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2017年7月 4日 (火)

2人のポップス職人が参加した伝説(?)のバンド

Title:MOTORWORKS~COMPLETE BEST~
Musician:MOTORWORKS

今回紹介するMOTORWORKSは、Spiral Life、SCUDELIA ELECTROとしても活躍していた石田ショーキチが、もともとは洋楽のカバーをするためにL⇔Rの黒沢健一、スピッツの田村明浩、ドラムスのホリノブヨシの3人を誘って2003年に結成したバンド。その後、その活動に手ごたえを得た彼らはシングル3枚とアルバム1枚をリリースするものの2005年に活動を休止します。

しかしその後2014年に久々にライブ活動を再開。ドラムスのホリノブヨシに代わり、ウルフルズのサンコンJr.を迎えたものの残念ながら黒沢健一が闘病生活に入り活動休止。ご存じの通り、昨年、黒沢健一の急逝。そのため事実上、その活動に幕を下ろしてしまいました。

そんなMOTORWORKSですが、そのメンバーの名前を見ればわかる通り、石田ショーキチと黒沢健一という、日本を代表するようなポップス職人2人が組んだバンドというだけでポップス好きにはたまらないバンド。黒沢健一急逝によりファンからは再発を望む声が多くなったそうで、このほど、MOTORWORKSの音源が再発されることになりました。2枚組となる本作は、Disc1には彼らが唯一残した2004年のアルバム「BRAND-NEW MOTORWORKS」がそのまま収録。Disc2はシングル曲やカップリングなどでアルバム未収録だった曲が並んでいます。

「BRAND-NEW MOTORWORKS」はリアルタイムで聴いていたので今回、久しぶりに聞いてみたことになるのですが、もうとにかくこれでもかというほと胸がキュンとなるポップソングの連続にはまりまくるアルバム。L⇔RやSpiral Lifeが好きなら絶対聴くべきアルバムですし、そうでなくてもギターポップが好きならば必聴のアルバムだと思います。

またMOTORWORKSでおもしろいのはバンドの中の2人のソングライター、石田ショーキチと黒沢健一の音楽性が微妙に異なっていて、その違いがそのままアルバムに反映されている点でした。基本的に主軸にあるのはポップなギターロックなのですが、ノイジーなギターサウンドに疾走感あるメロディーで、どちらかというと80年代90年代のオルタナ系ギターロック寄りの石田ショーキチに対して、60年代70年代のギターポップへの影響が強い黒沢健一。その違いはかなりはっきりしていて、おそらく熱心なファンでなくてもどの曲を誰が手がけたか一発でわかるかと思います。

2004年の頃は石田ショーキチも黒沢健一もソロでの活動は停滞気味で、大きなヒットもなく正直、若干スランプ気味だったころ。ただそれでも2人の才能が融合するととこれだけの傑作が産みだされるという点、彼らのポップス職人としての実力を再認識させられます。2人ともその目指す方向性に微妙な違いがあるものの(おそらくアルバム1枚しかバンドとしての活動が続かなかったのはそれも理由なのかもしれませんが)、「キュートなポップソング」という共通項があるためアルバム全体にも統一感があり、2人の音楽性の違いがほどよい振れ幅となっています。

これほど素晴らしいバンドがアルバム1枚で終わってしまったことが非常に残念に感じます。また、ちょっと残念だったのが、ライブ音源みたいな未発表音源は残っていなかったんですね。特に2014年の活動再開後の音源があったら聴いてみたかったのですが・・・その点は非常に残念でした。ただ、全ポップス好きが聴くべき傑作アルバム。そのポップなメロディーラインに間違いなくはまる作品です。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

PEACE OUT/竹原ピストル

もともとは野狐禅というバンドで活動していた男性シンガーソングライター。一部では話題になったもののブレイクしきれないままに解散。その後のソロ活動でもダウンタウンの松本人志が絶賛するなど一部で話題になるもののブレイクしきれなかったものの、ここに来て俳優としての活動がブレイク。その影響もあり本作はチャート5位を記録。ミュージシャンとしてもようやくブレイクという結果になりました。

彼の楽曲はコンピ盤の中の1曲的には聴いたことあったのですが、アルバム単位で聴くのは野狐禅以来。ただスタンスとしてはその時とほとんど変わりありません。自らの体験談を入れた力強く熱い人生の応援歌。ちょっと暑苦しさも感じる部分もありますし、良くも悪くも成り上がり志向な部分も感じる部分もあります。また全体的に感情的で熱い雰囲気を出している訳にはちょっと理屈っぽい部分も目立ったかな?そこらへんがこれだけインパクトあって話題にもなったのにいままでブレイクできなかった要因なような。ただ、アコースティックサウンドを中心に非常に強いインパクトを感じるアルバムでした。

評価:★★★★

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アルバムレビュー(邦楽)2017年」カテゴリの記事

コメント

このころ石田氏と健一氏はすごくメンタル的に
負担を抱えていたそうです。
そこでただ遊びでバンドやろうぜってのが
このMOTORWORKSだったそうです。

とはいえ健一氏もこの時期他にL⇔Rの
ベース木下氏含む4名で組んだcurve509、
ホッピー神山とL⇔Rのプロデューサーの
岡井氏と組んだSCIENCE MINISTRY、
音楽評論家の荻原健太氏と洋楽カバー
弾き語りをした健'z、
ある企画物の派生で秀樹氏と組んだ
ハンキーパンキーと
1年の間にこんなにたくさんやってたのですが(^ ^;
でもどれも遊びの部分が多かったので
楽しかったんでしょうね。

未発表音源ではないですがレア音源は
Plastic Songの別バージョンが当時
moraのアルバム配信の特典で存在して
ます。現在moraではMOTORWORKSの取り
扱いはなくこのアルバムに入れてほし
いという旨を石田氏のアンケートに書
いたのですが入りませんでした。これ
だけが残念でなりません。

長文乱文失礼いたしました。

投稿: Toshi | 2017年7月 6日 (木) 01時48分

>Toshiさん
情報ありがとうございます。リアルタイムで聴いた時から、石田ショーキチも黒沢健一もスランプ気味だな、と思っていたのですが、やはりそういう事情があったんですね・・・。ただ、この時期、確かに黒沢健一のプロジェクトが多かったですね。「遊び」という意味ではいろいろと勢いがあったのかもしれません。
未発表音源が入らなかったのは残念です。これを機に、全音源を入れてほしかったのですが・・・全部入れてもさほどのボリュームにはなからったと思うのですが・・・うーん。

投稿: ゆういち | 2017年7月15日 (土) 00時28分

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