悲しい別れや片想いの歌が多い歌謡曲的な楽曲が続きます。

と思えば80年代の「カントリーガール」あたりからはむしろニューミュージックの色合いが強い楽曲になりますし、その後は徐々に比較的シンプルなアレンジながらもファンタジックな色合いの強い楽曲へと変化していきます。いい意味で言えば、その時代時代の雰囲気にあわせて柔軟に変化していったと言えるのですが、一方ではサウンド面で「これが谷山浩子だ」と言えるような強い個性が若干希薄なようにも感じました。

もっとも一方ではそんな変化していく楽曲の中でも谷山浩子としての共通点を感じる部分があって、それがデビュー当初から最近の作品まで共通している、どこか非現実的、幻想的に感じるその世界観。それも時代時代により強弱があるのですが、この世界観は一貫しています。またこの幻想的な世界観は80年代後半あたりからサウンド面にも強く反映されるようになってきてより顕著になってきたように感じます。

おそらく谷山浩子の曲としてもっとも知名度が高い曲のひとつとしてNHK「みんなのうた」で人気を博した「まっくら森の歌」があるかと思います。この曲、シングルカットはされていないのですが、2012年のシングル「同じ月を見ている」のカップリングとして収録されたため本作にも収録されています。もともと1985年に放送された曲らしいのですが、不思議な世界観の歌詞と、それにマッチしたサウンドがとても魅力的な曲。アルバム全体を通じて聴くと、谷山浩子サウンドの一種の完成形のように感じました。

ただ一方、70年代の歌謡曲路線の楽曲にも強い魅力を感じます。特に歌詞の世界はかなり悲しい恋愛模様を描いたものが多いのですが、どこか非現実的な表現にちょっと怖さを感じるような歌詞が多く、強い印象に残ります。個人的にはどこか柴田淳に近いものを感じる部分も。メロディーはちょっとベタな歌謡曲といった感じの曲も多いのですが、聴き終わった後、不思議な感覚を覚えるような楽曲も多く収録されています。

谷山浩子といえば一部で熱狂的な支持を集める根強い人気を誇るミュージシャンなのですが、一方で他人への提供曲を除き大きなヒット曲はありません。確かに時代時代で作風が変化しているため、谷山浩子サウンドというものをあまり強く感じられない点や、特にメロディーの面でわかりやすいインパクトある曲が少ないという点から、大きなヒット曲がないという理由はわかるようにも思います。ただ歌詞の面では確実にその世界観を確立しており、魅力的な楽曲が多く収録されているベスト盤でした。特にその歌詞の世界観ゆえに聴いた後にちょっと不思議な感触を覚える楽曲が多く、それが彼女の大きな魅力のように感じます。3枚組でボリューム感あるベスト盤でしたが、はじめて彼女に触れる方にも最適なベスト盤でした。

評価:★★★★★

谷山浩子 過去の作品
ひろコーダー☆栗コーダー(谷山浩子と栗コーダーカルテット)

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2017年7月15日 (土)

文字通り「初のオールタイムベスト」

Title:YUZU 20th Anniversary ALL TIME BEST ALBUM 「ゆずイロハ 1997-2017」
Musician:ゆず

タイトル通り、デビューから20年を迎えたゆずの初となるオールタイムベスト。最近、「初のオールタイムベスト」を名乗るベスト盤が多くリリースされています。ただ、その自称「初のオールタイムベスト」の中には、つい数年前に同じく通常のベスト盤を出しているミュージシャンも少なくなく、「この前リリースしたベスト盤とどこが違うの?」と思ってしまうケースも少なくありません。

ゆずに関しても最初は「あれ?この前ベスト盤出したばっかりじゃ・・・?」と思ったのですが、彼らの場合、いままで3枚のベスト盤をリリースしてきましたが、いずれも1997年~2000年、2001年~2005年、2006年~2011年とベスト盤同士の収録曲が重ならないように期間を区切っており、そういう意味では文字通り、キャリア通じてのオールタイムベストはこれが初のリリースとなります。

ゆずといえばご存じの通り、横浜桜木町でのストリートライブで人気を集めたことがデビューのきっかけ。ゆずのブレイク後、一時期街角という街角にストリートミュージシャンがあふれ、一種のブームとなりました。

