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2017年6月13日 (火)

世間のバッシングに反しての大傑作

Title:達磨林檎
Musician:ゲスの極み乙女。

最近、悪い意味で「国民的バンド」になってしまったゲスの極み乙女。 ご存じのとおり、ボーカル川谷絵音のベッキーとの不倫騒動とほのかりんとの飲酒騒動によって昨年12月のZepp Tokyo公演を最後に活動を自粛。昨年リリース予定だった本作も発売延期になっていました。

しかしそれからわずか5ヶ月強で活動を再開。延期となった本作もリリースになりました。個人的に川谷絵音へのバッシングはあきらかに過剰反応だと思っていたものの、そんな中でもわずか5ヶ月での復帰はさすがに空気を読まなさすぎじゃない?と疑問に思っていました。

ただ、このアルバムを聴いて大きく考えが変わりました。確かにこんなアルバムをつくっておいて、5ヶ月も音楽活動を休止するのはもったいなさすぎる。間違いなくゲスの極み乙女。の最高傑作ともいえる内容。川谷絵音はあれだけバッシングを受けている中で、むしろミュージシャンとしては脂にのって勢いを増しているようです。これだけミュージシャンとして脂ののっている中、確かに活動休止5ヶ月というのは非常にもったいなく感じました。

前作「両成敗」でもメロディーラインにインパクトが増して勢いを感じたのですが、今回もこのメロディーセンスの良さが切れまくっています。ラグタイム風のピアノからさわやかにはじまる「シアワセ林檎」もインパクトあるサビがまず聴かせる楽曲なのですが、特に印象が深かったのが歌謡曲テイストが強くメロディアスなポップチューン。「勝手な青春劇」「Dancer in the Dancer」など、ムーディーな雰囲気を感じるメロが哀愁感たっぷり。歌詞も歌謡曲的な憂いを感じて強い印象に残ります。

ちょっとジャジーな色合いのあるピアノの音色もとても心地よい感じ。特に今回は以前の作品に比べても黒さが増したような印象を受けます。「DARUMASAN」もサビの部分ではシティポップ的な爽快感がありますし、ラストの「ゲストーリー」もファンキーなサウンドの中で爽快なポップソングが印象に残ります。

また「某東京」のようにポエトリーリーディング調で文学的な表現で綴る内省的な歌詞も印象に残ります。今回、このポエトリーリーディングやドラムスほな・いこかとのツインボーカルも効果的に使われているのも特徴的。「いけないダンスダンスダンス」などはその典型例。8分40秒に及ぶこの楽曲はリズミカルなテンポとピアノの軽快なフレーズが相まって中盤の核となっています。

情報量が詰め込み気味だった昔の楽曲と比べて、サウンドの取捨選択を行いグッと聴きやすさが増した感じ。なによりも哀愁感あるメロディアスなメロディーを前に押し出した楽曲も増え、川谷絵音の別バンドindigo la Endからの影響も感じます。最初にも書いた通り、川谷絵音の勢いを感じさせる傑作。いろいろと外野はまだ文句を言いそうですが・・・このままゲスもindigoも積極的な活動をやはり続けてほしいなぁ。

評価:★★★★★

ゲスの極み乙女。 過去の作品
踊れないなら、ゲスになってしまえよ
みんなノーマル
魅力がすごいよ
両成敗


ほかに聴いたアルバム

大正義/ポルカドットスティングレイ

最近話題の女性1人+男性3人組のギターロックバンド。いままでアルバムはEP盤を1枚リリースしたのみでミニアルバムとしてはこれがはじめての作品となるのですが、なんとオリコンチャートでは初登場7位を記録。いきなりのベスト10ヒットとなりました。

そんな彼女たちの楽曲は一言で言ってしまうと「椎名林檎経由でNUMBER GIRLに影響を受けたようなサウンド」。へヴィーなギターサウンドがカッコいいのですが、ボーカルの歌い方はいかにも椎名林檎的というか最近よくありがちな感じで、もう一歩個性が欲しい感じ。ただまだまだこれから伸びそうな予感のするバンドでこれからの活動に要注目であることは間違いないでしょう。

評価:★★★★

ULTRA HARD/ラッパ我リヤ

しばらく活動休止しており、これが8年ぶりとなるラッパ我リヤのニューアルバム。ラッパ我リヤといえば2000年にリリースしたDragon Ashのシングル「Deep Impact」への客演で広く知られましたが、今回のアルバムにはDragon Ashのkjこと降谷建志が参加したことでも話題となっています。

ラッパ我リヤといえば以前のアルバムはへヴィーなトラックに俺様節全開なリリックが正直言ってちょっと暑苦しかったのですが、今回のアルバム、そんな俺様節はあるものの打ち込みを取り入れたトラックはリズミカルで軽く、全体的にポップで聴きやすくなっています。kjが参加して話題の「My Way」にしてもkjはラップではなく哀愁感たっぷりの歌を披露。大人になったなぁ、という感傷に浸ってしまいました(笑)。

正直以前のへヴィーなスタイルは少々一本調子でおもしろくないと感じていただけにあまり期待していなかったのですが、へヴィネスさとポップさのバランスがちょうどよい聴きやすいアルバムに仕上がっていました。彼らも大人になったな、そう感じた1枚でした。

評価:★★★★★

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コメント

あのスキャンダルがあるから『こそ』傑作を産み出したという前提がどうかと思うのですが、それでもアレがあってこそ成熟したのかも知れないですねえ…
ともあれ、良い作品が出来たのは、良い事だとは思います

投稿: yono | 2017年6月14日 (水) 21時43分

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