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2017年12月16日 (土)

赤裸々な本音を強烈なガレージサウンドで

Title:Secret File~THE BEST OF SEKIRI~
Musician:赤痢

先日、日本のベテランパンクバンドとしてthe原爆オナニーズを紹介しました。そのバンド名があまりにも強烈なインパクトを持っていて、おそらく一度聴いたら忘れられないと思うのですが、こちらのバンドも一度聴いたら忘れられないのではないでしょうか。1983年に京都で結成し、85年にデビューしたパンクバンド。それもメンバー全員女性で、結成時は中学生だったというから驚きです。先日紹介したthe原爆オナニーズは今なお活動を続ける現役のバンドですが、残念ながら彼女たちは95年に解散し、その後、再結成等は行われていないようです。

本作はそんなパンクバンド赤痢のベストアルバム。彼女たちについてはそのバンド名のインパクトもあり名前自体は知っていたのですが、音源をきちんと聴いたのは今回がはじめてでした。

このアルバムを聴いてまず飛び込んでくるのはノイジーなギターサウンドに分厚いバンドサウンドからなる強烈なガレージロック。演奏している当時は20代前半あるいは10代という若さなのですが、そのキャリアでこれだけのサウンドを奏でることが出来るというのが驚きです。逆に若さゆえの勢いを感じますし、なによりも若さ・・・というよりも「幼さ」的なものを感じるボーカルは、その声質ゆえにパンキッシュなサウンドにもピッタリとマッチした、ある種の生々しさを感じます。

今回のベスト盤は75分という長さなのですが、29曲入りというボリューム。1曲あたりの長さは1分から2分、せいぜい3分という短さ(曲によっては5分程度の曲もありますが)。そのため次から次への楽曲が展開していきます。

また彼女たちの楽曲で耳を惹くのがそのメロディーライン。意外とポップなメロディーラインなのですが、ボーカルの歌い方もあってどこか気だるさを感じさせるメロディーに。この気だるいメロディーもまた、パンキッシュなサウンドにピッタリとマッチしており彼女たちの大きな魅力となっています。

そしてなによりも彼女たちの楽曲でインパクトがあるのはその歌詞でしょう。もともと彼女たち、(本作では収録されていませんが)デビューEPに収録されていた「夢見るオマンコ」というタイトルからして強烈な楽曲が話題になったそうですが、身も蓋もないあまりにもストレートな歌詞が耳を惹きます。ある意味、女性のありのままの心境をそのまま歌ったような歌詞がかなり強烈。

このベスト盤に収録されている曲でも「ゾクゾクするのは暴力とエロ」「19才」)という歌詞が登場してきますし、麻雀について歌っている「ウラドラ人生」だの、タイトルそのままストレートな「タバコが吸いたい」など、女性のあまりにも赤裸々な部分をそのまま歌っており、それがまた大きな魅力となっています。

楽曲的には最初から最後までストレートなガレージロック。「素晴らしき中近東」のような、ちょっとエスニックな雰囲気を取り入れた曲はありましたがバリエーション的にはさほど多くはありません。ただ、上にも書いた通り、1、2分で次々と楽曲が展開される内容なだけに聴いていて全く飽きることはありません。彼女たちのガレージロックは雰囲気的には一昔前のアングラロックといった雰囲気なのですが、その迫力あるサウンドは今聴いても非常に魅力的。ちょっとやばさを感じさせるようなサウンドは今聴いてもゾクゾクさせられます。

今回はじめて彼女たちの楽曲を聴いたのですが、一発で気に入りました。ライブも迫力ありそうだし、リアルタイムで聴きたかったなぁ、と残念に感じます。ガールズパンクの先駆的存在ともいえる彼女たち。パンクバンド、ガールズロックが好きなら是非聴いてほしいベスト盤です。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

TOGENKYO/フレデリック

初のフルアルバムとなった「フレデリズム」がいきなりのヒットを記録したロックバンド、フレデリックの新作は前7曲入りのミニアルバム。全編、エレクトロサウンドを取り入れたダンサナブルなポップチューン。似たタイプの曲が多いものの、軽快なダンスポップの連続に楽しくなってきます。基本的にはマイナーコード主体で歌謡曲テイストが強い曲が並んでいますが、ラストの「RAINY CHINA GIRL」のような明るく軽快なシンセポップのナンバーも楽しめます。

評価:★★★★

フレデリック 過去の作品
フレデリズム

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