彼らのデビューシングルでありこのベスト盤の1曲目に入っている「夏色」はまさにそんなストリート時代の空気をそのままパッケージした楽曲。基本的にアコースティックギターがメインの構成のシンプルなポップソングでストリートの現場がそのまま伝わってくる勢いと瑞々しさを感じます。

ただ今回のオールタイムベストを聴いてあらためて感じたのは彼らがデビューから20年たった今でもストリートのあの頃の雰囲気をそのまま持っている、ということでした。もちろんアコースティックギターのみで曲を奏でていた20年前から彼らも様々な曲に挑戦しています。ストリングスやピアノなどを入れてスケール感のある曲も数多く披露しています。しかし、基本的な路線はデビュー当初から今に至るまで変わらないように感じました。具体的に言えば彼らの曲はおそらく今、彼らが2人だけでストリートに出てアコギ1本で演奏してもしっかりと映えるような曲ばかり。それはどの曲もシンプルなメロディーラインと歌詞で成り立っているから、という言い方もできるかもしれませんが、ストリート時代の曲の作り方は今に至るまでそのスタンスはほとんど変わっていないように感じます。

今回のアルバムに関しても1曲目にデビューシングル「夏色」が来たかと思えば2曲目にいきなり「栄光の架橋」と続きます。ご存じアテネ五輪のNHK中継テーマソングとして大ヒットしたこの曲はストリングスを大胆に入れ、少々仰々しいアレンジが印象的な楽曲。アレンジという観点で言えばストリートに直結している「夏色」とは対照的な曲なのですが、この2曲を並べて聴いても意外なほどに違和感がありません。それだけ彼らの曲は根本の部分に大きな変化がないことの証拠ともいえるでしょうし、彼らもひょっとしたらそれを示すためにあえてこの2曲を並べたのかもしれません。

ちなみに今回のベスト盤でユニークなのは3枚のCDの最後に、それぞれいきものがかり、back number、SEKAI NO OWARIとのコラボでゆずの曲をカバーしています。これが3バンドとも彼らの色とゆずの色がしっかりと混じっていてなかなかユニークなコラボになっています。いきものがかりとの「イロトリドリ」はさすが両者ともストリート出身なだけに息もピッタリ。back numberとの「サヨナラバス」はバンドサウンドが入って分厚いサウンドとなり原曲とはちょっと雰囲気が異なる曲に。そしてセカオワとの「悲しみの傘」はセカオワらしいキラキラした音作りがゆずの世界観とはちょっと異なるものの、これはこれでなかなかおもしろい組み合わせになっていました。

全3枚組というボリューム感あるベスト盤でしたが、どの曲もポップなメロディーと心に響く歌詞ばかりであっという間に聴けてしまったアルバムに。懐かしい曲からここ最近の曲まで並んでいるのですが、要所要所にきちんと耳に残るヒット曲を20年間断続的にリリースしているのはさすがといった感じでしょうか。まだまだ彼らの活躍は次の20年間もその先も続いていきそうです。

評価:★★★★★

ゆず 過去の作品
WONDERFUL WORLD
FURUSATO
2-NI-
YUZU YOU[2006-2011]
LAND
新世界
二人参客 2015.8.15~緑の日~
二人参客 2015.8.16~黄色の日~

TOWA

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2017年7月10日 (月)

ただただ単純にカッコいい!

Title:NOMAD
Musician:The Birthday

約1年7ヶ月ぶりとなるThe Birthdayのニューアルバム。ギタリストをフジイケンジに交代し早くも5枚目となるニューアルバム。フジイケンジをギタリストとして迎えてからあきらかにギアがチェンジしたThe Birthdayですが、最新アルバムではその路線をさらに突き進め、The Birthdayとしての路線が完成しつつあることを感じさせます。

まずアルバム全体として圧倒的に目立つのがそのギターの音。1曲目「24時」からまず怪しげな雰囲気の先頭を行っているのがギターの音ですが、「GHOST MONKEY」「DEVOLA」などギターサウンドがまず先頭に立って目立たせるような構成の楽曲が続きます。特に「夜明け前」はギターとボーカルがコール&レスポンスのような形をとっておりまさにギターとボーカルがともに主役を担っているような楽曲になっていますし、ラストの「月の上のイライザ」も全編ノイジーなギターが目立つ内容になっています。

