既存のスタイルにとらわれないパフォーマンス
上原ひろみ×エドマール・カスタネーダ LIVE IN JAPAN TOUR 2017
会場 三井住友海上しらかわホール 日時 2017年12月5日(火) 19:00~
2017年最後のライブは上原ひろみのライブに足を運んできました。以前から上原ひろみのライブには行ってみたいなぁ、と思っていたのですが、今回は、先日もアルバムをリリースしたジャズ・ハープ奏者、エドマール・カスタネーダとの合同ツアー。そのため、ちょっとどうかなぁ、とも思ったのですが、彼とのコラボアルバムの内容も素晴らしかったため、今回、上原ひろみとエドマール・カスタネーダのステージに足を運んできました。
会場は名古屋伏見にあるしらかわホールという主にクラシックのコンサートを演奏する会場。壁には木目の素材がつかわれ、ちょうど良い広さの上品な雰囲気の会場で、いかにもクラシック向けといった雰囲気の会場となっていました。
ライブは定時を5分くらい過ぎた頃に会場が暗くなりスタート。上原ひろみとエドマールの2人がステージにあがり、終始2人のみでのステージとなりました。まず1曲目は「A HARP IN NEW YORK」からスタート。アルバムでも1曲目に入っている曲からのスタートとなったのですが、まず驚いたのはエドマール・・・以上に上原ひろみの演奏スタイル。ピアノの前におとなしく座って演奏するといった感じではなく、ピアノの前で全身を躍動させながら、激しく鍵盤を叩きつけたり、演奏にあわせて足を踏み鳴らしたりして、まさに全身で音楽を表現しているように感じ、そのアグレッシブな演奏スタイルにまずは惹きつけられました。
続く2曲目「FOR JACO」ではグランドピアノの弦に直接手を突っ込んで、弦を直接かきならして演奏したりして、そういう演奏方法もあるんだ、とちょっとビックリ。一方、エドマールの方もパープでありながらもギターのように弦を激しく叩きつけるように演奏しており、こちらも既存のハープのイメージとは大きく異なる演奏方法をとっていました。ある意味両者とも楽器の一般的なイメージの枠組みを超えるような演奏で、驚かされました。
かと思えば続く「MOONLIGHT SUNSHINE」「CANTINA BAND」ではある意味、本来のピアノまたはハープらしい、美しいフレーズをしんみり聴かせる演奏をじっくりと聴かせてくれました。美しいその演奏にしばし聴き入ります。また、上原ひろみとエドマールどちらのミュージシャンとしての幅の広さにも驚かされました。
途中のMCではエドマールが日本に来て、ラーメンにはまったという話が。この日も演奏の前に名古屋コーチンのラーメンを食べてきたとか。ラーメンが食べたくなってくるMC(で、ライブの後に食べに行きました(^^;;)でした。また、上原ひろみもハープという一般的なイメージからかけはなれたエドマールの演奏に、最初「なんじゃこりゃ(by松田優作)」と思ったそうです。ただ、私からすれば上原ひろみの演奏スタイルにもかなり驚かされたのですが(笑)。
その後はエドマールのソロで「JESUS OF NAZARETH」、そして上原ひろみのソロで「HAZE」をそれぞれ披露。「HAZE」はなんでも一番最初に演奏したのが名古屋だったとか。そんなエピソードを披露しつつの演奏となりました。
そして最後は「THE ELEMENTS」。「AIR」「EARTH」「WATER」そして「FIRE」の四部作からなる組曲なのですが、MCで「『AIR』『EARTH』『WATER』そして?」と客席に投げかけると大きな声で「FIRE!」という返事が。この観客とのやり取りは世界各国のライブでもやっていて、どこでも大きな声で返事があるのですが、最初日本でやった時に、ほとんど反応がなく、エドマールががっかりしたというエピソードも。ただ、その後、日本でもちゃんとファンが呼びかけに答えるようになり、この日も大きな声があがっていました。
最後といってもこの「THE ELEMENTS」、全部で30分以上にも及ぶ演奏でじっくり聴かせます。ピアノとハープの美しい音色をしんみりと聴かせるようなシーンもあれば、一方ではアグレッシブな演奏を聴かせるシーンもあったり、さらには2人ともピアノやハープの筐体をパーカッションのように叩くようなパフォーマンスも。まさにこの日のライブを総括するようなピアノとハープの様々な側面を聴かせてくれるような演奏でした。
その後はアンコールへ。しばらくすると2人が再登場。最後は「LIBERTANGO」で締めくくり。公式サイトでは「90分」と表示されていた演奏時間でしたが、たっぷり2時間10分の演奏でこの日のステージは幕を下ろしました。
今回初めて上原ひろみのステージを見ましたが、まずはそのアグレッシブな演奏スタイルに驚かされました。もともと、非常にジャズという枠組みに捕らわれない演奏を聴かせてくれるイメージがあったのですが、ステージのパフォーマンスもジャズの演奏の枠組みに捕らわれないようなパフォーマンスで惹かれました。
もちろんそれはエドマール・カスタネーダの演奏も同様。ハープをまるでギターのように激しくかき鳴らしたり、打楽器のように叩いたり、ハープという楽器のイメージとは全く異なるイメージのパフォーマンスにあらためて驚かされました。ある意味、この両者、既存の楽器の枠組みに捕らわれない演奏スタイルという意味で共通項があり、息があった2人と言えるのかもしれませんね。非常に素晴らしいパフォーマンスに、満足できたステージでした。
| 固定リンク
「ライブレポート2017年」カテゴリの記事
- 2017年ライブまとめ(2017.12.30)
- 既存のスタイルにとらわれないパフォーマンス(2017.12.19)
- 渋谷系を歌う。(2017.12.10)
- 「ジャズの街」がジャズに染まる日(2017.11.21)
- 大人のエンターテイメントショー(2017.09.30)
コメント