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2017年11月18日 (土)

ちょっと「地味」なコラボかもしれませんが。

Title:Lotta Sea Lice
Musician:Courtney Barnett&Kurt Vile

非常に興味深いコラボ作がリリースされました。Courtney Barnettはグラミー賞最優秀新人賞にノミネートされたオーストラリアの女性ロッカー。一方、Kurt Vileは元The War On Drugsでギタリストとして活動し、現在はソロで活動するミュージシャン。フェスなどで何度か出会ううちに徐々に仲良くなり、今回のコラボにつながったそうです。

Courtney Barnettの曲はPIXIESやSonic Youthあたりを彷彿とさせるような80年代インディーロック直系の音。一方Kurt Vileは最新作「B'lieve I'm Goin Down…」を聴いたのですが、アコースティックでフォーキーな楽曲がメイン。その方向性は若干異なるようにも感じます。ただ、どちらもローファイ気味な楽曲という方向性は共通。コートニー自体、雑誌のインタビューで「音楽的な波長があった」といっていますが、楽曲の根底に流れているものは似ていたということなのでしょう。

実際に今回のアルバムで2人のコラボを聴くと、その相性は非常に良いものに感じます。楽曲はアコースティックなサウンドでローファイ気味なポップス。ブルージーな「Continental Breakfast」、カントリー風な「Blue Cheese」、そしてラストを飾る「Untogether」はフォークとバリエーションを持たせつつ、いずれもアコースティックな作風でルーツ志向を感じる作品に。楽曲のタイプ的には最新アルバムではKurt Vileのイメージにより近いように感じます。

またローファイ気味ということで力の抜けたよい意味でのけだるさを感じるのも魅力的。1曲目「Over Everything」はけだるい中でも爽やかさを感じる作品で、遅くまで寝ていた日曜日の朝といった感じのイメージでしょうか。続く「Let It Go」もゆっくりと鳴らされるギターでけだるさを感じる作品になっています。こういう力の抜けた楽曲を自然体で演れるというあたり、2人の相性の良さを感じます。

楽曲は当初は2人がデゥオのようなスタイルの曲が並びますが、中盤以降はそれぞれがメインを取って歌う形に。今回のアルバムの中では「Outta The Woodwork」はコートニーの作品をカートが、逆に「Peepin' Tom」はカートの作品をコートニーが、それぞれカバーするスタイル。原曲からは大きく逸脱していないものの、それぞれがそれぞれの持ち味を出したカバーになっており、それが楽曲にしっかりとマッチしているあたり、両者の音楽性の近さを感じます。

アルバム全体としては静かにギターをつま弾くような演奏スタイルがメインなだけに派手さはありません。アルバム全体としては正直、地味という印象を強く受けるかもしれません。そんなアルバムなだけに、逆に2人のメロディーメイカーとしての才能が発揮されたアルバムになっており、派手さはないもののしっかりと心に残るメロディーが非常に魅力的なアルバムになっていました。このコラボ、なかなかいいですね。これからもコンスタントに実施していくのかどうなのか・・・是非、またこのコンビでアルバムを聴いてみたいです!

評価:★★★★★

Courtney Barnett 過去の作品
Sometimes I Sit & Think & Sometimes I Just Sit

Kurt Vile 過去の作品
B'lieve I'm Goin Down…


ほかに聴いたアルバム

The Best/Ariana Grande

アメリカのシンガーソングライターで日本でも高い人気を誇るアリアナ・グランデの、日本限定リリースのベスト盤。エレクトロ、ソウル、レゲエ、ロック、HIP HOPなど幅広いジャンルの音楽を取り入れた楽しいポップソングが並んでいます。ある意味、非常に聴きやすくいい意味で万人受けしそうなポップソングの連続。世界的な人気も納得なベスト盤でした。

評価:★★★★★

Ariana Grande 過去の作品
My Everything

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