既にベテランバンドの彼らだが。
ヴィジュアル系ロックバンド、ムックが2作同時にベスト盤をリリースしました。
Title:BEST OF MUCC II
Musician:ムック
まずはシングル曲やアルバムの中の代表曲を収録した、タイトル通りのベスト盤である「BEST OF MUCC II」。
Title:カップリング・ベストII
Musician:ムック
そしてこちらはシングルのカップリング曲を収録した「カップリング・ベストII」です。どちらもそのままのタイトルですね(^^;;ちなみにベスト盤は2007年に「BEST OF MUCC」が、カップリング集は2009年に「カップリング・ベスト」がリリースされており、基本的にその後にリリースされた楽曲を収録したベスト盤&カップリング曲集となっています。
さてムックといえばここ最近、アルバムをリリースする毎にその内容が良くなってきているようなイメージがあります。このベスト盤を聴くと、確かにここ最近の楽曲になるに従い、ここに来て徐々にムックとしてのスタイルを確立しつつあるように感じました。
基本的にムックの楽曲のスタイルはハードコアサウンドにシンセを入れて音的に分厚さを増したサウンドを聴かせる一方でメロディーラインは哀愁たっぷり、歌謡曲からの強い影響を感じる良くも悪くもJ-POP的という楽曲のイメージを強く感じます。
その一方でベスト盤の1曲目を飾る「ファズ」がいきなり歌謡ディスコ調だったり、エレクトロサウンドを入れてEDM調のナンバーがあったり、いかにもな前向き歌詞のJ-POPナンバーがあったり、その楽曲のバリエーションも多彩に感じます。
ただその結果としてどこかの方面に吹っ切れるわけではなく、かといって楽曲のバリエーションに関してはいろいろなところに手を出しながら、ゴチャゴチャしたような楽しさはなく、全体的に中途半端という印象を受けてしまいました。
そんな楽曲もベスト盤の最後になりにつれて全体的にまとまりを感じるようになりました。特にラストを飾る「睡蓮」「TONIGHT」はハードコアなサウンドに哀愁感あるインパクトあるメロディーラインのバランスが上手く決まっており、ムックが目指す方向性がより明確に、かつ印象的にまとまった楽曲になっていたと思います。デビューから15年以上経ち、すっかり「ベテラン」の仲間入りをした彼らですが、バンドとしてはむしろこれからが楽しみに感じられるベスト盤だったと思います。
そして「カップリング・ベスト」。こちらはあきらかにベスト盤に比べると自由度が増していたように感じます。ハードコアなサウンドもベスト盤よりもよりへヴィーに。楽曲のバリエーションにしてもビートロックにハードロック、ジャジーな曲からダンスチューン。「WateR」に至っては軽快なオルタナ系ロックの楽曲で、往年のblurを彷彿させる軽快さを感じさせます。
もちろん彼ららしいハードコアなサウンドは流れていますし、哀愁感あふれるメロディーラインも要所要所に流れています。ただベスト盤に比べるとバリエーションはより豊富。いい意味でカップリング曲らしい挑戦心を感じさせる楽曲が並んでいました。
どちらもこれからの彼らの活躍が楽しみになってくるようなアルバムだったと思います。デビューから17年、ここに来てさらなる成長を感じさせる彼ら。これからの活動にも注目したいところです。
評価:
BEST OF MUCC II ★★★★
カップリング・ベストII ★★★★★
ムック 過去の作品
志恩
球体
カルマ
シャングリラ
THE END OF THE WORLD
T.R.E.N.D.Y.-Paradise from 1997-
脈拍
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