結成25年を超えていまだ感じる新鮮味
Title:Metaltic Nocturne
Musician:noodles
昨年、結成25周年を迎えてすっかりベテランバンドの域に達した3ピースガールズバンドnoodlesの最新アルバム。ご存じの通り、もともとthe pillowsの山中さわおの目にとまり、彼が主催する「DELICIOUS LABEL」に所属することになってその活動をスタートさせた彼女たち。ある意味、the pillowsの「妹分」的な彼女たちなのですが、楽曲もthe pillows同様、ストレートでポップなオルタナ系ギターロックが心地よい作品が並んでいます。
以前にも書いたアルバム評で彼女たちを「女版the pillows」と何度か書いたのですがそのイメージは本作も変わりません。本作の冒頭を飾る「Heart Bop」のギターのイントロや途中の入るギターのフレーズなどはthe pillowsの影響を強く感じますし、「right hand arrow」なども出だしのギターフレーズはまんまthe pillows。ミディアムテンポでメロディアスなナンバーなのですが、どこかキュートさも感じるフレーズにもthe pillowsらしさを感じます。
基本的には英語詞が主体となったオルタナ系ギターロックが主軸となったアルバム。the pillows以上にシンプルなギターロックが目立ちますし、比較的ポップス路線が目立つ最近のthe pillowsに比べるとよりへヴィーなギターサウンドを前に押し出した「ロック」な楽曲が目立ちます。
以前聴いたアルバム「Explorer」では打ち込みやアコースティックな要素を入れてそれなりにバリエーションを出そうとしていましたが、本作ではあくまでもギターロックに特化。そのため正直言うと、若干バリエーションの不足が目立ちました。もっとも、アルバムとしてはわずか38分という短さ。そのため楽曲的に「似た曲が多い」と感じる部分も少なくありませんでした、ほとんどだれることなく一気に聴き切ることが出来るアルバムになっていました。
特にタイトルチューンとなった「Metaltic Nocturne」では哀愁感あるメロディーラインに強いインパクトを感じ、アルバムの中でひとつの核となっていました。メロディーラインはより洋楽テイストを強く感じ、the pillowsとは異なる方向性にnoodlesとしての個性もしっかりと感じることが出来ます。
また前半、英語詞の曲が並ぶのに対して後半は日本語詞の曲が並び、アルバムの中でバリエーションを持たせているのも特徴的。もうちょっといろいろと挑戦した方が・・・と思うこともなきにしろあらずなのですが、割り切ったようなシンプルなギターロックがとにかく魅力的で、最後まで楽しむことが出来るアルバムになっていました。
結成から25年以上を経過しながらも勢いのあるギターサウンドにいまなお新鮮味すら感じることが出来るnoodlesのアルバム。このベテランバンドながらも若手のような新鮮味が残っているという点でもthe pillowsと共通しているように思います。個人的には(以前のアルバムでも書いたのですが)もっともっと売れてもいいと思うんだけどなぁ。全ギターロックファンにお勧めしたいアルバムです。
評価:★★★★★
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