爽快なダンスポップが並ぶ
Title:Awesome City Club BEST
Musician:Awesome City Club
最近は爽快なシティポップを奏でるミュージシャンが話題となっていますが、このAwesome City Clubというバンドもその一組でしょう。男性3人、女性2人からなる5人組バンド。いままでアルバム4枚をリリースしており本作は初となるベスト盤。以前から名前は知っていたのですが、ベスト盤リリースを機に、はじめて音源を聴いてみました。全然関係ないバンドなのですが、個人的には時々、Yogee New Wavesとごっちゃになります。シティポップのバンドということと、英語3文字のバンドという点以外に全く共通点はないのですが・・・(^^;;
さて今回はじめて音源を聴いてみたAwesome City Club。まず第一印象としては非常に聴きやすい、いい意味でいやらしさのないポップチューンという印象を受けました。シティポップというと、ジャズやファンク、ソウルなどの要素を上手く取り入れたポップチューンというイメージなのですが、洋楽的要素を多く取り入れた結果として良くも悪くもスノッブ臭がついてしまうというバンドも少なくありません。彼らの楽曲についてはそんなスノッブ臭はほとんど感じません。彼らの楽曲は非常にストレートなポップチューン。ジャズやソウルなどの要素ももちろん取り入れているのですが、それ以上に良い意味でのベタさを感じる部分が多く、その「ベタ」な部分が楽曲に聴きやすさを与えていました。
具体的に言えば例えば「Don't Think, Feel」。まあブルース・リーの有名なセリフからタイトルを取っている自体ベタですし、ディスコチューンにこういうタイトルをつけるあたり良くも悪くもひねりはありません。楽曲自体もストレートなダンスチューンで、特に楽曲全体を流れるストリングスのフレーズは「どこかで聴いたような」というイメージを強く抱きそう。ただ、それだけに非常に聴きやすいポップチューンになっており、ダンサナブルなリズムを素直に楽しめるナンバーになっています。
また楽曲もダンサナブルなディスコチューンがメインになっているのも聴きやすさを与える大きな要素。ただそれだけだと単調になってしまいますが、ちょうど良い具合に、例えば「GOLD」のようなバンド色が強い楽曲が入って来たり、「涙の上海ナイト」のようなエスニック色を入れてきたり、「Lesson」のようにファンク色を強くしたりとほどよくバリエーションを出してきています。そこらへんのバランスの良さも楽曲を聴きやすくする大きな要素になっていました。
そして彼らの楽曲のもうひとつ大きな魅力は、メンバーに男性ボーカル、女性ボーカルが入っており、男声、女声を上手くつかっている点でしょう。基本的には男性ボーカルのatagiがメインを張っているようですが、女性ボーカルのPORINとのデゥオを効果的に用いていますし、「Vampire」のようなPORINがメインを取っている曲もあります。ここらへん、男女ボーカルがバンドにいる点が、楽曲にバリエーションとインパクトを与えています。
全編爽快なダンスチューンがメインとなるベスト盤。良い意味で非常にポップで聴きやすく、おそらく万人受けしそうな楽曲が並んでいたと思います。若干、「通受け」しなさそうという点で音楽誌等で大きく取り上げられずらい部分があるのかもしれませんが、ヒットチャート上位で十分戦えそうなポテンシャルを持ったバンドだと思います。「シティポップ」という枠組みにとらわれずポップス好きなら要チェックのアルバム。全13曲1時間1分という長さもちょうど良いですし、入門盤としては最適なアルバムでした。
評価:★★★★★
ほかに聴いたアルバム
僕にできることはないかな/忘れらんねえよ
2人組になって初のフルアルバム。フルアルバムとしては約2年ぶりですが、昨年リリースされたミニアルバムからはわずか11ヵ月というインターバルでのリリースとなりました。ただ今回のアルバム、全体的に爽快なサウンドが目立ちパンク色は薄めに。「いいひとどまり」のようなメッセージ性の強い楽曲もあるのですが、彼らの持ち味だった変態的な歌詞はありまえん。それでもそれなりにインパクトがあって聴かせてしまうあたりバンドとしての基礎体力をつけていたように感じるのですが・・・忘れらんねえよのアルバムとしては少々薄味に感じてしまう1枚でした。
評価:★★★★
忘れらんねえよ 過去の作品
忘れらんねえよ
空を見上げても空しかねえよ
あの娘のメルアド予想する
犬にしてくれ
忘れらんねえよのこれまでと、これから。
俺よ届け
人間の土地/ラブリーサマーちゃん
奇妙なミュージシャン名が一度聴いたら忘れられませんが、今、ネットを中心に話題になっている宅録系女性シンガーソングライター。今回はじめてミニアルバムを聴いてみました。わずか4曲入りなのですが、1曲目「FLY FLY FLY」はギターにシンセの音を重ねた非常に分厚いサウンドが特徴的なダンスチューン。2曲目「海を見に行こう」は渋谷系を彷彿とさせる爽快なポップナンバー。3曲目「ファミリア」も分厚いギターのギターロックナンバー。さらにラスト「High and Dry」はRADIOHEADのカバーで、原曲の雰囲気に近いカバーに仕上げています。
楽曲的には2000年代初頭の下北系のギターロックバンドあたりの影響を感じる音。サウンドは非常に分厚い一方、メロディーは意外なほどポップにおさめています。個人的には好みな感じなのですが、一方、メロディーはちょっとひねりがなさすぎる感じも。またサウンドも音をつめすぎてもうちょっと引いた部分があった方が良いのでは?ただ非常におもしろさは感じたので、次のフルアルバムは聴いてみたいとは思いました。
評価:★★★★
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