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2017年11月28日 (火)

幅広い「ロック」を聴かせる

Title:Scream Above The Sounds
Musician:Stereophonics

日本での人気と知名度は残念ながらそれほどではないものの、本国イギリスでは国民的な人気を誇るギターロックバンドStereophonics。2ndアルバム「Performance and Cocktails」から6thアルバム「Pull the Pin」までアルバムチャート1位を連続して記録。前作「Keep The Village Alive」も1位を記録するなど相変わらず圧倒的な人気を誇っています。本作も1位こそのがしたものの最高位2位を記録。その人気のほどをうかがわせます。

アルバムも2、3年おきに必ずオリジナルアルバムをリリースしてくるなどコンスタントな活動を続けていますが、今回も約2年ぶりとなるニューアルバム。彼らの魅力と言えば、前作の感想でも書いたのですが、ある意味ベタなわかりやすさ。今回のアルバムも例えば1曲目「Caught By The Wind」はある種の泥臭さを感じるもののスタジアムロック的なスケール感のある楽曲からスタート。いかにも大きな会場でのライブ映えをしそうな王道の楽曲からスタートしたかと思えば、続く「Taken A Tumble」は疾走感あるノイジーなギターサウンドからスタート。メロディーもポップで楽曲的にはむしろオルタナ的な楽曲に仕上げており、こちらもこちらでライブで盛り上がりそうな楽曲。彼らの音楽性の広さを感じさせます。

さらに「What's All The Fuss About?」は哀愁感ある泣きメロがさく裂するムーディーなナンバー。後ろに流れるトランペットの響きがある意味思いっきりベタなのですが、そのベタさ加減も含めて非常に心に響いてくる聴かせるナンバーになっており、このような曲もまた彼らの大きな魅力と言えるのでしょう。

そんな楽曲が並んでいる今回の作品もいい意味でStereophoicsらしさを感じるアルバム。いい意味で圧倒的な安定感があり安心して聴いていられます。ただ一方で楽曲的にはここ最近のアルバムの中ではバリエーションの広さを感じさせるアルバムに。上にも書いた通り、最初の3曲も3様の内容になっていましたが、例えば「Chances Are」は四つ打ち的なリズムにギターリフがのる疾走感あるナンバー。ダンスチューン的なノリの良さとロックのダイナミズムを同時に感じられる曲になっていますし、かと思えば続く「Before Anyone Knew Our Name」はピアノのみでしんみり聴かせるバラードナンバーになっています。

ガレージロックなギターサウンドを軽快に奏でる「Cryin' In Your Bear」はロックンロールなナンバーに仕上がっていますし、本編ラストを飾る「Elevators」はアコースティックなサウンドを軸に本格的なブルースロックに仕上げてきています。

毎回彼らのアルバムはロックを聴いたな、という満足感を覚える作品が多いのですが、今回のアルバムに関してもブルースロックから王道のスタジアムロック、ガレージロック、オルタナ系のギターロックまで、ある意味非常に幅広いロックを披露しつつ、どの曲に関してもしっかりとロックの魅力を伝えた作品になっていました。

2009年にリリースされた「KEEP CALM AND CARRY ON」がここ最近の彼らの作品の中では一番の傑作アルバムだったのですが、今回のアルバムはそれ以来、一番の出来だったように思います。毎作のこととはなるのですが、ロックリスナーには安心してお勧めできるアルバム。そんな中でも本作は特に出来のよい傑作アルバムでした。

評価:★★★★★

STEREOPHONICS 過去の作品
Decade In The Sun-Best Of Stereophonics
KEEP CALM AND CARRY ON
Graffiti On The Train
Keep The Village Alive

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