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2017年11月 4日 (土)

とにかく明るいドリカム(・・・古い・・・)

Title:THE DREAM QUEST
Musician:Dreams Come True

約3年ぶりとなるドリカムのニューアルバム。まずはタイトルがいいですよね。「THE DREAM QUEST」。言うまでもなく国民的人気を誇るRPGゲーム「ドラゴンクエスト」から取ったタイトル。ジャケット写真はモンスターらしき生物が見受けられますが、あまりドラクエっぽくないのはちょっと残念ですが、ドリカムらしい楽しさがあふれています。

今回のアルバムに関しては、この楽しさあふれるジャケット写真に象徴されるように、楽しさあふれるハッピーな雰囲気の楽曲が並んでいます。イントロ的な「THE THEME OF THE DREAM QUEST」に続く「KNOCKKNOCK!」はホーンやストリングス入った彼女たちらしい軽快なポップソング。突き抜けるような明るさがあるのはいかにも化粧品のCMソングに起用された楽曲らしい感じがします。「あなたが笑えば」も恋人のふとした日常を描いたドリカムらしいラブソング。ある意味、90年代あたりから変わらないようなドリカムの王道路線です。

「愛しのライリー」はディズニー/ピクサー映画「インサイド・ヘッド」の主題歌ですが、ディズニー/ピクサー映画のイメージにピッタリのかわいらしいポップナンバー。さらに本編の事実上最後の曲となる「あなたのように」も、明るさとちょっと切なさを同居させたドリカムらしいスケール感あるポップチューンとなっています。

これだけ明るくて楽しいドリカムらしいポップスが並んだアルバムで、聴いていてこちらも楽しくなってくるようなアルバムになっています。ただ・・・正直言えばドリのアルバムとしてはちょっと物足りなさも感じてしまいました。一番の理由は明るい曲ばかりが並んでいて、ちょっとバリエーションに乏しかったかな、ということを感じた点でした。

確かに「秘密」「堕ちちゃえ」のようなちょっと哀愁感も漂うようなナンバーもあるにはあります。ただこの曲も他の曲にあわせてか明るさも感じられるメロディーとなってしまったため、インパクトは薄め。アルバム全体としては少々一本調子なイメージも否めませんでした。

また一方アルバムの構成についても疑問が。今回、配信シングルでありJR九州のキャンペーンソング「九州をどこまでも」が収録。この曲、楽曲自体は悪くないのですが、いかにもなキャンペーンソングのためアルバムの中で歌詞が若干浮いてしまっている印象も。この曲はアルバム未収録でもよかったのでは?

さらにシングル曲は「TDQ VERSION」としてリアレンジしつつ、アルバムの最後にボーナストラックとしてシングルバージョンも入れているのもアルバム全体として同じ曲が2曲入っていることになってしまい、助長な印象を受けてしまいました。こちらも後日、ベスト盤かなんかの企画盤に収録して今回のアルバムに無理に収録する必要はなかったような気がします。

そんな感じで楽曲としては決して悪い曲が並んでいるわけではないのですが、アルバム全体としてはちょっと薄味のように感じました。特に前作「ATTACK25」は王道路線とともに挑戦的な楽曲も多かっただけに、それに比べるとちょっとおとなしいような印象を受けます。ここ最近は全盛期再びを感じるような傑作が続いていただけにちょっと残念。ただ1曲1曲の出来は決して悪いわけではないので次回作に期待したいところです。

評価:★★★★

Dreams Come True 過去の作品
AND I LOVE YOU
DO YOU DREAMS COME TRUE?
LOVE CENTRAL
THE SOUL FOR THE PEOPLE~東日本大震災支援ベストアルバム~
ATTACK25
DREAMS COME TRUE THE BEST! 私のドリカム
DREAMS COME TRUE THE ウラBEST! 私だけのドリカム


ほかに聴いたアルバム

FLOW ON THE CLOUD/真心ブラザーズ

約3年ぶりとなる真心ブラザーズのニューアルバム。今回のアルバムは作詞作曲的にはYO-KING、桜井秀俊の曲がそれぞれ6曲ずつ収録されているのですが、YO-KINGボーカル曲がメインとなっており、かつ桜井曲も含めて骨太のブルースロックがメインとなる作品になっています。そのため、比較的さらっとしたポップ色の強いアルバムだった前作「Do Sing」に比べると、非常に泥臭い雰囲気のあるアルバムになっていました。個人的にはもうちょっと桜井ボーカルの曲が多かった方がよかったようにも思うのですが・・・。

評価:★★★★

真心ブラザーズ 過去の作品
DAZZLING SOUND
俺たちは真心だ!
タンデムダンデイ20
GOODDEST

Keep on traveling
Do Sing
PACK TO THE FUTURE

Suburban Baroque/カーネーション

毎回、非常に良質な大人のロックアルバムをリリースしてくるカーネーションですが、今回のアルバムも安定の仕上がりぶり。基本的にメロディアスなギターロックを主軸にしつつ、シティポップ、ファンク、AOR、ラウンジなどの要素を自然に入れてきて、かつアルバム全体に統一感を持たせてくるあたり、大人の余裕も感じます。Disc2としてインストバージョンを収録しているあたりもサウンドに関する自信を感じます。ちょっと気になったのが「Suspicious Mind」がアレンジ的にまんまoasisなのですが・・・イントロなんてモロですし・・・。

評価:★★★★★

カーネーション 過去の作品
Velvet Velvet
UTOPIA
SWEET ROMANCE
Multimodal Sentiment

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