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2017年9月 5日 (火)

80年代風ポップが耳を惹く

Title:Everything Now
Musician:Arcade Fire

前作「Reflektor」も大きな話題を呼んだカナダのロックバンドの約3年9ヶ月ぶりのニューアルバム。毎回、ポップなメロディーラインとメッセージ性の強い歌詞が大きな評判を呼び、特に欧米では圧倒的な人気を得ています。2010年にリリースした前々作「The Suburbs」はアメリカ、イギリスのアルバムチャートで1位を獲得。その後、前作、さらには本作も当たり前のようにアメリカ、イギリス共にアルバムチャートで1位を獲得して圧倒的な人気を見せつけています。

今回のアルバムで特徴的なのはアルバム全編80年代的なエレクトロサウンドで彩られたポップなナンバーになっている点でした。音楽雑誌では今回のアルバムの楽曲に関してABBAの楽曲を持ち出してきているアルバム評も少なくありません。さすがにABBAほど突き抜けた感じはないものの、タイトルチューン「Everything Now」は、まさにABBAの名前を彷彿とさせるようなポップチューン。続く「Sings of Life」も(なぜか最初に日本の救急車の音がサンプリングされている)そのまま80年代なディスコチューンとなっています。

その後の作品についてもちょっと懐かしい80年代風な空気を醸し出しつつ、バラエティー富んだポップな楽曲が印象的なアルバムになっています。パンキッシュなガレージロック風に仕上げつつ、メロは至ってポップな「Infinite Content」や、軽快なエレクトロチューンでキュートという感想すら抱いてしまう「Put Your Money On Me」など、ちょっと80年代的な「軽薄さ」を感じつつも、いい意味でキャッチーな、聴きやすいポップチューンが並んでいます。

ただこれだけポップなメロが並んでいつつも、歌詞については非常にヘヴィーな内容になっているのがユニークかつ彼ららしいところ。例えばタイトルチューンの「Everything Now」にしても

「We turn the speakers up till they break
'Cause every time you smile it's a fake!」

(拡声器が壊れるまで音量を引き上げるんだ
なぜなら君の笑顔はすべて偽りだから)

「And every room in my house is filled with shit I couldn't live without」
(そして僕の家の全てには耐えられないようなクソで埋め尽くされている)

といった歌詞が並んでいます。

ここらへん、おそらくキュートなメロディーラインとへヴィーな歌詞のギャップが耳を惹く部分なのでしょうが、残念ながら英語のネイティブではない私たちにとってここらへんのギャップについてはいまひとつわからない部分。そこらへんは残念に感じます。

メロディーやサウンドがちょっと軽薄な部分があって何度か聴くと飽きるかも、といった印象もなきにしもあらずなのですが、それに先立ってとにかくポップで楽しいメロディーラインを心から楽しむことが出来る傑作だったと思います。50分弱の内容を最初から最後まで非常に楽しく味わうことが出来ました。難しいこと抜きにして広い層が楽しめそうなアルバムです。

評価:★★★★★

ARCADE FIRE 過去の作品
THE SUBURBS
REFLEKTOR


ほかに聴いたアルバム

ROBERT CRAY&HI RHYTH/ROBERT CRAY&HI RHYTH

アメリカのブルースギタリスト、ロバート・クレイの最新作は新プロジェクトROBERT CRAY&HI RHYTH名義によるアルバム。ファンク路線の「You Must Believe in Yourself」「I Don'T Care」「You Had My Heart」「I'm with You,Pt.1」のような正統派ブルースや「The Way We Are」のようなソウルバラードとバリエーションを持たせつつ、基本的には王道路線のクラシカルなブラックミュージックの楽曲を聴かせてくれます。決して目新しさはないものの、ソウル、ブルース好きならまずは安心して楽しめる佳作。また彼の音楽的な懐の深さも感じさせるアルバムでした。

評価:★★★★

Robert Cray 過去の作品
NOTHIN BUT LOVE
In My Soul

4 Nights of 40 Years Live(The Robert Cray Band)

Kaleidoscope EP/Coldplay

突如リリースされた5曲入りのColdplayのミニアルバム。「Something Just Like This」では東京ドームでのライブ音源が収録されているなど、日本人にとってはちょっとうれしい内容も。彼ららしいストリングスやピアノなどを用いた美しいメロディーラインを聴かせてくれる楽曲になっており、Coldplayらしさを感じさせる楽曲が並んでいますが、全体的にインパクトは薄めで核となりそうな楽曲はなく、アルバムを聴き終わった後の印象も薄味。Coldplayの魅力はしっかり感じられたのですが、ちょっと物足りなさも覚えた作品でした。

評価:★★★★

COLDPLAY過去の作品
Viva La Vida or Death And All His Friends(美しき生命)
Prospekt's March
LeftRightLeftRightLeft
MYLO XYLOTO
Ghost Stories
A HEAD FULL OF DREAMS

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