復活!
Title:KICK!
Musician:KICK THE CAN CREW
ついにリリースされました!KICK THE CAN CREWの復帰第1弾、約13年8ヶ月ぶりとなるニューアルバム。KICK THE CAN CREWといえばHIP HOPというジャンルがようやく世間一般に認知されてきた2001年にデビュー。2001年に山下達郎の「クリスマス・イヴ」をサンプリングした「クリスマス・イヴRap」、さらには「マルシェ」が大ヒットを記録し、一躍人気ミュージシャンの仲間入りを果たしたものの2004年に活動を休止してしまいました。
その後、MCでトラックメイカーのKREVAの活躍はご存じの通り。もっともKICK THE CAN CREWとしてもすでに2014年にライブにて復活を果たしていますし、それ以前にもメンバーそれぞれがステージで一堂に会するケースは少なくなく、またメンバーのうちLITTLEとMCUのユニットULをKREVAがプロデュースするなど、3人による活動はコンスタントに続いていたため、逆に「まだKICK THE CAN CREWとしてのアルバムはリリースされていなかったんだ」と意外にすら感じてしまいます。
そんな待望のニューアルバムですが、活動再開に向けての決意を感じるアルバムになっていました。まずジャケット。2003年にリリースした「magic number」と同じ構図のジャケットになっています。↓
「magic number」が、というよりも3人並んだジャケットを使いたかったということなのでしょう。14年たって、どこか粋がった若者だった彼らも、大人になったということを感じさせる(思ったほど変わっていないという見方もできるかも(?))ジャケットになっています。
1曲目「全員集合」もタイトル通り、KICK THE CAN CREW再開にふさわしい歌詞といえるでしょうし、続く「千%」も歌詞の中にKICK THE CAN CREWの歌詞や曲のタイトルを入れてきているなど、彼らのいままでの活動の「総括」的な楽曲になっています。活動再開後の冒頭を飾る作品としてはふさわしい曲たちと言えるでしょう。
そんな久々となる彼らの楽曲は全体的に爽快感のあるトラックにのる軽快なラップのナンバーが続いていきます。基本的にはかつてのKICK THE CAN CREWのスタイルから大きな変化はありません。若干残念に感じるのは3MCながらも声質が比較的似ているため、あまりキャラ立ちしていないという点がちょっと残念か。ただ一方でラップに関しては3人それぞれ高いスキルを感じ、かつてよりも成長を感じさせます。
またトラックも耳を惹く曲が多く、「SummerSpot」では今風の爽快なエレクトロトラックが心地よいですし、力強いビートにラテン風のアコギがのる「なんでもないDays」のトラックもとても耳を惹きます。トラックメイカーとしてのKREVAの才もヒカル作品になっていました。
思えばKICK THE CAN CREWがブレイクした頃は、HIP HOPがようやくヒットシーンに出始めた頃だったこともあり、彼らに関しては「ポップすぎる」「売れ線」と一部でDisられたこともありました(キングギドラの「公開処刑」は有名ですね)。ただ今聴くと、そんなに言われるほど「売れ線ポップ」かな、という印象を受けます。彼らがブレイクした頃に比べると、それだけもっとポップなグループも出てきた、ということでもありますし、また、その当時に比べるとHIP HOPというジャンルがより日本でも浸透して様々なタイプのミュージシャンが出てきた、ということも言えるでしょう。彼らが活動休止してから13年、それだけHIP HOPをめぐる状況の変化の大きさも感じました。
そんな訳で見事復活を果たしたKICK THE CAN CREW。ただこの手の活動再開って、しばしば活動再開してアルバムを1枚リリースした後は、活動しているかどうかわからないよなケースがしばしば。それだけに彼らには今後もコンスタントに活動を続けてほしいのですが・・・このアルバムを聴く限り、かつての勢いに全く衰えは感じられません。それだけにこれからの活動に期待です。
評価:★★★★★
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