こちらも早くも復帰作
Title:Crying End Roll
Musician:indigo la End
ご存じ、不倫騒動などで大バッシングを受けたゲスの極み乙女。のボーカル川谷絵音の別バンド、indigo la End。活動再開後すぐ、ゲスの極み乙女。はニューアルバムをリリースしましたが、それに続きindigo la Endも早くもニューアルバムをリリースしてきました。
もっとも「indigo la Endはゲスの極み乙女。の川谷絵音の別バンド」という書き方をしたのですが、結成の経緯からするとむしろこちらが本体でゲスの極み乙女。の方が別バンド。シニカルな歌詞や実験的なサウンドが多いゲスと比べるとシンプルなメロと歌詞の多いこちらのバンドの方が、川谷絵音の本来の魅力をより伝えているように感じます。
今回のアルバムでもまずは哀愁感あふれる悲しげなメロディーラインが魅力的。「想いきり」や「プレイバック」、「エーテル」などほどよくファルセットを入れつつ、インパクトある泣きメロを聴かせてくれます。J-POPでメロに哀愁感を入れてくると、普通は良くも悪くも「歌謡曲」的になりがちですが、彼の書く楽曲はむしろブラックミュージックからの影響をほどよく感じられ、垢抜けたメロディーラインになっているのも大きな魅力です。
歌詞にしても、川谷絵音の見た目のイメージそのまま、ちょっとなよなよっとした女々しい雰囲気で女の子に切なく語り掛けるような歌詞がメイン。まあ確かに不倫騒動で騒がれた彼のイメージそのままに、悪い意味でもプレイボーイ的なイメージも受けてしまう歌詞になっているのですが、これが泣きメロともピッタリとマッチし、非常に心に響いてくる歌詞になっています。
今回のアルバムでも特にインパクトが強かったのが「猫にも愛を」という曲。自らの心境を飼い猫に仮借したような歌詞なのですが
「僕は猫
気持ちを言葉に出来ないから愛される
僕の特権さ
でも今日は伝えたくて
鳴いてみたけど
ニャーって
響いただけだった」
(「猫にも愛を」より 作詞 川谷絵音)
という非常にユニークだけど切ない歌詞が印象的。タイトル通り、猫のつぶやきを歌詞にした内容なのですが、その歌詞の内容はいかようにでも深読みできるような内容になっています。
脂ののりまくった傑作だったゲスの極み乙女。の最新作に比べると、indigo la Endは過去の作品と比べると「脂ののりまくった」といった印象は受けません。ただ、過去の作品同様、十分な勢いを感じますし、ある種の安定感のある傑作に仕上がっています。上にも書いた通り、間違いなくメロディーメイカーあるいは作詞家としての川谷絵音の魅力という点ではゲス以上にこちらのバンドでよくあらわれているように思います。まだバッシングが続いている彼。その行動自体に擁護するつもりはありませんが、ミュージシャンとしての実力には関係ありません。ミュージシャンとしてはこれからも傑作をリリースしてくれることを期待します。
評価:★★★★★
Indigo la End 過去の作品
あの街レコード
幸せが溢れたら
藍色ミュージック
ほかに聴いたアルバム
最高築/中村一義
メジャーデビュー20周年を迎えた彼が、代表曲をバンドサウンドによりタイトル通り「再構築」したセルフカバーアルバム。ただ・・・そのリアレンジしたバンドサウンドは正直言って平凡。もともとメロディーに定評のあった彼でしたが、今回のアレンジで聴きなおすと、あれ、こんな程度の曲だったっけ?と思ってしまう部分もあり、あらためて原曲のアレンジの力を感じます。やはり中村一義はあくまでも「ポップミュージシャン」なんだな、ということを感じてしまったアルバムでした。
評価:★★★
中村一義 過去の作品
最高宝
6 REMIX'N BIRDS
対音楽
海賊盤
進撃の軌跡/Linked Horizon
Sound Horizonがタイアップ作をリリースする時に使用する別名義、Linked Horizonの新作。本作はアニメ「進撃の巨人」につかわれた曲を集めたアルバム。ミュージカル仕立ての楽曲が多く、Sound Horizon名義の曲と同様、良く言えばダイナミック、ちょっと悪くいえば仰々しいアレンジの曲がメイン。これはこれで彼の「味」だとは思うのですが、Sound Horizon名義の曲以上に仰々しさを感じさせる曲が多く、最後はちょっと食傷気味でした・・・。
評価:★★★
Sound Horizon 過去の作品
Moira
Marchen
Chronology[2005-2010]
Nein
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コメント
こんにちは、初めて投稿します
いつも楽しく読ませていただいてます
遅ればせながらindigoの新アルバム、
ようやく聞きました
ファンの間でも評判になってますが、
タイアップにもなってる鐘泣く命が
凄くいいですね
曲はスピッツっぽいテイストなんですが、
単なるスピッツの物真似にならずにindigoの曲として独自のものになってるのが、川谷さんの力量なんだなと思ってます
まだまだ世間の目は厳しいなーと感じますが、頑張ってほしいです
投稿: むぎ | 2017年9月18日 (月) 12時43分
>むぎさん
初めまして。書き込みありがとうございます。そうなんですよ、indigoのアルバム、非常に素晴らしい出来でした。川谷絵音への視線はまだかなり厳しいものがあるのですが、音楽的な才能は間違いないだけに、音楽の面ではがんばってほしいですよね!
投稿: ゆういち | 2017年9月23日 (土) 00時11分