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2017年12月

2017年12月31日 (日)

2017年ベストアルバム(暫定版)

今年も早いものであと1時間弱となりました。みなさま、年の瀬はどのようにお過ごしでしょうか。今年も恒例のベストアルバム暫定版。正式版はまた、まだ未聴のアルバムを聴いた後、いつも通り1月下旬に。

邦楽編

まず、上期のベスト5を振り返ると

1位 SUPERMAN/水曜日のカンパネラ
2位 Popcorn Ballads/サニーデイ・サービス
3位 re:Action/スキマスイッチ
4位 平凡/ドレスコーズ
5位 TROPICAL LOVE/電気グルーヴ

これに続く下半期ベスト盤候補は・・・

PINK/CHAI
豊穣なる闇のバラッド/中川敬
東京カランコロン01/東京カランコロン
ノスタルジア/Okada Takuro
ダンサナブル/Rhymester
熱唱サマー/赤い公園
20/20/スカート
エコーズ・オブ・ジャパン/民謡クルセイダーズ
地方都市のメメント・モリ/amazarashi

全体的には豊作というほどではないものの不作という感じでもない、年間通じてそれなりによいアルバムに多く出会えた1年だったかな、という印象があります。今年も1位は水カンか?それとも??

洋楽編

上期のベスト3は・・・

1位 Drunk/Thundercat
2位 Pleasure/Feist
3位 Slowdive/Slowdive

これに続くベスト盤候補は・・・

Thrill It All/Sam Smith
Visions Of A Life/Wolf Alice
The Echo Of Pleasure/The Pains Of Being Pure At Heart
WHO BUILT THE MOON?/NOEL GALLAGHER'S HIGH FLYING BIRDS
NO ONE EVER REALLY DIES/N.E.R.D

こちらも邦楽同様、豊作というほどでもないのですが不作といった感じでもない1年。ただ、12月に発表された各種メディアの年間ベストを見ると、ケンドリック・ラマー以外、各メディア上位にランクインしているアルバムがバラバラ。それだけ強力なアルバムは少なかったということなのでしょうか。

来年もまた、多くの名盤に出会えますように。それではみなさま、よいお年を!

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2017年12月30日 (土)

2017年ライブまとめ

今年も早いものであと2日。恒例のライブまとめです。

2/6(月) BECK(名古屋市公会堂)
3/17(金) 電気グルーヴ「TROPICAL LOVE TOUR」(Zepp Nagoya)
4/14(金) 東京再起動ツアー~TALTO ナイト編~(池下CLUB UPSET)
5/26(金) 映画「カンタ・ティモール」上映会+エゴ・レモス来日ライブ(喫茶モノコト)
6/21(水) マキシマム ザ ホルモン 耳噛じる真打TOUR(Zepp Nagoya)
7/6(水) 清 竜人TOWN全国ツアー(SPADE BOX)
7/7(金) 水曜日のカンパネラ IN THE BOX TOUR(DIAMOND HALL)
8/10(木) 氣志團結成20周年記念ニューアルバム「万謡集」発売大感謝祭 『空前絶後の御礼参り ~何か言いたくて…夏~』わくわくコンサート(名古屋城 二之丸広場ステージ)
9/1(金) Andre Mehmari - Juan Quintero Japan Tour 2017(ボトムライン)
9/27(水) CRAZY KEN BAND 20TH ATTACK! CKB[攻](刈谷市総合文化センター大ホール)
11/4(土) 岡崎ジャズストリート2017(岡崎信用金庫本店、東邦ガス 他)
11/24(金) 野宮真貴、ホリディ渋谷系を歌う。(NAGOYA Blue Note)
12/5(火) 上原ひろみ×エドマール・カスタネーダ LIVE IN JAPAN TOUR 2017(三井住友海上しらかわホール)

今年はようやく久しぶりに月1ペースでライブに足を運ぶことが出来ました。そんな中でベスト3は・・・

3位 マキシマム ザ ホルモン@耳噛じる真打TOUR

今年足を運んだライブの中では間違いなくプレミアム度No.1のライブ。マキシマム ザ ホルモンのライブ活動再開ライブ。個人的にはまさか彼らのワンマンライブのチケットが確保できるとは思いませんでした・・・。私はほぼ会場の最後列に近い位置で見ていたのですが、そんな後ろまで盛り上がっており、ここ数年、いや10数年で暴れたライブに。予想通りの迫力満点、エンタテイメント性満点の素晴らしいステージ。でも、今後はなかなか見れないんだろうなぁ・・・。

2位 東京カランコロン@東京再起動ツアー

彼女たちがメインアクトとなってのイベントライブでのステージ。短い時間でのステージということもあってベスト盤的な内容になっていたのですが、なによりもワクワクとさせるポップなナンバーの連続に、意外とライブ映えする分厚いサウンドの演奏が強く印象に残るステージ。なによりも東京カランコロンのメロディーのポップスさを再認識し、彼女たちがさらに好きになった素晴らしいステージでした。

1位 水曜日のカンパネラ@IN THE BOX TOUR

正直言って最初はカラオケのようなステージで、ひょっとした音源は最高だけどライブはいまひとつか・・・と危惧していたのですが、途中からなんとコムアイがステージから降りて観客席の中を歩き回り歌うという展開に。さらに出し惜しみなしのエンタテイメント性あふれるパフォーマンスの連続で、気が付いたらすっかりはまっていたステージでした。ライブの迫力というよりも、しっかりとみせるエンタテイメント性あふれるライブで、とにかく楽しいステージでした。

他にも数多くの素晴らしいステージを見ることが出来た2017年。やはりライブは楽しい!という事実を再認識できた1年でした。また来年も出来るだけたくさん、ライブに足を運びたいなぁ。

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2017年12月29日 (金)

今回もArcaサウンド

Title:utopia
Musician:bjork

ビューくの約3年ぶりとなるニューアルバム。前作に引き続きArcaをプロデューサーとして迎えた今回の作品。今回のアルバムの感想をいろいろとみてみると、少々ユニークな傾向に気が付かされました。感想では前作「Vulnicura」との対比によるものを良く見かけましたが、「前作と方向的には似ている」という感想と「前作と全く逆」という感想を同時に見かけるのです。

前作「Vulnicura」はある意味、とてもわかりやすいアルバムになっていました。彼女のパートナーであったマシュー・バーニーとの別れというわかりやすいテーマを素材としており、サウンドについてもそのイメージを踏襲したもの。比較的重いストリングスの音色を軸としたエレクトロのサウンドは、歌詞のテーマを反映した暗いものに仕上がっていました。

その点、今回は対照的な部分が多く、今回は歌詞も「愛の喜び」を歌ったようなものがよく見受けられます。「arisen my senses」でも

"but he sees me for what who i am"
(だけど彼は私のありのままを見てくれる)

(「arisen my senses」より 作詞 bjork)

なんていうちょっとおのろけ的な歌詞が登場してきたりしていますし、サウンドにしてもハープや笛の音色を取り入れた明るい音色がメイン。特に「the gate」やタイトルチューンである「utopia」は美しい木々の中をきれいな小川が流れているような、爽快感ある森の中をイメージするようなサウンドに仕上げており、非常に澄み切った明るさを感じさせるものとなっています。

ただ、それでは今回のアルバムが前作と真逆のアルバムだったのか、と言われると、それもまた少々違うように感じました。

まずサウンド的に言えば、今回のアルバムも前作同様のArcaサウンド。音数が少な目でシンプルだった前作に比べるとサウンド的には分厚さを感じる曲が多いものの、基本的にはあくまでもビョークのボーカルのサポートに徹するようなサウンドとなっており、ストリングスにエレクトロサウンドが重なるという基本的な構成も一緒。例えば「claimstaker」のようなダークなサウンドの曲も収録されています。

そのため個人的にも最初聴いた感触としては前作と対照的というよりも、前作と似ているという印象を受けました。前作同様、Arcaがプロデュースを手掛けているため、やはり根本的な部分は前作と同じ。そういう意味でも大きな建付けでは前作と同じ方向性のアルバムと言えるかと思います。

また歌詞にしても今回のアルバムでも単純にポジティブな面だけ歌っているわけではありません。「私を訴えればいい」と歌う「sue me」のように、「愛」の複雑性を感じさせる歌詞もあります。そりゃそうだよね。失礼ながらビョークももう52才。恋に恋するような年齢じゃないですよね。

そういう意味では今回のアルバム、前作「Vulnicura」と対比するアルバムというよりは、前作からのある種の延長線上にあるようなアルバムといった方が正確ではないでしょうか。もちろん、前作同様、今回のアルバムもArcaサウンドとビョークのボーカルの相性の良さを感じさせる傑作。彼女の良さを存分に引き出した作品になっていました。

評価:★★★★★

Bjrok 過去の作品
biophilia
2012-02-12 NY Hall of Science,Queens,NY
Bastards
Vulnicura
Vulnicura Strings
Biophilia Live

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2017年12月28日 (木)

日韓男性アイドル対決(?)

今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

今週はよくあるケースなのですが日本と韓国の男性アイドルが上位に食い込んできました。

まず1位には名古屋を中心に活動を続けている男性アイドルグループBOYS AND MEN「友ありて・・・」がランクイン。アルバムでは前作「威風堂々~B.M.C.A.~」に続いての1位獲得。初動売上7万7千枚は前作の初動4万3千枚からアップしています。

一方韓国のアイドル勢は3位初登場のD-LITE(from BIGBANG)「でぃらいと2」。ミュージシャン名義通り、韓国のアイドルグループBIGBANGのメンバーによるソロアルバムで、2014年にリリースした宴会企画アルバムの第2弾。初動売上4万5千枚は前作「D-DAY」の3万8千枚(1位)からアップ。ただし、同企画の前作「でぃらいと」の6万8千枚(1位)からはダウンしています。ちなみにBIGBANGはメンバーの徴兵による入隊のため活動休止になるとか。こういうところ、韓国の男性って大変だよな・・・。

そんな男性アイドル勢に挟まれて2位を獲得したのは安室奈美恵「Finally」。先週から順位が変わらず。また売上も5万4千枚と先週から横バイになっています。これからのお正月、お年玉をもらってリッチになった学生が遅ればせながら彼女のアルバムを買うようになることも考えられ、さらに売上増になるかも。まだまだヒットは続きそうです。

続いて4位以下の初登場盤です。まずは4位にLUNA SEA「LUV」が初登場。約4年ぶりとなる活動再開後2作目となるオリジナルアルバム。初動売上2万7千枚は前作「A WILL」の3万4千枚(3位)よりダウンしています。

5位初登場はAKB48のメンバー渡辺麻友「Best Regards!」。年内でAKB48からの卒業を発表している彼女のソロデビューアルバム。初動売上2万枚でこの位置にランクインです。

初登場ラストは7位にランクインした祖堅正慶「Eorzean Symphony: FINAL FANTASY XIV Orchestral Album」。9月にリリースされた「FINAL FANTASY XIV」収録曲のオーケストラアレンジアルバム「FINAL FANTASY XIV Orchestral Arrangement Album」に同作の未収録曲2曲を加えた10曲をフルオーケストラアレンジでBlu-ray Discにてリリースされたバージョン。初動売上は1万3千枚。ちなみに「FFXIV」関係で前作は、その「FINAL FANTASY XIV Orchestral Arrangement Album」で初動売上2千枚(30位)でしたので、それよりも初動売上は大幅にアップしています。

さて、今週はこのほかにベスト10圏外からの返り咲きが2作あります。まず6位にB'z「B'z COMPLETE SINGLE BOX」がランクイン。こちらは8月にリリースされた彼らの全シングルがリマスタリングされて収録されたボックス盤。これをトレーラーを模した収録ケースに入れたトレーラーエディションがセブンイレブン限定で販売されたのですが、これの商品到着日がチャート集計対象の週にあたった影響でのランクアップとなっています。売上は1万3千枚。ちなみにトレーラーエディションは7万円という高額ですが、それでも買うという熱狂的なファンがこれだけいる、ということなんですね。

もう1作。9位に韓国の男性アイドルグループGOT7「TURN UP」がランクアップ。こちらは11月にリリースされたアルバムですが、こちらもチャート集計対象期間である12月21日、22日に日本武道館公演が行われ、さらに23日にはハイタッチ会も実施。それぞれ現地でCDを購入すると特典がついてくるということで売上をいきなり伸ばし、ベスト10入りを果たしています。

今週のアルバムチャートは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2017年12月27日 (水)

ジャニーズ系に迫るback number

今週のHot 100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

今週のHot100、まず1位はHey!Say!JUMP「White Love」が獲得。先週の63位からCDリリースにあわせてランクアップしての1位獲得でした。映画「未成年だけどコドモじゃない」主題歌。PC販売・ダウンロード・ストリーミング数(以下「実売数」)及びPCによるCD読取数で1位を獲得。Twitterつぶやき数でも13位を獲得した一方、ラジオオンエア数は52位に留まっています。オリコンでは初動売上28万7千枚で1位を獲得。前作「Precious Girl」の25万5千枚(1位)よりもアップしています。

そのジャニーズ系に迫ったのがback number「瞬き」。映画「8年越しの花嫁 奇跡の実話」主題歌。実売数及びPCによるCD読取数で2位を獲得した他、ラジオオンエア数では見事1位を獲得。Twitterつぶやき数は23位に留まりましたが、先週の37位からCDリリースにあわせてランクアップし、見事2位を獲得しています。来年夏に、なんと全国ドームツアーを予定するなどすっかり人気バンドとなった彼ら。オリコンでは初動売上4万枚で5位を記録。これは前作「ハッピーエンド」(3位)と同水準でしたが、先週からスタートしたオリコンのデジタルシングルチャートでは見事1位を記録しており、ダウンロードでの人気をうかがわせます。

3位は韓国の男性アイドルグループ東方神起「Reboot」がランクイン。フジテレビ系ドラマ「明日の約束」主題歌。実売数3位、PCによるCD読取数では4位を記録。ラジオオンエア数は23位に留まりましたが、Twitterつぶやき数では見事1位を獲得しています。オリコンでは初動12万3千枚で2位を獲得。前作「サクラミチ」の13万6千枚(2位)からダウンしています。

続いて4位以下の初登場曲です。4位初登場はSaint Aqours Snow「Awaken the power」。アニメキャラによるアイドルプロジェクト「ラブライブ!サンシャイン!!」のキャラクター。実売数4位、PCによるCD読取数3位でそのほかは圏外というのが固定ファンのみで支持されている売れ方。オリコンでは初動売上5万3千枚で3位初登場。これが同名義での初のリリースとなります。

6位にはラストアイドル「バンドワゴン」が初登場でランクイン。テレビ朝日系のオーディション番組から生まれたユニットで、秋元康プロデュースによるグループ。本作がデビューシングルとなります。実売数5位だった他はラジオオンエア数88位、PCによるCD読取数35位、Twitterつぶやき数42位といまひとつ奮いませんでした。オリコンでは初動売上4万2千枚で4位に初登場しています。

今週の初登場曲は以上。一方、ロングヒット曲ではDAOKO×米津玄師「打上花火」は8位から10位にランクダウン。You Tube再生回数は5位を記録しているものの実売数は先週の8位から11位にダウン。ついに後がなくなりました。また、最近、いろいろなメディアでも取り上げられるようになった荻野目洋子「ダンシング・ヒーロー」は先週の9位から7位へアップ。You Tube再生回数は見事1位を記録し、まだまだロングヒットが続きそうな予感がします。

今週のHot100は以上。明日はアルバムチャート!