もちろんギターを支えるバンドサウンドもしっかりそれぞれのメンバーがその音を主張しており、バンドとしての一体感も感じます。ギターがこれだけ目立てるのは逆に言えばそれだけバンドとしての安定感が増しているからでしょう。バンドとしての実力ももちろんこのアルバムから十分に感じることが出来ます。

また疾走感あるアップテンポなリズムにポップでメロディアスな楽曲が多いのも特徴的。このポップな楽曲が目立つのも魅力的。メロがグッとポップになったというのもここ最近の傾向なのですが、「ROCK'N'ROLL GIRL」やラストの「月の上のイライザ」などインパクトあるいい意味でわかりやすいメロディーラインの曲が目立ち、これがアルバムの中で強いインパクトとなっていました。

ここ最近のThe Birthdayに関して言えるのは総じてわかりやすいという点。ギターを前面に押し出したような構成も良くも悪くもいかにもですし、ポップなメロディーラインを書いてきているという点も「わかりやすさ」の大きな要因と言えるでしょう。ただわかりやすいがゆえに彼らの楽曲を変な雑音なしに素直に楽しむことが出来ます。聴いていておもわず身体が動き出し楽曲にあわせてリズムをとっていたという感覚、このアルバムの中で何度も味わいました。それはもちろんアルバムとして非常に出来のよいガレージロックが流れているということもあるのですが、難しいこと抜きに素直に楽しめるというアルバムの「わかりやすさ」が大きな要因であるような印象も受けました。

なんかThe Birthdayといえば「THEE MICHELLE GUN ELEPHANTのチバユウスケとクハラカズユキらが結成したバンド」という紹介のされ方をよくするようなバンドなのですが、ここ最近、ようやくそんな枕詞なしにThe Birthdayを聴いてもらえるようになってきたような感じもします。ロックバンドとしてさらなる進化を続ける彼ら。まだまだこれからの活動も楽しみです。

評価:★★★★★

The Birthday 過去の作品
TEAR DROP
MOTEL RADIO SiXTY SiX
NIGHT ON FOOL
WATCH YOUR BLINDSIDE
I'M JUST A DOG
VISION
GOLD TRASH
BLOOD AND LOVE CIRCUS


ほかに聴いたアルバム

LET'S SWEET GROOVE/楠瀬誠志郎

90年代に自ら歌った「ほっとけないよ」や郷ひろみに提供した「僕がどんなに君を好きか、君は知らない」のヒットで一躍話題となったシンガーソングライター。2000年代に入って活動を休止していたそうなのですが、久しぶりに活動を再開。実に14年ぶりとなるアルバムがリリースされました。

全6曲入りのミニアルバムとなった本作。序盤の「Daisy」「ルージュが溶ける夜」はシティポップテイストの心地よいナンバーとなっています。全体的にメロディーラインにセンスの良さは感じ、往年の活躍のほどを思い出させるナンバーに。ただインパクトと、後半の楽曲に関してはいまひとつ個性が薄く、良質のポップアルバムなのですがいまひとつ印象が薄くなってしまった感じもしました。ただいいアルバムだとは思うので、これからの本格的な活動再開に期待したいところです。

評価:★★★★

Extended/YOUR SONG IS GOOD

ちょっと久々、3年半ぶりとなるYOUR SONG IS GOODのニューアルバム。もちろん本作も全編インスト。基本的にポップでメロディアスなメロディーラインを主軸に、スカやダブの要素を取り入れたサウンドが非常に心地よい作品に。サウンドはシンプルにまとめながらもシンセやギターの音色で奏でられるトリップ感が実に心地よいアルバムに仕上がっていました。

評価:★★★★★

YOUR SONG IS GOOD 過去の作品
THE ACTION
B.A.N.D.
OUT

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2017年7月 7日 (金)

大ボリュームのライブ盤

Title:キュウソネコカミ -THE LIVE-DMCC REAL ONEMAN TOUR 2016/2017 ボロボロ バキバキ クルットゥー
Musician:キュウソネコカミ

