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2017年12月17日 (日)

4枚組豪華オールタイムベスト

Title:access BEST ~double decades + half~
Musician:access

おそらく、特にアラフォー世代あたりは「懐かしい」という印象をまず受けるのではないでしょうか。T.M.Revolutionのプロデューサーとしても知られる浅倉大介のユニットaccess。1992年に結成後、93年にリリースしたシングル「NAKED DESIRE」がヒットして一躍ブレイク。翌年には紅白歌合戦にも出場するものの、95年にはあっさりその活動を休止しました。

その後2001年に活動を再開。残念ながら活動再開後については以前にような大きなヒットは少なく、90年代前半の彼らは知っていても、現在、活動を再開していることを知らない方もひょっとしたら少なくないかもしれません。ただその後はコンスタントに活動を続け、今回、デビュー25周年を記念してオールタイムベスト盤をリリースしました。

豪華4枚組となる本作。Disc1、2はいままでにリリースしてきた全シングルを発売順に並べたシングルベストに、Disc3はバラードベスト、そしてDisc4はリミックスを集めた内容となっています。

さて、これはある意味、語弊を覚悟の上で言うのですが、個人的に浅倉大介、ミュージシャンとしては「二流」だと思っています。いや、音楽シーンの第一線で30年近く活動を続け、さらにaccessやT.M.Revoutionで大ヒットを飛ばしていながら「二流」はないでしょう、そうお叱りを受けるかもしれません。もちろん、あれだけ活躍しているのですから凡百のミュージシャンよりもよっぽど才能は間違いなくあるとは思います。ただ、accessもそうですが、彼のサウンドに関しては決して目新しさはありませんし、メロディーラインにしても決して凝った展開を聴かせるような楽曲はありません。

例えばaccessの曲に関してはアップテンポな曲に関してはメロディーに十分なインパクトがあるものの、ミディアムテンポの曲に関しては正直言って平凡という印象を受けてしまいます。特に顕著だったのがバラードベスト。メロディーの展開におもしろさを感じる曲はほとんどなく、正直言って、少々退屈という印象すら受けてしまいました。残念ながら浅倉大介にバラードは向いていないに思います。

ただ一方、これは以前紹介した浅倉大介自身のベスト盤でも言及したのですが、逆に「二流」だからゆえに、変に凝ったサウンドや奇をてらった楽曲を作り出そうとせず、シンプルにリスナーが浅倉大介に求めるような曲を愚直につくり続けているように思います。そして、それこそが彼の最大の魅力ではないでしょうか。

今回のaccessのベスト盤にしても、25年というキャリアですが、シングル曲の方向性にほとんど変化がありません。まあ確かに打ち込みのサウンドに関して、デビュー当初は今聴くと、少々チープに聴こえますし、活動再開後のサウンドは今風にアップデートされ、さらにトランス色が強くなるなど、それなりに時代に沿った変化はみせています。

ただ、だからといって最先端のサウンドをとにかく取り込むということはありません。どちらかというと世間的に定着したタイプのデジタルサウンドを自らの曲にポップに取り込んでいます。だからいい意味で彼の楽曲は安心して聴けますし、おそらく最近の曲に関しても、90年代初頭に彼らのファンだった方でも十分楽しめるのではないでしょうか。

個人的にも90年代の彼らの曲はよく聴いていたものの、活動再開後の彼らの曲に関しては今回はじめて聴きました。ただ、感覚的には90年代の曲と同じように楽しめましたし、並んで聴いてもほとんど違和感ない内容。それだけ変化がないといえば変化がないのですが、ただ一方、浅倉大介がそれだけファンの期待するaccess像にしっかりと答えているということではないでしょうか。

評価は初期の作品への想い出補正も込みなのですが、ただ、それを差し引いても難しいこと抜きに楽しめるデジタルポップだったと思います。音楽的に決しておもしろいことをやっている訳ではありませんが、素直に楽しめるベスト盤でした。

評価:★★★★

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