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2017年7月16日 (日)

すべてのシングルを網羅

Title:HIROKO TANIYAMA 45th シングルコレクション
Musician:谷山浩子

1972年のデビュー以来、根強い支持を集め長くにわたり活動を続けてきた女性シンガーソングライター谷山浩子。そのデビュー45周年を記念してシングルベストがリリースされました。3枚組となる本作はデビューシングル「銀河系はやっぱりまわってる」から2012年にリリースした現時点での最新シングル「同じ月を見ている」までのシングル曲すべてをカップリングを含めて収録したアルバムとなっています。

デビューから45年、コンスタントに活動を続けてきた彼女ですが、実は私、彼女の曲をこれだけまとめて聴くのは今回がはじめて。もちろんその名前は昔から知っていたのですが、彼女のシングル曲をデビュー作から最新作まではじめてまとめて聴いてみました。そこでまず感じたのは彼女の作風がその時期にあわせてかなり変化しているな、ということでした。

デビュー曲「銀河系はやっぱりまわってる」はプログレロック風な作品になっており、まずかなりビックリさせられます。ところがそのカップリング曲でもあった「天使のつぶやき」はフォーク風の作品。しかし「河のほとりに」からはグッと雰囲気が変わり、哀愁たっぷりのメロディーに悲しい別れや片想いの歌が多い歌謡曲的な楽曲が続きます。

と思えば80年代の「カントリーガール」あたりからはむしろニューミュージックの色合いが強い楽曲になりますし、その後は徐々に比較的シンプルなアレンジながらもファンタジックな色合いの強い楽曲へと変化していきます。いい意味で言えば、その時代時代の雰囲気にあわせて柔軟に変化していったと言えるのですが、一方ではサウンド面で「これが谷山浩子だ」と言えるような強い個性が若干希薄なようにも感じました。

もっとも一方ではそんな変化していく楽曲の中でも谷山浩子としての共通点を感じる部分があって、それがデビュー当初から最近の作品まで共通している、どこか非現実的、幻想的に感じるその世界観。それも時代時代により強弱があるのですが、この世界観は一貫しています。またこの幻想的な世界観は80年代後半あたりからサウンド面にも強く反映されるようになってきてより顕著になってきたように感じます。

おそらく谷山浩子の曲としてもっとも知名度が高い曲のひとつとしてNHK「みんなのうた」で人気を博した「まっくら森の歌」があるかと思います。この曲、シングルカットはされていないのですが、2012年のシングル「同じ月を見ている」のカップリングとして収録されたため本作にも収録されています。もともと1985年に放送された曲らしいのですが、不思議な世界観の歌詞と、それにマッチしたサウンドがとても魅力的な曲。アルバム全体を通じて聴くと、谷山浩子サウンドの一種の完成形のように感じました。

ただ一方、70年代の歌謡曲路線の楽曲にも強い魅力を感じます。特に歌詞の世界はかなり悲しい恋愛模様を描いたものが多いのですが、どこか非現実的な表現にちょっと怖さを感じるような歌詞が多く、強い印象に残ります。個人的にはどこか柴田淳に近いものを感じる部分も。メロディーはちょっとベタな歌謡曲といった感じの曲も多いのですが、聴き終わった後、不思議な感覚を覚えるような楽曲も多く収録されています。

谷山浩子といえば一部で熱狂的な支持を集める根強い人気を誇るミュージシャンなのですが、一方で他人への提供曲を除き大きなヒット曲はありません。確かに時代時代で作風が変化しているため、谷山浩子サウンドというものをあまり強く感じられない点や、特にメロディーの面でわかりやすいインパクトある曲が少ないという点から、大きなヒット曲がないという理由はわかるようにも思います。ただ歌詞の面では確実にその世界観を確立しており、魅力的な楽曲が多く収録されているベスト盤でした。特にその歌詞の世界観ゆえに聴いた後にちょっと不思議な感触を覚える楽曲が多く、それが彼女の大きな魅力のように感じます。3枚組でボリューム感あるベスト盤でしたが、はじめて彼女に触れる方にも最適なベスト盤でした。

評価:★★★★★

谷山浩子 過去の作品
ひろコーダー☆栗コーダー(谷山浩子と栗コーダーカルテット)

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