めちゃくちゃ長いタイトルが特徴的な本作は、今、特にライブシーンで人気上昇中のロックバンド、キュウソネコカミの初となるライブアルバム。全3枚組というボリューミーな内容で、2016年から2017年にかけて実施した、自身最長となる38公演のライブツアー「DMCC REAL ONEMAN TOUR 2016-2017~ボロボロバキバキ クルットゥ! ツアー~」の音源を収録しています。

ユニークなのはその構成で、Disc1は今年1月31日の大阪・なんばHatchでの公演を収録した内容。代表曲を選曲した構成となっており、ベスト盤的にも楽しめる内容になっています。そしてDisc2、3はその他37か所での公演について1か所につき1曲を収録した内容になっています。

全編疾走感ある楽曲の連続。シンセを加えたギターロックは楽曲によってはパンキッシュに激しく、楽曲によってはシンセを前に押し出したダンサナブルなナンバーに仕上げています。いかにもライブ向けという曲ばかりで、彼らのライブの楽しさがそのまま伝わってくるようなライブアルバムに仕上がっています。

ただ、今回の彼らのライブ盤を聴いてひとつ強く感じたことがあります。それは彼らの曲って、徹底的にライブ向けに機能化されているということでした。

確かにキュウソネコカミはそのユニークな歌詞にも特徴があります。身の回りの出来事を皮肉たっぷりに怒りの表現をまぜてストレートに綴った歌詞は十分インパクトがあります。ただライブアルバムで彼らの曲を聴くと、ライブの中で歌詞はさほど重きをなしていないのではないか、ということを感じてしまいます。

歌詞で何かを主張する訳ではなく、楽曲やサウンドを主張する訳ではなく、ただ徹底的に機能化された楽曲を繰り広げている、今回のライブアルバムで感じたのはそんなこと。良くも悪くもキュウソネコカミの曲にはロックバンドとしての「主張」の希薄さを感じます。

もっともそういうバンド、最近急増しているのではないでしょうか。例えば最近話題のヤバイTシャツ屋さんもそんな傾向が強く感じます。ミュージシャンとして何かを主張するのではなく、ただ徹底的にライブで「楽しめる音楽」を奏でる・・・いわゆるフェス向けといわれるようなロックバンドでそういうバンドが増えているように感じます。

もちろんそういう方向性がバンドとして決して間違っているとは思いません。音楽的な「主張」をせずに単純に楽しむことだけに主眼を置いている方向性も十分「あり」でしょう。ただ・・・そんなロックバンドって、最近ヒットシーンで主流になったアイドル勢に対してすごく不利に感じるんですよね。

なぜならアイドル勢はいうまでもなくプロの作家陣をつかって徹底的にファンを楽しませることを主眼において活動しています。ルックス面も勝負になりません。もちろんキュウソネコカミやヤバイTシャツ屋さんみたいに楽曲面での強度が強ければアイドル勢にも負けないのかもしれませんが、そんなバンドは決して多くありません。

最近、ロックフェスにアイドル勢が参加したりして「アイドルがロックに近づいた」的な言われ方をされることが多いのですが、ロック勢が音楽的な主張を捨てて楽曲で楽しむことだけに主眼を入れ出したという点で、むしろロック勢がアイドル音楽に近づいたのではないか、このライブ盤を聴いてそんなことに気が付かされました。上にも書いた通り、そういうロックバンドも決して悪くはありません。ただそういうロックバンドばかりになったら、正直、ロックシーンはつまんなくなってしまうだろうなぁ・・・そんなことを感じました。

もっともキュウソネコカミに関してはアイドル勢に負けないようなエンタメ性あふれる曲を書いており歌詞にもインパクトがあります。そういう意味では「楽しめるロック」という機能性に特化しても十分魅力的なバンドだと思います。ただ今回のライブ盤を聴くと、機能性にばかり特化したバンドが最近増えている、ということを漠然と考えてしまいました。やはり音楽的にちょっと稚拙でも、主張を感じるようなロックバンドがもっと増えてきてほしいのですが。

評価:★★★★

キュウソネコカミ 過去の作品
チェンジ ザ ワールド
ハッピーポンコツランド
人生はまだまだ続く

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2017年7月 4日 (火)

