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2017年10月14日 (土)

知る人ぞ知るブルース曲を集めたコンピ盤

Title:Do The Blues 45s!-The Ultimate Blues 45s Collection

今回紹介するのはブルースのコンピレーションアルバム。聴いてみるきっかけとなったのはブルースとソウルミュージックの専門誌「BLUES&SOUL RECORDS」の紹介記事。ディスクユニオンの秋元伸哉氏監修・選曲によるアルバムで、1950年代から60年代のブルース20曲を選曲。ただこのコンピの特徴はマイナーレーベルからリリースされた音源がメイン。いわば「知る人ぞ知る」的な楽曲を集めたコンピレーションになっています。

楽曲的には、前述の「BLUES&SOUL RECORDS」の紹介文にも書いていたのですが、全体的にダウンホーム(=南部的)な感覚の強いギターが特徴的。特に1曲目George Smithの「Trap Meat」は、楽曲の名義こそハーピストのGeorge Smithなのですが、むしろ目立つのはバックのマーシャル・フックスとジミー・ノーランの火を吹くようなアグレッシブなギターサウンド。4曲目Fention And The Castle Rockers「The Freeze」でも、こちらは楽曲のミュージシャン名義となっているフェントン・ロビンソンのギターが非常に力強く印象に残る内容になっています。

楽曲的にはEddie Hope&Manish Boysの「A Fool No More」やJames Walton And His Blues Kings「Leaving Blues」のように8小節の繰り返しでボーカルとそれに呼応するギターを聴かせるような、いわば王道的なカントリーブルースのナンバーが多い反面、Smokey Johnson「It Ain't My Fault Pt.1」はムーディーな雰囲気がカッコいいジャジーなナンバーとなっていますし、Monte Easter And His Band「Weekend Blues」も泣きのギターでしんみり聴かせる哀愁感あふれるジャジーなナンバーになっています。

Wiley Terry「Follow The Leader Pt.1」のJBばりにファンキーなボーカルも非常にカッコいいですし、Levi Seabury And His Band「Boogie Beat」も軽快なブギウギのビートが楽しくなってくるようなナンバー。全体的にダウンホームな色合いを主軸にしつつ、バリエーション富んだ作風にブルースというジャンルの包容力の大きさを感じさせるコンピレーションとなっています。

全体的にはインストのナンバーも多く、ダウンホームなギターの音に反して軽さを感じさせるようなナンバーもあったりしたのですが、どの曲もそれぞれの魅力を感じさせる選曲がされており、マイナーレーベルの楽曲でこんな知られざる名曲が残されていたのか、と驚きすら感じてしまうコンピレーション。CDの帯には甲本ヒロトの推薦文が書かれており、ジャケットデザインは本秀康となかなか豪華なメンバーが協力しているアルバムなのですが、それだけ力の入っているコンピということなのでしょう。その力の入った結果として文句なしの名コンピになっていたと思います。ブルースリスナー要チェックの1枚です。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

american dream/LCD Soundsystem

DJ、音楽プロデューサーとしても活躍しているJames Murphyのソロプロジェクト、LCD Soundsystem。2011年に突然活動を休止するも2015年に活動を再開。約7年ぶりとなるニューアルバムがリリースされました。

基本的にはエレクトロ主体としたポップアルバム。活動休止前のアルバムがロック色の強い作品だっただけに、その方向性のベクトルを少々変えてきた形となります。聴いていて心地よいし素直に楽しめる感じのアルバムですが、インパクトや目新しさは少々薄めに感じてしまいました。

評価:★★★★

LCD Soundsystem 過去の作品
This Is Happening

Every Country's Sun/MOGWAI

ベスト盤やサントラ盤などのリリースがあったためあまりそんな感覚はなかったのですが、純粋なオリジナルアルバムとしては3年ぶりとなるMOGWAIの新作。前作「Rave Tapes」はエレクトロサウンドを入れつつも基本的にはいつものMOGWAIらしさもしっかり感じられる作品になっていました。

久々となる今回の作品はノイジーなギターサウンドをベースにダイナミックで重いバンドサウンドで構成される良くも悪くもいつものMOGWAIらしさが全開となった作品。「Party in the Dark」「1000 Foot Face」のようなポップな歌モノもあり、全体的には聴きやすさも感じさせてくれる内容になっています。ファンにとっては安心して楽しめる内容。それがバンドにとって必ずしもプラスなのかは不明ですが。

評価:★★★★

MOGWAI 過去の作品
The Hawk Is Howling
HARDCORE WILL NEVER DIE,BUT YOU WILL
Live at All Tomorrow's Parties,9th April 2000
Earth Division EP
Rave Tapes
Les Revenants
CENTRAL BELTERS
ATOMIC

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