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2017年9月26日 (火)

ヒットメイカーをプロデューサーに起用した意欲作

Title:Villains
Musician:Queens Of The Stone Age

前作「...Like Clockwork」もリリースに約6年というインターバルがあいていましたが今回も前作から約3年10ヶ月ぶりと少々久しぶりとなってしまったアメリカのロックバンド、Queens Of The Stone Ageの新作。今回の新作の大きな特徴は稀代のヒットメイカー、マーク・ロンソンがプロデュースを手掛けたということ。エイミー・ワインハウスやアデルといった人気ミュージシャンたちのアルバムのプロデュースを手掛けた彼の登用がQueens Of The Stone Ageというバンドとどのような相性を見せるのか、注目の作品でした。

そして結果としては両者の相性が非常にマッチした傑作に仕上がっていたように感じます。Queens Of The Stone Ageといえば、へヴィーでメタリックなギターサウンドを聴かせつつ、一方ではメロディーを含めポップな側面を強く押し出していていい意味でハードロックリスナーに留まらない聴きやすさが特徴的なバンド。彼らが大きな注目を集めた2000年にリリースした「Rated R」はまさにそんな作品でした。

その後の作品に関してはどちらかというとヘヴィーなメタリックさを前に押し出したような作品が続いたものの、前々作「Era Vulgaris」はポップなギターロック寄りに方向性を変えた作品に。そして前作「...Like Clockwork」は、再びへヴィネスさとポップさがほどよいバランスを保った傑作を聴かせてくれました。

今回の作品に関しても、まさにそんな前作の路線を引き継ぎ、Queens Of The Stone Ageの魅力を引き出した作品になっていたと思います。冒頭を飾る「Feet Don't Fail Me」はまさにメタリックなギターリフが楽曲を引っ張りつつもメロディーを含めてポップスさをしっかりと前に押し出したいい意味で聴きやすい楽曲。「Un-Reborn Again」もまさに同様に、メタリックなギターサウンドを押し出しつつ、哀愁感も備えたポップなメロディーラインが耳なじみやすいサウンドになっています。

ダンサナブルなロックンロール調の「The Way You Used To Do」「Head Like A Haunted House」など軽快なサウンドもアルバムの聴きやすさに大きな効果をあげていますし、「Hideaway」などで聴かせるような哀愁感あるメロディーラインも大きな魅力。メタリックなギターサウンドをしっかりと聴かせてハードロックらしいダイナミズムを前に押し出しつつ、リズムをしっかりと聴かせる今風のサウンド構成になっており、そういう意味でも古き良きハードロック路線を聴きやすい今時の音楽へとしっかりとアップデートさせたプロデュースワークとなっています。

バンドとしては上にも書いた通り、ここ最近、再びポップ路線に舵を取ってるだけにこのアルバムの出来を含めてマーク・ロンソンの起用にはかなり納得感ある内容。前作も傑作アルバムに仕上がっていたのですが、続く本作も今後の彼らを代表しそうな傑作アルバムに仕上がっていました。前作で全盛期が戻ってきたと書いたのですが、プロデュースワークもさることながらバンドとしても脂がのってきたようにも感じるアルバム。結成から20年目となった彼らですが、これからの活躍も楽しみです。

評価:★★★★★

Queens Of The Stone Age 過去の作品
ERA VULGARIS
...Like Clockwork

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