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2017年11月11日 (土)

川崎発話題のHIP HOPクルー

Title:Mobb Life
Musician:BAD HOP

今、一種の流行となり一番勢いのあるジャンルとも言えるHIP HOP。その中でも注目をあつめるグループのひとつが彼ら、BAD HOPでしょう。川崎市出身の彼らは、その中でもさらに治安の悪いと言われる川崎市南部の池上町が彼らの出身地。昨年はミックステープ「BAD HOP 1 DAY」「BAD HOP ALL DAY」をリリースし、そんなヤクザや暴力、貧困が支配するような地域の日常を描いたリリックも話題となりました。

本作はそんな彼らの初となる全国流通作品。メンバーのうちYZERRとT-Pablowは「高校生ラップ選手権」や「フリースタイルダンジョン」でも名をはせており、否応なく注目の集まる1枚となりました。

アルバムは全体的に重低音のエレクトロのトラックが流れており、ダークな雰囲気が覆っています。基本的にサウンドはシンプルにまとめあげており、斬新さのようなものはあまり感じませんが、リリックにもピッタリマッチしています。「3LDK」のようなアコースティックテイストの爽やかなトラックや「Ocean View」のようなタイトル通り爽やかな海辺を想像するようなエレクトロトラックもあったりして楽曲のバリエーションも感じます。

ただ一番印象に残ったのはそのリリック。一言で言ってしまえば非常にわかりやすい、「HIP HOPらしい」リリックが特徴的。冒頭のタイトルチューンでもある「Mobb Life」は、テーマはまさに「仲間」そして「金」というHIP HOPのテーマとしてはストレートなもの。続く「つるまない」は特定の対象がいるかどうかは不明なのですが、いわゆる「Dis」のナンバーになっており、これもテーマの選び方がいかにもHIP HOPらしいところです。

ベタベタといえば「Supercar」なんかもまさにそう。リリックの中に具体的な車種(それもわかりやすい外車!)が登場し、さらに良い車にのって良い女をひっかけようという内容も、「バブルかよ!」と思うほど、逆に今時、若い世代がこういうテーマでラップするんだ・・・と驚いてしまうくらい。若者世代の車離れが叫ばれていますが、やっぱり好きな人は好きなんだ、と思ってしまいます。

中盤、「#リバトークskit」としてラジオ番組風のトークコーナーが登場するところもユニーク。ここでアルバムは一区切りとなっているのですが、メンバーの仲の良さも感じさせるコーナーとなっています。

そしてアルバムの最後を飾る「これ以外」では

「これ以外 他にやりたい事も無いんだ これ以外 無いんだ取り柄が俺ら」

とラップに対する決意をかなりストレートに綴っており、アルバムの最後を飾るにふさわしいナンバーとなっています。

そんな訳でBAD HOPの初の全国流通盤、良い意味でわかりやすいHIP HOPのアルバムになっていたのではないでしょうか。HIP HOPというジャンルの魅力、そしてHIP HOPにありがちなテーマ性を上手くまとめあげたアルバムになっていたと思います。しかし先日紹介したPUNPEEといい、今、次から次へと魅力的なミュージシャンが登場してきますね。まだまだHIP HOPが日本の音楽シーンを席巻する日々は続きそうです。

評価:★★★★★

BAD HOP 過去の作品
BAD HOP 1DAY


ほかに聴いたアルバム

OTONARIさん/パスピエ

ここ最近、昔のような独特の癖が消えて良くも悪くも「普通のポップバンド」になったパスピエ。ここ最近は悪い意味でのベタなJ-POP的な部分が気になっていたのですが、今回のアルバムも良くも悪くも「普通のポップアルバム」といった印象。ピアノやシンセで爽快にまとめあげているのですが、突き抜けた特徴がないのが気になります。ただ、前作「&DNA」よりは素直に楽しめるポップアルバムになっていたとは思うのですが。

評価:★★★★

パスピエ 過去の作品
ONOMIMONO
演出家出演
幕の内ISM
娑婆ラバ
&DNA

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