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2017年12月26日 (火)

20周年イヤーの最後を締めるアルバム

Title:That's Fantastic!
Musician:POLYSICS

今年、デビュー20周年を迎えるPOLYSICS。2月には再録でのベストアルバムをリリースした彼らですが、20周年イヤーの最後を締めくくるのは約1年半ぶりとなるオリジナルアルバム。あのPOLYSICSがもう20年か・・・という話題は再録ベストでもやったので割愛(笑)。

今回のアルバムに先立ち新メンバー、ナカムラリョウが加入。もともとメンバーの出入りが激しいバンドなだけに新メンバーはあまり驚かなかったのですが・・・4人組となって初となるオリジナルアルバムとなります。

そんな20周年のオリジナルアルバムである本作ですが、まずは序盤からPOLYSICSらしい楽曲で飛ばしまくります。1曲目はいきなりタイトルチューン「That's Fantastic」から。ピコピコサウンドにギターリフのパンキッシュな作風がいかにもPOLYSICSらしい楽曲。続く「Crazy My Bone」はギターリフが前に出たロック色の強いナンバーですが、こちらもパンキッシュな作風でいかにもPOLYSICSらしい疾走感あるナンバーとなっています。

基本的にこの打ち込みのピコピコサウンドにギターリフが加わり、ハイトーンのハヤシのボーカルでパンキッシュな作品が続く・・・というスタイル。そんなスタイルを軸としながら曲によって微妙にバリエーションを加えているのが彼らのアルバムなのですが、今回の作品もその方向性は変わりません。

トライバルなパーカッションからはじまる「Sea Foo」は途中テルミンの音色が加わりユーモラスなその音が耳を惹きますし、「Pretty UMA」はタイトル通り、UMAを取り上げた歌詞も非常にユニーク。ハイトーンなボーカルとコーラスラインをピコピコサウンドにのせてユーモラスに聴かせる「I Have No Idea」など耳を惹くポップチューンが並んでいます。ボーカルハヤシが多様している「トイス!」という掛け声をサンプリングして最初から最後まで「トイス!」の掛け声で構成された、その名も「Toisu Non Stop」なんて曲もあります。

前作「What's This???」は彼らのパンキッシュな側面が強調されたアルバムになっていましたが、今回も比較的、ピコピコサウンドでパンキッシュな楽曲が目立ったように思います。ただその一方、「Shut Up Baby」のように彼らとして珍しい、メロディーに哀愁感を持たせるような曲があったり、「ダンスグミグミ」のようにサビにインパクトのあるメロディーラインを持って来たり、しっかりとメロディーラインで勝負してきている曲も目立ちます。その他の曲も、意外と底にはポップなメロディーラインが流れていたりして、ここ最近のアルバムの中ではポップな側面とパンキッシュな側面のバランスが取れている作品のように感じました。

そんな訳で、POLYSICSの魅力がしっかりと出ていた20周年の最後を締めるにふさわしい傑作アルバムだったと思います。いまだにある種の勢いと瑞々しさすら感じる彼ら。次の20年の活動も楽しみです。

評価:★★★★★

POLYSICS 過去の作品
We ate the machine
We ate the show!!
Absolute POLYSICS
BESTOISU!!!
eee-P!!!
Oh!No!It's Heavy Polysick!!!
15th P
Weeeeeeeeee!!!
MEGA OVER DRIVE
ACTION!!!
HEN 愛 LET'S GO!
HEN 愛 LET'S GO! 2~ウルトラ怪獣総進撃~
What's This???
Replay!


真夏の目撃者/GOING UNDER GROUND

約1年2ヶ月ぶりとなるGOING UNDER GROUNDの新譜。ノスタルジックな雰囲気と爽快感を同居させたちょっと切ないメロディーラインが魅力的。全体的にはシンセが入って分厚いサウンドが特徴的。目新しさはないけど安定感がある、GOING UNDER GROUNDらしいポップなアルバムでした。

評価:★★★★

GOING UNDER GROUND 過去の作品
おやすみモンスター
COMPLETE SINGLE COLLECTION 1998-2008
LUCKY STAR
稲川くん
Roots&Routes
Out Of Blue

Fruits Decaying/ぼくのりりっくのぼうよみ

早くも3枚目となるぼくりりのニューアルバム。基本的にはラッパーにカテゴライズされる彼ですが、どちらかというとラップというよりもメロディアスなポップスがメインで、本作ではその傾向がより強くなっています。メロウさを感じるメロディーラインも魅力なのですが、それ以上にトラックメイキングが冴えまくっている本作。比較的シンプルで最低限の音を奏でつつ、その向こうにある空間を聴かせるようなサウンドが魅力的。「罠」ではSOIL&"PIMP"SESSIONSとコラボしていますが、この曲に限らず「ジャズ」を感じさせるサウンドが目立ちます。前作まで気になった巻き舌を多用した歌い方も今回の作品ではさほど極端な巻き舌がなく、シンプルな歌い方になっているのもプラス。さらなる成長に今後が楽しみになってくるアルバムでした。

評価:★★★★★

ぼくのりりっくのぼうよみ 過去の作品
hollow world
Parrot's paranoia

Noah's Ark

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2017年12月25日 (月)

5曲中3曲がタイアップ

Title:SHUFFLE!!E.P.
Musician:Shiggy Jr.

ここ最近、人気と注目度上昇中の女性ボーカル+男性3人のポップスバンド、Shiggy Jr.。初となるフルアルバム「ALL ABOUT POP」も注目を集めましたが、その後、レコード会社を移籍。ビクターエンタテインメント移籍後初となる作品が本作。全5曲入りのEP盤となっています。

もちろん、レコード会社を移籍したからといってその音楽性は変わりません。池田智子のハイトーンボイスによるかわいらしいボーカルがピッタリマッチするキュートなポップソングの連続。1曲目「誘惑のパーティー」はまさにShiggy Jr.っぽい軽快でポップなディスコチューン。「僕は雨のなか」はドラマタイアップがついた作品。疾走感あるポップチューンでインパクトあるサビが印象的。いい意味でのヒットポテンシャルが感じられる作品になっています。

ここらへん、Shiggy Jr.らしいシティポップ路線から、徐々に楽曲の幅を広げていっているのが3曲目以降。「二人のストーリー」ではギターでバンドのメインライターである原田茂幸がボーカルと、そしてラップにも挑戦しているデゥオ曲。「Juuuump!!」は軽快なギターロックナンバーになっています。

そしてラストを飾る「約束」ではアコースティックなサウンドが暖かい、ネオアコのポップチューン。5曲21分という長さのEP盤でしたが、その短さの中にバリエーションあるポップチューンがおさめられた作品になっていました。

ただバリエーションある作風にも関わらず、キュートなメロディーラインと池田智子のボーカルが相まって、全体的には統一感あるShiggy Jr.色をきちんと出しているのが特徴的。5曲という短さもあって、まさにあっという間に終わってしまったEPでした。

ちなみに本作の特徴としてドラマタイアップが2曲にCMソングが1曲という、5曲中3曲までがタイアップ付きという作品になっています。まだブレイク前で、かつ大手事務所などによる企画モノバンドでもない彼女たちが、これだけ多くのタイアップを確保できるのは異例。確かに彼女たちのサウンドはいい意味で耳障りがいいですし、ポップなメロディーラインはインパクトがありますし、タイアップにはピッタリなのかもしれません。

それだけに今後、さらなる活躍が期待できる彼女たち。次のフルアルバムあたりでひょっとしたらブレイクか?これからの彼女たちに注目していきたいと思います。楽しみです。

評価:★★★★★

Shiggy Jr. 過去の作品
ALL ABOUT POP


SEAMOの単独名義では久々となる新作は、デジタルオンリーの5曲入りのEP盤。それが6月、11月と相次いでリリースされました。

ON&恩&音/SEAMO

まず6月にリリースされたのが本作。

続・ON&恩&音/SEAMO

そして11月にリリースされたのが本作でした。

どちらも5曲入りのミニアルバムですが、1曲目は名古屋弁などを使った地元ネタ。他にはクラッシックやロックを取り入れたダイナミックな作品が1曲、トランシーな作品が1曲、歌モノやユーモラスな曲など、SEAMOの魅力を短い曲数の中にうまくおさめているようなミニアルバムになっていました。シーモネーターの曲がなかったのはちょっと残念ですが、来年には待望のアルバムもリリースされるとか。久々のニューアルバムも楽しみになってくるミニアルバムでした。

評価:どちらも★★★★

SEAMO 過去の作品
Round About
Stock Delivery
SCRAP&BUILD
Best of SEAMO
5WOMEN
MESSENGER
ONE LIFE
コラボ伝説

REVOLUTION
TO THE FUTURE
LOVE SONG COLLECTION

THE SAME AS YOU(SEAMO&AZU)

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2017年12月24日 (日)

oasisのイメージから離れて

Title:Who Built the Moon?
Musician:Noel Gallagher's High Flying Birds

これがソロとなってから3作目となる元oasisのお兄ちゃんことノエル・ギャラガーのソロプロジェクト、Noel Gallagher's High Flying Birds。まず今回のアルバムリリースにあたり大きな話題となったのが先行シングル「HOLY MOUNTAIN」でした。バンドサウンドにブリブリのホーンセッションに軽快な笛の音色が加わる分厚い音の祝祭色豊かなポップチューン。バンドサウンドメインだったoasis時代にはまず見受けられなかった楽曲に、oasis時代からのファンは驚かされました。

他にも今回のアルバムは様々なサウンドを導入し、oasis時代には聴かせることのなかったタイプの楽曲が並んでいたのが大きな特徴でした。例えば「IT'S A BEAUTIFUL WORLD」は打ち込みのリズムにエフェクトのかかったボーカルのサイケ風な楽曲。「BE CAREFUL WHAT YOU WISH FOR」はドリーミーな雰囲気が楽曲全体に流れるダークなナンバーになっていますし、「IF LOVE IS THE LAW」は鈴の音も加わった分厚いサウンドにノエル流ウォール・オブ・サウンドとすら形容できそうなポップチューンになっています。

今回のアルバム、ノエルのこのような方向性に関してまず感じてしまうのはoasis時代のイメージからの決別ということでしょう。今回、プロデューサーとしてデビッド・ホルムスという、テクノ、エレクトロ系のDJを起用している点からもそれはうかがえます。ただもっとも、oasis時代のスタイルを否定しているという感じではありません。例えばタイトルチューンになっている「THE MAN WHO BUILT THE MOON」はサウンドこそ非常に分厚くサイケ色強いナンバーとなっていますがメロディーラインは完全にoasis(というかメロディーラインはどこか名曲「Wonderwall」を彷彿とすらさせます)。

そういう意味では「決別」というよりも、oasisのイメージに固執されずに新たな一歩を進み始めたという言い方の方が適切かもしれません。またボーナストラックとして収録されている「DEAD IN THE WATER」「GOD HELP US ALL」はアコースティックなサウンドをバックにノエルらしい美メロを聴かせる、ある意味旧来のファンがノエルに求めているようなスタイルを体現化したような作品になっています。こういうタイプの曲を作れなくなった、作らなくなったというよりは今回のアルバムのスタイルに合わなかったという判断でしょうか。次回作はまた、oasis時代からのノエルのイメージに沿った楽曲もお目にかかれるかもしれません。

さて元oasisといえば、先日、弟のリアム・ギャラガーも初のソロ名義のアルバムをリリースしたことでも話題となりました。ここのサイトでも紹介しましたが、こちらはそのままoasis時代のイメージを引きずるようなナンバー。同時期にリリースされた2枚のアルバムですが、内容は対照的。個人的にはどちらがよかったかと言われると、やはりノエルのアルバムの方がよかったかな、と思います。

ただ、全英アルバムチャートの初週売上では、どちらも1位を獲得したもののノエルのアルバムが7万8千枚を売り上げたのに対して、リアムのアルバムは10万3千枚の初動売上を記録。リアムのアルバムは初のソロアルバムということでご祝儀的な部分があったと思うのですが・・・やはり多くのリスナーはoasisらしいスタイルをギャラガー兄弟に求めているのかなぁ、とちょっと寂しくも感じれました。

売上的にはちょっと残念な部分はあったのですが、アルバムの内容的にはノエルのソングライティング能力が存分に発揮された傑作アルバムだったという点は間違いありません。新しいスタイルも彼のソングライティングの才という下地があったからこそ築き上げることが出来たもの。まだまだこれからも傑作をリリースしてくれそうです。

評価:★★★★★

NOEL GALLAGHER'S HIGH FLYING BIRDS 過去の作品
NOEL GALLAGHER'S HIGH FLYING BIRDS
CHASING YESTERDAY

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2017年12月23日 (土)

チャメ~!

Title:護得久栄昇大全
Musician: 護得久栄昇

あきらかにマジックで書いた太眉がインパクトの彼。今、沖縄で話題沸騰中の護得久流民謡研究所会長、護得久栄昇。そのデビューアルバムがついにリリース。個人的にはネット上でその話題を聴き、You Tubeで動画を見てはまってしまい、今回、このアルバムを聴いてみました。

まあ、ジャケット写真を見ればわかる通り、本当に「護得久流民謡研究所」という研究所があるわけではなく、彼は沖縄で活躍するハンサムというお笑いコンビの金城博之がコントで演じるキャラクター。沖縄では「そんな民謡教室の師範、いるよね」と受け止められるようなキャラクターをデフォルメして演じており、大うけしているそうです。ちなみに今回の記事のタイトルになっている「チャメ!」は彼の決めセリフ。他にも「わかるよね」「チンダミするよ」などインパクトある決まり文句がインパクトありまくりなキャラクターです。

そんなコントのネタキャラによるアルバムなので、基本的にはコミックソングが並んでいる訳ですが、ただし、楽曲自体はかなり本格的。このアルバムのキャッチフレーズが「本人以外、すべて本物」となっており、コミックソングとして楽しめる一方、しっかりと沖縄民謡のアルバムとしても楽しめる内容となっています。

先行配信となっている代表曲「愛さ栄昇節」は彼の決めセリフ「チャメ」を多用しつつ、三線の音色と太鼓のリズムが印象に残る本格的な民謡になっていますし、「愛さコーヒー節」は沖縄民謡の前川守賢をフューチャー。「護得久音頭」はネタなしの楽しく踊れる音頭。笑いの要素を込めつつも、音楽的にも楽しめる楽曲が並びます。

ネタの方は上に書いた通り、沖縄の民謡教室の師範をデフォルメしたキャラクター。沖縄名物のレモンケーキの「あるある」ネタを詰め込んだ「れもんけーき節」など、沖縄に関するネタがメイン。一般的にお笑いネタは対象が狭ければ狭いほど受けやすい傾向にあるのですが、ストレートに沖縄ネタを詰め込んでくる護得久栄昇が沖縄で受けているというのはよくわかります。

ただ、じゃあ沖縄県民以外にとって彼のネタがわからないかというとそんなことは全然ありません。例えば彼の決まり文句に「わかるよね」というものがあるのですが、これは「私の言いたいことは私が何も言わなくてもわかるよね」という意味であり、まさに今年の流行語大賞ともなった「忖度」そのもの。また、同じく彼がよく使うセリフとして「たーがしーじゃか」というものがあります。これは沖縄の方言で「誰が年上か?」という意味。これも「私が年上なんだから文句言わず言うことを聞け」という意味で、これも体育会系の組織でよくありがちな話。沖縄県民以外にとっても、その意味がよくわかるようなセリフではないでしょうか。

ここ最近話題となったコミックソングのアルバムといえば、ピコ太郎の「PPAP」やオリエンタルラジオが中心となって結成されたRADIO FISHなどがありました。ただ、ピコ太郎も音楽的に評価を受けたりしましたが基本的にはネタ中心。逆にRADIO FISHは音楽的にはほとんど「ネタ」はありませんでした。そう考えるとこのアルバムは、ネタも十分詰まっている一方、音楽的にも本格派。ネタと音楽のバランスが非常によく取れているアルバムだと思います。沖縄民謡のアルバムとしても楽しめますし、内容に思いっきり笑えますし、沖縄県民以外にとっても十二分に楽しめるアルバムです。チャメ~!

