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2017年11月24日 (金)

ごはんは誰かと食べたときの方がおいしいのだ!

Title:コメニケーション
Musician:DJみそしるとMCごはん

一貫して「食」をテーマにラップを続ける女性ラッパー、DJみそしるとMCごはん(2人組のような名前ですが、メンバーは一人です。念のため)。「食」というテーマにこだわっているからこそ、毎回ユニークな視点を持った曲をリリースし続けているのですが、今回のテーマは「米ニケーション」。「ごはん」をテーマに「ごはんは誰かと食べたときの方がおいしいのだ!」ということで全8曲、それぞれ他のミュージシャンたちとコラボした楽曲が並んでいます。

そして今回のアルバムはこのコラボレーションがキラリと光った作品に仕上がりました。みんなでごはんを食べることの楽しさを素直に歌った「ライスマイル」は杉並児童合唱団とコラボしているのですが、歌詞のテーマと子供の無邪気な歌声が見事にマッチしています。

中にはDJみそしるとMCごはん以上にコラボ相手の歌が魅力的だった曲もあり、それが「恋はコメ色」でコラボしたHomecomingsと「おにぎりはお守り」でコラボした関取花。Homecomingsはアノラック系と呼ばれるネオアコバンドで軽快で楽しいポップソングが心に響きますし、関取花の曲はアコースティックでフォーキーな楽曲が魅力的。どちらのミュージシャンも名前だけ知っている程度だったのですが、それぞれのアルバムを聴きたくなってしまいました。そしてどちらも暖かい楽曲の雰囲気がDJみそしるとMCごはんの歌詞にピッタリとマッチ。DJみそしるとMCごはん以上に相手が魅力的だった・・・とはいえ、もちろんDJみそしるとMCごはんの楽曲自体の魅力もあってのこと。実に素晴らしいコラボ作でした。

その後も爽快なアイドルポップ風の「米夢☆米舞」や子供向けのポップソングみたいで童心に戻って楽しめる「ライスッス」のようなユーモラスな作品が続くのですが、「CITY RiCE」では実力派のトラックメイカーmabanuaとコラボ。メロウなトラックが耳を惹く、本格的なHIP HOP作に仕上げてきていますし、スチャダラパーのSHINCOとコラボした「わたし、ごはん」はある女の子の誕生から結婚までを「ごはん」の視点から描いた歌詞がちょっと泣ける内容となっており、ユーモラスなだけでは終わらないDJみそしるとMCごはんの魅力を感じる作品に仕上げています。

そして最後は「米」といえばやはり彼らでしょう。米米CLUBとのコラボ。こちらに関しては残念ながらこの作品のために米米が参加した訳ではなく、米米CLUBの楽曲「どんまい」をサンプリングした作品になっていますが、「米」をテーマとして忘れちゃいけない大御所をきちんと抑えたあたりは立派。アラフォー世代のリスナーとしてはちょっとうれしいコラボとなっています。

また今回のアルバムでもうひとつ素晴らしかったのは歌詞。「ごはん」をテーマにしつつもひとりの女の子の人生を描いたり、純粋に食べることの楽しさを歌ったり、また「恋はコメ色」「米夢☆米夢」のようなごはんが好きという気持ちとラブソングをダブルミーニング的に用いている曲があったり、「おにぎりはお守り」ではおにぎりと自分を重ねあわせて女の子の素直な心境を歌ったりと(「おにぎりはお守り」という言葉もいいですね)、「ごはん」というテーマに絞りながらも8曲8様の様々な歌詞に仕上げているところはさすがです。

そんな訳で8曲入りのミニアルバムながらも彼女の魅力と実力を存分に発揮したアルバムに仕上がっていました。「食」をテーマにコミカルな楽曲をリリースしてくるという印象のある彼女ですが、今回のアルバムを聴くと、きちんと実力も備わっているミュージシャンだということにあらためて気が付かされます。「ユニーク」なだけでは終わらない実に魅力的な傑作でした。

評価:★★★★★

DJみそしるとMCごはん 過去の作品
ジャスタジスイ
味の向こう側~入り口~
ごちそんぐDJの音楽


ほかに聴いたアルバム

ナイトライダーズ・ブルース/高田漣

どちらかというとマルチ楽器プレイヤーとしての活躍の方が印象深い高田漣のニューアルバム。ブルースを基調に、ジャズ、ロック、ハワイアンなどルーツ志向の音楽を取り入れて、アコースティックに聴かせる曲が並んでいます。派手さはないのですが良質な大人のポップスといった感じでゆっくりと聴けるアルバムです。

評価:★★★★

高田漣 過去の作品
コーヒーブルース~高田渡を歌う~

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