2人のポップス職人が参加した伝説(?)のバンド

Title:MOTORWORKS~COMPLETE BEST~
Musician:MOTORWORKS

今回紹介するMOTORWORKSは、Spiral Life、SCUDELIA ELECTROとしても活躍していた石田ショーキチが、もともとは洋楽のカバーをするためにL⇔Rの黒沢健一、スピッツの田村明浩、ドラムスのホリノブヨシの3人を誘って2003年に結成したバンド。その後、その活動に手ごたえを得た彼らはシングル3枚とアルバム1枚をリリースするものの2005年に活動を休止します。

しかしその後2014年に久々にライブ活動を再開。ドラムスのホリノブヨシに代わり、ウルフルズのサンコンJr.を迎えたものの残念ながら黒沢健一が闘病生活に入り活動休止。ご存じの通り、昨年、黒沢健一の急逝。そのため事実上、その活動に幕を下ろしてしまいました。

そんなMOTORWORKSですが、そのメンバーの名前を見ればわかる通り、石田ショーキチと黒沢健一という、日本を代表するようなポップス職人2人が組んだバンドというだけでポップス好きにはたまらないバンド。黒沢健一急逝によりファンからは再発を望む声が多くなったそうで、このほど、MOTORWORKSの音源が再発されることになりました。2枚組となる本作は、Disc1には彼らが唯一残した2004年のアルバム「BRAND-NEW MOTORWORKS」がそのまま収録。Disc2はシングル曲やカップリングなどでアルバム未収録だった曲が並んでいます。

「BRAND-NEW MOTORWORKS」はリアルタイムで聴いていたので今回、久しぶりに聞いてみたことになるのですが、もうとにかくこれでもかというほと胸がキュンとなるポップソングの連続にはまりまくるアルバム。L⇔RやSpiral Lifeが好きなら絶対聴くべきアルバムですし、そうでなくてもギターポップが好きならば必聴のアルバムだと思います。

またMOTORWORKSでおもしろいのはバンドの中の2人のソングライター、石田ショーキチと黒沢健一の音楽性が微妙に異なっていて、その違いがそのままアルバムに反映されている点でした。基本的に主軸にあるのはポップなギターロックなのですが、ノイジーなギターサウンドに疾走感あるメロディーで、どちらかというと80年代90年代のオルタナ系ギターロック寄りの石田ショーキチに対して、60年代70年代のギターポップへの影響が強い黒沢健一。その違いはかなりはっきりしていて、おそらく熱心なファンでなくてもどの曲を誰が手がけたか一発でわかるかと思います。

2004年の頃は石田ショーキチも黒沢健一もソロでの活動は停滞気味で、大きなヒットもなく正直、若干スランプ気味だったころ。ただそれでも2人の才能が融合するととこれだけの傑作が産みだされるという点、彼らのポップス職人としての実力を再認識させられます。2人ともその目指す方向性に微妙な違いがあるものの(おそらくアルバム1枚しかバンドとしての活動が続かなかったのはそれも理由なのかもしれませんが)、「キュートなポップソング」という共通項があるためアルバム全体にも統一感があり、2人の音楽性の違いがほどよい振れ幅となっています。

これほど素晴らしいバンドがアルバム1枚で終わってしまったことが非常に残念に感じます。また、ちょっと残念だったのが、ライブ音源みたいな未発表音源は残っていなかったんですね。特に2014年の活動再開後の音源があったら聴いてみたかったのですが・・・その点は非常に残念でした。ただ、全ポップス好きが聴くべき傑作アルバム。そのポップなメロディーラインに間違いなくはまる作品です。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

PEACE OUT/竹原ピストル

もともとは野狐禅というバンドで活動していた男性シンガーソングライター。一部では話題になったもののブレイクしきれないままに解散。その後のソロ活動でもダウンタウンの松本人志が絶賛するなど一部で話題になるもののブレイクしきれなかったものの、ここに来て俳優としての活動がブレイク。その影響もあり本作はチャート5位を記録。ミュージシャンとしてもようやくブレイクという結果になりました。