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

CHOCOLATE/ちゃんみな

デビュー当初、現役女子高生ラッパーとして話題となったちゃんみなの、ファーストアルバム「未成年」に続く8曲入りミニアルバム。楽曲としてはラップというよりも、いまどきのR&B的な雰囲気が強い内容。比較的シンプルなエレクトロトラックも特徴的。10代の女の子の微妙な心境をつづったラップも印象的。日本には女性ラッパーというのはまだまだ少ないので、さらなる成長と活躍を期待したいところ。さらなる飛躍の可能性も感じられるアルバムでした。

評価:★★★★

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2017年12月22日 (金)

銀熊賞受賞作のサントラ盤

Title:AROUND FELICITE(邦題 わたしは、幸福(フェリシテ)サウンドトラック+REMIX)
Musician:Kasai Allstars

今回紹介するのはKasai Allstarsの新作。Kasai Allstarsについては以前も紹介しましたが、コンゴのカサイ州出身の5つのグループのメンバーからなるバンド。そんな彼らの新作は、映画わたしは、幸福(フェリシテ)」のサウンドトラック。2017年の第67回ベルリン国際映画祭審査員グランプリ(銀熊賞)受賞作で、フランス語で「幸福」という意味を持つフェリシテという名前の女性の物語。コンゴの首都キンシャサのバーで歌いながら、ひとり息子を育てているシングルマザーのストーリーだそうです。

サントラ盤、といってもよくありがちな映画で使われているBGM的な楽曲が何曲も収録されている、といった感じの構成ではありません。物語の主人公が歌手ということもあり、映画でも音楽が効果的に用いられているようで、今回のアルバムも普通にKasai Allstarsの楽曲が収録されており、サントラというよりもKasai Allstarsのオリジナルアルバムとして楽しむことが出来ます。

ちなみにKasai Allstarsでは映画の中でもバンド役として出演。主人公のフェリシテはKasai Allstarsの演奏をバックに歌う役柄だそうで、そのためアルバムの中でも女性ボーカル曲が数多く収録されています。ただ、その女性ボーカルも楽曲の中では決して違和感にはなっておらず、Kasai Allstarsの中で自然に溶け込んでいます。

そしてその楽曲は親指ピアノの美しい音色と、電子リケンベのすさまじくノイジーなサウンドの対比をきかせつつ、打楽器をバックに疾走感とうねるようなリズムの元に独特なグルーヴ感を醸し出しています。例えば「Kapinga Yamba」がその典型例。強靭なグルーヴが聴くものを軽くトリップさせるような魅力を楽曲から感じさせます。

ほかにもギターのブルージーな音色が耳を惹く「Lobelela」やお祭り的な楽しさを感じさせる「Bilonda」、親指ピアノのミニマルなサウンドがトリップ感を誘う「Quick As White」など、基本的なサウンド構成は同じながらも、楽曲毎にバリエーションも感じられ、最後まで一気に楽しめる構成になっています。

一方、今回のアルバム、Kasai Allstarsの楽曲だけではなく、中央アフリカ唯一の交響楽団であるキンバンギスト交響楽団の演奏によるエストニアの現代音楽家、アルヴォ・ペルトの楽曲がKasai Allstarsの曲の合間に挿入されています。劇中、主人公の内面を描いたシーンで使用されるそうですが、Kasai Allstarsのトライバルな演奏の合間に突如収録される管弦楽には正直言って少々違和感も。ただ、同じコンゴの音楽家による演奏という意味で、アフリカの音楽シーンの幅の広さを感じさせる構成にはなっていました。

そしてDisc2はリミックスとしてKasai Allstarsの曲を世界の新進気鋭のDJたちによってリミックスした曲が収録されています。基本的に彼らのトライバルな楽曲にエレクトロサウンドによるリミックスをほどこしたような内容に。個人的にはリミックスによって彼らの楽曲がいわば洗剤によってきれいに洗い流されてしまったような感があり、原曲の、よりトライバルな荒々しい部分が出ている楽曲の方が好みなのですが、ただ基本的には原曲の持っているトランシーなグルーヴ感をそのまま生かしたようなリミックスが多く、これはこれでKasai Allstarsの楽曲の持つ、別の側面からの魅力を感じることが出来るアレンジになっていました。

映画を見ていなくてもKasai Allstarsのニューアルバムとして十分すぎるほど楽しめる傑作アルバムでした。ただ一方、映画の方も彼らの音楽がふんだんに利用されているようで、音楽映画的な側面も強そう。機会があれば映画も見てみたいな。そんなことも感じさせる、ある意味映画のサントラ盤としては理想的な内容のアルバムでした。

評価:★★★★★

Kasai Allstars 過去の作品
Beware the Fetish(コンゴトロニクス 5 〜ビーウェア・ザ・フェティッシュ)

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2017年12月21日 (木)

先週に続きジャニーズ系が1位

今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

タイトル通り、今週の1位はジャニーズ系。

舞祭組「舞祭組の、わっ!」が1位を獲得。舞祭組はKis-My-Ft2のメンバーのうち横尾渉・宮田俊哉・二階堂高嗣・千賀健永の4人で結成したユニット。これで「ブサイク」と読むそうです。いままでシングル4枚をリリースしていますが、アルバムとしてはこれがデビュー作。初動売上7万9千枚で1位獲得となりました。

2位は安室奈美恵「Finally」が先週と同順位をキープ。さすがに売上は9万枚から5万4千枚にダウンしています。ただ、ここに来て彼女の紅白出場決定のニュースが。これにより再び盛り返すか?

3位初登場はG-DRAGON(from BIGBANG)「KWON JI YONG」。ミュージシャン名義通り、韓国の男性アイドルグループBIGBANGのメンバーによるソロでのミニアルバム。初動売上3万9千枚。前作「COUP D'ETAT」の7万5千枚(2位)からダウン。

続いては4位以下の初登場盤です。まず4位に元KAT-TUNのメンバー、赤西仁による「Blessed」がランクイン。初動売上3万1千枚は前作「Audio Fashion」の3万2千枚(2位)から微減。ただ、ジャニーズ事務所脱退組のアルバムとしては比較的順調なセールスを記録しています。

6位初登場はロックバンドamazarashi「地方都市のメメント・モリ」がランクイン。タイトル通り、地方都市をテーマとしたニューアルバム。初動売上1万8千枚。直近作はベスト盤「メッセージボトル」で、こちらの初動1万5千枚(3位)よりアップ。直近のオリジナルフルアルバム「世界収束二一一六」の1万7千枚(4位)よりもアップしており、彼らはまだまだ人気上昇中であることを示した結果となりました。

7位にはもう1組韓流が。男性アイドルグループSF9「Sensational Feeling Nine」がランクイン。初動売上1万8千枚。これが日本でのデビューアルバムで、いきなりのベスト10ヒットとなりました。

そして初登場ラストは10位。「銀魂BEST4」がランクイン。テレビ東京系アニメ「銀魂゜」のオープニング曲とエンディング曲をあつめたベスト盤。ねごとやOKAMOTO'S、DOESなどの楽曲が収録されています。初動売上は1万2千枚。同シリーズの前作「銀魂BEST3」の4万6千枚(4位)から大幅減。今回は収録曲がわずか8曲というボリュームのなさが売上減の大きな要因となったようです。

今週のアルバムチャートは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2017年12月20日 (水)

宇多田ヒカルが1位に迫るが・・・

今週のHot 100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

まず今週の1位。三代目J Soul Brothers from EXILE TRIBE「J.S.B. HAPPINESS」が獲得しました。

先週の38位からCDリリースにあわせてランクアップし初のベスト10入り。江崎グリコ「ポッキー」CMソング。LDHらしいメロウなR&Bメロとリズミカルなエレクトロトラックが特徴的なナンバー。CD販売・ダウンロード・ストリーミング数(以下「実売数」)及びPCによるCD読取数1位、ラジオオンエア数3位、Twitterつぶやき数12位といずれも上位にランクインしています。オリコンでは初動売上14万1千枚で1位獲得。前作「HAPPY」の10万枚(1位)からアップ。ただし前作は直近で同作を含むベスト盤のリリースが予定していたため初動売上枚数を減らしていました。前々作「Welcome to TOKYO」の15万8千枚(2位)から比べると若干のダウンとなっています。

そして2位には宇多田ヒカル「あした」が先週の3位からワンランクアップしています。実売数2位、ラジオオンエア数1位、Twitterつぶやき数17位、You Tube再生回数11位といずれも好成績。タイミングがあえば来週以降の1位も狙えそうです。

3位には韓国の男性アイドルグループSNUPER「Stand by me」が初登場でランクイン。実売数3位の他、Twitterつぶやき数83位でほかは圏外という、典型的な一部固定ファンのみの支持を得てのランクイン。爽快などちらかというとK-POPというよりもJ-POP色の強いナンバー。オリコンでは初動売上3万3千枚で3位初登場。前作「Oh yeah!!」の3万枚(3位)よりアップしています。

続いては4位以下の初登場曲です。4位にはこちらもK-POPの女性アイドルグループTWICE「Heart Shaker」が初登場でランクイン。「Twicetagram」に新曲を追加して再発売されたリパッケージアルバム「Merry&Happy」に収録された新曲。実売数14位、Twitterつぶやき数5位のほか、いままでのTWICEの楽曲と同様、You Tubeに強く、こちらは見事1位を獲得しています。

5位にはジャニーズ系アイドルグループA.B.C-Z「終電を超えて~Christmas Night」が初登場でランクイン。タイトル通りのクリスマスソング。実売数5位、PCによるCD読取数4位の他、ラジオオンエア数64位、Twitterつぶやき数13位を記録しています。オリコンでは初動売上4万5千枚で2位初登場。前作「Reboot!!!」の5万5千枚(1位)よりダウンしています。

そして今週の初登場で驚いたのがスピッツ「楓」が28位から6位にランクアップしてきたこと。この曲、1998年のアルバム「フェイクファー」に収録され、その後シングルカットもされた彼らを代表する名曲のひとつ。今回、キリン「午後の紅茶」のCMソングとして起用され話題となり、一気にランクインしてきました。実売数ではなんと4位。You Tube再生回数でも13位を記録。ラジオオンエア数は82位、Twitterつぶやき数は46位に留まっていますが、名曲は時代を超えて人の心に響くんだなということをあらためて実感させられました。

初登場最後は10位。スターダストプロモーション所属の男性アイドルグループEBiDANからの派生ユニットEBiSSH「マイ・フレンド」が初登場でランクイン。エレクトロ、というよりもテクノポップ的なナンバー。TBSテレビ系アニメ「トミカハイパーレスキュードライブヘッド~機動救急警察~」エンディング・テーマ。実売数6位の他はPCによるCD読取数94位、Twitterつぶやき数99位、その他は圏外という一部の固定ファンのみに支持される形でのヒット。オリコンでは初動売上1万8千枚で6位初登場。前作「恋はタイミング」の1万6千枚(3位)よりアップしています。

さらに今週、ベスト10返り咲き組が1曲。荻野目洋子「ダンシング・ヒーロー」が先週の11位から2ランクアップして9位にランクイン。12月4日付チャートから3週ぶりのベスト10返り咲きとなりました。

またロングヒット組としてははDAOKO×米津玄師「打上花火」が今週は6位から8位にランクダウン。ただ実売数は8位、You Tube再生回数は4位といまだに上位にランクインしており、まだまだロングヒットは続きそうです。

今週のHot100は以上。アルバムチャートは明日に!

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2017年12月19日 (火)

既存のスタイルにとらわれないパフォーマンス

上原ひろみ×エドマール・カスタネーダ LIVE IN JAPAN TOUR 2017

会場 三井住友海上しらかわホール 日時 2017年12月5日(火) 19:00~

2017年最後のライブは上原ひろみのライブに足を運んできました。以前から上原ひろみのライブには行ってみたいなぁ、と思っていたのですが、今回は、先日もアルバムをリリースしたジャズ・ハープ奏者、エドマール・カスタネーダとの合同ツアー。そのため、ちょっとどうかなぁ、とも思ったのですが、彼とのコラボアルバムの内容も素晴らしかったため、今回、上原ひろみとエドマール・カスタネーダのステージに足を運んできました。

会場は名古屋伏見にあるしらかわホールという主にクラシックのコンサートを演奏する会場。壁には木目の素材がつかわれ、ちょうど良い広さの上品な雰囲気の会場で、いかにもクラシック向けといった雰囲気の会場となっていました。

ライブは定時を5分くらい過ぎた頃に会場が暗くなりスタート。上原ひろみとエドマールの2人がステージにあがり、終始2人のみでのステージとなりました。まず1曲目は「A HARP IN NEW YORK」からスタート。アルバムでも1曲目に入っている曲からのスタートとなったのですが、まず驚いたのはエドマール・・・以上に上原ひろみの演奏スタイル。ピアノの前におとなしく座って演奏するといった感じではなく、ピアノの前で全身を躍動させながら、激しく鍵盤を叩きつけたり、演奏にあわせて足を踏み鳴らしたりして、まさに全身で音楽を表現しているように感じ、そのアグレッシブな演奏スタイルにまずは惹きつけられました。

続く2曲目「FOR JACO」ではグランドピアノの弦に直接手を突っ込んで、弦を直接かきならして演奏したりして、そういう演奏方法もあるんだ、とちょっとビックリ。一方、エドマールの方もパープでありながらもギターのように弦を激しく叩きつけるように演奏しており、こちらも既存のハープのイメージとは大きく異なる演奏方法をとっていました。ある意味両者とも楽器の一般的なイメージの枠組みを超えるような演奏で、驚かされました。

かと思えば続く「MOONLIGHT SUNSHINE」「CANTINA BAND」ではある意味、本来のピアノまたはハープらしい、美しいフレーズをしんみり聴かせる演奏をじっくりと聴かせてくれました。美しいその演奏にしばし聴き入ります。また、上原ひろみとエドマールどちらのミュージシャンとしての幅の広さにも驚かされました。

途中のMCではエドマールが日本に来て、ラーメンにはまったという話が。この日も演奏の前に名古屋コーチンのラーメンを食べてきたとか。ラーメンが食べたくなってくるMC(で、ライブの後に食べに行きました(^^;;)でした。また、上原ひろみもハープという一般的なイメージからかけはなれたエドマールの演奏に、最初「なんじゃこりゃ(by松田優作)」と思ったそうです。ただ、私からすれば上原ひろみの演奏スタイルにもかなり驚かされたのですが(笑)。

その後はエドマールのソロで「JESUS OF NAZARETH」、そして上原ひろみのソロで「HAZE」をそれぞれ披露。「HAZE」はなんでも一番最初に演奏したのが名古屋だったとか。そんなエピソードを披露しつつの演奏となりました。

そして最後は「THE ELEMENTS」。「AIR」「EARTH」「WATER」そして「FIRE」の四部作からなる組曲なのですが、MCで「『AIR』『EARTH』『WATER』そして?」と客席に投げかけると大きな声で「FIRE!」という返事が。この観客とのやり取りは世界各国のライブでもやっていて、どこでも大きな声で返事があるのですが、最初日本でやった時に、ほとんど反応がなく、エドマールががっかりしたというエピソードも。ただ、その後、日本でもちゃんとファンが呼びかけに答えるようになり、この日も大きな声があがっていました。

最後といってもこの「THE ELEMENTS」、全部で30分以上にも及ぶ演奏でじっくり聴かせます。ピアノとハープの美しい音色をしんみりと聴かせるようなシーンもあれば、一方ではアグレッシブな演奏を聴かせるシーンもあったり、さらには2人ともピアノやハープの筐体をパーカッションのように叩くようなパフォーマンスも。まさにこの日のライブを総括するようなピアノとハープの様々な側面を聴かせてくれるような演奏でした。

その後はアンコールへ。しばらくすると2人が再登場。最後は「LIBERTANGO」で締めくくり。公式サイトでは「90分」と表示されていた演奏時間でしたが、たっぷり2時間10分の演奏でこの日のステージは幕を下ろしました。

今回初めて上原ひろみのステージを見ましたが、まずはそのアグレッシブな演奏スタイルに驚かされました。もともと、非常にジャズという枠組みに捕らわれない演奏を聴かせてくれるイメージがあったのですが、ステージのパフォーマンスもジャズの演奏の枠組みに捕らわれないようなパフォーマンスで惹かれました。

もちろんそれはエドマール・カスタネーダの演奏も同様。ハープをまるでギターのように激しくかき鳴らしたり、打楽器のように叩いたり、ハープという楽器のイメージとは全く異なるイメージのパフォーマンスにあらためて驚かされました。ある意味、この両者、既存の楽器の枠組みに捕らわれない演奏スタイルという意味で共通項があり、息があった2人と言えるのかもしれませんね。非常に素晴らしいパフォーマンスに、満足できたステージでした。

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2017年12月18日 (月)

変わっていく彼ら、変わらない彼ら

Title:Greatest Hits:God's Favorite Band
Musician:GREEN DAY

1990年にデビューし、30年近いキャリアを誇るベテランのパンクバンドGREEN DAY。日本でも94年にリリースしたメジャーデビューアルバム「Dookie」が大ヒットを記録し、一気に知名度を広げました。今回リリースされたのは、彼らのベスト盤。GREEN DAYのベスト盤といえば2001年にベスト盤「International Superhits!」をリリースしていますが、ご存じのように彼らはその後、2004年に「反戦」をテーマとした社会派のアルバム「American Idiot」をリリース。「パンクオペラ」と呼ばれるようなアルバム1枚がコンセプトを持った構成となっているアルバムをリリース。彼らに対する評価を一変させました。

そういうこともあり、いわば2001年の頃の彼らの立ち位置と現在の彼らの立ち位置は全く異なったものとなっています。ベスト盤としては約16年ぶりとなる本作。ある意味、その頃のGREEN DAYと今のGREEN DAYを比べると、隔世の感があります。

ただ、今回のベスト盤であらためて彼らの初期の頃の作品を聴いたのですが、やはり初期の頃の作品も非常に魅力的。ご存じ大ヒットを記録し、初期の彼らの代表曲としてよく知られる「Basket Case」や、軽快なメロディーラインが耳を惹く「Minority」など、とてもキャッチーなメロディーラインで簡単に口づさめるようなわかりやすさを持っています。彼らがブレイクした後、日本でも数多くのポップスパンクのバンドが人気を博しましたが、間違いなくGREEN DAYの初期の作品群からの影響が大きいでしょう。彼らは日本の音楽シーンにも大きな足跡を残しました。

もっとも「American Idiot」以降の作品では単なるポップなパンク路線だけではなく楽曲のバリエーションも加わり、音楽的な成長も強く感じます。ギターのアルペジオでしんみりと聞かせる「Wake Me Up When September Ends」や哀愁感あるメロディーラインの「21 Guns」などは初期の彼らでは聴けないようなタイプの作品でしょう。ただその一方、「Bang Bang」など、初期の作品群と並べても全く違和感ないポップなパンク路線の曲も多く収録されており、コアとなっている部分は実は初期も最近も大きな変化がないことにあらためて気がつかされます。

そんな変わらない彼らについて象徴的だったのがこのアルバムの最後に収録されている新曲「Back In The USA」。これこそ初期のGREEN DAYをほうふつとされるようなメロディアスなポップスパンクのナンバーで、GREEN DAYの原点はやはりここなんだということを改めて宣言しているように感じる曲でした。

初期作品から最新作まで時系列順に並べた今回のベストアルバム。そんな中でGREEN DAYというバンドの変化している部分と変わらない部分を同時に知ることができる、そんなアルバムになっていました。もっとも30年近いキャリアを誇る彼らですが、ここ最近の楽曲を含めて、いまだに楽曲にある種の新鮮味を帯びているのも驚くべき事実。まだまだこれからも数多くの名曲を世に送り出してくれそうです。

評価:★★★★★

GREEN DAY 過去の作品
STOP DROP AND FALL!!!(FOXBORO HOTTUBS)
21st Century Breakdown
AWESOME AS F**K(邦題:最強ライヴ!)
UNO!
DOS!

