amazarashiのパクリ?
Title:神様、僕は気づいてしまった
Musician:神様、僕は気づいてしまった
デビューシングル「CQCQ」がドラマ主題歌に抜擢。いきなりヒットを記録して話題となったバンド「神様、僕は気づいてしまった」。非常に中2病的な曲のタイトルそのままのミュージシャン名も注目を集めた彼らですが、なによりもその活動スタイルの奇抜さも話題となりました。
メンバー全員が匿名でPVで登場する演奏する姿も覆面姿。アルバムのジャケット写真でも登場してきますが、バンドのアイコン的に用いている奇妙な人形のようなキャラクターも目を惹きます。ただ・・・こういう売り方は話題になったのですが、違う観点からも大きな話題となりました。はっきり言ってしまってバンドとしてのこの登場の仕方は、人気のロックバンドamazarashiにそっくりだったからです。
ただこの手のパクリに敏感なネットコミュニティーにおいてなぜか彼らに対するバッシングはほとんど起きていません。おそらくその理由の一つとして、ちょっとうがった見方ではあるのですが、彼らの出自が関係しているのかもしれません。彼らは匿名で活動していますが、その正体はニコニコ動画で人気の歌い手、まふまふやボカロPのNeruではないかという噂があります。要するに彼ら、ネットコミュニティー側の人間。そんな人たちの集まりだからネット上でバッシングが起こりにくい・・・ということがひょっとしたらあるのかもしれません。
もっとももっと大きな理由として売り方の雰囲気としてはamazarashiに似ているのですが、楽曲自体、特にアレンジやメロディー、またボーカルの歌い方についてはamazarashiと大きく異なるから、なのでしょう。amazarashiの秋田ひろむは歌詞を丁寧に歌い上げ、落ち着いたトーンで歌うスタイル。メロディーは叙情感あるミディアムテンポの曲が多く、アレンジも美しいピアノを入れつつ、歌詞をメインにするために落ち着いたサウンドになっています。
一方、彼らの場合は、ボーカルの歌い方ははりあげるようなハイトーンボイス。メロディーラインもマイナーコードの曲が多いものの、スピード感あり性急さが先に立つスタイル。アレンジも比較的軽い音色のアレンジが多く、よくありがちなJ-POPバンドというイメージが先に立ちます。
ただ一方で歌詞に関してはどこか似たような印象を受けます。孤独な主人公が不幸な境遇の中でもなんとか生きていこうという歌詞のスタイルはamazarashiによく似ています。ただ具体的で物語性ある歌詞が多く、歌詞もどこか叙情的なamazarashiに比べると、抽象的な歌詞が多く、どこかテーマ性に関して上滑りしてしまっているような印象も受けました。
そして彼らに関して一番気にかかるのは、「売り」であるはずの歌詞の、楽曲の中における扱いの悪さでした。例えばamazarashiの場合、そのボーカルスタイルにしてもアレンジしてしてもあくまでも歌詞をメインにおいてインパクトあるフレーズをきちんとサビに持ってきて「聴かせる」ことに腐心しています。
しかし彼らの場合、歌い方があまりにもハイテンポのため、歌詞がほとんど耳に入ってきませんし、インパクトあるフレーズにも出会えません。これはネット発のミュージシャンに共通していて、動画サイトの場合、歌詞が動画として表示できるという特徴があるため、あえて耳から歌詞を理解する必要性が低いためにこのようなスタイルになるのでしょう。ただこのバンドの場合、一応はネット発でない以上、このような歌い方はかなりマイナスのように思います。
また今回、7曲入りのミニアルバムなのですが、楽曲的にはどの曲も似たような感じの曲が多く、曲のバリエーションにも乏しいように感じました。この点については今後の成長次第といった感じがするのですが、まだ超えなくてはいけない壁は大きいように感じます。
全体的にその売り方を含めて楽曲の内容についてもかなり疑問の残る作品でした。正直言えば、コンセプトや売ろうとする周りのスタンスばかりが空回りしてバンドの実力がついてきていないようにも思います。これからのバンドなのかもしれませんが・・・良くも悪くも「売れる」ことが先に立ってしまっているように感じるアルバムでした。
評価:★★★
ほかに聴いたアルバム
D3P.LIVE CD/UNICORN
昨年9月から12月にかけて行われたアルバム「ゅ13-14」リリース後のツアーの模様を収録したライブアルバム。「ゅ13-14」の楽曲のみならず過去の代表曲も披露されたライブ盤で、力強い演奏でロックバンドとしての側面と、同時にほどよく力が抜けた彼ららしいスタイルのステージを見せてくれるのが魅力的なライブ音源。また久しぶりにユニコーンのライブも見てみたいなぁ。
評価:★★★★★
ユニコーン 過去の作品
シャンブル
I LOVE UNICORN~FAN BEST
URMX
Z
ZII
Quarter Century Single Best
Quarter Century Live Best
イーガジャケジョロ
ゅ13-14
半世紀No.5
Dim The Lights/MONOEYES
the HIATUSとしての活動を続ける細美武士率いるMONOEYESの2枚目となるニューアルバム。ピアノやエレクトロサウンドなどを取り入れて美しい音を聴かせるthe HIATUSとは対照的に、MONOEYESはあくまでもロックバンドとしてバンドサウンドを志向。パンクロックやオルタナ系ギターロック、さらにはポップス色の強い作風まで並んでいるものの、全体的には外連味の無いギターロックの楽曲が並んだ作品に。メロディーの面でのインパクトがやや薄めなのが気になりますが、それよりもバンドとしての一体感を重視したといった感じなのでしょうか。2枚目にしてその方向性がますます鮮明になってきたように感じました。
評価:★★★★★
MONOEYES 過去の作品
A Mirage In The Sun
| 固定リンク
「アルバムレビュー(邦楽)2017年」カテゴリの記事
- 20周年イヤーの最後を締めるアルバム(2017.12.26)
- 5曲中3曲がタイアップ(2017.12.25)
- チャメ~!(2017.12.23)
- 4枚組豪華オールタイムベスト(2017.12.17)
- 赤裸々な本音を強烈なガレージサウンドで(2017.12.16)
コメント