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2017年12月18日 (月)

変わっていく彼ら、変わらない彼ら

Title:Greatest Hits:God's Favorite Band
Musician:GREEN DAY

1990年にデビューし、30年近いキャリアを誇るベテランのパンクバンドGREEN DAY。日本でも94年にリリースしたメジャーデビューアルバム「Dookie」が大ヒットを記録し、一気に知名度を広げました。今回リリースされたのは、彼らのベスト盤。GREEN DAYのベスト盤といえば2001年にベスト盤「International Superhits!」をリリースしていますが、ご存じのように彼らはその後、2004年に「反戦」をテーマとした社会派のアルバム「American Idiot」をリリース。「パンクオペラ」と呼ばれるようなアルバム1枚がコンセプトを持った構成となっているアルバムをリリース。彼らに対する評価を一変させました。

そういうこともあり、いわば2001年の頃の彼らの立ち位置と現在の彼らの立ち位置は全く異なったものとなっています。ベスト盤としては約16年ぶりとなる本作。ある意味、その頃のGREEN DAYと今のGREEN DAYを比べると、隔世の感があります。

ただ、今回のベスト盤であらためて彼らの初期の頃の作品を聴いたのですが、やはり初期の頃の作品も非常に魅力的。ご存じ大ヒットを記録し、初期の彼らの代表曲としてよく知られる「Basket Case」や、軽快なメロディーラインが耳を惹く「Minority」など、とてもキャッチーなメロディーラインで簡単に口づさめるようなわかりやすさを持っています。彼らがブレイクした後、日本でも数多くのポップスパンクのバンドが人気を博しましたが、間違いなくGREEN DAYの初期の作品群からの影響が大きいでしょう。彼らは日本の音楽シーンにも大きな足跡を残しました。

もっとも「American Idiot」以降の作品では単なるポップなパンク路線だけではなく楽曲のバリエーションも加わり、音楽的な成長も強く感じます。ギターのアルペジオでしんみりと聞かせる「Wake Me Up When September Ends」や哀愁感あるメロディーラインの「21 Guns」などは初期の彼らでは聴けないようなタイプの作品でしょう。ただその一方、「Bang Bang」など、初期の作品群と並べても全く違和感ないポップなパンク路線の曲も多く収録されており、コアとなっている部分は実は初期も最近も大きな変化がないことにあらためて気がつかされます。

そんな変わらない彼らについて象徴的だったのがこのアルバムの最後に収録されている新曲「Back In The USA」。これこそ初期のGREEN DAYをほうふつとされるようなメロディアスなポップスパンクのナンバーで、GREEN DAYの原点はやはりここなんだということを改めて宣言しているように感じる曲でした。

初期作品から最新作まで時系列順に並べた今回のベストアルバム。そんな中でGREEN DAYというバンドの変化している部分と変わらない部分を同時に知ることができる、そんなアルバムになっていました。もっとも30年近いキャリアを誇る彼らですが、ここ最近の楽曲を含めて、いまだに楽曲にある種の新鮮味を帯びているのも驚くべき事実。まだまだこれからも数多くの名曲を世に送り出してくれそうです。

評価:★★★★★

GREEN DAY 過去の作品
STOP DROP AND FALL!!!(FOXBORO HOTTUBS)
21st Century Breakdown
AWESOME AS F**K(邦題:最強ライヴ!)
UNO!
DOS!

TRE!
爆発ライブ~渋谷編
DEMOLICIOUS
Revolution Radio


ほかに聴いたアルバム

A BRAND NEW ME: ARETHA FRANKLIN WITH THE ROYAL PHILHARMONIC ORCHESTRA/Aretha Franklin

アレサ・フランクリンのニューアルバムは新録ではなく、過去の彼女の音源にロイヤル・フィルハーモニック・オーケストラを重ねた企画盤。基本的にこの手のオーバーダビングでの企画盤は出来が悪く評判が悪いのですが、このアルバムはさすがアレサのボーカルが力を持っているためか、オーケストラアレンジでも違和感なく聴くことが出来ます。

もっともオーケストラアレンジといってもストリングスの音色は比較的控えめ。あくまでも原曲の雰囲気を壊さない程度でストリングスが入ってくるような「無難な」内容。だからこそ聴いていても違和感のない出来に仕上がってはいる一方、オーケストラアレンジにするおもしろさはあまり感じませんでした。まあ、無理にオーケストラアレンジを入れて変なスケール感だけ出して原曲の良さをぶち壊しになるよりはよっぽどましだとは思うのですが・・・。

評価:★★★★

Aretha Franklin 過去の作品
Aretha Franklin Sings the Great Diva Classics

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