TRE!
爆発ライブ~渋谷編
DEMOLICIOUS
Revolution Radio


ほかに聴いたアルバム

A BRAND NEW ME: ARETHA FRANKLIN WITH THE ROYAL PHILHARMONIC ORCHESTRA/Aretha Franklin

アレサ・フランクリンのニューアルバムは新録ではなく、過去の彼女の音源にロイヤル・フィルハーモニック・オーケストラを重ねた企画盤。基本的にこの手のオーバーダビングでの企画盤は出来が悪く評判が悪いのですが、このアルバムはさすがアレサのボーカルが力を持っているためか、オーケストラアレンジでも違和感なく聴くことが出来ます。

もっともオーケストラアレンジといってもストリングスの音色は比較的控えめ。あくまでも原曲の雰囲気を壊さない程度でストリングスが入ってくるような「無難な」内容。だからこそ聴いていても違和感のない出来に仕上がってはいる一方、オーケストラアレンジにするおもしろさはあまり感じませんでした。まあ、無理にオーケストラアレンジを入れて変なスケール感だけ出して原曲の良さをぶち壊しになるよりはよっぽどましだとは思うのですが・・・。

評価:★★★★

Aretha Franklin 過去の作品
Aretha Franklin Sings the Great Diva Classics

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2017年12月17日 (日)

4枚組豪華オールタイムベスト

Title:access BEST ~double decades + half~
Musician:access

おそらく、特にアラフォー世代あたりは「懐かしい」という印象をまず受けるのではないでしょうか。T.M.Revolutionのプロデューサーとしても知られる浅倉大介のユニットaccess。1992年に結成後、93年にリリースしたシングル「NAKED DESIRE」がヒットして一躍ブレイク。翌年には紅白歌合戦にも出場するものの、95年にはあっさりその活動を休止しました。

その後2001年に活動を再開。残念ながら活動再開後については以前にような大きなヒットは少なく、90年代前半の彼らは知っていても、現在、活動を再開していることを知らない方もひょっとしたら少なくないかもしれません。ただその後はコンスタントに活動を続け、今回、デビュー25周年を記念してオールタイムベスト盤をリリースしました。

豪華4枚組となる本作。Disc1、2はいままでにリリースしてきた全シングルを発売順に並べたシングルベストに、Disc3はバラードベスト、そしてDisc4はリミックスを集めた内容となっています。

さて、これはある意味、語弊を覚悟の上で言うのですが、個人的に浅倉大介、ミュージシャンとしては「二流」だと思っています。いや、音楽シーンの第一線で30年近く活動を続け、さらにaccessやT.M.Revoutionで大ヒットを飛ばしていながら「二流」はないでしょう、そうお叱りを受けるかもしれません。もちろん、あれだけ活躍しているのですから凡百のミュージシャンよりもよっぽど才能は間違いなくあるとは思います。ただ、accessもそうですが、彼のサウンドに関しては決して目新しさはありませんし、メロディーラインにしても決して凝った展開を聴かせるような楽曲はありません。

例えばaccessの曲に関してはアップテンポな曲に関してはメロディーに十分なインパクトがあるものの、ミディアムテンポの曲に関しては正直言って平凡という印象を受けてしまいます。特に顕著だったのがバラードベスト。メロディーの展開におもしろさを感じる曲はほとんどなく、正直言って、少々退屈という印象すら受けてしまいました。残念ながら浅倉大介にバラードは向いていないに思います。

ただ一方、これは以前紹介した浅倉大介自身のベスト盤でも言及したのですが、逆に「二流」だからゆえに、変に凝ったサウンドや奇をてらった楽曲を作り出そうとせず、シンプルにリスナーが浅倉大介に求めるような曲を愚直につくり続けているように思います。そして、それこそが彼の最大の魅力ではないでしょうか。

今回のaccessのベスト盤にしても、25年というキャリアですが、シングル曲の方向性にほとんど変化がありません。まあ確かに打ち込みのサウンドに関して、デビュー当初は今聴くと、少々チープに聴こえますし、活動再開後のサウンドは今風にアップデートされ、さらにトランス色が強くなるなど、それなりに時代に沿った変化はみせています。

ただ、だからといって最先端のサウンドをとにかく取り込むということはありません。どちらかというと世間的に定着したタイプのデジタルサウンドを自らの曲にポップに取り込んでいます。だからいい意味で彼の楽曲は安心して聴けますし、おそらく最近の曲に関しても、90年代初頭に彼らのファンだった方でも十分楽しめるのではないでしょうか。

個人的にも90年代の彼らの曲はよく聴いていたものの、活動再開後の彼らの曲に関しては今回はじめて聴きました。ただ、感覚的には90年代の曲と同じように楽しめましたし、並んで聴いてもほとんど違和感ない内容。それだけ変化がないといえば変化がないのですが、ただ一方、浅倉大介がそれだけファンの期待するaccess像にしっかりと答えているということではないでしょうか。

評価は初期の作品への想い出補正も込みなのですが、ただ、それを差し引いても難しいこと抜きに楽しめるデジタルポップだったと思います。音楽的に決しておもしろいことをやっている訳ではありませんが、素直に楽しめるベスト盤でした。

評価:★★★★

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2017年12月16日 (土)

赤裸々な本音を強烈なガレージサウンドで

Title:Secret File~THE BEST OF SEKIRI~
Musician:赤痢

先日、日本のベテランパンクバンドとしてthe原爆オナニーズを紹介しました。そのバンド名があまりにも強烈なインパクトを持っていて、おそらく一度聴いたら忘れられないと思うのですが、こちらのバンドも一度聴いたら忘れられないのではないでしょうか。1983年に京都で結成し、85年にデビューしたパンクバンド。それもメンバー全員女性で、結成時は中学生だったというから驚きです。先日紹介したthe原爆オナニーズは今なお活動を続ける現役のバンドですが、残念ながら彼女たちは95年に解散し、その後、再結成等は行われていないようです。

本作はそんなパンクバンド赤痢のベストアルバム。彼女たちについてはそのバンド名のインパクトもあり名前自体は知っていたのですが、音源をきちんと聴いたのは今回がはじめてでした。

このアルバムを聴いてまず飛び込んでくるのはノイジーなギターサウンドに分厚いバンドサウンドからなる強烈なガレージロック。演奏している当時は20代前半あるいは10代という若さなのですが、そのキャリアでこれだけのサウンドを奏でることが出来るというのが驚きです。逆に若さゆえの勢いを感じますし、なによりも若さ・・・というよりも「幼さ」的なものを感じるボーカルは、その声質ゆえにパンキッシュなサウンドにもピッタリとマッチした、ある種の生々しさを感じます。

今回のベスト盤は75分という長さなのですが、29曲入りというボリューム。1曲あたりの長さは1分から2分、せいぜい3分という短さ(曲によっては5分程度の曲もありますが)。そのため次から次への楽曲が展開していきます。

また彼女たちの楽曲で耳を惹くのがそのメロディーライン。意外とポップなメロディーラインなのですが、ボーカルの歌い方もあってどこか気だるさを感じさせるメロディーに。この気だるいメロディーもまた、パンキッシュなサウンドにピッタリとマッチしており彼女たちの大きな魅力となっています。

そしてなによりも彼女たちの楽曲でインパクトがあるのはその歌詞でしょう。もともと彼女たち、(本作では収録されていませんが)デビューEPに収録されていた「夢見るオマンコ」というタイトルからして強烈な楽曲が話題になったそうですが、身も蓋もないあまりにもストレートな歌詞が耳を惹きます。ある意味、女性のありのままの心境をそのまま歌ったような歌詞がかなり強烈。

このベスト盤に収録されている曲でも「ゾクゾクするのは暴力とエロ」「19才」)という歌詞が登場してきますし、麻雀について歌っている「ウラドラ人生」だの、タイトルそのままストレートな「タバコが吸いたい」など、女性のあまりにも赤裸々な部分をそのまま歌っており、それがまた大きな魅力となっています。

楽曲的には最初から最後までストレートなガレージロック。「素晴らしき中近東」のような、ちょっとエスニックな雰囲気を取り入れた曲はありましたがバリエーション的にはさほど多くはありません。ただ、上にも書いた通り、1、2分で次々と楽曲が展開される内容なだけに聴いていて全く飽きることはありません。彼女たちのガレージロックは雰囲気的には一昔前のアングラロックといった雰囲気なのですが、その迫力あるサウンドは今聴いても非常に魅力的。ちょっとやばさを感じさせるようなサウンドは今聴いてもゾクゾクさせられます。

今回はじめて彼女たちの楽曲を聴いたのですが、一発で気に入りました。ライブも迫力ありそうだし、リアルタイムで聴きたかったなぁ、と残念に感じます。ガールズパンクの先駆的存在ともいえる彼女たち。パンクバンド、ガールズロックが好きなら是非聴いてほしいベスト盤です。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

TOGENKYO/フレデリック

初のフルアルバムとなった「フレデリズム」がいきなりのヒットを記録したロックバンド、フレデリックの新作は前7曲入りのミニアルバム。全編、エレクトロサウンドを取り入れたダンサナブルなポップチューン。似たタイプの曲が多いものの、軽快なダンスポップの連続に楽しくなってきます。基本的にはマイナーコード主体で歌謡曲テイストが強い曲が並んでいますが、ラストの「RAINY CHINA GIRL」のような明るく軽快なシンセポップのナンバーも楽しめます。

評価:★★★★

フレデリック 過去の作品
フレデリズム

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2017年12月15日 (金)

今年も恒例の

Title:2018-Classic Blues Artwork from the 1920s Calendar

Bluescalendar2018

また今年も恒例のブルースカレンダーの季節がやってきました。毎年、アメリカのブルース・イメージ社という会社がリリースしているカレンダー。ちょうどLP盤の大きなのカレンダーで、広げるとLP盤2枚分の大きさ。下半分はカレンダーになっていて、著名なブルースシンガーの生誕日や逝去日が記載されており、一方上半分は戦前ブルースの広告が掲載。この戦前ブルースの広告画像がなかなか味があり、毎年、楽しませてくれます。

このブルースカレンダー、目玉となるのはカレンダー以上に毎年ついてくる付録のCDの方。全24曲の内容のうち、半分の12曲はカレンダーについてくる広告の内容の楽曲。そして残り12曲はいわばボーナストラック。いずれも戦前ブルースの貴重な音源が収録されています。

そして毎回、この付録CDには最近発見されたばかりのレア音源が収録されて話題となります。今回は現存盤が最近発見されたJab Jones and The Memphis Jug Bandによる「My Love Is Cold」「Poor Jab Blues」の2曲。The Memphis Jug Bandはご存じジャグ・バンド。ジャグバンドとはジャグ=瓶や洗濯板、ミュージックソーなど身近な日常品を楽器に仕立てて演奏するバンドのこと。本来は楽器ではない日常品から生まれる音なのですが、非常に軽快で楽しい音を聴かせてくれます。このCDに収録している2曲もワクワクするような楽しい音が耳を惹く一方、メロディーラインはどこか物悲しさを感じさせ、そのギャップがおもしろい曲に仕上がっています。

このThe Memphis Jug Bandは戦前ジャグバンドの代表格的バンド。今回のCDには、この2曲の他にCharley Nickerson and The Memphis Jug Band名義による「Going Back To Memphis」も収録。そのため特にボーナストラックではジャグバンドによる演奏が目立つ構成になっていました。

他にもワンコードで進みながらもそのギターの音色が印象に残るCharley Patton「Mississippi Boweavil Blues」、力強いボーカルが耳を惹く戦前ブルースの代表的なシンガー、Blind Lemon Jeffersonによる「Weary Dogs Blues」、男女の掛け合いがユニークなKansas Joe and Memphis Minnie「Goin' Back To Texas」など聴かせる楽曲の連続。有名どころから知る人ぞ知る的なシンガーまでそろっており、今回もまたブルースファン、特に戦前ブルースが好きならたまらない選曲となっています。

ただ、これは戦前ブルースの宿命でもあるのですが、やはり音はノイズがひどい曲も多く、またやはり戦前ブルースはちょっとマニアックなジャンルであるため万人にお勧めという訳にはいかないのもいつも通り。ただ、シンプルでブルースのコアな部分だけ抽出したような楽曲はやはりとても魅力的。カレンダーにつかわれている広告素材はなかなかおしゃれですし、興味ある方は是非。

評価:★★★★

2013-Classic Blues Artwork from the 1920s Calendar
2014-Classic Blues Artwork from the 1920s Calendar
2015-Classic Blues Artwork from the 1920s Calendar
2016-Classic Blues Artwork from the 1920s Calendar
2017-Classic Blues Artwork from the 1920s Calendar


ほかに聴いたアルバム

Dedicated to Bobby Jameson/Ariel Pink

アメリカLAのインディーシンガーAriel Pinkの新作は60年代に活躍していたミュージシャン、ボビー・ジェームソンに捧げるアルバム。ローリングストーンズやフランク・ザッパともコラボをしていたそうですが、絶頂期にドラッグにおぼれて転落。35年に及ぶ隠遁生活を経て、自らの悲劇的な人生の物語を語った2007年の自叙伝に心揺さぶられた彼が、このトリビュートアルバムを作り上げたそうです。

アルバムの前半はかなりローファイな内容。はっきりいって力が抜けすぎていてちょっとグダグダ感もあり、あまりおもしろくありませんでした。後半もローファイな内容になっていましたが、彼持ち味のポピュラーセンスが生かされた内容に。楽曲もAORからバブルガムポップ、80年代風から60年代風などバラエティー富んだ作品が並んでいて楽しめる構成になっていました。

評価:★★★★

Ariel Pink 過去の作品
Mature Themes(Ariel Pink's Haunted Graffiti)
Pom Pom

Look What The Blues Has Done For Me/Arthur Adams

60年代から70年代にかけてクルセイダーズやジェイムス・ブラウン、ジャクソン5などなど数多くのミュージシャンのセッション・ギタリストとして活躍してきたアーサー・アダムスによるオリジナルアルバム。2枚組となっていて、1枚目は新曲、2枚目は70年代から80年代の彼のアルバムからセレクトしたベストアルバム。新曲の方は、よくありがちなギターブルースといった感じで面白みはないのですが、良かったのが2枚目。ソウルからファンク、バラードにポップスとセッションギタリストらしいフットワークの軽いバリエーションに富んだ内容が魅力的。基本的にこちらも目新しいものはないのですが、軽快でファンキーな楽曲の数々が魅力的なアルバムになっていました。

