デビュー作でいきなりブレイク!
Title:girls like girls
Musician:yonige
最近 ガールズバンドが人気を博しています。言うまでもなくチャットモンチーがその嚆矢なのでしょうが、その後もねごと、赤い公園、tricotなど次々とバンドがデビューしてきました。特にそんな中でもSHISHAMOは武道館ワンマンも成功させるなど、チャットモンチーに続く人気バンドの地位を確実なものとしています。
おそらくそんな人気バンドの仲間入りを果たしそうなガールズバンドが彼女たちyonigeでしょう。メジャーデビューアルバムである本作ではいきなりベスト10ヒットを記録し、一躍ブレイクを果たしました。メンバーは牛丸ありさとごっきんの2人組。特に作詞作曲を担当する牛丸ありさはオーストラリアと日本のハーフでAC/DCのベーシストだったラリー・ヴァン・クリートの姪ということでも話題になっています。
ガールズバンドというとポップなメロディーラインを書くバンドがメインなのですが、その中で彼女たちはロック寄りのサウンドを奏でていることも大きな特徴となっています。特にサウンドはフィードバックノイズを前面に押し出したギターサウンドを中心とした構成となっており、イメージとしては80年代のインディーロックバンドに近いもをがあります。また、同じガールズバンドとしては大先輩であるnoodlesに近いかもしれません。
またそんなへヴィーなバンドサウンドである一方、メロディーラインは至ってポップであり他のガールズバンドと同様にポップリスナーにも訴求力があるのも特徴的。キュートでポップでキャッチー・・・といった感じではありませんが、ヒットチャートでも十分戦えそうなメロディーラインを書いているバンドであることは間違いありません。
ガールズバンドといえば歌詞は女の子の心境を繊細な描写で描いており、多くの女性陣ばかりではなく、男性陣にも共感を得るような歌詞を描くようなバンドが多いのですが、yonigeに関しても女の子の微妙な心象風景を描いている歌詞が大きな魅力となっています。特に具体的なアイテムを上手く用いた歌詞がひとつの特徴になっているように感じます。
例えば「ワンルーム」では
「あけっぱなしの便器がやけにリアルで恥ずかしくなった
君を泊まらせた後の誰もいないワンルーム」
(「ワンルーム」より 作詞 牛丸ありさ)
と、「あけっぱなしの便器」という歌詞ではあまり用いられないアイテムを上手く織り込み、恋人が帰った後の複雑な心境を上手く描写しています。
また「各駅停車」の
「各停しか止まらない駅の
プラットホームで待っている」
(「各駅停車」より 作詞 牛丸ありさ)
は、各停しか止まらないようなさびしい駅の風景と自分の心境を上手く重ね合わせた歌詞に。まあ駅のプラットホームは歌詞のアイテムとしてはよく用いられるものではありますが・・・。
そんな訳で、チャットモンチーやSHISHAMOよりもロック寄りでありつつも、他のガールズバンドの魅力をきちんと備えた彼女たち。これからも活躍もかなり期待できそう。ちょっと残念だったのはドラムスがいないバンドなだけにドラムスが目立つ曲があまりなく(「トーキョーサンセットクーズ」では力強いドラムが印象に残りましたが)、ちょっと低音部分に物足りなさを感じた点でしょうか。そういう意味でもこれからまだまだな部分も感じたのですが、それを差し引いてもこれからの活躍が楽しみになってくるバンド。昨日の台風クラブに引き続き、期待値を込めての評価ですが、次のアルバムも楽しみです!
評価:★★★★★
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