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2017年10月10日 (火)

20年目のオールタイムベスト

Title:CRAZY KEN BAND ALL TIME BEST 愛の世界
Musician:クレイジーケンバンド

今年、結成20周年を迎えたクレイジーケンバンドのオールタイムベスト。クレイジーケンバンドといえば、妙にベスト盤が多いミュージシャンで、非公式な集計とはいえWikipediaによると、これが11枚目のベスト盤。特に目立つのがミュージシャンや音楽評論家の選曲による編集盤で、MIX CDを含めてこの手の編集盤が6枚もリリースされています。

それは彼らがいわば「通受け」をするようなミュージシャンと言えるかもしれませんし、ファンがそれぞれ異なる「クレイジーケンバンド像」を持っており、自らの選曲によるベストアルバムを作りたくなるような、様々なタイプの名曲が多いミュージシャンだから、ということかもしれません。

実際、このベスト盤に関してのインタビュー記事の中でも、ファン投票を実施しても見事に票が分かれるという話がありました。今回のオールタイムベストにしても全55曲入りというフルボリュームのベスト盤なのですが選曲にはかなり苦労したようで、「知る人ぞ知る」的な名曲も収録されている一方、シングル曲が選曲からはずれていたりもして、ファン全員の平均値というよりも横山剣独断と偏見による選曲になっているようです。

確かに今回のベスト盤に収録されている55曲を聴いてみても、クレイジーケンバンドというバンドに様々な側面があることに気が付きます。彼らの一般的なイメージを言うと「昭和歌謡風」ということになり、確かにその側面も強いのですが、同時にディープなソウル色が強かったり、ファンクだったり、かといえばラテン、ファンク、AOR、ロック、ジャズ、中華、アジアン、和風・・・実に様々な要素を感じます。

歌詞にしても真面目なラブソングからコミカルな歌詞、大人な歌詞やらエロ歌詞やら様々。クレイジーケンバンドというバンドのどんな側面を切り取るかによって、ファンそれぞれにとってのベスト盤が生み出されそうな、そんなバラエティー富んだ作風がひとつの大きな魅力となっています。

ただその一方でメロディーラインやサウンドに関してはぬぐうことの出来ない横山剣カラーがしみついているのも大きな特徴。横山剣は他のミュージシャンへのカバーも多いのですが、誰のカバーでも一発で「横山剣の曲だな」とわかるような個性を持っています。この横山剣の持つ強烈な個性がバリエーション豊富なクレイジーケンバンドの楽曲に統一感を与えています。

ちなみに本作、いわゆるオールタイムベストということで20年前の曲もさることながら、タイトルチューンとなった「愛の世界」やDisc1の1曲目に持ってきている「スージー・ウォンの世界」は横山剣の前身バンド時代の曲だとか。横山剣自体、クレイジーケンバンド結成前にすでにベテランと言えるキャリアを持っていただけに、結成段階で既に楽曲が高い完成度を誇っていましたし、デビュー前の作品に関しても今の楽曲と比べてもほとんど違和感がありません。オールタイムベストというと時代により楽曲の雰囲気が異なるミュージシャンがよくいるのですが(もちろんそれはそれで悪いことではありませんが)、彼らの場合はデビュー当初から既にその世界観を確立させています。さらにその世界観で20年間活動していても全く色あせていないのも驚くべきこと。それだけ実力を持ったバンドということなのでしょう。

冒頭にも書いた通り、既に何枚もベスト盤をリリースしている彼らですが、区切りの20年でのオールタイムベストということもあり、これから先は入門盤としてはこのアルバムをお勧めしたい集大成的なベスト盤になっていたと思います。全55曲3枚組というフルボリュームながらもほとんどだれることなく一気に聴ききれてしまう魅力いっぱいのアルバム。クレイジーケンバンドの世界にひたれるベスト盤でした。

評価:★★★★★

クレイジーケンバンド 過去の作品
ZERO
ガール!ガール!ガール!
CRAZY KEN BAND BEST 鶴
CRAZY KEN BAND BEST 亀

MINT CONDITION
Single Collection/P-VINE YEARS
ITALIAN GARDEN
FLYING SAUCER
フリー・ソウル・クレイジー・ケン・バンド
Spark Plug
もうすっかりあれなんだよね
香港的士-Hong Kong Taxi-

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