評価:★★★★

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2017年12月14日 (木)

20周年のベスト盤が1位獲得

今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

今週の1位はジャニーズ系が獲得。

今週1位を獲得したのはKinki Kids「The BEST」。タイトル通りのベストアルバム。デビュー20周年を記念してリリースされたベスト盤となります。初動売上は17万3千枚。直近作はバラードベストの「Ballad Selection」で、こちらの初動12万2千枚(1位)よりアップ。彼らのベスト盤はデビュー10周年を記念してリリースされた2007年の「39」以来。その「39」の初動売上30万1千枚(1位)よりは大きくダウンしています。しかし、「硝子の少年」のデビューからもう20年も経つのですか・・・早いような、そんなもんなような・・・。

2位は安室奈美恵「Finally」が先週から変わらず2位をキープ。売上枚数も9万3千枚から9万枚と若干のダウンに留まっており、相変わらずの強さを見せつけています。

3位は椎名林檎「逆輸入~航空局~」が入ってきました。2014年にリリースされた「逆輸入~港湾局~」に続くセルフカバーアルバムで、SMAPに提供した「華麗なる逆襲」やDoughnuts Holeが歌ったドラマ「カルテット」主題歌「おとなの掟」のセルフカバーなどが収録されています。初動売上は4万8千枚。直近のオリジナルアルバム「日出処」の4万2千枚(3位)よりアップ。セルフカバーアルバムの前作「逆輸入~港湾局~」の3万1千枚(3位)よりもアップしており、ここ最近、初動売上が右肩下がりだった彼女ですが、本作でようやく持ち直してきました。

続いて4位以下の初登場盤です。4位にモーニング娘。'17「⑮Thank you, too」がランクイン。タイトル通り15枚目となるオリジナルアルバム。ちなみに彼女たちも今年、デビュー20周年を迎えるそうです。ただ、同じメンバーのKinki Kidsと、デビュー当初のメンバーが跡形もないモーニング娘。では単純比較は出来なさそうな。初動売上2万9千枚は前作「14章~The message~」の2万2千枚(7位)からアップ。

6位にはEXILE TAKAHIRO「All-The-Time Memories」が初登場。タイトル的にはベストアルバムっぽいのですが、7曲入りのミニアルバムです。初動売上1万6千枚は前作「the VISIONALUX」の3万8千枚(1位)からダウン。

7位は韓国の男性アイドルグループBlock B「MONTAGE~JAPAN EDITION~」が入ってきました。初動売上1万3千枚は前作「My Zone」の1万7千枚(7位)からダウン。

最後10位には高坂海美(CV.上田麗奈)、野々原茜(CV.小笠原早紀)、ロコ(CV.中村温姫)、望月杏奈(CV.夏川椎菜)、矢吹可奈(CV.木戸衣吹)「THE IDOLM@STER MILLION LIVE! M@STER SPARKLE 04」がランクイン。ゲーム「THE IDOLM@STER MILLION LIVE!」のキャラクターによるソロ曲を集めたアルバム。初動売上1万枚は同シリーズの前作「THE IDOLM@STER MILLION LIVE! M@STER SPARKLE 03」の1万1千枚(8位)から若干のダウンとなっています。

今週のアルバムチャートは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2017年12月13日 (水)

韓流 vs AKB系

今週のHot 100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

今週のHot100はAKB系の新曲を下して韓流アイドルが1位獲得。

1位は韓国のアイドルグループBTS(防弾少年団)「MIC Drop」。先週の32位からCDリリースにあわせてランクアップしての獲得となりました。CD売上・ダウンロード・ストリーミング数(以下「実売数」)で1位を獲得した他、PCによるCD読取数で2位、Twitterつぶやき数で4位、You Tube再生回数で24位を獲得しています。ちなみにCDでは両A面曲となっている「DNA」も58位から10位にランクアップ。こちらは10月23日付チャート以来、8週ぶりのベスト10返り咲きとなっています。

なおオリコンチャートでも初動売上36万5千枚で1位獲得。前作「血、汗、涙」の23万8千枚(1位)からアップ。今回もCDリリースにあわせてのイベントや握手会を実施しており、それが売上に大きく影響している模様です。

2位初登場は新潟を中心に活動するAKB系グループNGT48「世界はどこまで青空なのか?」。実売数2位、ラジオオンエア数19位、PCによるCD読取数6位、Twitterつぶやき数9位。オリコンでは初動売上14万8千枚で2位初登場。前作「青春時計」の16万枚(1位)からダウンしています。

3位には宇多田ヒカルの配信限定シングル「あなた」が初登場でランクイン。ピアノとベースラインが奏でるジャジーな雰囲気が魅力的なナンバー。実売数3位、ラジオオンエア数15位、Twitterつぶやき数19位、You Tube再生回数59位でこの位置に。

続いて4位以下の初登場曲です。まず4位に=LOVE「僕らの制服クリスマス」がランクイン。実売数4位、ラジオオンエア数30位、PCによるCD読取数40位、Twitterつぶやき数14位。HKT48の指原莉乃がプロデュースする女性声優によるアイドルグループ。作詞は指原莉乃名義ですが、このあざといタイトルからして、まず間違いなく秋元康が実質上は手掛けていると思われます。オリコンでは初動売上4万枚で3位初登場。前作「=LOVE」の1万9千枚(8位)よりアップしています。

5位はEXILEの事務所に所属しているアイドルグループの合同ユニットE-girls「北風と太陽」が初登場でランクイン。実売数5位、PCによるCD読取数4位を記録した一方、ラジオオンエア数28位、Twitterつぶやき数は42位に留まりました。オリコンでは初動売上3万5千枚で5位初登場。前作「Love☆Queen」の6万9千枚(4位)から大きくダウンしています。

8位には女性コーラスグループLittle Glee Monsterの配信限定シングル「Jupiter」が先週の27位から8位にランクアップしベスト10入り。TBS系ドラマ「陸王」の挿入歌で、平原綾香が2003年にリリースし大ヒットした「Jupiter」(原曲もホルストの組曲「惑星」に日本語詞をつけたカバーですが)のカバー。実売数7位、ラジオオンエア数72位でベスト10入りしてきました。

今週の初登場組は以上ですが、今週は前述の「DNA」以外にもう2曲返り咲き組が。まず7位にクリス・ハート「I LOVE YOU」が先週の98位からランクアップ。来春に音楽活動休止を発表した彼ですが、その影響でランクを大きくアップ。2014年3月10日付チャートでの6位以来、実に197週ぶりのベスト10返り咲きを記録しています。また欅坂46「風に吹かれても」も先週の11位から9位にランクアップ。こちらは2週ぶりのベスト10返り咲きとなります。

またロングヒット組はDAOKO×米津玄師「打上花火」が8位から6位に再度ランクアップ。実売数8位、You Tube再生回数4位はいずれも先週から同順位をキープしており、まだまだ根強い人気を見せています。

今週のHot100は以上。明日はアルバムチャート。

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2017年12月12日 (火)

コンプレックスはアートなり!

Title:PINK
Musician:CHAI

ここ最近、急激に注目を集めている女性4人組バンド。このデビューアルバムもいろいろなメディアで大きく取り上げられているのでそのバンド名を目にした方も多いのではないでしょうか。話題のバンドということで今回、このアルバムではじめて音源を聴いてみたのですが・・・

完全にはまってしまいました(笑)。

このバンド、「NEOかわいい」「コンプレックスはアートなり」をバンドコンセプトとして活動を行っています。正直言って、お世辞にもアイドル的人気で勝負できるバンド、という感じではありません。ただ、そういうルックス的な側面を逆にバンドのコンセプトとして勝負をかけているのがユニーク。例えば「N.E.O」では

「目ちっちゃい 鼻ひくい くびれてない 足太い
ナイスバディ!オーライ!
NEOかわいい
change the world」

(作詞 ユウキ 「N.E.O」より)

なんていうコンプレックスになりそうな外見的要素をポジティブに歌い上げていますし、「sayonara complex」でも

「飾らない素顔の
そういう私を認めてよ」

(作詞 CHAI 「sayonara complex」より)

というルックスだけで勝負することを否定的に歌っています。

こういったルックス的なコンプレックスを高々と歌うバンド、男性バンドでは決して珍しくありませんでした。ただ一方女性バンドでは、確かにルックス的には、というバンドもいままでありましたが、コンプレックスをあえてバンドのテーマとするバンドはほとんどいなかったように思います。あえて言えばGO!GO!7188が「ブサイク」を前面に出していましたが、楽曲的にはそういった要素を取り入れた曲はありませんでした。

そんな中、彼女たちのようにコンプレックスをあえて表に出してくるバンドの登場は非常に興味深く感じます。特に昨今、アイドルブームで男性的な視点の女性像を押しつけられているアイドルが音楽シーンで大手を振る中、このような女性像にあえてアンチを唱えるようなバンドが出てきたというのはとても頼もしく感じられます。

また彼女たちの歌詞は、そんな押しつけられたような女性像に、ある種のフェミニスト的な言説を声高に唱えている訳ではなく、とてもユーモラスに歌いつつ、ちょっと皮肉的な歌詞でチクリと風刺しています。だからこそ、彼女たちの歌詞は男性でも嫌味なく楽しめることが出来ます。

ただ、彼女たちの最大の魅力はこの歌詞の世界観ではありません。もちろん歌詞のコンセプトも大きな魅力であるものの、最大の魅力はこの歌詞の世界観をしっかり支える彼女たちの音楽性のユニークさだと思います。

彼女たちのサウンドは非常にシンプルでタイト。ただ、足腰のしっかりとした分厚いリズム隊のサウンドでしっかりと支えており、ロックバンドとしての実力を感じさせます。そしてそんなバンドサウンドを軸としつつ、「N.E.O.」や「ボーイズ・セコ・メン」ではラップを取り入れたり、「ほれちゃった」ではシティポップ的な要素を取り入れたり、「ウォーキング・スター」ではファンク的なサウンドを聴かせたり、基本的に今時のブラックミュージックからの影響を感じさせつつ、それをパンキッシュなバンドサウンドと上手く融合させています。

ただ、全体的にはアバンギャルドでパンキッシュな要素を強く感じさせます。ラップやアシッドジャズ的な要素を感じることから、CIBO MATTOとの類似性をよく取り上げられますが、一方、アバンギャルドでパンキッシュという点から、個人的には例えばメスカリン・ドライブや少年ナイフあたりのガールズパンクバンドからの流れも強く感じます。

さらに彼女たちに関してユニークなのは、そんなブラックミュージックやらパンクやらの要素を感じつつも、同時にポップにコーティングされているという点でしょう。ボーカルをつとめるマナ、カナの双子の姉妹はハイトーンボイスでかわいらしい歌声で歌い上げており、そのためアバンギャルドな音楽性がかなりポップに中和されています。「かわいいひと」のようなエレピ1本で聴かせるポップソングや「フラットガール」のようなポップなメロを前に出した曲など、メロディーを前面に出した楽曲に関しては、そのポップなメロディーラインに彼女たちのメロディーセンスの才能も感じます。アバンギャルドでありつつも同時にポップスさを兼ね合わせている彼女。歌詞の内容についても尖った主張がありつつもユーモラスにまとめあげており、いい意味で非常に聴きやすいポップな楽曲を聴かせてくれる点がとても魅力を感じます。

様々な音楽性を同包しつつ、タイトな力強いリズム隊の演奏でしっかりと聴かせる楽曲は非常に中毒性も高く、わずか30分強というアルバムの長さもあり、ここ最近、アルバムを繰り返し聴くなどすっかりはまってしまっています。このアルバムも間違いなく今年のベスト盤候補になる傑作。そのバンドコンセプトや音楽性など、間違いなく2017年を代表する重要バンドだと思います。全音楽ファン一度は聴いてみてほしい1枚です。

評価:★★★★★

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2017年12月11日 (月)

10年ぶりのオリジナルアルバム

Title:2017
Musician:ZIGGY

メジャーデビュー30周年を迎えたロックバンドZIGGY。2008年にバンドとしての活動休止。その後、再結成しライブツアーを行うことはあったのですが新曲のリリースはありませんでした。しかし、デビュー30周年を迎える今年、10年ぶりとなるニューシングルがリリース。さらに先日ここでも紹介したシングルコレクションがリリースされ、そして待望の10年ぶりとなるニューアルバムがリリースされました。

ZIGGYに関してはここで以前紹介したシングルコレクションの時に書いた通り、個人的には「GLORIA」がヒットしたバンドというイメージしかなく、「よくありがちなJ-POPのミュージシャン」的な印象を持っていました。しかしシングルコレクションを聴く、思った以上にロックな楽曲がカッコよく、ZIGGYというバンドに持っていた印象は大きく変わりました。

今回の再結成にあたって、残念ながら事実上、森重樹一のソロプロジェクトとなってしまったZIGGY。ただ本作に関してはシングルコレクションを聴いてZIGGYに感じた魅力がそのまま反映されているアルバムになっていたと思います。

今回のアルバムに関して感じた大きな魅力、それはストレートに言ってしまうと非常にベタな点でした。ZIGGYの楽曲は良くも悪くも80年代あたりのハードロック、ブルースロックがダイレクトに反映された音楽性。そんなサウンドにのるメロディーラインはインパクト十分、ある意味キャッチーともいえるわかりやすいもの。ギターがなっているダイナミックなサウンドは非常にわかりやすい、ロックらしいロックともいえる曲になっています。

1曲目「白んだ空に蝶達は舞ってる」はハードなギターに沿ったシャウト気味なボーカルでダイナミックに展開するロックらしい曲からスタート。続く「うたた寝の途中」は軽快なロックンロール的なサウンドに対して、メロディーラインはメロディアスでわかりやすいポップな曲調となっており、J-POP的なインパクトを持った作品になっています。

メロディーラインに関して「キャッチー」という言い方がふさわしいのが「まだ見ぬ景色が見たくて」で、疾走感あるメロディーラインは90年代のJ-POP風。個人的にはどこか懐かしさを感じさせます。ほかの楽曲に関しても古き良きハードロックにポップなメロディーをのせたスタイルは90年代J-POPによくありがちなスタイル。そういう意味ではアラフォー世代にとってはどこか懐かしさを感じさせてくれる部分はありました。

ただ、単純に90年代J-POP的というと今でもよくありがちなスタイル。ともすればそういうバンドはあまり面白味を感じることはありません。ZIGGYがそういったバンドと大きく一線を画するのが、彼の音楽にははっきりとルーツが見えるという点でしょう。ルーツ志向という点で典型的だったのが「I CANNOT GET ENOUGH」で軽快なピアノとギターサウンドは明確にブルースロックからの影響を感じます。ともすればルーツレスなバンドが多いJ-POPシーンの中、このルーツをしっかりと楽曲から感じさせる点が他のバンドとは明確に一線を画するZIGGYの大きな魅力でしょう。

ちなみに今回のアルバムではDisc2としてライブ音源も収録。こちらには「GLORIA」「STEP BY STEP」のような彼らの代表曲も収録されており、ベスト盤的に楽しめる内容になっています。ZIGGYとしては久々となるライブツアーの初日でかつ森重樹一以外はサポートメンバーということもあってライブの出来としてはそんなに絶賛するほどの出来には感じませんでしたら、ライブの雰囲気は伝わってくる1枚だったと思います。

そんな訳で、シングルコレクションではじめてZIGGYの魅力を知って、今回はじめてオリジナルアルバムを聴いたのですが、期待にしっかりと応えてくれた傑作アルバムに仕上がっていました。アラフォー世代なら懐かしさもあってかなり楽しめそうなアルバム。それ以外の世代にももちろん、ロックの魅力をしっかりと伝えてくれるようなそんなアルバムです。

評価:★★★★★

ZIGGY 過去の作品
SINGLE COLLECTION


ほかに聴いたアルバム

野宮真貴、ホリディ渋谷系を歌う。/野宮真貴

野宮真貴が2013年から続けている渋谷系のルーツをカバーする企画、「野宮真貴、渋谷系を歌う。」の第5弾となるアルバム。今回は大瀧詠一アレンジによる童謡「雪やコンコ」や槇原敬之の「冬がはじまるよ」などちょっと意外なカバーも。先日、足を運んだライブでも感じたのですが、年齢を感じさせない歌声での魅力的なカバーは相変わらずなのですが、全12トラック中6トラックがボーナストラックであり、全体的に「渋谷系のルーツ」という観点はちょっと薄めというか、若干焦点がぼやけている感じも。企画的には若干ネタ切れ気味な感じもするし、カバーアルバムとしては魅力的なので、そろそろ「渋谷系を歌う。」という枠組みをはずした純粋なカバーアルバムをリリースした方がよいのでは?

