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2017年10月12日 (木)

新旧キッズ/ヘッズ対決(?)

今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

かつての「キッズ」が大騒ぎとなったアルバムが1位獲得となりました。

今週1位を獲得したのはHi-STANDARD「The Gift」。昨年10月、16年半ぶりとなるニューシングル「Another Starting Line」を前告知なしにCD屋店頭に並べ大きな話題となった彼ら。今回は、既に日本ロック史に残る名盤となった「MAKING THE ROAD」以来、実に18年4ヶ月ぶりの新譜となりました。初動売上は12万1千枚。その前作「MAKING THE ROAD」の25万6千枚(3位)から半減以下という結果となりましたが、ただ18年前といえばCDバブルの真っただ中だった時期。その時期から半減程度のダウンでとどめているというのは、驚きですらあります。

今回もネットなどでの告知一切なく、いきなり街頭看板が街にあらわれてCD販売の告知という手法が大きな話題となりました。CD店頭での告知という「Another Starting Line」と同様、ある意味ネット時代の逆を行くような手法が特徴的。ちなみに本作はダウンロード販売もされていないようで(もっとも「Another Starting Line」もいまではダウンロード販売されているので、後日、ダウンロードでも販売するかもしれませんが)、あくまでもフィジカルにこだわる姿勢を感じます。

ただ・・・「Another Starting Line」の時のチャート評でも書いたのですが彼らのスタンスは正直言うと「パンク」を感じるかというと若干の疑問があります。フィジカルにこだわる姿勢というのはネット社会へのアンチとも取れなくはないのですが、むしろ姿勢としては非常に保守的。本来、「パンク」というのは「大人」が顔をしかめるような既存の概念の破壊行為だったはずですが、彼らがやっていることはむしろ昔の概念の復活。「パンク」な姿勢とは真逆に感じてしまいます。

今週は偶然かもしれませんが、かつてのキッズに支持されたハイスタとは対照的、今、もっとも若い世代を賑わせているラップの分野で、今のヘッズたちに支持されている新人ラッパーのアルバムがランクインしています。それが7位にランクインしたPUNPEE「MODERN TIMES」。Rhymesterや宇多田ヒカルの楽曲に参加し徐々に知名度を上げてきた彼。デビューアルバムである本作が初動売上1万枚を記録し、いきなりのベスト10入りとなりました。

別に彼がネットに対して積極的に親和的という訳ではありませんが、本作はSpotify含めてもちろんダウンロード・ストリーミングでもリリースされており、そういう意味でもハイスタとは対照的と言えるかもしれません。ハイスタの今のファンの年齢層のメインがどのあたりなのか不明なのですが・・・今後10年、彼らの人気がどのように動いていくのか、気になります。

また、「今時を代表」という意味では今週9位にランクインしたネット発のシンガーソングライター伊東歌詞太郎「二天一流」もそうかもしれません。ニコニコ動画の「歌ってみた」コーナーで人気を博したシンガーソングライター。ただ初動売上8千枚は前作「二律背反」の1万4千枚(6位)からダウンしています。

ちなみに逆にハイスタ世代と微妙にかぶりそうなアラフォー世代直撃のアルバムが10位初登場、LIAM GALLAGHER「AS YOU WERE」。ご存じ90年代に一世を風靡したロックバンドoasisのボーカリストによるソロアルバム。oasis解散後はBEADY EYEとして活動をしていましたがアルバム2枚で解散。その後リリースされたソロアルバムが本作となります。初動売上は7千枚。ちなみにBEADY EYEのラストアルバム「BE」は初動1万1千枚(10位)でしたのでそこからはダウンという結果となりました。

さて、ベスト3に戻りまして・・・2位初登場はNMB48山本彩のソロアルバム「identity」がランクイン。2位は自己最高位。ただし初動売上3万6千枚は前作「Rainbow」の5万枚(3位)からダウン。

3位と4位にはイケメン役者養成ゲーム「A3!」のキャラクターによるミニアルバム「A3! Blooming SPRING EP」が3位に、「A3! Blooming SUMMER EP」が4位にそれぞれランクインしています。初動売上はそれぞれ2万4千枚と2万3千枚。同ゲームからのアルバムの前作は「A3! First AUTUMN EP」「A3! First WINTER EP」でそれぞれ3万2千枚(3位)、2万8千枚(5位)なので、そちらからはそれぞれダウンしています。

5位初登場はアニメソング中心に活動を続ける人気女性声優南條愛乃とミュージシャン八木沼悟志のユニットfripSide「crossroads」がランクイン。本作は結成15周年を記念してリリースされたセルフカバーアルバムだそうです。初動売上は1万1千枚。直近のオリジナルアルバム「infinite synthesis 3」の1万8千枚(5位)からはダウン。

最後8位にはDreamやE-girlsのメンバーとしても活動するDream Ami「Re:Dream」がランクイン。本作はアルバムとしてはデビュー作となります。初動売上9千枚で見事ベスト10入りです。

今週のアルバムチャートは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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