大味な感じも目立つベスト盤
Title:BESTMAMA
Musician:BIGMAMA
今年、現在のメンバーとなってから10周年を迎えるロックバンドBIG MAMA。10月15日には彼ら初となる武道館ワンマンも控えていますが、そんな記念すべき年に初となるオールタイムベストがリリースされました。2枚組ながらも1枚あたり20曲入りというボリューミーな内容。2006年から2010年までにリリースされた曲をDisc1に収録し、それ以降の作品および新曲をDisc2に収録する内容になっています。
今回のベスト盤はその発表時期にあわせてDisc1とDisc2に収録されているためその音楽的な変遷を知ることができる内容になっています。個人的にBIGMAMAは2008年にリリースされた「Dowsing For The Future」以降、基本的に大体のオリジナルアルバムを聴いてきました。それでも今回のベストアルバムであらめて気が付かされたことがいくつかありました。
まずBIGMAMAというバンドのイメージとしてキャッチーなメロディーを奏でるポップバンドというイメージがありました。ただ今回のアルバムを聴くと、特にDisc1の楽曲についてはバンドサウンドを前に出したロックテイストの強い作品やメロコア寄りの作品が多いことにあらためて気が付きました。たとえばデビューアルバムの記念すべき1曲目を飾る「Look at me」など完全にメロコアな楽曲ですし、「Paper-craft」などもノイジーなギターサウンドが前に押し出された楽曲になっています。Disc2に収録されている比較的最近の曲に関してはこのロック寄りな作風が後ろに下がってしまったのは残念なのですが、ベスト盤を聴くと彼らが意外と骨太さを感じるロックバンドである、ということを再認識することが出来ます。
ただ一方でここ最近のアルバムでも感じていた彼らの「難点」については初期からほとんど変わっていないことに気が付きます。それは彼らの楽曲の中でバイオリンの音が浮いてしまっているという点。このロックサウンドにバイオリンと取り入れているというのが彼らの大きな特徴だとは思うのですが、どうもこのバイオリンの音の扱いに大味なものを感じてしまいます。個人的にこのバイオリンの取り扱いが彼らの欠点だと思っているのですが、これに関しては初期からあまり解消されていません。
また大味といえば「Cinderella~計算高いシンデレラ~」や「Swan Song」などクラシックを楽曲に取り入れている楽曲が何曲かありますが、これがまた非常に大味。彼らは過去にロックとクラシックの融合をめざし、楽曲にクラシックを取り入れた企画アルバムをリリースしており、これらの楽曲はそのアルバムからの収録なのですが、この企画がどうも上手くいっているような気がしません。クラシックのフレーズは非常に強度が強いだけに単純に楽曲に織り込むと、クラシックのフレーズだけ浮いてしまい違和感だけが残る結果となるのですが、彼らの楽曲を聴くと完全にこの「罠」に陥っているように思います。
メロディーは悪くないし、インパクトもあるバンドなのですが、バイオリンやクラシックの取り扱いなど全体的に雑さも目立つベスト盤だったと思います。ただ一方でアルバム全体としては思っていた以上にロックテイストも強く、ダイナミックなバンドサウンドも楽しめたベスト盤。個人的にはもっとロック寄りに進んでほしい印象を受けたのですが・・・。いろいろな意味で惜しいバンドに感じてしまったベスト盤でした。
評価:★★★★
BIGMAMA 過去の作品
Dowsing For The Future
君がまたブラウスのボタンを留めるまで
君想う、故に我在り
Synchronicity(HY+BIGMAMA)
Fabula Fibula
ほかに聴いたアルバム
THUNDERBOLT~帰ってきたサンダーボルト~/RIZE
途中、シングルやベスト盤、配信限定のミニアルバムのリリースはあったものの、オリジナルアルバムとしては7年ぶりとなるRIZEのニューアルバム。久々のアルバムでまさに「帰ってきた」というサブタイトルがピッタリ来るアルバムと言えるでしょう。そして久しぶりのアルバムということもあり、楽曲の内容は愚直なまでもいままでのRIZEの路線を引き継ぐミクスチャーロック路線。目新しさはほとんどありませんが、安心して聴ける内容になっています。ただちょっと気になるのは全17曲という長さ。久々のリリースとあってその間のつくりためた曲を放出したのでしょうが、もうちょっと絞ってほしかったかも。最後の方はちょっとだれてしまいました。
評価:★★★★
RIZE 過去の作品
K.O.
EXPERIENCE
FET BEST
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