評価:★★★★

野宮真貴 過去の作品
実況録音盤!「野宮真貴、渋谷系を歌う。~Miss Maki Nomiya Sings Shibuya-kei Standards~」
世界は愛を求めてる。-野宮真貴、渋谷系を歌う。-
男と女~野宮真貴、フレンチ渋谷系を歌う。
野宮真貴、ヴァカンス渋谷系を歌う。~Wonderful Summer~

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2017年12月10日 (日)

渋谷系を歌う。

野宮真貴、ホリディ渋谷系を歌う。

会場 NAGOYA Blue Note 日時 2017年11月24日(金) 18:30~

ご存じ90年代にピチカート・ファイヴのボーカリストとして活躍した野宮真貴。ここ最近は、「野宮真貴、渋谷系を歌う。」と題して、ピチカート・ファイヴに代表される90年代の音楽ムーブメント、渋谷系のルーツになったような曲を取り上げてカバーする企画ライブを行い、CDもリリースしています。この企画ライブ、以前から気になっていたのですが、今回ちょうどよいタイミングで名古屋ブルーノートでライブを開催。はじめて野宮真貴のライブに足を運んできました。

ブルーノートでのライブはこれで3回目。ただうち1回はSAKAE SP-RINGでのステージだったので、純粋な意味でブルーノートのライブを見るのはこれが2度目。入口で受け付けをすますと席までエスコートされるという、普段とはちょっと違った雰囲気の中、ライブのスタートを待ちます。

ライブは18時半ちょうどからスタート。野宮真貴は全身白のふわふわなドレスで着飾って優雅に登場。1曲目はピチカート・ファイヴの「きよしこの夜」からスタート。この曲、なんとライブで披露するのは25年ぶりだとか。知る人ぞ知る的な楽曲から、ちょっとスペシャルなこの日のライブはスタートしました。

続くMCのコーナーでは曲の紹介やこの日のステージ衣装について。「せっかくなので記念撮影をしましょう」となんと携帯での撮影が解禁(!)。私もiphoneのカメラを向けたのですが・・・真っ白な衣装がハレーションを起こして上手く取れませんでした(T T)。残念・・・。

その後はライブツアーと同タイトルのアルバムにも収録されていたいしだあゆみの「ウィンターコンサート」、その後はタイアップコーナーと題して、「ヴァカンス渋谷系を歌う。」に収録されていた「世界!西原商会の世界!」や、Francfrancとのコラボ曲「Fun Fun Christmas」など、アルバムの中からの曲を聴かせてくれました。

中盤は彼女のデビューアルバム(1981年!)「ピンクの心」の中に収録されている「絵本の中のクリスマス」なんていうレアな選曲も。さらに「おもて寒いよね」の前には、横山剣から届いたというクリスマスカードを披露。横山剣は残念ながらこの日、ライブには来なかったのですが、「ソウル電波を届けます」というメッセージが。野宮真貴による「イイネ!」も飛び出して、楽曲へ突入。横山剣のパートはテープを流す形だったのがちょっと残念ですが、息の合った(?)デゥオを聴かせてくれました。

その後は全身金色のラメの服にクリスマスツリーの飾りをつけたド派手なスタッフ(ヘアメイク担当の方らしい・・・)が登場し、野宮真貴とコント的なやり取りが飛び出したりして、ここでこの日のライブグッズの紹介。野宮真貴のエレガントな雰囲気とはちょっと違う、コミカルなMCを聴かせてくれました。

そのまま野宮真貴本人はお色直しということで一度ステージから去ります。バンドの演奏で間を繋いで、今度は黒色のシックな衣装で登場。「野宮真貴が歌っていない小西康陽の曲シリーズ」(?)ということでPIZZICATO ONEの「東京の街に雪が降る日、ふたりの恋は終わった。」をカバーしました。

前半から中盤にかけてはどちらかというと大人な雰囲気で聴かせる展開が続いていたのですが、ここからはアップテンポな曲が続きます。「Winter's Tale~冬物語~」に、「雪やこんこ」を大瀧詠一アレンジによるフィルスペクターサウンドをバックに披露。さらに個人的に聴きたかった槇原敬之の「冬がはじまるよ」のカバーで会場を盛り上げます。

最後はユーミンの「A Happy New Year」のカバーでちょっとしんみりとした雰囲気にして本編終了。メンバーは一度会場を去りました。

もちろんその後はアンコールが。アンコールはライブでの恒例らしいピチカート・ファイヴメドレー。「メッセージソング」や「東京は夜の7時」など、個人的にも非常に懐かしいナンバーをナマで聴くことができたとてもうれしい瞬間。最後は「12月24日」で締めくくり。ライブは大盛況のうちに幕を下ろしました。

ライブは本編が1時間強、アンコール込で1時間20分程度のステージ。通常のライブだとちょっと短いライブなのですが、ブルーノートは2ステージ制ということもあり、予定通りの長さのライブ。それだけにあっという間のステージでした。

はじめて野宮真貴のライブを見たのですが、とにかく声が若々しく、昔から全く変わっていないことが驚かされます。今、彼女は57歳だそうで、外見もとても美しいのですが、大変失礼ながら年齢相当な部分も否定できません。ただ声に関しては全く年齢を感じさせないつやや色気を感じ、驚かされました。本人はこの日のライブでも「還暦まで歌い続けたい。あと3年」と言っておられましたが、これだけの歌唱力を維持しながらあとたった3年はもったいなさすぎる・・・是非、まだまだ歌い続けてほしいです。

ブルーノートで大人な雰囲気でのステージでしたが、魅力的な野宮真貴のボーカルを堪能できたライブでした。選曲も名曲が多かったし、この念願の「渋谷系を歌う。」の企画ライブを思う存分楽しめました。やはり彼女のボーカルは素晴らしい。また機会があれば足を運びたいです。

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2017年12月 9日 (土)

超ベテランパンクバンドのベスト盤

Title:ATOMIC GARDEN
Musician:the原爆オナニーズ

おそらくそのミュージシャン名だけでかなりのインパクトがあるだけに、名前だけは知っているという方も少なくないかもしれません。80年代から活動を続けるパンクバンドthe原爆オナニーズ。名古屋を中心に活動を続けるこのバンドは数多くのミュージシャンからリスペクトを集め、元Blankey Jet Cityの中村達也やHi-STANDARDの横山健も一時期、メンバーとして名を連ねていました。

本作はそんな彼らが、インディーズレーベル、アルケミーレコードに所属していたころの作品を集めたベストアルバム。具体的には1989年にリリースされた「GENBAKU HEAD QUARTERS」から1997年にリリースされた「STEP FORWARD」の頃の作品を集めたベスト盤です。

1時間14分というフルボリュームながらも26曲入りという今回の作品。20年以上前の楽曲を集めたアルバムなのですが、いま聴いても全く古臭さを感じることはありません。疾走感あり、ノイズを思いっきり響かせるギターを中心とした分厚いバンドサウンド。ボーカルTAYLOWのがなり声でのシャウト気味でのボーカル。ある意味、実にパンクロックらしい焦燥感と迫力を感じさせる演奏が続きます。

正直言って全26曲、楽曲のバリエーションはほとんどありません。基本的にパンクロック一本。あえて言えば「ピ・ポ・パ」のような、ちょっと複雑なドラミングを聴かせる曲があったり、「G・H・Q」のようなちょっと抑え気味の曲があったり、また「Step Forward」のような前向きな曲があったりといったところが耳を惹きました。

また楽曲的には「日本のパンク」といってよくありがちな、いわゆる行進曲のリズムを持ったパンクロックではありませんし、わかりやすいメロディーラインを持ったメロディアスパンクでもありません。もちろん、上で「前向きな曲」と書いたのですが、2000年代に流行ったような青春パンクともほど遠いものです。

そういう意味では楽曲的には決して聴きやすいものではありません。楽曲的にも力強いバンドサウンドとボーカルのシャウトを主軸として展開していくような構成で、ポップスさはあまりありません。ただ間違いなくパンクロックというジャンルの重要なポイントである、ミュージシャンの叫びは伝わってくる楽曲が並んでいます。

だからこそ、1時間以上の内容で楽曲のバリエーションがあまりないにも関わらず、最後までほとんど飽きることなく楽しむことの出来るアルバムになっていました。今の日本のミュージックシーンでは逆に珍しくなってしまった、いい意味でパンクロックらしいパンクロックなアルバム。パンクロックが好きならとりあえずはチェックしておきたい1枚です。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

YOUTH/日暮愛葉

Seagull Screaming Kiss Her Kiss Herとしても活動する日暮愛葉の8年ぶりとなるソロアルバム。全10曲中9曲が打ち込みというエレクトロ色を出したアルバムになっています。ただ、全編エレクトロで彼女のイメージが一新・・・といった感じではなく、ローファイで音数を絞ったサウンド構成は相変わらず。ノイジーなガレージサウンドもきちんと鳴っており、いままでの彼女のイメージの延長線上にエレクトロサウンドを入れてきたといったイメージのアルバムになっています。良くも悪くも地味な印象は否めず、インパクトが薄めなのはちょっと残念でしたが。

評価:★★★★

BINARY/WONK×THE LOVE EXPERIMENT

ここ最近、特にジャズシーンから注目を集めている新進気鋭のエクスペリメンタル・ソウルバンと、ニューヨークを拠点に活動するこちらも注目株のソウルバンドTHE LOVE EXPERIMENTのコラボアルバム。エレクトロなトラックをメインに、ソウルやジャズ、HIP HOPを変幻自在に行きかうサウンドは魅力的だし、この自由度の高さが今時かも。ただ、個人的にはもうちょっとパンチの利いた、コアになるようなサウンドが欲しかったような。全体的にはメロウなボーカルの歌モノが目立つアルバムに仕上がっており、いい意味でポップス感覚も強く、聴きやすいアルバムになっていました。

評価:★★★★

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2017年12月 8日 (金)

「この世界の片隅に」への楽曲参加が話題に

Title:雨の箱庭
Musician:コトリンゴ

映画「この世界の片隅に」への楽曲提供が大きな話題となった女性シンガーソングライターのニューアルバム。コトリンゴ、という名前は以前から知っていたのですが、なんとなくオリジナルアルバムはいままでチェックしておらず、彼女の音源をきちんと聴いたのが「この世界の片隅に」のサントラ盤がはじめてでした。そのサントラで聴いた彼女の歌が非常に素晴らしかったため、今回、はじめて彼女のオリジナルアルバムもチェック。そして、期待通り、いや期待以上の素晴らしいアルバムに仕上がっていました。

「この世界の片隅に」で聴かせてくれた彼女の歌は、アコースティックなアレンジに力の抜けたボーカルスタイルが特徴的。この暖かく、ほどよく脱力感ある楽曲が映画の主人公の性格にもピッタリあっていました。

今回のアルバムに関してももちろんコトリンゴの作風は「この世界の片隅に」で聴かせてくれた楽曲と変わりありません。まずは雨上がりの美しくもどこか幻想的な風景を描いたピアノインストナンバーである「雨上がる」からスタート。続く「迷子になった女の子」もストリングやウッドベースなどで描かれるアコースティックなサウンドはどこかファンタジック。そこにウィスパー気味のコトリンゴの力の抜けたボーカルが暖かさもあり、曲の雰囲気にもマッチ。不思議な暖かさのある楽曲に仕上がっています。

前半はそんなアコースティックなサウンドをバックに暖かい雰囲気のあるポップソングが並びます。そしてインストナンバーの「Light Up Nipponメインテーマ」を挟んで後半の「To do」は前半と同様、暖かみあるアコースティックなナンバーながらも、ちょっとジャジーな雰囲気のナンバーに。続く「林檎」はちょっとジャジーながらもアバンギャルド風のサウンドが耳に残りますし、さらに「wataridori」はトラッド風なサウンドも印象的なナンバー。基本路線は前半と同様、暖かみのあるアコースティックなサウンドに脱力感あるコトリンゴのボーカルを聴かせるというスタイルは変わらないのですが、作風にバリエーションを感じる展開になっています。

最後を締めくくる「hanabi」はまたこのアルバムを締めくくるにふさわしい、ピアノのアルペジオをバックにしんみりと聴かせるバラードナンバー。ピアノの音色もコトリンゴのボーカルもとても優しく、ほんわかしてくるような楽曲に仕上がっています。

そんな訳で今回はじめて彼女のアルバムを聴いたのですが、とても優しくて暖かさのあふれるアルバムに仕上がっていました。「この世界の片隅に」をみて、その音楽を気に入った方なら絶対気に入るはずの作品。期待していた以上の傑作アルバムになっていました。

コトリンゴといえばここ最近はKIRINJIのメンバーとなりKIRINJIとしても活動していたのですが、先日、KIRINJIからの脱退を発表しました。もともとKIRINJIに参加する以前からソロでも既にその地位を確立していただけにKIRINJI加入のニュースも驚いたのですが、逆にKIRINJIからの脱退というニュースは、彼女もソロで忙しそうですし、まあいつかは離れるんだろうなぁ、と予想していただけにさほど驚きはありません。これからはおそらくソロでもさらに精力的に活動を続けるであろう彼女。これからの活躍も楽しみです。

評価:★★★★★

コトリンゴ 過去の作品
劇場アニメ「この世界の片隅に」オリジナルサウンドトラック


ほかに聴いたアルバム

全知全能/ポルカドットスティングレイ

人気上昇中の女性ボーカル+男性3人リズム隊という4人組バンドによる新作。前作「大正義」では椎名林檎経由でNUMBER GIRLに影響を受けたようなサウンドと書いたのですが、今回のアルバムではバンドサウンドを聴かせるものの、もうちょっとポップ色が強くなった印象も。楽曲的にはインパクトはあるのですが、もうちょっとバリエーションも欲しい感じ。「大正義」同様、もう一歩で傑作なのに・・・という惜しい印象を残すアルバムです。

評価:★★★★

ポルカドットスティングレイ 過去の作品
大正義

SAMURAI SESSIONS vol.2/MIYAVI

「対戦型コラボレーションアルバム」として2012年にリリースされた「SAMURAI SESSIONS vol.1」。本作はその第2弾となるアルバム。今回は三浦大知やSKY-HI、EXILE SHOKICHIなどR&B系やHIP HOP系かつメジャー系なミュージシャンが多く、ギターセッションというよりはエレクトロサウンドの中にMIYAVIのギターが鳴り響く感じ。ファンキーなギターはそれなりにカッコいいけども、全体的に消毒されたような悪い意味でのメジャー仕様のポップな楽曲がメインで、物足りなさは否めませんでした。

評価:★★★

MIYAVI 過去の作品
WHAT'S MY NAME?(雅-MIYAVI-)
SAMURAI SESSIONS vol.1(雅-MIYAVI-)
MIYAVI
THE OTHERS
FIRE BIRD
ALL TIME BEST "DAY2"

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2017年12月 7日 (木)

28作目の1位獲得

今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

安室奈美恵は4週連続の1位はならず。

今週1位はB'zのニューアルバム「DINOSAUR」が獲得。これでアルバムでは28作目となる1位獲得となるそうです。初動売上20万1千枚は前作「EPIC DAY」の20万9千枚から若干のダウンとなりました。

2位には安室奈美恵「Finally」がワンランクダウン。ただ今週も9万3千枚を売り上げており、タイミングによってはまだ1位返り咲きの可能性も。累積売上も160万枚を突破。CDが売れない今、アイドル系以外では異例ともいえる売上となっており、彼女の人気に驚かされます。

3位には和楽器バンド「軌跡 BEST COLLECTION+」がランクイン。彼女たち初となるベストアルバム。ただ、まだアルバム3枚しかリリースしていないバンドで、ベスト盤はちょっと早すぎないかい?初動売上は4万2千枚。前作「四季彩-shikisai-」の4万1千枚(2位)より若干アップしています。

続いて4位以下の初登場盤です。4位にはNintendo Switchの人気ゲーム「スプラトーン2」のサントラ盤「Splatoon2 ORIGINAL SOUNDTRACK -Splatune2-」がランクイン。初動売上1万8千枚。同ゲームの前作「スプラトーン」のサントラ「Splatoon ORIGINAL SOUNDTRACK -Splatune-」の初動4万2千枚(2位)からダウンしています。

8位にはBOBBY「LOVE AND FALL」がランクイン。名前的にはいかにもアメリカ人的ですが、韓国の人気アイドルグループiKONのメンバーによるソロデビューアルバム。初動売上8千枚で見事ベスト10入りです。

