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2017年9月22日 (金)

昔ならではの「粋」を伝える

Title:粋歌~江戸のラブソング~
Musician:柳家小菊

今回紹介するのは寄席を中心に活動する音曲師、柳家小菊のアルバム。端唄や新内、都々逸といった江戸時代に庶民に親しまれてきた歌を三味線一本で今の時代に歌う彼女。もともと下の記事でその名前を見かけて興味を持ちました。

野暮な浮世の事はしばし忘れて、柳家小菊の情緒ある「粋曲」で”粋”を味わう ”江戸のラブソング”に酔う

おそらく端唄や都々逸自体は日本人ならば「伝統芸能」として一度は聴いたことあるかと思います。ただそんな時も興味がない方ならば「古臭いもの」として聴きながしてしまう方がほとんどではないでしょうか。

本作に関してはそういう観点からすると決して目新しいものではありません。最近のヒット曲を取り入れているわけではありませんし、演奏も三味線一本というスタイルでいまどきの音を入れている訳ではありません。おそらく、たとえば日曜日の昼間にNHK教育あたりから流れてきたらそのまま右から左へと聴きながしてしまうかもしれません。

ただそんな江戸時代の流行歌のアルバムをこうやってアルバム音源でしっかりと聴いてみると今なお歌われるその魅力をしっかりと伝えてくれる作品になっています。まずひとつの特徴がアルバムとして独演会の模様をそのまま収録している「ライブアルバム」になっていること。それも曲の間のトークの部分もそのまま収録されています。おそらく、曲だけではなくトークの部分も含めて「芸」という意識があるのでしょうし、また寄席の雰囲気をそのまま出したかったという意向もあるのかもしれません。ただ、現代の感覚だと内容まではちょっと聞き取りにくい端唄や都々逸の世界の解説を聞けるという意味でも、初心者にとっても聞きやすい構成になっています。

また楽曲自体も今の感覚で聴いても心に響いて共感できるような歌詞が多く、あらためて端唄や新内、都々逸といった江戸時代の文化の魅力を再認識できます。今回のアルバムにも収録されている「猫になりたや」なんかも、好きなあの人の飼っている猫になりたいと歌う歌で、今のヒット曲の題材でも同じような曲がありそう。最後に猫の鳴きまねが入るのですが、これもまた色っぽい雰囲気でよい感じです(笑)。

その楽しいトークも含めて江戸文化に触れられる実に魅力的なアルバムになっていました。ちなみに副題に「江戸のラブソング」と記載がありますが、売り文句にようなもので確かにラブソング的な曲は多いものの内容的にはラブソングにとどまりません。今の人にも昔の人にも通じる、タイトル通りのその「粋」な心を楽しめるアルバムでした。

評価:★★★★★

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