ドリーミーでポップな楽曲が心地よい
Title:Volcano
Musician:TEMPLES
前作「SUN STRUCTURES」がノエル・ギャラガーやジョニー・マーに大絶賛されたということで話題となったイギリスの4人組ロックバンド。その彼らの約3年ぶりとなるニューアルバムがリリースされました。
話題となった前作「SUN STRUCTURES」はリバーブがかかったノイジーなギターにキュートなメロディーが印象的な作品に仕上がっていました。今回の作品に関しても基本的にその延長線上といった感じでしょうか。リバーブがかかりまくったノイジーなギターに非常にキュートでポップなメロディーラインが耳を惹くアルバムになっています。
「(I Want To Be Your)Mirror」は哀愁感あるメロディーラインが日本人の琴線にも触れそうなインパクトがありますし、「Celebration」はミディアムテンポながらもスケール感のある、タイトル通りの祝祭色が豊なナンバー。ラストを飾る「Strange Or Be Forgotten」も明るさを感じるインパクトあるポップチューンに仕上がっています。
また前作で大きな魅力だったドリーミーな雰囲気も健在。シンセとギターの音で非常に分厚い音を楽しめる「Born Into the Sunset」などがその典型例でしょうか。ドリーミーなサウンドの中で鳴り響くギターリフはどこかマイブラっぽさを感じられたりして、シューゲイザー好きにはかなりはまりそうな楽曲になっています。
基本的には前作の路線を引き継いだ本作ですが、ただ前作に比べるとシンセのサウンドが増えてエレクトロ色が強くなったような印象を受けます。例えば「Open Air」などはシンセの音が前に出てエレクトロポップという色合いが強い楽曲になっていますし、他の曲に関してもシンセの音が目立つ印象を受けました。
とはいえ全体的には前作の印象を大きく変えるものではなく、前作を気に入った方にとっては間違いなく楽しめる傑作アルバムだったと思います。前作の踏襲という点で目新しさが減った反面、前作で気になったメロよりもサウンドを押し出したような楽曲が減り、後半まで基本的にポップなメロ主導の楽曲が並んでいました。前作はバンドとしての足腰の弱さを感じました。本作で決定的に強くなったという印象を受けたわけではありませんが、バンドの弱点をあまり表に出さない曲づくりは上手くなったように感じます。
話題になり全英チャート7位といきなりベスト10入りした前作に比べて本作は最高位23位にとどまったようで、売上面での失速ぶりは気になるところなのですが・・・ただ内容的には前作に負けず劣らずの傑作だったと思います。今年のフジロックへの出演も決定したみたいですし、日本での盛り上がりに期待したいところです。
評価:★★★★★
TEMPLES 過去の作品
SUN STRUCTURES
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