初登場最後は9位U2「Songs Of Experience」。ご存じイギリスの人気ロックバンドによる新作。初動売上は7千枚。iTunesへの強制無料配信が賛否両論を巻き起こした前作「Songs Of Innocence」の初動1万枚(3位)より若干のダウンとなっています。

他には今週、ベスト10返り咲き組が2枚もありました。まずは6位、韓国の男性アイドルグループSeventeen「Teen,Age:Seventeen Vol.2」が先週の31位からランクアップし、ベスト10返り咲きとなりました。これは来年2月から3月に予定されているサイン会参加のためのエントリーカード付CDのリリースが開始された影響の模様です。

またBiSH「THE GUERRiLLA BiSH」もランク圏外からランクアップしベスト10返り咲き。これは以前、ランクインしたのが11月4日5日限定でタワーレコードにおいて299円で数量限定のゲリラ販売した影響。今回は正式版リリースで再度のランクインとなりました。ちなみに今週の売上1万6千枚とゲリラ販売分の売上をあわせると、累計2万7千枚に。これは前作前作「GiANT KiLLERS」の初動売上2万8千枚からダウンしており、ゲリラ販売の効果はさほどなかった模様です。

今週のアルバムチャートは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2017年12月 6日 (水)

初ベスト10入りが目立つ

今週のHot 100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

今週はHot100としてはちょっと珍しく、ベスト10のうち8曲がベスト10初登場という結果となりました。

そんな中で1位を獲得したのはKis-My-Ft2「赤い果実」でした。テレビ朝日系ドラマ「重要参考人探偵」主題歌。CD販売・ダウンロード・ストリーミング数(以下「実売数」)及びTwitterつぶやき数で1位、PCによるCD読取数で2位を獲得。一方、ラジオオンエア数は圏外となっており、固定ファンが多いアイドルによくありがちなヒット傾向となっています。オリコンでは初動売上18万4千枚で1位獲得。前作「PICK IT UP」の17万4千枚(1位)からダウン。

2位はアニメキャラによるアイドルプロジェクトAqours「MY舞☆TONIGHT」が初登場で獲得。アニメ「ラブライブ!サンシャイン!!」挿入歌。琴の音を入れたりしたりして和風を表現しているものの、全体的には平凡なJ-POPという「なんちゃって和風」感な曲に。実売数2位、PCによるCD読取数3位の一方、Twitterつぶやき数41位、ラジオオンエア数圏外と典型的な一部の固定ファンのみによるヒットになっています。オリコンでは初動3万4千枚で2位初登場。前作「勇気はどこに?君の胸に!」の3万7千枚(4位)よりダウン。

3位にはロックバンド[Alexandros]「明日、また」が先週の97位からCD販売にあわせてランクアップし、初のベスト10入り。クロレッツCMソングなのですが、クロレッツにイメージにあわせてか、爽快感の強いナンバーになっています。実売数3位、ラジオオンエア数2位、PCによるCD読取数4位、Twitterつぶやき数14位といずれも上位にランクインしてのヒット。オリコンでは初動売上2万2千枚で4位初登場。前作「SNOW SOUND」の1万5千枚(8位)からアップしています。

続いては4位以下の初登場曲です。まず4位にaiko「予告」が先週の88位からCD発売にあわせて一気にベスト10入り。ちょっとジャズっぽい軽快なピアノが耳を惹く楽しいナンバー。実売数は7位、Twitterつぶやき数は26位と少々奮いませんでしたが、ラジオオンエア数では1位を獲得。PCによるCD読取数も5位を記録し、結果、この順位となりました。オリコンでは初動2万6千枚で3位初登場。前作「恋をしたのは」の2万7千枚(3位)から若干のダウン。

5位にはアニソンを中心にレパートリーとする女性シンガーLiSA「ASH」が先週の90位よりCD発売にあわせてランクアップ。アニメ「Fate/Apocrypha」オープニング・テーマ。激しいストリングスにハードロック調のアレンジを重ねたダイナミックなサウンドにマイナーコード主体の叙情感をぶつけたようなメロディーが良くも悪くもアニソンらしい楽曲。実売数10位、ラジオオンエア数21位、PCによるCD読取数9位、Twitterつぶやき数5位と平均的に上位にランクインし、総合5位に。オリコンでは初動売上1万9千枚で5位初登場。前作「だってアタシのヒーロー。」の1万5千枚(7位)からアップしています。

6位には毛蟹 feat.DracoVirgo「清廉なるHeretics」が初登場でランクイン。ゲーム「Fate/Grand Order -Epic of Remnant- 亜種特異点Ⅳ 禁忌降臨庭園 セイレム 異端なるセイレム」のテーマ曲で配信オンリーでのリリース。実売数4位、Twitterつぶやき数80位のほかはすべて圏外。ちなみにDracoVirgoは2000年代前半に活躍したHIGH and MIGHTY COLORのメンバーによるバンドだそうです。HIGH and MIGHTY COLORというとボーカルのマーキーがドリカム中村正人の奥さんという話が有名ですが、この曲でボーカルをつとめるのも彼女です。毛蟹なるミュージシャンはいまひとつ情報が出ておらず不明な点も多いのですが、最近活躍しているサウンドクリエーターらしいです。

7位に初登場していたのはチト(水瀬いのり),ユーリ(久保ユリカ)「動く、動く」。アニメ「少女終末旅行」オープニングテーマ。実売数5位、PCによるCD読取数17位、その他は圏外となっています。Perfumeを彷彿とさせるようなエレクトロポップナンバーですが、この曲を作詞作曲プロデュースを行ったのも、上で紹介した毛蟹だそうです。オリコンでは初動売上5千枚で19位初登場でしたので、配信での売上がメインとなっている模様。

最後は10位にRoselia「ONENESS」が初登場でランクイン。Roseliaは漫画「BanG Dream!」から派生したプロジェクトにより登場したアニメキャラによるロックバンド。実売数11位、PCによるCD読取数10位、Twitterつぶやき数7位を記録。オリコンでは初動1万4千枚で8位初登場。前作「熱色スターマイン」の1万7千枚(7位)よりダウンしています。

そんな初登場組に囲まれて、ロングヒット組はDAOKO×米津玄師「打上花火」が今週も先週の7位からワンランクダウンの8位とロングヒット継続中。You Tube再生回数は先週の5位から4位にランクアップしており、まだまだヒットは続きそうです。

今週のHot100は以上。明日はアルバムチャート!

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2017年12月 5日 (火)

新たな発見が・・・

Title:Vu Ja De
Musician:細野晴臣

前作「Heavenly Music」がカバーアルバムだったので、新曲を含むオリジナルアルバムとしては「HoSoNoVa」以来6年ぶりとなるニューアルバム。奇妙な「Vu Ja De」というアルバムタイトルはお気づきの通り、「De Ja Vu」をさかさまにした言葉。ただ、彼の造語ではなく英語として使われている言葉のようで、「今まで見えていたものが何かのきっかけでまったく違うものに見える」という、「デジャヴ」とは逆のことを指す言葉だそうです。

今回のアルバムは全2枚組という内容。ただフルボリュームの内容ではなく、2枚あわせても1時間弱という十分1枚のアルバムとして収録できる内容になっています。ただ、Disc1は古いポップソングのカバー、Disc2は自らのオリジナル作という構成になっており、オリジナルとカヴァーではその世界観が全く違うということで2枚のCDにわけたそうです。

そして今回のアルバムタイトルは、Disc1のカヴァー曲を演奏した時の気持ちに沿った言葉だそうです。カントリーやブルース、あるいはスタンダードポップスやジャズといった古き良き時代のポップソングをカバーした本作。意外なことに最近になって知った曲も収録されているとか。また、あるいはカヴァーしてはじめて発見したようなことも少なくなく、まさに「Vu Ja De」の意味にピッタリ来るような内容になっていたようです。

一方Disc2はオリジナル曲を収録したアルバムになっているのですが、他のミュージシャンや映画・テレビなどへの提供曲やセルフカバーなどが大半となっており、今回のアルバムにあわせての純然たるオリジナル曲は1曲のみということ。既発表曲を並べてあらためて聴くことによるリスナーにとっても「Vu Ja De」を味わえる、ということなのでしょうか。

そして確かに今回のアルバム、Disc1とDisc2でかなり雰囲気が異なります。Disc2もルーツ志向の楽曲が多いものの、様々な媒体への提供曲を集めたということもありバラエティー豊富。良くも悪くも雑多な雰囲気がありますが、Disc1はアコースティックでシンプル。暖かさを感じるカバーということで統一感があります。CDを2枚組としたからこそ、異なる雰囲気を味わえるアルバムになっていました。

ただ、Disc1にも2にも共通項があって、どちらも非常に肩の力の抜けたポップソングに仕上がっているということ。カヴァーにしても原曲に比べてどうこうという変な気負いはなく、ただシンプルに暖かい雰囲気でカヴァーしています。Disc2についてももともとの提供媒体関係なく、ただただシンプルに彼の楽曲を並べた内容。結果「2355氏、帰る」といったような(Eテレの「2355」の使用曲ですね)提供媒体にしっかり紐づいたような曲も同じ並びで収録されています。しかし、にもかかわらずDisc2は統一感も覚えるのは、そこは細野晴臣らしいサウンドがしっかりと底辺で流れているのでしょう。1枚のオリジナルアルバムとして全く違和感ない出来でした。

良い意味で力が抜かれているベテランの彼ならではの傑作アルバム。タイトル通り、リスナーにとっても新たな発見のあるかもしれません。まずはCD2枚、異なる世界観を楽しみたい作品でした。

評価:★★★★★

細野晴臣 過去の作品
細野晴臣アーカイヴスvol.1
HoSoNoVa
Heavenly Music


ほかに聴いたアルバム

YUKI RENTAL SELECTION/YUKI

Yuki_rental_2

ソロデビュー15周年を迎える彼女。本作はそんな彼女がソロでリリースした8枚のアルバムから、それぞれ1曲ずつをピックアップして収録した、タイトル通りCDレンタル専用のベストアルバム。ベスト盤といえば内容的に2枚組3枚組と膨れ上がるのが最近の傾向の中、こちらはわずか8曲入りと潔い内容になっています。ただ、それだけにYUKIらしさが凝縮されたベスト盤になっており、どの曲もストリングスやピアノ、アコギといったアコースティックなサウンドを美しく聴かせる爽快なポップチューンがメイン。YUKIといえばソロデビュー直後はその方向性を見極められず迷走していたイメージがあるのですが、こうやって代表曲を並べられると、初期の作品からちゃんとYUKIらしさは出ていたんだな、ということにも気が付かされます。レンタル限定ですが、なにげに初心者にはピッタリの内容になっていました。

評価:★★★★★

YUKI 過去の作品
five-star
うれしくって抱きあうよ
megaphonic
POWERS OF TEN
BETWEEN THE TEN
FLY
まばたき

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2017年12月 4日 (月)

様々なタイプのミュージシャンが参加

Title:Plastic Tree Tribute~Transparent Branches~

ヴィジュアル系バンドPlastic Treeのデビュー20周年を記念して初となるトリビュートアルバムがリリースされました。Plastic Treeといえばデビュー20年という経歴からもわかるように90年代のヴィジュアル系ブームの中でデビューしたベテランバンド。ただ彼らが異質なのはその音楽性。ヴィジュアル系バンドというとほとんどがへヴィメタやハードロックから直接的、あるいは間接的な影響を受けたバンドがほとんどな中、彼らは80年代のシューゲイザー系バンドや90年代のオルタナ系ロックバンドからの影響を強く受けています。そのため以前より、普段はあまりヴィジュアル系を聴かないようなリスナー層にも高い支持を受けていたバンドでした。

今回のトリビュートアルバムに関してもそんな彼らの音楽性を反映したような幅広いミュージシャンが参加しています。MUCC、LM.C、R指定といったヴィジュアル系バンドも参加している一方、People In The Box、PELICAN FANCLUB、THE NOVEMBERSといったオルタナ系バンドも数多く参加。氣志團、相川七瀬、さらには声優の緒方恵美といったメンバーも見受けられます。

Plastic Treeの音楽は基本的にオルタナ系、シューゲイザー系の影響をダイレクトに受けたような楽曲が多い一方、有村竜太朗の歌い方はヴィジュアル系のそれ。かなりネチッこい歌い方をしています。この歌い方に強く癖があり、良くも悪くもリスナーを選別する要素になっていました。

ただ今回のトリビュートアルバムはシンプルなアレンジ、歌い方となり結果としてPlastic Treeオリジナルではちょっと隠れていたような彼らの曲の新たな魅力が表に出来てカバーが多くありました。特に印象的だったのはPELICAN FANCLUBの「水色ガールフレンド」。アレンジ自体は非常にシンプルなギターロック路線になっていたのですが、その結果、暖かい雰囲気のメロディーと歌詞が前に出てきて、こんな雰囲気の曲だったんだ、ということにあらためて気が付かされました。曲の雰囲気としてはむしろGOING UNDER GROUNDあたりがカバーしてもかなりピッタリしそうな内容でした。

People In The Boxがカバーした「エンジェルダスト」もちょっと朴訥な感じのボーカルにもピッタリとマッチ。逆に「梟」はa crowd of rebelionによりハードコア調のカバーに仕上がっていたのですが、これはこれで魅力的なカバーに仕上がっていたのですが、これはそれだけPlastic Treeの曲の持つメロディーや歌詞といった土台の部分がしっかりしていた証拠でしょう。

そんな感じでプラトゥリの楽曲の基礎がしっかりしているからこそ、各々のミュージシャンがしっかりと自らのフォーマットにのせて、それぞれのスタイルでカバーしても、それぞれが楽曲の魅力をしっかりと伝えることが出来たのでしょう。例えば「サイレントノイズ」をカバーした相川七瀬は完全に90年代J-POP風、MUCCの「3月5日。」はMUCCらしい楽曲に仕上がっていますし、清春がカバーした「メランコリック」も完全に清春らしい曲に仕上がっています。

ちょっと意外性があったのが「プラットホーム」をカバーした氣志團。ノイジーなギターサウンドを前に出したギターロック色が強いカバー。「バンド」色を前に出すことの少ない氣志團ですが、ロックバンドとしての実力を感じられるカバーに仕上げてきていました。

そんな訳でカバー曲を通じてPlastic Treeの楽曲の持つ魅力を再認識することが出来たトリビュートアルバムでした。最後はPlastic Tree本人たちが登場し「ゼロ」を披露。こちら、10年前、2007年の日本武道館でのライブの際、会場限定で配布された幻の曲だとか。そういう意味でもファンにとってもうれしいトリビュートアルバム。こういうファンサービスもうれしいですね。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

問題ない/MONSTER大陸

新メンバーとして女性ドラマーのcheetaが加入し、新生MONSTER大陸となった彼らの2年ぶりとなるニューアルバム。ルーツ志向でブルースやソウル、ファンク色の強いロックは文句なしでカッコよさを感じる一方、以前と同様、メロディーにもバンドサウンド自体にもいまひとつパンチが足らないというか、物足りなさを感じてしまい、もう一歩「惜しい」アルバムが続いています。個人的にはいろいろな意味で振り切れてしまえばおもしろいと思うのですが・・・。

評価:★★★★

MONSTER大陸 過去の作品
上陸
marry

SOUND of SURPRISE/JIGGER'S SON

90年代に活躍した4人組ギターロックバンド、JIGGER'S SON。1998年に活動休止後、2001年に解散を発表し、その活動に幕を下ろしたのですが、2012年に再結成。その後、継続的に活動を続けていたようですが、このたびなんと19年ぶりとなるニューアルバムがリリースされました。

正直言って、JIGGER'S SON自体、決して売れていたバンドではありません。活動休止後、ボーカルの坂本サトルがソロで発表した「天使達の歌」が評判となったので、アラフォー世代あたりはひょっとしたらご存じの方もいるかもしれません。本作はその「天使達の歌」をJIGGER'S SONのライブで歌ったライブ音源も収録されています。

楽曲的には90年代の彼らと全く同じスタイル。泥臭い雰囲気のギターロックがメイン。そう書くとブルースロックかスワンプロックというイメージも浮かぶところ。ただ、楽曲によってはブルージーな曲もあるのですが、基本的には普通のJ-POPといった感じで、いまひとつルーツレスなのが残念なところ。ちょっとユーモアのセンスを交えつつ歌われる歌詞も魅力的ではあるのですが、全体的にはメロディーやサウンドのインパクトももう一歩といった感じ。なんとな~く、ブレイクしきれなかった理由もわかるような。悪いアルバムではないのですが、いろいろともどかしさも残ってしまう1枚でした。

評価:★★★★

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2017年12月 3日 (日)

ありのままを?