彼の楽曲はコンピ盤の中の1曲的には聴いたことあったのですが、アルバム単位で聴くのは野狐禅以来。ただスタンスとしてはその時とほとんど変わりありません。自らの体験談を入れた力強く熱い人生の応援歌。ちょっと暑苦しさも感じる部分もありますし、良くも悪くも成り上がり志向な部分も感じる部分もあります。また全体的に感情的で熱い雰囲気を出している訳にはちょっと理屈っぽい部分も目立ったかな?そこらへんがこれだけインパクトあって話題にもなったのにいままでブレイクできなかった要因なような。ただ、アコースティックサウンドを中心に非常に強いインパクトを感じるアルバムでした。

評価:★★★★

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2017年7月 3日 (月)

厳しい現実を淡々と歌う

Title:耐えて眠れ
Musician:W.C.カラス

孤高のブルースシンガーとして話題のW.C.カラス。富山で木こりをしながらブルースシンガーとして活躍しているというそのスタイルも大きな話題に。さらに前作ではなんと女優の室井滋とのデゥオ作をリリースしてきたことでも評判を呼びました。

そんな彼の単独名義では約1年4ヶ月ぶりとなる新作。前作「うどん屋で泣いた」ではブルースというジャンルに留まらず、ソウルやフォーク的な要素も強いアルバムをリリースしてきましたが、今回のアルバムでは一転、実にブルースらしいアルバムに仕上げてきました。

例えば1曲目の「汽笛を鳴らせ」はアコギがワンコードで延々とならされる典型的なブルースナンバー。その後も基本的にはアコースティックギター1本でつむがれるブルースの世界が展開していきます。

典型的なのは9曲目の「人生のせいで」。アコースティックギターとボーカルがコール&レスポンスの形式で進む典型的なブルース進行のパターン。歌詞も人生の辛さを淡々として歌ういかにもブルースらしい内容で、特に「女が出て行ってしまった」という歌詞はまさしくブルースの王道パターン。最初、正直戦前ブルースか何かのカバーではないか?とすら思いました。

そんな訳で今回はいかにもなブルースナンバーが並んだアルバムになっているのですが、そんな中、なによりも印象に強く残ったのは歌詞でした。彼の歌う歌詞は人生の悲哀について歌っています。ただ、最近のポップスによくありがちな「厳しい現実の向こうに希望を歌う」というスタイルではなく、ただただ淡々と厳しい現実をちょっとしたユーモラスな表現を加えて歌うだけ。例えば「どうにもねぇ、どうしようもねぇ」はタイトルそのままの歌詞。最後の最後まで厳しい現実を淡々と歌われるだけですし、「今日も何とか切り抜けられた」もタイトル通り、厳しい日々を1日1日過ごしている人たちの姿をそのまま描いている曲になっています。

彼の歌はそんな現実を歌うだけ。決して人生の応援歌でもありませんし、前向きに生きる人々を描いたわけではありません。ただ淡々と歌われるその現実は、いろいろと厳しい毎日を生きている私たちにとっては胸をうつものがあります。ある意味、空虚に希望を歌っている今時のJ-POP応援歌よりも、むしろ「俺もお前も厳しいよな、まあ、がんばろうぜ」とそっと背中を押されているような、そんな感覚を覚えました。

ちなみに本作、「汽笛を鳴らせ」「機関車」「侘しい踏切」など妙に鉄道関連を題材とした曲が多いのも特徴的。これもブルースでは鉄道をよく素材として用いているだけに、王道パターンといえば王道パターン。さらにラスト「DINAH WON'T YOU BLOW」はみなさんよく知っている童謡「線路は続くよどこまでも」を労働歌風にカバーした替え歌・・・・・・・・・かと思ったら、むしろこちらの方が原曲準拠で、「線路は続くよ~」の方が替え歌でした(^^;;おなじみのメロディーがこのアルバムのラストを飾るにふさわしいブルース風にカバーされていました。

そんな訳でブルースシンガーの本領発揮といった感じのアルバム。比較的幅広い音楽を聴けた前作に比べるとリスナー層はもうちょっと絞られそうですが、ただ歌詞についてはおそらく多くの方の胸をうちそうな魅力があります。最近のJ-POPに飽き足らなくなってしまった方には是非ともお勧めしたい「大人の音楽」です。

評価:★★★★★

W.C.カラス 過去の作品
うどん屋で泣いた
信じるものなどありゃしない(室井滋&W.C.カラス)


