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2017年8月12日 (土)

初の「ベスト盤」

Title:All Time Best ハタモトヒロ
Musician:秦基博

秦基博初のオールタイムベスト・・・って、いままで結構、秦基博ってベスト盤リリースしてなかったっけ?とも思うのですが、「BEST OF GREEN MIND」と「evergreen」は弾き語りアルバム、「ひとみみぼれ」はセルフセレクションによる企画盤と、純粋に彼の代表曲を網羅したベスト盤は本作がはじめてのリリースとなります。ちょっと意外な印象を受けるのですが。

さてそんな秦基博初となる純粋なベストアルバム。以前から秦基博に関してはひとつ強く感じていたことがあります。それは彼、どうにもこれといった特徴の薄いミュージシャンだな、という点でした。

例えばメロディーライン。ルーツ志向で洋楽テイストが強いわけではありませんし、決定的にインパクトのある美メロを書いている訳ではありません。歌詞にしてもストレートなラブソングがメインでこれといった大きな特徴があるわけではありません。秦基博というとどういうミュージシャンかと言われると、「ポップスミュージシャン」の一言。それ以上でも以下でもありません。

ただ今回のベスト盤も見事チャート1位を獲得しましたしアルバムでは確実にベスト10入りをさせてくるなど、人気ミュージシャンとしてその歩を確実に進めている彼。今回のベスト盤を聴くと、上に書いた通り、これといってひとつ目立つような特徴があるわけではないのですが、それにも関わらず非常に心に残るようなポップソングが目立ちます。

アコースティックなサウンドが主導して展開していく彼の楽曲は決して派手なメロディーがあるわけではありません。しかし、妙に心にひっかかりのあるフレーズを書いてきます。このド派手なサビはないのにちゃんとひっかかるのあるメロディーラインを書いてくるというのは非常に難しいこと。それをさらりとやれてしまう彼にメロディーメイカーとしての実力を感じます。

比較的似たようなタイプの曲も多いのですが、それでも2枚組全26曲、ダレることなく最後まで聴くことが出来るのはやはり彼の楽曲に多くの魅力があるからでしょう。今回のベスト盤では秦基博のポップメイカーとしての実力とその魅力を再認識できる内容でもありました。

また今回のベスト盤、ちょっとユニークなのは彼の代表曲を網羅した2枚組の通常盤の他、そこからさらにセレクトして1枚にした「はじめまして盤」がリリースされたこと。これはなかなかユニーク。というのはここ最近のベスト盤、楽曲を詰め込みすぎて2枚組3枚組となり初心者にとっては手を出しにくく、本来あるべき「ベスト盤」の役割を果たしていないようなベスト盤が多く見受けられたからです。こうやって初心者にも聴きやすいように1枚にまとめた別バージョンを出す、というのは戦略として非常におもしろく感じました。

ただ今回、この別バージョンで非常に残念なのは2枚組の通常盤に入っていない曲が「はじめまして盤」に入っていたこと。特に大江千里のカバー「Rain」は「はじめまして盤」にしか入っていないようで、これによりファンは通常盤だけでなく「はじめまして盤」も購入する必要が生じたとか・・・複数枚買いを誘発するための戦略でしょうか。この点は非常に残念に感じます。

「売り方」には残念な点はあるもののベスト盤としての魅力はもちろん文句なし。最新盤「青の光景」はいままでの彼の魅力を上回る傑作だっただけにこれからの活躍もかなり期待できそう。これからの秦基博の活躍を楽しみにしつつ、あらためて彼の魅力に触れるには最適なベスト盤でした。

評価:★★★★★

秦基博 過去の作品
コントラスト
ALRIGHT
BEST OF GREEN MIND '09
Documentary
Signed POP
ひとみみぼれ
evergreen
青の光景


ほかに聴いたアルバム

HATE ME/Cruyff In The Bedroom

今年は往年のシューゲイザーバンドが次々と新作をリリースしてきましたが、それに歩調をあわせたのか日本を代表するシューゲイザーバンドである彼らも約4年7ヶ月ぶりとなるニューアルバムをリリース。相変わらずシューゲイザー直系の轟音のギターノイズが心地よいアルバムに。今回は以前のアルバムで感じていたちょっとベタというか平凡なメロディーラインも進化。しっかりとシューゲイザーバンドらしい(?)インパクトあるポップなメロを聴かせており、楽曲に花を添えていました。

評価:★★★★★

cruyff in the bedroom 過去の作品
Ukiyogunjou
hacanatzkina

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