Title:Thrill It All
Musician:Sam Smith

前作でありデビューアルバムである「In the Lonely Hour」が大ヒットを記録。一躍イギリスの国民的シンガーとなったSam Smith。売上的な側面のみならず、グラミー賞でも6部門にノミネートし、最多4部門を受賞という高い評価を受けた彼。そしてリリースされた待望のニューアルバム。もちろんイギリスのアルバムチャートで1位を獲得した他、前作では2位に留まったアメリカビルビードチャートでも見事1位を獲得するなど、予想通りの大ヒットを記録しています。

そんな期待を一身に集めたニューアルバムなのですが、これがその期待にしっかりと応えた傑作アルバムとなっています。楽曲的にはあまり派手ではありません。バリエーションもあまり多いとは言えません。全体的にバラードナンバーがメインとなった聴かせるアルバムになっているため、むしろ地味でかつ単調という印象すら抱きかねないアルバムとなっています。しかし、全10曲39分という長さながらもリスナーをだれさせることなく一気に聴かせ切る美メロと彼のボーカルが非常に魅力的な作品になっています。

アルバムはピアノとストリングスをバックに伸びやかな歌声を聴かせるバラードナンバー「Too Good At Goodbyes」からスタートします。派手さはなくむしろ「暗い」という印象すらある曲をあえて1曲目にもってくるあたりに彼の楽曲に対する自信を感じることが出来ます。前半ではレトロなソウル風のバラード「One Last Song」が耳に残る他、ピアノのみをバックに歌いあげる「Burning」は特に彼のボーカリストとしての歌唱力と表現力を感じることが出来ます。

後半はこのアルバムでは珍しい、非バラードナンバーである「Baby,You Make Me Crazy」も魅力的。ホーンセッションが入るソウルナンバーなのですが、ちょっと切なさを感じるメロディーラインも聴かせます。また、女性シンガーイエバとのデゥオ「No Peace」も大きなインパクトに。イエバのボーカルもとても力強いものであり、どちらもハイトーンボイス同士のデゥオとなるのですが、それぞれが個性を発揮した魅力的なデゥオとなっています。

今回、Special Editionで聴いたのですがボーナストラックも非常に魅力的。哀愁感たっぷりのメロディーラインが魅力的な「Nothing Left For You」、さらになぜかボーナストラックに入っているタイトルチューン「The Thrill Of It All」はこれまたピアノの演奏をバックに彼の歌声の魅力をこれでもかというほど聴かせるナンバーになっています。

収録曲のほとんどがバラードナンバーという内容ながらも彼の魅力が存分に発揮された傑作アルバム。ボーナストラックを含めると全49分という長さながらも最後まで全く飽きることがありませんでした。高い評価を受けた前作を受けての新作ながらも、その期待を裏切ることなく、どころか期待以上の傑作アルバムをリリースしてきた結果となりました。

今回のジャケット写真は彼の正面を向いた顔の写真をのせただけのシンプルな内容。非常に力強い視線も印象的なのですが、それだけに彼のありのままの姿をアルバムに反映させたということが、このジャケット写真にも反映されているような感じがします。余談ですが、彼のボーカルを聴いていると、ちょっと平井堅に近いものも感じました。特にピアノバラードの出だしの節回しあたりがちょっと似ているような・・・。でもルックスはむしろ山田孝之に似ているような・・・。

評価:★★★★★

Sam Smith 過去の作品
IN THE LONELY HOUR


ほかに聴いたアルバム

Almost True-EP/THE STRYPES

Almosttrue

配信限定でリリースされた4曲入りのEP盤。ルーツ志向の強かったガレージバンドだった彼らですが、直近のアルバム「SPITTING IMAGE」はルーツ志向が薄くなって単なるギターロックバンドになってしまっていました。今回のEPもパッと聴いた感じでは前作同様、平凡なギターロック・・・と思ったのですが、楽曲をよくよく聴くとスタイルとしてはシンプルなギターリフ主導のロックンロール路線は貫かれています。サウンドのバランスとして歌を前に持ってきすぎていてバンドサウンドが後ろに下がってしまっており、結果として「平凡な音」になってしまっている印象が・・・。サウンドのバランスを変えるとかなり違った印象を受けたのかもしれませんが・・・。最後に収録されているのはTHE WHOのおなじみ「Summertime Blues」のカバーをライブ収録した楽曲なのですが、こちらは初期の彼らを思い起こさせるような迫力あるガレージロック。そう、これこそがTHE STRYPESの魅力だよ!と思ってしまうナンバー。オリジナル曲もこういう曲をやってほしいのですが・・・。

評価:★★★

THE STRYPES 過去の作品
BLUE COLLAR JANE
SNAPSHOT
HARD TO SAY NO EP
LITTLE VICTORIES
LIVE IN TOKYO 2015
SPITTING IMAGE

On a Distant Shore(邦題 ラスト・レコーディング~彼方の岸辺で)/Leon Russell

昨年11月に亡くなったレオン・ラッセルによる遺作。しんみりとしたムーディーなポップチューンがメイン。これが最期になることを意識したのか、スタンダードポップス志向の渾身込めたポップチューンが並んでおり、美しくもインパクトあるメロディーラインの連続にシンガーソングライターとしての才能をあらためて実感できる名曲が並んでいます。ゆっくりと聴き入りつつ、失われた偉大な才能の片りんに触れることが出来る1枚でした。

評価:★★★★★

Leon Russell 過去の作品
The Union(Elton John&Leon Russell)

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2017年12月 2日 (土)

良い意味で安定感が出来てた新作

Title:ミラージュ・コラージュ
Musician:チャラン・ポ・ランタン

チャラン・ポ・ランタンのニューアルバムはフルアルバムとしては約2年ぶりとなる作品。ただ「約2年ぶり」とはいっても今年1月に「ほぼフルアルバム」として「トリトメモナシ」をリリースしていますし、昨年9月にはカバーアルバムもリリースしていますし、むしろリリーススパンとしてはかなり短いものを感じます。まさにミュージシャンとして脂にのっているといった感じでしょうか。

今回のアルバム、「ミラージュ・コラージュ」という韻を踏んだタイトルになっていますが、これは「ミラージュ=蜃気楼の中に漂う、人々が漠然と持つ一見叶わそうな『夢』のメロディとメッセージを捕まえてこの作品にコラージュしたい」という意味だとか。もっとも基本的な路線はいつものチャラン・ポ・ランタンと同じ路線なのですが、相変わらずの彼女たちらしい、聴いていて楽しくなってくるようなポップソングが並んでいます。

さて本作はメジャーデビュー後3作目、「トリトメモナシ」を含めると実質4作目のアルバムとなる訳ですが、良い意味でミュージシャンとしての安定感を覚える作品になっています。バルカン音楽やシャンソンに歌謡曲の要素をほどよく混ぜる彼女たちのスタイルも完全に定着していますし、ユーモラスでコミカルながらも日常をちょっと皮肉めいて描写する歌詞というスタイルも安定しています。

例えば「お茶しよ」ではシャンソン風、「ダンス・ダンス」では同じくシャンソンに歌謡曲的な要素を加えたスタイル、ラストを飾る「憧れになりたくて」も彼女たちらしいバルカン音楽のスタイル。ただ一方では「ストロベリー・ムーン」はモータウンビートも入れたかわいらしいダンスポップに仕上げていますし、「夢を運んだアヒルの子」もお祭りのリズムを入れてきたりとなにげに幅広い音楽性を加えてきているのもおもしろさを感じます。また「あの子はジンタ」はタイトルの通り、大正期の大衆音楽ジンタを取り入れたユニークな楽曲。エレクトロサウンドやスウィングジャズまで取り入れた前作「トリトメモナシ」の方が楽曲のふり幅はありましたが、今回は彼女たちらしい楽曲の中にさりげなく様々な音楽的な要素が加わっていたように感じます。そしてこのさりげなく加わる音楽のバリエーションが、彼女たちの音楽的素養の広さを感じさせてくれました。

また歌詞も相変わらずユニークで聴いていて楽しくなる歌詞の連続。「お茶しよ」はとかくむれたがる「女子」を皮肉的にコミカルに描写していますし、「いっくよー!」も働く人への応援歌をユニークに描いています。また、タイトルがユニークな「リンゴはスター」という曲も・・・。今回、物語調の曲がなかったのはちょっと残念ですが、彼女たちらしいコミカルな歌詞の世界を楽しむことが出来るアルバムになっていました。

上にも書いたのですが、良い意味で安定感の出来てた傑作アルバム。ミュージシャンとしての方向性がある程度完成されたので次はどのような方向に進むのかちょっと気になる部分はあるのですが・・・とにかく聴いていて楽しいワクワクするアルバムでした。

評価:★★★★★

チャラン・ポ・ランタン 過去の作品
テアトル・テアトル
女の46分
女たちの残像
借り物協奏
トリトメモナシ


ほかに聴いたアルバム

ROLL ON 48/フラワーカンパニーズ

通算16枚目となるフラカンの新作。タイトルはご想像通り、メンバーの年齢から取られたようですね。楽曲はいつもの彼ららしい骨太のロックナンバー。アラフィフ世代の彼ららしい、ある種の達観した部分すら感じる人生の応援歌「人生Roll On」「最後にゃなんとかなるだろう」みたいな歌詞が印象的な曲も。ただ、目新しさやインパクトは薄く、いいアルバムとは思うけど絶賛するには何かが足らないような・・・という内容になっています。そこも含めてフラカンらしいアルバムと言えるのかもしれませんが・・・。

評価:★★★★

フラワーカンパニーズ 過去の作品
フラカン入門
ハッピーエンド
新・フラカン入門
Stayin' Alive
夢のおかわり

CATALOGUE 1987-2016/BUCK-TICK

デビュー30周年を記念してリリースされた2枚組となるオールタイムベストアルバム。BUCK-TICKといえばここ最近、いわば「大ヒット曲」というものはないものの、コンスタントに人気を維持しているバンド。今回のベスト盤で彼らの曲を聴くと、BUCK-TICKというミュージシャンイメージを維持しつつも時代時代によって楽曲のタイプを微妙に変化させており、この時代に対応させる柔軟さが、彼らが30年にわたって人気バンドであり続けられた大きな要因なのかな、と感じました。

ただ今回ファン投票による選曲なのですが、おそらく一般的に彼らの曲として知られているような「JUST ONE MORE KISS」や「悪の華」は選外。こういう曲は確かにファン投票では漏れがちではあるのですが、ベスト盤というのは入門盤を兼ねていることを考えると、こういう一般的な代表曲はやはり収録しておくべきではなかったかな、ということを感じてしまいます。ファンではないので詳しくは知らないのですが、選曲も比較的マニアックなようですし、ちょっとそこらへんは疑問に感じてしまう部分もあるベスト盤でした。

評価:★★★★

BUCK-TICK 過去の作品
memento mori
RAZZLE DAZZLE
夢見る宇宙
或るいはアナーキー
アトム 未来派 No.9

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2017年12月 1日 (金)

弱者の視点によりそう

Title:豊穣なる闇のバラッド
Musician:中川敬

ちょうど2年ぶりとなるソウルフラワーユニオンのボーカル、中川敬の4枚目となるソロアルバム。今回のアルバム内容については実はちょっと心配していました。というのも私は個人的なTwitterで以前からソウルフラワーユニオンをフォローしていたのですが、最近、フォローをはずしたのです。以前からSFUの公式Twitterは左翼的な政治的発言が多く、その方向性自体は私自身の政治信条と重なる部分があるので問題は感じなかったのですが、ただ最近、彼自身の発言ではなかったのですが、さすがにちょっと行きすぎではないかと思うような発言をリツイートしたりすることがあり、そのスタンスに疑問を感じていたためです。

今回のアルバム、全14曲入りなのですが、うち後半の5曲がカバー&セルフカバー、残り9曲が今回のアルバムのためのオリジナルという構成。歌詞カードに注釈がついており、オリジナル楽曲の多くに社会派的な意味合いが説明されていたり、さらに「あばよ青春の光」では

丘の上の議事堂で 法案が可決する
路上の怒号がモノクロの 都を染め抜いてゆく

(「あばよ青春の光」より 作詞 中川敬)

という、あきらかに国会前のデモを描写する歌詞が登場したりしています。楽曲に社会派的な主張を入れてくるのは全く構わないどころか個人的に賛同するのですが、ちょっと行き過ぎな内容になっていたり、堅すぎる内容になっていたりしないか、聴く前は危惧していました。

ただ、結論としてはそんな危惧が杞憂に終わるアルバムになっていました。確かに歌詞カードについている注釈に即するようなメッセージ性の強い歌詞にはなっています。ただイデオロギー的な主張を全面的に繰り広げる歌詞ではなく、彼の持ち味である社会的な弱者の視点に沿った優しい歌詞がメイン。社会的なメッセージ性という意味合いではむしろ前作「にじむ残響、バザールの夢」の方が強く感じ、こちらのアルバムはむしろ中川敬の持つ弱者への優しい視点という側面が強く表に出ている内容になっていました。

今回のアルバムは中川敬のアコースティックギター1本のみによる演奏がほとんど。それだけによりボーカルとメロディー、そして歌詞がダイレクトに伝わってくるアルバムになっています。ただそれだけに歌詞もそうなのですが、それ以上にメロディーラインが胸にうつのが今回のアルバム。上に書いた「あばよ青春の光」では切なさを感じさせるメロディーが印象に残りますし、「ハクモクレンの空を撃つ」もSFUでもよく取り入れているアイリッシュトラッドの要素が強く、爽快感を感じるナンバーになっています。

「バルカンルートの星屑」で歌われる「バルカンルート」はヨーロッパへ向かう難民が通るルートのことだそうですが、この曲も戦争について歌うというよりはバルカンルートを行く難民の姿をそのまま描写した歌詞をしんみりフォーキーに歌い上げた内容。その現実の難民の姿を描写した歌詞が胸をうちます。

後半のカバー曲もなかなかユニークな選曲。「黒の舟唄」はもともと野坂昭如が歌っていた曲。非常に暗い雰囲気の曲ながらも男女関係を歌った歌詞が哀しくもどこかユニーク。桑田佳祐をはじめ数多くのミュージシャンがカバーしている、ある種スタンダードナンバー的な曲なのですが、これをアコギ一本でちょっと情念的な雰囲気を込めて歌い上げるカバーはなかなかの絶品。さらに意外だったのがオリジナル・ラヴの「接吻」のカバー。これをアコギのみでカバーしているのですが、意外とフォーキーなアレンジと中川敬のボーカルにもマッチしているのは新しい発見でした。

その他はソウルフラワーユニオンの「青天井のクラウン」やニューエスト・モデル時代の「報道機関が優しく君を包む」をカバーしています。こちらはもともとのオリジナルも本人の曲なだけに手慣れたもの。「報道機関が優しく君を包む」は原曲はかなり賑やかなアレンジの祝祭色のある楽曲なのですが、これをアコースティックギターのみで上手くカバー。原曲とはまた違った哀愁感漂うカバーに仕上げていました。

そんな訳で当初感じていた危惧に反してアルバムの出来としては非常に満足感の強い傑作アルバム。中川敬というミュージシャンのメロディーメイカー、作詞家、さらにはボーカリストとしての魅力をより強く感じることが出来るアルバムに仕上がっていました。個人的には今年のベスト盤候補の1枚といってもいい内容。彼のソロアルバムとしても傑作だった「街道筋の着地しないブルース」に匹敵する出来だったように感じます。あらためてさすがの一言。ただ、そろそろソウルフラワーユニオンのアルバムも聴きたいのですが・・・。

評価:★★★★★

中川敬 過去の作品
街道筋の着地しないブルース
銀河のほとり、路上の花
にじむ残響、バザールの夢


ほかに聴いたアルバム

502号室のシリウス/グッドモーニングアメリカ

前作からわずか10ヶ月のスパンでリリースされたグッドモーニングアメリカ。相変わらずハイトーンボイスで疾走感あるギターロック路線で、良くも悪くも今時のフェス受けしそうなバンド。ポップなメロはそれなりにインパクトはあるものの、似たような曲が多く、徐々にだれてしまいました。

評価:★★★

グッドモーニングアメリカ 過去の作品
inトーキョーシティ
グッドモーニングアメリカ
鉛空のスターゲイザー

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