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2017年9月 2日 (土)

1日1曲 第3弾

日本のポピュラーミュージックの名曲を1日1曲というコンセプトで1年かけて紹介しようという企画「大人のJ-POPカレンダー 365 Radio Songs」。以前、第1弾として1月から3月分を、第2弾として4月から6月分を紹介しましたが今回は第3弾。7月から9月分の紹介です。

Title:大人のJ-POPカレンダー~365 Radio Songs~「7月 サマーソング」

まず7月はサマーソングとして、Disc1が「夏の歌」、Disc2が「海の歌」となっています。もっとも事実上、海の歌=夏の歌ですから、アルバム全体が夏の歌が並んでいるという構成になっています。

さてこの企画、50年代あたりのヒット曲から2000年以降のJ-POPチューンまで同列に並んでいる構成がひとつの魅力なのですが、この7月のサマーソングに関しては、「歌謡曲」と称されるような曲はほとんどなく、フォーク、ニューミュージック以降の楽曲が大半。さらにはプリンセスプリンセス「世界で一番熱い夏」、爆風スランプ「Runner」、TUBE「夏を抱きしめて」「湘南My Love」といった80年代終盤から90年代のヒット曲が並んでおり、アラフォー世代にとってはかなり懐かしくもうれしい選曲になっています。

逆に言えば、いわゆる「歌謡曲」な楽曲では夏を愛でるような楽曲は少ないってことなのかなぁ。このアルバムには美空ひばりの「真赤な太陽」が収録されていますが、確かに歌謡曲といったらちょっと影のあるような冬の歌が多く、底抜けに明るいような夏の歌は少なそうな印象も。そういうちょっとした発見もあった選曲になっていました。

評価:★★★★

Title:大人のJ-POPカレンダー~365 Radio Songs~「8月 平和」

8月編ままずDisc1はコンセプトが非常にはっきりしています。「平和の歌」と題され、加川良の「教訓I」やジローズ「戦争を知らない子供たち」のような反戦歌が多く収録されており、歌詞を聴かせる選曲になっています。ただちょっと残念だったのは多くを占めるのがフォークソングの時代の楽曲。たしかにこの手の反戦歌が多いのは60年代70年代なのかもしれませんが、もうちょっと最近の反戦歌も聴きたかったかも。

Disc2も「旅の歌」と題されていますが、こちらも60年代70年代のフォーク以前の曲が目立ちました。こちらもここ最近は確かに「旅」をテーマとした曲が少なくなってしまったかもしれません。今の時代、どこへ行くにも新幹線やら飛行機やらであっという間に行けるようになってしまい、「旅情」を感じる機会が少なくなってしまいましたからね・・・というのはちょっと単純化させすぎた分析でしょうか?

ただ今回、この「7月 サマーソング」も「8月 平和」も時代によって曲のテーマ性も少しずつ異なってくるということを実感させられる構成でした。

評価:★★★★

Title:大人のJ-POPカレンダー~365 Radio Songs~「9月 友情」

で、9月は友情なのはなんで??まずDisc1の方は「秋の歌」として、秋をテーマとした曲が並んでいます。9月で秋ってちょっと早くないか?とも思うのですが、楽曲的には鈴木雅之「ガラス越しに消えた夏」とか太田裕美「9月の雨」など、夏の終り、秋のはじまりをテーマとした曲が多く、9月らしい選曲といった感じになっていました。一番ユニークだったのは森高千里「台風」で、選んだテーマもユニークながらも「ドンドンドドパ」と台風で強い雨が降っている様子をそのまま歌詞にしつつ、歌詞にあわせてドラムが鳴るという楽曲構成も非常におもしろいナンバー。90年代の森高千里のユニークさを感じさせる曲になっています。

一方Disc2の「友情のテーマ」は若干選曲に「?」が。SOPHIA「黒いブーツ~oh my friend~」はまさに友情をテーマとした名曲なのですが、「また逢う日まで」は友情の歌じゃなくて別れゆく恋人の歌ですよね?工藤静香「慟哭」も「ともだち」という歌詞が出てくるけど友情の歌じゃなくて失恋の歌ですよね??もうちょっと友情をテーマとした曲ってあると思うんですが・・・。

評価:★★★★

さて、このオムニバスシリーズ、1月からスタートして9月まで聴いてきました。おなじみの名曲はもちろん、知られざるJ-POPの名曲なんかも選曲されており、それが時代を超えて同列に並んでいる非常にユニークなオムニバスなのですが、若干疑問に感じる点もちらほら。

一番疑問に感じるのは、何度も取り上げられているミュージシャンが妙に目立つという点。特に吉田拓郎は1月につき1曲は取り上げられており、他にも松田聖子や美空ひばり、渡辺美里の曲も目立ちます。確かにいずれのミュージシャンもJ-POP史上、欠かすことのできないミュージシャンかもしれませんが、全体的に似たようなミュージシャンの曲が多いな、という印象を受けました(なんとなくソニー系、エピック系のミュージシャンが目立つような印象も)。

また選曲も基本的に最近の曲までが範囲なのですが、2000年代以降の曲は少なく、70年代から90年代の曲がメイン。こちらに関してももうちょっと「つい最近の曲」も収録してほしかった感じもします。

企画・監修・選曲は音楽評論家の田家秀樹氏なのですが、全体的に彼の好みが強く反映されてしまっているような感は否めません。まあそれはある程度仕方ないことなのかもしれませんが・・・もうちょっといろいろなミュージシャンの曲や最近の曲まで選曲してほしいかな、とも感じてしまったオムニバスアルバムでした。

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