the band apartの魅力をしっかりと伝える
Title:Memories to Go
Musician:the band apart
ここ最近、ジャズやブラックミュージックからの影響を受けたようなロックバンドが目立つようになりました。その最右翼はいうまでもなく最近人気沸騰中のSuchmosですが、他にはクラブ系の色合いも強いD.A.N.やらnulbarichなどというバンドも話題になっています。
ただある意味、今流行りともいえるこの流れを作り出した先駆的なバンドといえば間違いなくthe band apartでしょう。残念ながら一時期に比べるとその人気は落ち着いたような感はありますが、根強い人気を誇っており、またアルバムも安定的に良作をリリースし続けています。
今回のアルバム、the band apart名義としては約2年半ぶりとなるニューアルバム。とはいえ、その間、the band apart(naked)という名義でアコースティックアルバムをリリースしていたり、□□□とのコラボアルバムをリリースしていたりしたとバンド活動としてはコンスタントに活動を続けていただけにそれほど久しぶりといった印象は受けません。ただ、クラブジャズ系のバンドの活躍が目立つ中、彼らがどんなアルバムをリリースしてくるのか興味はありました。
そしてその結果としては基本的にいつものthe band apartとしてのスタイルを貫いているように感じました。特にイントロ挟んで事実上の1曲目「ZION TOWN」は日本語詞の曲ながらも軽快なリズムに爽快感あるギターサウンドがファンキーなリズムを奏でるいかにもthe band apartらしい楽曲。インパクトでも「世間的なうちのバンドに対するイメージに、良い意味で応えるような曲」と語っており、ファンならガッツポーズを思わずしてしまいそうな名曲になっています。
他にも「Super High」などファンキーなリズム感と爽快なサウンドが楽しいthe band apartらしい楽曲が並び、心地よいメロディーラインと共にthe band apartらしさを感じるアルバムになっている一方で、比較的ロックな色合いも強いアルバムになっているようにも感じました。例えば「ZION TOWN」と共にリード曲となっている「Castaway」などはthe band apartらしいファンキーで爽快なサウンドを聴かせつつ、ノイジーなギターも押し出してロックな作品になっていますし、「She is my lazy friend」もロックなギターリフが目立つ作品になっています。
もっともこのアシッドジャズ的なクールなサウンドと、ロック的な熱いサウンドの融合というのもthe band apartの大きな魅力。そういう意味ではロックテイストが強い、といっても基本的にはthe band apartらしいアルバムになっていたようにも思いました。
Suchmosなどをはじめとする最近の潮流に対するthe band apartからの回答・・・そういう風に書いてしまえればある意味かっこいいのですが、基本的にいつも通りのthe band apartらしいアルバムだったと思います。ここ最近、悪くないけどいまひとつ、というアルバムが続いていましたが、今回のアルバムは新機軸といった感じではないのですが、the band apartらしい、彼らの魅力をきちんと伝える新作でした。
評価:★★★★★
the band apart 過去の作品
Adze of penguin
shit
the Surface ep
SCENT OF AUGUST
街の14景
謎のオープンワールド
1(the band apart(naked))
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