豪華ゲストが話題
Title:Humanz
Musician:GORILLAZ
なんと6年ぶり!GORILLAZの待望のニューアルバムがリリースされました。GORILLAZは2D、ヌードル、マードック・ニカルス、ラッセル・ボブスからなる4人組のバンドで・・・といってももちろんご承知の通り、彼らは全員、漫画のキャラクター。ご存じ、blurのデーモン・アルバーンと漫画家のジェイミー・ヒューレットによって作成されたバーチャルバンド。最初はblurの余技的な一時的プロジェクトと思われていたのですが、デビュー作が全世界で700万枚という大ヒットを記録。いまや、下手したらアメリカではblurより人気があるんじゃないか、と思われるほどの「バンド」になりました。
一時期、デーモン・アルバーンとジェイミー・ヒューレットの仲が決裂。GORILLAZの行方も心配されていました。が、その後2人の仲は修復。無事、久々となるニューアルバムがリリースされました。で、その久々となる最新作ですが、まずゲストがすごいことになっています。
一番の驚きはあのノエル・ギャラガーが参加していることでしょう。blurとoasisといえばかつては犬猿の仲として有名だった間柄。特にノエルとデーモンといえば、ノエルがデーモンに対して「エイズにかかって死ねばいい」というとんでもない暴言を吐き話題となりました。その後、両者の和解は日本でも大きな話題となったためご承知置きかと思いますがGORILLAZの最新作では「We Got The Power」でなんと共演が実現。大きな話題となっています。
さらにblurのギタリストであるグラハム・コクソンもギターとして参加。グラハムとの仲が悪化し、blurの活動が縮小していく中、GORILLAZの活動が盛んになっていった、という印象もあるため、グラハムがGORILLAZに参加するということは、これまた隔日の感があります。
他にも様々なミュージシャンたちがゲストとして参加しているのですが、現在、新進気鋭のミュージシャンとして大きな話題となっている人たちの参加が目立ちます。たとえば「Ascension」で参加しているヴィンス・ステイプルズはLAで活動中の将来が期待される若手ラッパー。テンポよいHIP HOPチューンとなっています。「Saturnz Barz」も話題のレゲエミュージシャン、ポップカーンが参加。横ノリのレゲエチューンを哀愁感まじえて聴かせるナンバーになっています。また「Hallelujah Money」で伸びやかなジャズ風のボーカルを聴かせるのは天才シンガーとして話題となったイギリスのベンジャミン・クレメンティン。まさに今話題のミュージシャンたちがズラリと参加しています。
一方ではGORILLAZへのゲスト参加ではおなじみのDE LA SOULは本作も参加。さらに「Let Me Out」ではゴスペルシンガーの重鎮、メイヴィス・ステイプルズが参加。若手のみならずベテラン勢にもしっかりと気を配っており、幅広い音楽性が楽しめる内容となっています。今回の作品はアメリカをテーマとした作品ということでアメリカの音楽を幅広く取り入れて、アメリカという世界を浮かび上がらせようとしているのでしょうか。
また今回のアルバム、もうひとつの特徴としてはエレクトロサウンドを取り入れた曲が多かったという点。特にいままでのGORILLAZになかった四つ打ちの作品もあり、「Strobelite」のような軽快なディスコ風のナンバーも収録されています。これも今の音楽シーンを反映させたようなサウンドになっているように感じます。
今回のアルバムではそんなエレクトロサウンドを取り入れ、豪華なゲストでいままで以上にバリエーション富んだ作風になっているだけにバンド色は薄くなっています。今回のアルバムではデーモンは「トランプ後のアメリカ」を描いているそうです。それだけにかなりメッセージ性の強い曲も収録されていますが、ただそれ以上にGORILLAZでいろいろな音楽をとにかく好き勝手にやってみたい、デーモンのミュージシャンとしての好奇心をまず強く感じます。それだけに最新の音楽に触れることが出来るバリエーションある楽曲は、少々統一感ない部分もあるものの純粋に楽しく聴くことが出来ました。GORILLAZだからこそ出来た、GORILLAZらしい1枚です。
で、今回本作、国内盤を購入して聴いたのですが、これに関して大きな不満が。国内盤は全世界でのリリースから1か月遅れのリリースとなったのですが、それにもかかわらず対訳がついていません。特に本作はメッセージ性の強い作品なだけに対訳が必須のはず。対訳はつけないでほしいという要望があったのでしょうか。こんな雑な仕事をしていると、国内のレコード会社はどんどんそっぽをむかれかねないと思うのですが。本作に興味を持ったら輸入盤で十分。国内盤は不要です。
評価:★★★★★
GORILLAZ 過去の作品
D-Sides
Plastic Beach
THE FALL
The Singles Collection 2001-2011
ほかに聴いたアルバム
A Kind Revolution/Paul Weller
イギリスギターロック界の大ボス、ポール・ウェラーの2年ぶりとなる新作。前作はロック色が強くなったアルバムでしたが本作はソウル、ブルース、AORとブラックミュージックの色合いが強いアルバムに。ただ一方、いつもの彼らしい骨太のロックも聴かせてくれ、ベテランとしての安定感を感じます。もちろん、安定感だけではなく現役感も十分感じられるアルバム。まだまだ彼の活躍は続きそうです。
評価:★★★★
Paul Weller 過去の作品
22 DREAMS
Wake Up The Nation
Sonik Kicks
The Best of...So Far/THE KOOKS
2008年にアルバム「Konk」が全英チャート1位を獲得し大きな話題となったロックバンドによる初のベスト盤。基本的に非常にシンプルなギターロックというイメージで、リズミカルな楽曲が多く、良くも悪くもいかにもイギリスのギターロックバンドといった印象を受けます。目新しい感じはしませんが、素直なギターサウンドを楽しめるバンドです。
評価:★★★★
THE KOOKS 過去の作品
Konk
Junk of the Heart
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