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2017年12月 8日 (金)

「この世界の片隅に」への楽曲参加が話題に

Title:雨の箱庭
Musician:コトリンゴ

映画「この世界の片隅に」への楽曲提供が大きな話題となった女性シンガーソングライターのニューアルバム。コトリンゴ、という名前は以前から知っていたのですが、なんとなくオリジナルアルバムはいままでチェックしておらず、彼女の音源をきちんと聴いたのが「この世界の片隅に」のサントラ盤がはじめてでした。そのサントラで聴いた彼女の歌が非常に素晴らしかったため、今回、はじめて彼女のオリジナルアルバムもチェック。そして、期待通り、いや期待以上の素晴らしいアルバムに仕上がっていました。

「この世界の片隅に」で聴かせてくれた彼女の歌は、アコースティックなアレンジに力の抜けたボーカルスタイルが特徴的。この暖かく、ほどよく脱力感ある楽曲が映画の主人公の性格にもピッタリあっていました。

今回のアルバムに関してももちろんコトリンゴの作風は「この世界の片隅に」で聴かせてくれた楽曲と変わりありません。まずは雨上がりの美しくもどこか幻想的な風景を描いたピアノインストナンバーである「雨上がる」からスタート。続く「迷子になった女の子」もストリングやウッドベースなどで描かれるアコースティックなサウンドはどこかファンタジック。そこにウィスパー気味のコトリンゴの力の抜けたボーカルが暖かさもあり、曲の雰囲気にもマッチ。不思議な暖かさのある楽曲に仕上がっています。

前半はそんなアコースティックなサウンドをバックに暖かい雰囲気のあるポップソングが並びます。そしてインストナンバーの「Light Up Nipponメインテーマ」を挟んで後半の「To do」は前半と同様、暖かみあるアコースティックなナンバーながらも、ちょっとジャジーな雰囲気のナンバーに。続く「林檎」はちょっとジャジーながらもアバンギャルド風のサウンドが耳に残りますし、さらに「wataridori」はトラッド風なサウンドも印象的なナンバー。基本路線は前半と同様、暖かみのあるアコースティックなサウンドに脱力感あるコトリンゴのボーカルを聴かせるというスタイルは変わらないのですが、作風にバリエーションを感じる展開になっています。

最後を締めくくる「hanabi」はまたこのアルバムを締めくくるにふさわしい、ピアノのアルペジオをバックにしんみりと聴かせるバラードナンバー。ピアノの音色もコトリンゴのボーカルもとても優しく、ほんわかしてくるような楽曲に仕上がっています。

そんな訳で今回はじめて彼女のアルバムを聴いたのですが、とても優しくて暖かさのあふれるアルバムに仕上がっていました。「この世界の片隅に」をみて、その音楽を気に入った方なら絶対気に入るはずの作品。期待していた以上の傑作アルバムになっていました。

コトリンゴといえばここ最近はKIRINJIのメンバーとなりKIRINJIとしても活動していたのですが、先日、KIRINJIからの脱退を発表しました。もともとKIRINJIに参加する以前からソロでも既にその地位を確立していただけにKIRINJI加入のニュースも驚いたのですが、逆にKIRINJIからの脱退というニュースは、彼女もソロで忙しそうですし、まあいつかは離れるんだろうなぁ、と予想していただけにさほど驚きはありません。これからはおそらくソロでもさらに精力的に活動を続けるであろう彼女。これからの活躍も楽しみです。

評価:★★★★★

コトリンゴ 過去の作品
劇場アニメ「この世界の片隅に」オリジナルサウンドトラック


ほかに聴いたアルバム

全知全能/ポルカドットスティングレイ

人気上昇中の女性ボーカル+男性3人リズム隊という4人組バンドによる新作。前作「大正義」では椎名林檎経由でNUMBER GIRLに影響を受けたようなサウンドと書いたのですが、今回のアルバムではバンドサウンドを聴かせるものの、もうちょっとポップ色が強くなった印象も。楽曲的にはインパクトはあるのですが、もうちょっとバリエーションも欲しい感じ。「大正義」同様、もう一歩で傑作なのに・・・という惜しい印象を残すアルバムです。

評価:★★★★

ポルカドットスティングレイ 過去の作品
大正義

SAMURAI SESSIONS vol.2/MIYAVI

「対戦型コラボレーションアルバム」として2012年にリリースされた「SAMURAI SESSIONS vol.1」。本作はその第2弾となるアルバム。今回は三浦大知やSKY-HI、EXILE SHOKICHIなどR&B系やHIP HOP系かつメジャー系なミュージシャンが多く、ギターセッションというよりはエレクトロサウンドの中にMIYAVIのギターが鳴り響く感じ。ファンキーなギターはそれなりにカッコいいけども、全体的に消毒されたような悪い意味でのメジャー仕様のポップな楽曲がメインで、物足りなさは否めませんでした。

評価:★★★

MIYAVI 過去の作品
WHAT'S MY NAME?(雅-MIYAVI-)
SAMURAI SESSIONS vol.1(雅-MIYAVI-)
MIYAVI
THE OTHERS
FIRE BIRD
ALL TIME BEST "DAY2"

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コメント

コトリンゴは初めて聞きましたが、とても素晴らしい作品でした。
過去の作品も遡って聴いてみたいです。

投稿: ひかりびっと | 2018年10月 4日 (木) 21時33分

>ひかりびっとさん
ご感想ありがとうございました。

投稿: ゆういち | 2018年11月22日 (木) 23時45分

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