80年代ギタポからの影響が顕著
Title:The Echo Of Pleasure
Musician:The Pains Of Being Pure At Heart
アメリカのインディーギターポップバンドの約3年3ヶ月ぶりとなるニューアルバム。毎回、とても心地よいポップソングの傑作を聴かせてくれる彼らですが、今回のアルバムもドリーミーでポップなサウンドがとても心地よい傑作アルバムとなっていました。
彼らの楽曲はいわゆるシューゲイザー系の影響を強く受けた楽曲。楽曲を埋め尽くすようなホワイトノイズのサウンドが流れ、そこにポップでキュートなメロディーラインを聴かせてくるという構成。彼らの場合は、特にTEENAGE FANCLUBあたりからの影響を強く感じる暖かみのあるメロディーラインも大きな魅力となっています。
今回のアルバムに関しても1曲目「My Only」からそんな楽曲の魅力が前面に押し出されています。楽曲を埋め尽くすホワイトノイズにミディアムテンポのメロディーライン。ところどころに女性ボーカルの歌声を重ね、キュートな雰囲気を作り出している点も印象的。いわばマイブラ直系の楽曲なのですが、否応なしにアルバムへの期待が高められます。
中盤の「Falling Apart So Slow」も同様にインパクトあるポップなメロディーラインが魅力的。分厚くノイジーなサウンドを心地よく聴かせる反面、ボーカルの歌い方といいどこかラフさを感じさせる雰囲気に80年代のインディーギターロックからの影響を強く感じます。
また今回のアルバムにはエレクトロサウンドを取り入れた楽曲も目立ちました。「When I Dance With You」もまさにそんなエレクトロなダンスポップに仕上げていましたし、女性ボーカルによりアップテンポで爽快なポップチューンを聴かせる「So True」も打ち込みによる4つ打ちのサウンドを聴かせてくれます。ただそんな楽曲でもしっかりとノイジーなギターは鳴っておりアルバム全体としての印象に大きな相違はありませんでした。
後半は「The Cure For Death」のようなドリーミーなポップソングを聴かせつつ、「Stay」はアコギの音を入れつつ哀愁感あるメロを聴かせるフォーキーな楽曲に。最後を締める「Violet&Claire」もサウンドは比較的シンプルで切ない雰囲気のメロディーを聴かせる楽曲に。終盤は彼らのメロディーメイカーとしての側面を前に押し出したようなポップソングが並んでいました。
そんな感じでアルバム全体にそれなりのバリエーションを持たせつつ、ただアルバム全体の印象としてはいつも通り、ノイジーなギターサウンドが心地よいシューゲイザー直系のギターポップという印象を残す作品。ある意味、リスナーの期待にしっかりと応えた傑作アルバムに仕上がっていました。なにより個人的には前作同様、壺にはまりまくりのアルバム。何度も聴きなおしたくなる中毒性あるポップアルバムでした。
評価:★★★★★
The Pains of Being Pure at Heart 過去の作品
Belong
Days Of Abandon
ほかに聴いたアルバム
Sacred Hearts Club/Foster The People
デビュー作「Torches」、2作目「Supermodel」も話題となったアメリカのインディーポップバンドの3枚目。全編、軽快なエレクトロポップ。前作ではサイケポップ的な要素を強く押し出し、本作でも最後を締めくくる「III」のようにサイケ色の強い曲もあったのですが、全体的にはポップなメロディーを前に押し出したちょっと哀愁味帯びたポップなメロを聴かせるような曲がメイン。リズミカルなエレクトロポップが楽しめる作品です。
評価:★★★★
Foster the People 過去の作品
Torches
Supermodel
Flower Boy/Tyler,The Creator
約2年3ヶ月ぶりとなるTyler,The Creatorのニューアルバム。ダークな雰囲気のサウンドに力強いタイトなリズムとラップが特徴的。ただ本作に関してはメロウなトラックも多く、メロディアスな曲も目立ち、全体的にメロディーを聴かせるようなアルバムに。いい意味でHIP HOPリスナーに留まらない層に聴きやすいアルバムになっていました。
評価:★★★★★
TYLER,THE CREATOR 過去の作品
Goblin
Wolf
CHERRY BOMB
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