ほかに聴いたアルバム

WAVE/Yogee New Waves

ここでも何度か書きましたが、最近、いわゆる「シティポップ」的なミュージシャンが話題となって人気を博しています。今回紹介するYogee New Wavesも今、話題になっているシティポップのバンドの一組。東京を中心に活動する男性4人組バンドで、これが2枚目のアルバムとなります。

さすがに話題になっているだけあって、爽やかでメロウさもある心地よいシティポップが並んでいます。はっぴいえんどや山下達郎、サニーデイサービスなどに影響を受けたというその楽曲はまさにシティポップの王道。ほどよくインパクトもあり、またなによりも垢抜けたポップスを聴かせてくれます。

ただ過去の偉大なるミュージシャンたちの遺産を上手くつかいこなしているという印象がまだ強く、Yogee New Wavesだけの個性みたいなものはちょっと薄い印象。まだまだ成長の余地は感じるアルバムでした。とはいえ、今の段階でも間違いなくその実力は感じられる1枚。これからのさらなる進歩が非常に楽しみになるアルバムでした。

評価:★★★★

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2017年7月 2日 (日)

懐かしの90年代パンク

Title:Stories Noticed
Musician:LOW IQ 01

90年代を代表するパンクバンドSUPER STUPIDのベースボーカルとして人気を博し、その後はソロとして活動。今でも多くのミュージシャンのリスペクトを集めるミュージシャンLOW IQ 01。彼のフルアルバムとしては3年ぶりとなるニューアルバムがリリースされました。とはいえ個人的には前作「Yes,LOW IQ 01」や、前作との間にリリースされたミニアルバム「THE BOP」は未チェック。2008年にリリースした「MASTER LOW FOR...」以来、彼のアルバムを聴くのはちょっと久しぶりとなりました。

それだけ久しぶりだったというのは「MASTER LOW FOR...」が正直あまりピンとこなかったというのも大きな理由なので久々に聴いてみた今回のアルバムもさほど高い期待はしていなかったのですが、これが予想を楽々超える、とても素晴らしい傑作アルバムに仕上がっていました。

今回のアルバム、豪華ゲストも大きな話題となっています。「Delusions of Grandeur」「MI-O-TO-SHI」ではthe HIATUS、MONOEYESの細美武士、「The Date」でMAN WITH A MISSIONのトーキョータナカ、さらに「Big Blue Sky」ではBRAHMANのTOSHI-LOWが参加しています。

彼の楽曲はメロディアスなパンクロック。基本的には90年代のパンクロックをそのまま継承していて、今聴くとちょっと懐かしさのようなものすら感じられます。例えば細美武士が参加した「MI-O-TO-SHI」などは良くも悪くも90年代パンクそのまんま。ハイスタやらHUSKING BEEやらが活躍していたあの頃をそのまま彷彿とさせます。

そんないわゆる思い出補正的な要素もあるのかもしれませんが、このパンクロックを中心としたほどよい楽曲のバリエーションも大きな魅力でした。例えば「Inconstant」はサウンドにちょっとバルカン音楽風な要素が入ったりしてユニークですし、「1958」はロックンロール風。かと思えば「Luster」はオルタナティヴロック的な要素は強くなりますし、「tokeru」ではアシッドジャズ風な要素も。さらに「Bajamar」はラテン風のインストナンバーになっています。

このバリエーションの幅も楽しめたのですが、なによりもメロディーがしっかりとポップにまとまっていてインパクトも強かったのが大きなプラス要素。1曲目を飾る「Delusions of Grandeur」や「Snowman」はヒットポテンシャルも感じる耳に残るメロディーラインをしっかりと書いていました。

以前聴いた「MASTER LOW FOR...」もバリエーションのあるアルバムだったもののいまひとつLOW IQ 01としての軸足を感じられなかった点がマイナスでしたが今回のアルバムに関してはメロディアスでポップなメロディーラインと、バンドサウンドを中心としたパンクロックという軸足を感じることが出来ました。ポップなパンクロックを難しいこと抜きで楽しめる傑作。LOW IQ 01の実力を存分に味わうことが出来ました。

評価:★★★★★

LOW IQ 01 過去の作品
MASTER LOW FOR...

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